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居酒屋の開業におけるコンセプトとは?作るときの流れを解説

居酒屋の開業におけるコンセプトの役割は重要です。コンセプトはテーマやキャッチコピーとは異なり、「店舗全体を貫く考えや観点」と捉えられるため、コンセプトを設計することにより、開業したいお店の指針が作られます。

居酒屋のコンセプトを作りたい人は、まずは作るときの流れを押さえてみてください。いくつかの工程に分けることにより、段階を踏みながらコンセプトを設計できるため、居酒屋の開業におけるコンセプトを作りたい人は、まずは作るときの流れを押さえておきましょう。

コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示したもの

コンセプトとは、そのお店が提供する価値や方向性を示したものです。コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、お店から顧客に対してのメッセージにもなるため、コンセプトの設計は居酒屋を開業するための第一歩となります。

たとえば、「毎日通いたくなる居酒屋」をコンセプトにした場合、そのお店が示す価値と方向性は「毎日通いたくなる居酒屋」です。お店から顧客に対してのメッセージにもなるため、目指すのは「お客さんが毎日通いたくなる居酒屋づくり」です。

また、「毎日通いたくなる居酒屋」をコンセプトにした場合、そのコンセプトは決めるべき事項の判断軸になります。判断に迷ったときは「毎日通いたくなる居酒屋」を起点にして考え、決断することにより、お店の一貫した方向性を保つことができます。

コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、お店から顧客に対してのメッセージにもなります。コンセプトを設計せずとも開業できますが、決めるべき事項の判断軸にもなるため、居酒屋を開業したい人はコンセプトを作ることを検討してみましょう。

コンセプトは店舗づくりの指針となる

コンセプトは店舗づくりの指針となります。コンセプトはお店が提供する価値や方向性を示すものであるため、店舗づくりにおける決めるべき事項の判断軸とすることにより、お店の一貫した方向性を保つことができます。

【コンセプトが指針となる事項の例】

  • 内装やインテリア
  • メニュー
  • 接客態度
  • 価格設定
  • 営業時間
  • 集客方法

たとえば、コンセプトは内装やインテリアを決めるときの指針となります。「大人の隠れ家」がコンセプトの場合、「落ち着いた色味の壁紙」「重厚なテーブルとイス」など、コンセプトに基づいた内装やインテリアを選ぶことができます。

また、コンセプトはメニューを決めるときの指針にもなります。「毎日通いたくなる居酒屋」がコンセプトの場合、「豊富な小皿料理」「素朴な家庭料理」など、コンセプトに基づいたメニューを考案することができます。

他にも、「接客態度」「価格設定」「営業時間」「集客方法」など、コンセプトはさまざまな決めるべき事柄の指針となります。コンセプトを設計しなければ、判断軸が揺らいでしまうおそれもあるため、居酒屋を開業したい人はコンセプトを作ることを検討してみましょう。

居酒屋のコンセプトを作るときの流れ

コンセプトの作り方はいろいろありますが、いくつかの工程に分けることにより、段階を踏みながらコンセプトを設計できます。居酒屋のコンセプトを設計したい人は、まずはコンセプトを作るときの流れを確認してみましょう。

【居酒屋のコンセプトを作るときの流れ】

  1. 開業の動機を言語化する
  2. 開業の動機をコンセプトに落とし込む
  3. 設計したコンセプトを見直す

いくつかの工程に分けることにより、段階を踏みながらコンセプトを設計できます。各工程が前後したり並行したりすることもありますが、段階を踏みながらコンセプトを設計したい人は一連の流れとしてそれぞれの工程を確認してみましょう。

①開業の動機を言語化する

コンセプトを設計する最初の工程として、まずは開業の動機を言語化してみてください。開業の動機を言語化することにより、自分の思いや考えを整理できるため、コンセプトを設計したい人はまず開業の動機を言語化してみましょう。

【開業の動機を言語化した例】

  • 独立して自分の店を持ちたい
  • 地酒の魅力を知ってもらいたい
  • 自宅を活用して商売がしたい

開業の動機を言語化するポイントは、自分の経歴を振り返ることです。「和食店で働いてきた経験を活かしたい」「バーで働いてきた経験を活かしたい」など、自分のキャリアを振り返ることにより、開業の動機が見つかる可能性があります。

開業の動機を言語化するもうひとつのポイントは、「なぜ?」を掘り下げていくことです。「なぜ居酒屋を開業したいのか」「なぜ今開業したいのか」「なぜこの場所で開業したいのか」など、「なぜ」と繰り返し問うことにより、開業の動機が見つかる可能性があります。

なお、開業の動機を言語化することは、資金調達したい場面でも役立ちます。金融機関から借入して開業する場合、開業の動機を説明する場面が想定されるため、資金調達を検討している人は留意しておきましょう。

顧客に提供できる価値を考える

開業の動機を言語化するときは、顧客に提供できる価値も合わせて考えてみてください。お店が顧客に提供できる価値を言語化することにより、顧客に伝えたいメッセージとしてコンセプトに落とし込むためのヒントになるからです。

【顧客に提供できる価値の例】

  • 新鮮な地鶏を提供できる
  • 日本酒の知識や日本酒に合うおつまみを提供できる
  • 居心地の良い実家のような接客を提供できる

顧客に提供できる価値の考え方は、「自分の得意分野を探る」ことです。自分の得意なところや強みの中から、顧客に喜んでもらえるものを探すことにより、顧客に提供できる価値を見つけられる可能性があります。

顧客に提供できる価値のもうひとつの考え方は、「顧客ターゲットを決める」ことです。顧客像を絞ることにより、顧客のニーズに細かく応えやすくなるため、顧客に提供できる価値を見つけられる可能性があります。

なお、顧客に提供できる価値が言語化できたら、開業の動機と掛け合わせてみてください。開業の動機と顧客に提供できる価値は、どちらもコンセプトに落とし込む要素となりうるため、顧客に提供できる価値と開業の動機を掛け合わせて考えてみましょう。

②開業の動機をコンセプトに落とし込む

コンセプトを設計する次の工程として、開業の動機をコンセプトに落とし込んでみてください。開業の動機をコンセプトに落とし込むことにより、自分の思いや考えをコンセプトに反映することができるため、開業の動機を言語化したあとはコンセプトに落とし込んでみましょう。

【開業の動機をコンセプトに落とし込んだ例】

開業の動機 コンセプトの例
新鮮な地鶏を食べてもらいたい 産地直送される国産の炭焼き地鶏を気軽に楽しめる居酒屋
地酒の魅力を知ってもらいたい 豊富な種類の日本酒と日本酒に合う料理でもてなす居酒屋
自宅を地域住民が交流できる場所にしたい ほっとする家庭料理と店主との会話を楽しめる居酒屋

コンセプトに落とし込むポイントは、「誰が」「いつ」利用するかイメージできるコンセプトにすることです。「利用シーン」「価格帯」が伝わるようなコンセプトに落とし込むことにより、お店のメッセージを顧客に伝えられるコンセプトが作れる可能性があります。

コンセプトに落とし込むもうひとつのポイントは、「何が」特長のお店なのか分かるコンセプトにすることです。「目玉商品」や「アピールポイント」が分かるコンセプトに落とし込むことにより、お店のメッセージを顧客に伝えられるコンセプトが作れる可能性があります。

なお、コンセプトは世に発信することもありえます。コンセプトを伝える場面はいろいろあるため、居酒屋を開業する目的としてコンセプトを考えている人は、コンセプトを世に発信する可能性においても考慮しておきましょう。

コンセプトの実現可能性を検討する

コンセプトに落とし込むときは、コンセプトの実現可能性も検討する必要があります。コンセプトの実現可能性を確認しなければ、非現実的なコンセプトや需要にそぐわないコンセプトになってしまうおそれもあるからです。

コンセプトの実現可能性を検証するポイントのひとつは、資金計画と照らし合わせることです。「工事費」や「人件費」など、コンセプトを実現するための費用と、資金計画とのバランスが取れない場合はコンセプトに再考の余地があるかもしれません。

また、コンセプトの実現可能性を検証するもうひとつのポイントは、市場のニーズと照らし合わせることです。「人口が少ないエリア」や「競合店が多いエリア」など、コンセプトにおいた顧客ターゲットの需要が見込めない場合はコンセプトに再考の余地があるかもしれません。

なお、コンセプトの実現可能性は開業場所にも左右される傾向にあります。コンセプトに合った物件を探しつつも、見つからない場合はコンセプトを再考することを念頭に置きつつ、コンセプト設計を進めてみましょう。

③設計したコンセプトを見直す

コンセプトを設計する最後の工程として、設計したコンセプトを見直してみてください。設計したコンセプトに違和感がある場合は再考する余地があるため、設計したコンセプトを見直すときは、違和感があるかどうかを確認してみましょう。

【コンセプトを見直すときのポイント】

  • 開業の動機とコンセプトの整合性はとれているか?
  • メッセージとして伝わるコンセプトになっているか?
  • 実現可能性のあるコンセプトになっているか?

たとえば、開業の動機とコンセプトの整合性はとれているかどうかは、コンセプトを見直すときのひとつのポイントです。開業の動機とコンセプトの整合性がとれていなければ、準備を進めていくうちに自分のやりたいお店と現実のお店の方向性が乖離してしまうかもしれません。

また、メッセージとして伝わるコンセプトになっているかどうかは、コンセプトを見直すときのひとつのポイントです。コンセプトはお店から顧客に対してのメッセージとなるため、その内容が伝わらなければ、お店の魅力も伝えきれないかもしれません。

設計したコンセプトに違和感がある場合はコンセプトを再考する余地があります。コンセプトに正解はありませんが、設計したコンセプトに違和感がある人は見直してみることを検討してみましょう。

知識や経験のある人に見てもらう方法もある

設計したコンセプトを見直すときは、知識や経験がある人に見てもらうことも方法のひとつです。知識や経験がある人に見てもらうことにより、客観的な視点からアドバイスをもらえる可能性もあるからです。

【相談先の例】

  • 創業支援を実施している公的機関
  • 居酒屋の経営者

たとえば、創業支援を実施している公的機関に相談する方法があります。「よろず支援拠点」「商工会議所」など、創業支援を行っている公的機関に相談することにより、創業支援の実績がある指導員にコンセプトのアドバイスをもらえる可能性があります。

また、居酒屋の経営者に相談する方法があります。「行きつけの居酒屋の店主」「居酒屋のオーナーが開催するセミナー」など、居酒屋の経営者に話を聞きに行くことにより、経営者の視点からコンセプトのアドバイスをもらえる可能性があります。

知識や経験がある人に見てもらうことにより、客観的な視点からアドバイスをもらえる可能性もあります。設計したコンセプトに違和感がある人は、他の人に見てもらうことも検討してみましょう。

有名店や人気店のコンセプト一覧表

今回は有名店や人気店のコンセプトを一覧表にしました。具体例として10店舗のコンセプトを紹介しているため、有名店や人気店のコンセプトが知りたい人は参考にしてみてください。

【有名店や人気店のコンセプト一覧表】

店舗名 コンセプト
ホルモン酒場ひゃくいちや 昭和レトロな店内で懐かしい味わいと賑わいを。
土間土間 ”土間”の様にみんなでくつろげる空間を
ほっとけや 「ホット」(温か)な「ケア」(気配り)でおもてなし
くいもの屋「わん」 100年前の古民家
TOKYO MEAT 酒場 イタリアン食堂としてお肉もお魚も楽しめる酒場
3・6・5酒場 安い、旨い、早いの三拍子!!毎日行きたい3・6・5酒場
ビストロ酒場イープ 居心地のいい食空間(Good Food Space)
北の家族 旨きもの北にあり
和ダイニング 二階 居酒屋以上、割烹未満
焼鳥 佐田十郎 本物のこだわりと粋なおもてなしを感じられる日本一の焼鳥屋。

今回紹介したお店のコンセプトは、その想いや考えが反映され、いずれも魅力的に感じたものです。時代の変化とともにコンセプトが変わることもあるかもしれませんが、気になるコンセプトがあった人はお店の公式サイトを覗いてみることも検討してみてください。

まとめ

居酒屋におけるコンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、お店から顧客に対してのメッセージにもなります。決めるべき事項の判断軸にもなるため、コンセプトの設計は居酒屋を開業するための第一歩とも言えます。

コンセプトを設計するための最初の工程として、まずは開業の動機を言語化してみてください。開業の動機を言語化することにより、自分の思いや考えを整理できるため、コンセプトを設計したい人はまず開業の動機を言語化してみましょう。

コンセプトを設計したら、知識や経験がある人に見てもらう方法もあります。客観的な視点からアドバイスをもらえる可能性もあるため、設計したコンセプトに不安や疑問がある人は、他の人に見てもらうことも検討してみましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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