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バーの開業資金はいくら必要なのか?内訳と金額の目安を解説

バーを開業するためには、10席程度の小さい規模のお店でも「物件の取得」や「内外装工事」などで最低でも1,000万円程度は必要です。また、開業するバーのコンセプトによって契約する物件の広さや導入する設備の規格なども異なり、開業資金に差が出ます。

当記事では、バーの開業資金を考える際の内訳や金額の目安を解説します。開業資金の内訳ごとに費用を抑える方法も紹介するので、開業資金を考える際の参考にしてみてください。

バーの開業資金は1,000万円以上必要だと考えておく

バーの開業資金には、最低でも1,000万円以上の金額が必要になります。
開業資金は、選ぶ物件や導入する什器備品の内容によって差が出るため、開業資金の内訳と、それぞれにかかる費用の目安を確認しておきましょう。

【8坪と15坪の店舗を想定した開業資金の内訳の例】

項目 概要 費用の目安(8坪) 費用の目安(15坪)
物件取得費 物件の契約に必要な費用 192万円~ 360万円~
内装工事費 お店の内装デザインや施工工事に必要な費用 160万円~ 300万円~
什器備品費 設備導入や什器、備品の購入費用 240万円~ 270万円~
宣伝広告費 お店の宣伝や集客のための費用 25万円程度 25万円程度
採用費 従業員を雇う場合の求人にかかる費用 0円~10万円程度 10万円程度
運転資金 開業後半年分の運転資金+生活費 373万円程度 780万程度
合計 1,000万円 1,745万円

たとえば、「8坪:席数10席」「15坪:席数20席」の店舗を想定した際、収容できるお客さんの数が増えるため、席数の多い方が売上が増える可能性があります。一方で、席数が増えれば家賃や面積が増えるため物件取得や工事などにかかる費用も増えていくことになります。

バーの開業資金は、選ぶ物件や什器備品などによって変わります。そのため、開業資金の内訳をみて、どのような点で開業資金が変わるかを一つひとつ確認しておきましょう。

物件取得費

物件取得費は、店舗を取得するための費用であり、家賃の12ヶ月分を目安に準備することになります。店舗物件を契約する際には、家賃だけでなく保証金や手数料などの「家賃以外の費用」をあらかじめ支払う必要があるためです。

物件取得費の内訳の例】

項目 費用の目安
保証金 家賃の6ケ月~10ヶ月分
礼金 家賃の0か月分~2ヶ月分
仲介手数料 家賃の1か月分
前家賃 家賃の1ヶ月~2ヶ月分
保険料 月1万5千円程度~
(火災保険、賠償責任保険など)
造作譲渡料 バーの場合は0円~200万円程度
(居抜き物件の設備、備品を引き継ぐ際にかかる費用)

たとえば、家賃が16万円の物件を契約するために、家賃の10ケ月分の保証金と1ヶ月分の仲介手数料、前家賃などが加算されると192万円の費用が必要です。一方、物件によっては仲介手数料が6ケ月分で設定されている場合もあり、選ぶ物件の契約内容次第で数十万円の差が出ます。

また、居抜き物件を契約する際は、造作譲渡料としてまとまった金額の項目がある場合と、あらかじめ家賃に含めて設定されている場合があります。その際、保証金や礼金、造作譲渡料などは不動産会社を通してオーナーに交渉してみることで費用を下げられる可能性があります。

物件取得費は、店舗の家賃の金額によって計算されます。物件取得費を抑えるためには不動産担当者に金額の交渉をすることや、家賃の予算を下げてみることも検討してみましょう。

なお、保険会社によって保険の補償内容や金額に差があります。物件の保険は2社以上の見積を取り、補償内容や金額を比較検討した上で契約しましょう。

内装工事費

内装工事費は店舗の内装デザインや施工に関わる費用で、内装工事費はバーの場合、坪単価20万円~80万円で計算されます。内装工事費は、物件の仕様や坪数、施工業者によって差があるため、自身の店舗にどの程度の工事費がかかるかを確認しておきましょう。

【バーの坪数による内装工事費の目安】

坪数、席数の目安 内装工事費用の目安
居抜き(1坪20万円) スケルトン(1坪35万円)
8坪(10席) 160万円 280万円
15坪(20席) 300万円 525万円

物件には、以前のテナントの内装設備をそのまま利用できる「居抜き物件」と、店舗の骨組みのみの状態からお店をデザインできる「スケルトン物件」があります。居抜き物件の場合は、電気や水道などの基礎工事費用などが省ける分、スケルトン物件よりも費用をおさえられます。

バーの内装を整えるための工事費用は、物件の状態ごとに1坪あたりの工事費が設定されており、坪数に比例して料金が上がっていきます。バーのコンセプトによって面積の広い物件が必要な場合は、坪数に対し工事費がどの程度必要になるかを確認しておきましょう。

なお、内装工事費は施工業者の設定している料金によって差が出るため、2〜3社の見積もりを取り、工事の内容と料金を比較検討しておくことをおすすめします。

バーの内装工事費に関する詳細は「バーの内装の費用相場とお洒落なデザインにするコツ」の記事も参考にしてみてください。

什器備品費

什器備品費は、バーの設備導入からカクテル調製器具、グラス類に至るまでの備品全般を準備するための費用です。什器備品費として考えられる項目は多岐にわたるため、どのようなものが什器備品費の対象になるか確認しておきましょう。

【什器備品の例】

<席数10席の店舗を想定>
項目 品目 価格の目安
設備 業務用冷蔵冷凍庫 20万円~250万円
設備 製氷機 10万円~120万円
什器 ディスプレイ棚 3万円~200万円
什器 バーカウンター 30万円~10万円
備品 カクテル調製器具一式(各3セット) 15万円~50万円
備品 グラス類一式(各30個) 13万円~220万円

什器備品費にかかる費用は、設備の規格や備品の必要数によって異なり、こだわればこだわるほど金額も上がります。費用をおさえるためには、居抜きの設備を利用することや中古品の購入、グラスや食器類は業務用サイトでまとまった数を購入するなどの方法があります。

什器備品は最低限必要なもの以外は、開業後に買い足すこともできるため、まずは必要最低限の設備や備品をリストアップしてみましょう。リストの作成方法は「バーの開業に必要な備品を解説」の記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

なお、居抜きの什器備品を利用する場合は、物件の契約時に自分のイメージするバーの内装と近い物件を選ぶことや設備の状態を確認しておくことが大切です。お店のイメージに合わない家具や不具合のある設備は、買い直すことや処分費が発生する可能性もあるため、よく確認しておきましょう。

広告宣伝費

広告宣伝費は、バーのオープン前にお店の宣伝や集客を始めておくための費用です。開業前のお店は知名度が低く口コミも見込めないため、ネットやチラシなどを利用して早めに集客を始めておく必要があります。

【広告宣伝費の項目と費用例】

項目 費用例
Googleビジネスプロフィールの登録 無料
SNSのアカウントの開設 無料
グルメサイト掲載費 無料(予約時に1人当たり200円程度課金、掲載内容により月額利用料1万
ホームページ制作費 6万円~
フリーペーパー掲載費 2万円~
ロゴ制作費 1万円~
チラシ制作 4万円~(2面デザイン、B4両面カラー印刷5万部)

バーの集客に向けた広告宣伝には、ネットを利用した宣伝と紙媒体での宣伝の方法が考えられます。SNSやGoogleビジネスプロフィールなど無料で利用できるものに加えて、グルメサイトの有料プランやポスティングチラシの制作に費用をかけることで、より多くの集客を見込める可能性があります。

初めてバーをオープンさせる場合や繁華街から離れた立地に開業する場合など、人通りの少ない立地の場合は特に、認知度や口コミを上げるため、広告宣伝費を使った集客を検討しましょう。

なお、ポスティングチラシにおける集客の効果は配布回数によっても変わるため、開業前から開始し、断続的に実施することもおすすめです。開業後は、利用できる補助金や助成金が増えるため、バーの周知や販路開拓を行う方法の1つとして検討してみてください。

半年分の運転資金

運転資金は、家賃や光熱費、お酒の仕入れなど、バーを営業していくために月々にかかる経費のことです。開業してしばらくは安定した集客や売上が見込めないため、営業が軌道に乗るまでの運転資金は余裕を持って半年分を目安に用意しておく必要があります。

【1ヶ月にかかる運転資金の内訳の例】

項目 費用
仕入費 210,000円
家賃 160,000円
減価償却費 21,000円
租税公課 3,000円
水道光熱費 32,000円
広告宣伝費 7,040円
通信費 20,000円
消耗品費 15,000円
人件費 0円
その他 30,000円

たとえば、席数10席の規模のバーで当面の間は従業員を雇わずに営業すると、1ヶ月の運転資金は約50万円必要と想定されます。運転資金は、家賃や正社員の人権費など「毎月同じ金額が発生する固定費」と、仕入費や水道光熱費など「売上に応じて変わると変動費」に分かれます。

売上が低くても固定費で支払うお金は変わらないため、固定費の負担が大きすぎないかを確認する必要があります。また、開業当初はバーの売上が安定しなくても毎月の運転資金は必要であるため、あらかじめ運転資金の半年分を計算し、開業資金の内訳に入れておきましょう。

なお、生活費で苦心することもないよう、運転資金とは別に生活費も見込んで開業資金額を確保してみてください。

必要に応じて自己資金以外の資金調達方法を検討する

開業資金を準備する際は、必要に応じて自己資金以外の資金調達方法を検討してみましょう。開業資金を自己資金のみで準備するには時間を要する可能性があるため、融資や補助金を利用しながら自己資金とあわせて資金調達をすることも方法の1つです。

【資金調達方法の例】

資金調達の種類 方法の例
自己資金 普通預金、定期預金、積立式の保険 など
借入 日本政策金融公庫からの融資、銀行からの融資、知人からの借入
出資 クラウドファンディング
補助金・助成金 国が実施する補助金、地方自治体が実施する補助金

たとえば、資金調達の1つに日本政策金融公庫の「新規開業資金」という融資の種類では、創業者が、無担保で金利の優遇措置を受けられることが特徴です。融資を受けたい場合、申請要件や審査があるので概要を確認しておく必要があります。

また、日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業時の資金調達額平均1,1180万円のうち、「金融機関等からの借り入れ」が平均768万円(平均調達額に占める割合は65.1%)、「自己資金」が平均280万円(同 23.8%)でした。

融資を受ける際、自己資金の金額に規定はないものの、調査内容を参考にすると、用意する自己資金の目安は借入希望額の3割程度と考えられます。そのため、1000万円の融資を受けたい場合は、目安として300万円程度の自己資金を準備しておきましょう。

自己資金以外の資金調達方法はいくつかあるため、借入や出資、補助金などの資金調達の方法も概要をそれぞれ確認しておく必要があります。その際、補助金や助成金は開業していないと申請できないものもあるため、各都道府県や自治体の、開業前でも申請できる補助金や助成金を調べてみてください。

まとめ

バーの開業資金は、席数が10席程の小さい規模のお店でも約1,000万円を目安に準備することになります。開業資金の内訳における物件取得費や内装工事費にかかる費用は、立地や契約する店舗の面積に比例して高くなる傾向にあります。

開業資金の内訳の1つとして、半年分の運転資金を用意しておくことが必要です。開業当初は売上げが安定しないことも想定されるため、余裕を持って営業していけるよう、生活費も見込んだ金額の資金調達を計画しましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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