整骨院を開業する流れとは?必要な手続きも解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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整骨院を開業する流れとは?必要な手続きも解説

整骨院の開業に際して、どのような流れで進めればよいのか知りたい人もいますよね。独立して整骨院を開業しようと考えているが、失敗しないためにはどうすれば良いかを知りたい人もいるでしょう。 整骨院は集客できないと失敗してしまいます。また、集客するためには他院との差別化が必要になります。

当記事では、整骨院を開業するまでの流れを解説します。開業に必要な手続きや準備についても解説していますので、参考にしてみてください。

整骨院を開くためには柔道整復師が必要

整骨院を開くためには、国家資格である柔道整復師が必要です。保健所に整骨院の開設を届け出る際に、柔道整復師の資格が求められるからです。

柔道整復師の免許証原本が必要となるため、免許証を紛失してしまった場合は、柔道整復研修試験財団に再交付申請を行いましょう。

整骨院の平均月売上は約90万円

当社株式会社SoLabo(ソラボ)が、実際に整骨院開業の資金調達を支援した30件を平均すると、初年度の月売上は約90万円でした。一人整骨院か従業員を雇用するかによっても月売上は異なりますので、参考にしてみてください。

上記のケースとしては一定の来院見込みがある(または確保できている)場合が多く、開業するにあたって一から集客をしなければならない場合は、上記の売上を上げるのが難しいことを留意しておきましょう。

失敗してしまう整骨院は集客ができない

整骨院は主に集客ができないため、失敗してしまうケースがあります。整骨院は継続的に集客できないと、売上が安定しないビジネスモデルだからです。

集客するためには、店舗周辺の住民に整骨院がオープンしたことを知ってもらわなければなりません。店舗場所や利用者層によって、効果的な集客方法は異なりますが、主に次の4つが挙げられます。

  • ホームページ
  • ポータルサイトへの掲載
  • 折込チラシ
  • ポスティング

上記に加えて、ブログやSNSでの情報発信を行うと効果が出る可能性があります。しかし、ブログやSNSは投稿していくなかで徐々に集客につながる可能性があるものなので、開業当初は効果が見られにくい場合があります。そのため、まずはポータルサイトへの掲載やチラシを検討すると良いでしょう。

他院との差別化するために自費診療のメニューを用意する

他院との差別化するために、自費診療のメニューを用意しましょう。保険診療のみの場合「骨折」「脱臼」「捻挫」「挫傷」と施術範囲が限られるためです。

自身が得意とする分野を生かした施術として、肩こりや腰痛に対する根本的な改善や痛みが出にくいような予防治療の提供することで、他店との差別化につながります。

お客さんのニーズに応えることで、満足度が向上し、継続的な来院につながり、口コミによる紹介も期待できます。

勤務していた整骨院や人気がある整骨院が提供している自費診療のメニューを参考にしてみるのが良いでしょう。

提供したいサービスによっては整体院を検討する

提供したいサービスによっては整体院を検討しましょう。

整骨院と整体院との違いは次の通りです。

【整骨院と整体院の違い】

整骨院(接骨院、ほねつぎ) 整体院
業務範囲 骨折、捻挫、脱臼などの施術 身体のバランスを整える、疲れを癒す、
ストレスを解消する
必要な資格 柔道整復師 なし
保険 適用(一部自費診療) 適用外(自費診療)

必要な資格や保険の扱いが違うので、自身がやりたいのはどちらなのかを確認してみてください。

整骨院とは、接骨院やほねつぎとも呼ばれ、開業するためには国家資格である柔道整復師が必須です。整骨院では主に捻挫、打撲、挫傷(筋・腱の損傷)骨折、脱臼に対する施術を行っていて、捻挫や打撲などの特定の施術に対しては保険が適用されます。また、整骨院によっては「骨盤矯正」「筋膜リリース」「ストレッチ」「美容鍼」などのメニューも取り扱っていますが、自費診療扱いとなり保険適用はされず、全額が利用者の負担となります。

一方、整体院は骨格や関節のゆがみ・ずれを矯正し、身体のバランスを整えることを目的としていて、営業するために必要な資格はありません。整体院では保険適用がされず、利用者が全額負担します。

整骨院を開業するまでの流れ

整骨院を開業するまでの流れは次の通りです。

  1. 施術管理者研修を受講する
  2. 店舗の場所を確保する
  3. 内装工事をする
  4. 柔道整復師の団体に入会するか検討する
  5. 治療機器や什器・備品を購入する
  6. 施術所の開設手続きをする
  7. 受領委任の申し出をする
  8. 税務署に開業届を提出する
  9. 整骨院をオープンする

整骨院の開業にあたっては手続きが必要であり、手続きに不備があると開業できない恐れがあります。そのため、開業までの流れを把握して、漏れなく手続きを行うようにしましょう。

施術管理者研修の受講が必要

整骨院を開くためには、施術管理者研修を受講し、施術管理者にならなくてはいけません。施術管理者でないと、柔道整復療養費の受領委任を取り扱うことができないからです。

2018年4月から施術管理者になるためには、研修の受講が必要となりました。施術管理者研修は、適切な保険請求を行うとともに、質の高い施術を提供できるようにすることを目的として、公益財団法人柔道整復研修試験財団が主催しています。

受講費用は20,000円で、開催日程は柔道整復研修試験財団の公式サイトに掲載されていますので、確認してみてください。

また、研修の受講に加えて、実務経験も求められるようになりました。実務経験の期間については、次の通り段階的に定められています。

  • 2018年4月から2022年3月までに届出する場合、1年間の実務経験
  • 2022年4月から2024年3月までに届出する場合、2年間の実務経験
  • 2024年4月以降に届出する場合、3年間の実務経験

2024年4月以降に開業する場合には、実務経験が3年以上必要になることを覚えておきましょう。

人が集まる場所を確保する

人が集まる場所を確保しましょう。どんなに技術を持っていたとしても、整骨院の場所次第で集客に影響する可能性があるためです。

「駅」「商店街」「団地などの集合住宅」の近くの通りに面した路面店は、人通りがあるため、整骨院の出店場所として選ばれる傾向があります。

しかし、駅近の物件は家賃が高額に設定されていたり、競合となる整骨院が出店していたりするケースがあります。見込客である程度の売上が想定される場合は別ですが、家賃は毎月発生する経費であるため、初めて開業する場合はなるべく家賃を抑えることで、早期に潰れるリスクを防げるでしょう。

ただし、「駅から遠い」「ビルの2階以上の空中店舗」などの物件は集客しにくい傾向があります。集客に不安がある場合は、家賃よりも人が集まる場所を優先させるのも戦略であると覚えておきましょう。

柔道整復師の団体への入会を検討する

柔道整復師の団体への入会を検討しましょう。柔道整復師団体への入会は必須ではありませんが、入会することで返戻レセプトや再請求などの保険請求に関するサポートをしてくれたり、事務作業の一部を代行してくれたりします。

入会するためには入会金が必要であったり、毎月会費が必要であったり、団体によって料金体系が異なります。

柔道整復師の団体としては、主に「日本柔道整復師会」「全国柔整鍼灸協同組合」「全国柔道整復師連合会」「ジャパン柔道整復師会」などが挙げられます。

日本柔道整復師会は全国規模の組織であり、17,000名以上の会員がいます。近くの柔道整復師会は、日本柔道整復師会の「お問い合わせ先一覧」から探すことができるので、問い合わせてみましょう。

施術所の開設手続きをする

整骨院を開業するためには、管轄の保健所に届出を開設後10日以内に提出しなくてはいけません。

開設手続きに必要な書類は次の通りです。

  • 施術所開設届
  • 柔道整復師免許
  • 施術所の平面図
  • 施術所への案内図
  • (法人の場合)登記事項証明書及び定款

満たすべき構造設備基準は各保健所によって異なる場合がありますので、内装工事をする前に基準を満たすかどうかを管轄の保健所に相談するようにしましょう。

受領委任の申し出をする

整骨院で骨折や捻挫などの処置をした場合、保険請求することができますが、保険請求をするためには、地方厚生局に受領委任の取り扱いを申し出なければなりません。

地方厚生局に受領委任の取り扱いを申し出る場合、開設後10日以内に管轄の地方厚生局へ提出します。

受領委任の申し出に必要な書類は次の通りです。

  • 確約書
  • 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(施術所の申し出)
  • 施術所開設届・変更届の写し
  • 柔道整復師の免許証の写し
  • 施術管理者研修終了証の写し

都道府県によっては、地方厚生局だけでなく、地方公務員共済組合協議会と個別契約をする必要があるので、管轄の地方厚生局に必要の有無を確認してみるのが良いです。

管轄する税務署に開業届を提出する

管轄の税務署に開業届を提出しましょう。所得税法によって、開業届を提出する義務が定められているからです。

開業届のフォーマットは、国税庁の公式サイトからダウンロードできます。

また、管轄する税務署は国税庁の公式サイト「税務署の所在地などを知りたい方」で調べられるので、確認してみてください。

整骨院を開業するための費用は300~1,000万円

整骨院を開くためには、300万円~1,000万円程度かかります。

整骨院を開業するときに必要な初期費用としては、主に「物件取得費用」「内装工事費用」「機器購入費用」「什器・備品費用」が挙げられます。

店舗の場所や規模によっては1,500万円以上かかる場合もあるので、目安にしてみてください。

物件取得費用

物件取得費用とは、店舗物件を契約するためにかかる費用を指します。物件取得費用としては、主に「保証金(敷金)」「礼金」「仲介手数料」「前家賃」が挙げられます。

物件によりますが、賃貸住宅と比較すると、店舗物件では保証金(敷金)が高額に設定されている傾向があります。賃貸住宅の場合は賃料の1~3か月分程度ですが、店舗物件の場合には賃料の6~10か月分程度かかる場合があります。加えて、礼金と仲介手数料がそれぞれ賃料の1か月分程度必要です。

なお、前家賃もかかる場合があります。前家賃とは、物件の契約時に当月分(日割)と翌月分の家賃を先払いすることです。

家賃12万円の物件を借りるときの物件取得費用の一例は次の通りです。

【家賃12万円の物件取得費用の一例】

目安金額
保証金(敷金) 196万円(賃料の8ヶ月分)
礼金 12万円(賃料の1ヶ月分)
仲介手数料 12万円(賃料の1ヶ月分)
前家賃 24万円(当月分と翌月分の賃料)
合計 144万円

物件によって、必要な費用は異なります。そのため、店舗物件を選ぶ際には家賃だけでなく「保証金(敷金)」「礼金」「仲介手数料」「前家賃」の合計がいくらかかるのかを不動産屋に確認するようにしましょう。

内装工事費用

内装工事費用とは、店舗物件内の内装工事をするためにかかる費用を指します。内装工事費用として「天井」「壁」「床」「空調」「電気」「水道」「トイレ」などの工事が挙げられ、200~600万円以上かかる場合があります。

整骨院の場合、バリアフリーと施術の動線を考えた内装をする傾向があります。他にも接骨院の開設には構造設備基準を満たす必要があるため、過去に整骨院の内装をしたことがあり、設備基準や整骨院の業務に理解がある業者に依頼するのが良いです。

機器購入費用

機器購入費用とは、治療機器を購入するためにかかる費用を指します。整骨院で使われる治療機器としては、主に「超音波治療器」「低周波治療器」「EMS機器」「ハイボルテージ治療器」などが挙げられ100~300万円以上かかる場合があります。

周辺の整骨院にはない機器を導入することで、他店との差別化にもつながります。しかし、治療機器によっては数百万円以上するため、オープン当初は必要最低限に絞り、お客さんの需要に応じて機器の購入を検討するのが良いでしょう。

購入するのではなく、まずはレンタルしてみて、お客さんのニーズを調査してから購入を検討するのも選択肢のひとつです。

什器・備品費用

什器・備品費用とは、「診察台」「ソファー」「いす」「枕」「シーツ」「タオル」「脱衣かご」「スリッパ」「打診器」などを購入するためにかかる費用を指し、数十万円~100万円以上かかる場合があります。

什器や備品もこだわればこだわるほど費用がかかってしまうため、開業当初はなるべく費用を抑えて、売上が安定してから揃えていくのも良いでしょう。

開業資金が不足する場合は金融機関からの資金調達を検討する

整骨院を開業するための資金が足りない場合は、金融機関からの資金調達を検討しましょう。整骨院を開業するためには治療機器の購入に資金が必要になるため、手元資金だけでまかなうのは難しい傾向があるからです。

整骨院を開業する際には、主に次の金融機関から借ります。

  • 日本政策金融公庫
  • 信用金庫
  • 地方銀行

上記の金融機関は地域経済の発展に貢献するために、創業時に対しても積極的に支援しています。金融機関はそれぞれ独自審査を設けていて、主な審査項目としては「貯めてきた自己資金」「今までの経験」「事業計画」などがあります。

金融機関からの資金調達を検討している人は、借りるためには審査があり、誰でも借りられるわけではないことに留意してください。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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