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接骨院の開業における設備を揃える流れを解説
接骨院を開業する場合、あらゆる設備を導入することになります。接骨院の設備の中には、柔道整復師法により構造設備基準が定められているものもあるため、基準を満たした設備を導入しなければなりません。
接骨院の設備を導入したい人は、まずは設備を揃える流れを確認してみてください。流れを確認することにより、計画的に設備を揃えられる可能性があるため、接骨院の設備を導入したい人は設備を揃える流れを確認することから始めてみましょう。
まずは導入する設備を考える
接骨院の設備を揃える場合、まずは導入する設備を考えてみましょう。接骨院の設備はあらゆる種類があるため、想定している接骨院の条件に応じて導入する設備を検討することになります。
【接骨院の設備の例】
設備 | 具体例 |
医療設備 | 低周波治療器、温熱治療器など |
消毒設備 | 流し台、滅菌機器など |
換気設備 | 換気扇、窓など |
空調設備 | エアコン、床暖房など |
照明設備 | シーリングライト、間接照明など |
音響設備 | スピーカー、CDプレーヤーなど |
給排水設備 | 給水管、排水管など |
たとえば、「医療設備」は接骨院の設備のひとつです。「温熱治療器」「干渉波治療器」「ウォーターベッド」「高周波治療器」など、設備ごとに効能が異なるため、対応する症状に合わせた医療設備の導入を検討することになります。
また、「空調設備」は接骨院の設備のひとつです。「エアコン」「パネルヒーター」「床暖房」など、快適な施術環境を整える設備を使用することにより、顧客満足度の向上につながる可能性があるため、接骨院の規模に応じた空調設備の導入を検討することになります。
なお、必要となる設備は建物の状況によっても異なります。「居抜き物件」「スケルトン物件」「自宅」など、接骨院を開業する建物次第となる設備もあるため、接骨院の設備を揃えたい人は建物の状況と照らし合わせながら導入する設備を検討してみましょう。
提供するサービスによっても異なる
導入する設備は提供するサービスによっても異なります。「待機時間のサービス」「施術中のサービス」など、独自のサービスを提供する場合はその内容に応じた設備の導入を考えることになります。
【サービスごとの設備の例】
- キッズルームの設置
- マッサージチェアの設置
- ドリンクの提供
たとえば、サービスの例として挙げられるのは「キッズルームの設置」です。子供連れの顧客を想定している場合、「フロアマット」「遊具」など、施術中に子供が遊べる設備を設けることにより、子供連れの顧客が来院しやすくなる可能性があります。
また、サービスの例として挙げられるのは「ドリンクの提供」です。施術の前後に待機時間の発生を想定している場合、「ウォーターサーバー」「冷蔵庫」など、ドリンクを提供する設備を設けることにより、顧客が待機時間を快適に過ごしやすくなる可能性があります。
なお、今回紹介したサービスは一例です。サービス内容によっては他にも導入する設備が考えられるため、接骨院を開業したい人は想定しているサービスごとに導入する設備を検討してみましょう。
次は構造設備基準を確認する
導入する設備を考えた後は、次の工程として構造設備基準を確認してみましょう。接骨院を開業する場合、柔道整復師法や各自治体の要綱により定められた構造設備基準を満たす必要があります。
【接骨院における設備構造基準の例】
項目 | 具体例 |
換気設備 | 窓の開口面積を規定以上にすること、またはこれに代わる換気装置があること |
消毒設備 | 施術用の器具や手指の消毒設備を有すること |
消火設備 | スプリンクラーまたは消火器などが用意されていること |
「換気設備」は構造設備基準がある設備のひとつです。「施術室の面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放できること」「換気設備は施術室内に設置し、直接またはダクト経由で外気との換気ができること」など、具体的な条件が定められている自治体もあります。
「消毒設備」は構造設備基準がある設備のひとつです。「施術用の器具や手指の消毒設備を有すること」に加え、「器具類の滅菌機器」「手洗い場」「手指消毒薬」など、消毒設備の具体例が示されている自治体もあります。
なお、構造設備基準には設備以外の項目もあります。「施術室の面積」「待合室の面積」「施術室と待合室の区画」など、設備以外にも定められた項目があるため、接骨院を開業したい人は開業予定地を管轄する自治体の構造設備基準を確認してみましょう。
開業後に保健所の検査がある
接骨院を開業する場合、開業後に保健所の実地検査を受けることになります。実地検査では構造設備基準を満たしているかどうかの確認を受けることになるため、接骨院の設備を揃えたい人は保健所の手続きの流れを押さえておきましょう。
【接骨院の開業における保健所の手続き】
- 事前相談
- 届出
- 実地検査
保健所の手続きには「事前相談」「届出」「実地検査」があります。内装工事前に事前相談をすることにより、構造設備基準を満たせるかどうかを確認できるため、まずは保健所に平面図を持参して事前相談をすることになります。
内装工事が完了した後は開業後10日以内に保健所へ開設届を提出します。開設届の提出後に実地検査の日程を調整することになり、実地検査を受けた結果、支障がない場合は保健所から開設届の副本が交付されます。
なお、手続きの流れは各保健所によって異なる可能性があります。構造設備基準の解釈や手続きの流れは各自治体の判断に委ねられる場合があるため、保健所ごとに異なる可能性があるため、不安な人は開業予定地を管轄する保健所に問い合わせることも検討してみましょう。
最後は設備の費用を試算する
構造設備基準を確認した後は、最後の工程として設備にかかる費用を試算してみましょう。とくに、医療設備は価格に幅があるため、予算と照らし合わせながら導入する設備を検討することになります。
【設備にかかる費用の目安】
設備 | 費用の目安 |
低周波治療器 | 1万円~400万円 |
高周波治療器 | 160万円~500万円 |
超音波治療器 | 40万円~400万円 |
温熱治療器 | 1万円~200万円 |
エアコン | 15万円~60万円 |
床暖房 | 1畳あたり5万円~10万円 |
流し台 | 3万円~10万円 |
たとえば、低周波治療器の価格帯は1万円~400万円が目安です。低周波のみの治療器や低周波と中周波を組み合せた治療器など、機能によって価格が異なるため、低周波治療器の費用は1万円~400万円を目安として試算することになります。
また、温熱治療器の価格帯は1万円~200万円が目安です。「ホットパック療法」「赤外線療法」「極超短波療法」など、対応する療法や機能によって価格が異なるため、温熱治療器の費用は1万円~200万円を目安として試算することになります。
なお、設備の中には設置工事費が必要となる場合があります。「エアコン」「床暖房」「流し台」など、設置工事が必要となる設備は本体とは別に設置工事費用がかかる場合があるため、接骨院の設備を導入したい人は設置工事費用がかかることも念頭に置いておきましょう。
設備を導入するときは借りる方法も選択肢に入れる
接骨院の設備を導入する場合、借りる方法も選択肢のひとつです。購入する方法と比較した場合、借りる方法は初期費用を抑えられる傾向があるため、設備の費用を試算したい人は借りる方法も選択肢として検討してみましょう。
【借りる方法の例】
項目 | 特徴 |
レンタル | ・リースと比較した場合、契約期間が短い
・リースと比較した場合、費用が割高な傾向がある |
リース | ・レンタルと比較した場合、契約期間が長い
・レンタルと比較した場合、費用が割安な傾向がある |
借りる方法のひとつは「レンタル」です。リースと比較した場合、費用が割高になる傾向がある点はデメリットですが、週単位や月単位での契約もできるため、一時的に利用する設備はレンタルする考え方もあります。
借りる方法のひとつは「リース」です。レンタルと比較した場合、途中解約が難しい点はデメリットですが、年単位での契約となる関係上、費用が割安になる傾向があるため、長期間利用する設備はリースする考え方もあります。
なお、設備を借りる場合は修理費用やメンテナンス費用の確認が必要です。契約内容によっては設備の修理やメンテナンスに追加の費用がかかる可能性があるため、設備を借りる場合は契約の内容を確認しつつ、借りる業者や設備を選ぶことを検討してみましょう。
鍼灸院を併設する場合は構造設備基準に留意する
接骨院に鍼灸院を併設する場合は構造設備基準に留意しましょう。併設する場合は原則として「柔道整復師法」「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」などに加えて、各自治体の要綱に定められた基準を満たさなければなりません。
【併設する場合の構造設備基準の例】
項目 | 具体例 |
施術室 | ・それぞれの施術室を設け、6.6㎡以上の面積を有すること
・施術室には、待合室または通路から直接入れる構造とすること |
消毒設備 | ・施術用の器具、手指の消毒設備を有すること |
換気設備 | ・施術室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放できること、または適当な換気装置があること |
たとえば、接骨と鍼灸をそれぞれ別の人が施術する場合、施術室を分けることになります。施術室を分ける場合は「各施術室が6.6㎡以上の面積」「固定壁で上下左右完全に仕切ること」といった構造設備基準を定めている自治体もあります。
また、接骨と鍼灸のそれぞれの基準を満たした消毒設備を設置することになります。「侵襲を伴うはりを繰り返し使用する場合はオートクレーブや乾熱滅菌器を設置すること」といった構造設備基準を定めている自治体もあります。
なお、両方の免許を有する施術者が一人で開業する場合、施術室を兼用できることがあります。自治体によって規定が異なる可能性があるため、併設する場合の構造設備基準を確認したい人は開業予定地を管轄する保健所に相談することも検討してみましょう。
まとめ
接骨院の設備を揃える場合、まずは導入する設備を考えてみましょう。「医療設備」「消毒設備」「空調設備」など、あらゆる設備があるため、接骨院を開業したい人は想定している接骨院の条件に応じて導入する設備を検討することになります。
導入する設備を考えた後は、次の工程として構造設備基準を確認してみましょう。接骨院を開業する場合、柔道整復師法や各自治体の要綱により定められた構造設備基準を満たしているかどうかの確認として、保健所の実地検査を受ける必要があります。
最後は設備にかかる費用を試算してみましょう。接骨院の設備を入手するときは購入する方法だけでなく、借りる方法も選択肢のひとつになるため、予算と照らし合わせながら設備の種類や入手の方法を決めることも検討してみてください。
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この記事の監修者
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
田原 広一(たはら こういち)
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
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