ゴーストレストランは自宅でも開業できるのか? | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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ゴーストレストランは自宅でも開業できるのか?

ゴーストレストランを開業したい人の中には、自宅でも開業できるかどうかを知りたい人もいますよね。また、ゴーストレストランを開業する際のメリットやデメリットが気になる人もいるでしょう。

当記事では、ゴーストレストランは自宅でも開業できるかどうかを解説します。ゴーストレストランを開業する場合のメリットやデメリットも解説しているので、ゴーストレストランを開業したい人は参考にしてみてください。

ゴーストレストランは自宅でも開業できる可能性がある

ゴーストレストランは、自宅でも開業できる可能性があります。飲食店としての施設基準を満たせば、自宅でも営業許可を取得できるからです。

施設基準とは、飲食店を開業する際に必要な条件のことです。施設基準は食品衛生法により定められ、自治体ごとに見解が異なる点に加え、飲食店の種類によっては特定基準を設けられていることもあります。

たとえば、自宅がマンションやアパートなどの集合住宅だとしても、施設基準を満たしていれば、ゴーストレストランを開業できます。管理規約によっては営業目的での利用を禁止している場合もありますが、その点は管理規約や不動産会社の担当者に教えてもらえます。

また、自宅が賃貸だとしても、ゴーストレストランを開業できる場合があります。住居目的以外の利用が禁止されている場合は契約違反となるため、賃貸借契約書の事前確認は必要ですが、自宅が賃貸だったとしてもゴーストレストランを開業できる可能性はあります。

ただし、営業許可を取得するには、自宅を改装する必要があります。調理場や洗浄設備など、営業許可を取得する際は施設基準を満たすためのリフォームが必要となるため、営業許可の取得を検討している人はその点を留意しておきましょう。

なお、営業許可に関する情報が知りたい人は、「飲食店の開業における営業許可の取得方法を解説」を参考にしてみてください。

自宅の用途地域によっては制限がかかる

自宅の用途地域によっては、ゴーストレストランを開業する際に面積等の制限がかかる場合があります。都市計画法では、地域ごとに建物の用途や面積などが規制されているからです。

用途地域とは、計画的な市街地を形成するために、都市計画法に基づいて用途ごとに分けられたエリアのことです。用途地域は13種類に分けられ、建物の用途に加え、容積率や建蔽率などの建築規制が定められています。

たとえば、第一種低層住居専用地域に自宅がある場合、ゴーストレストランを開業できる可能性はありますが、店舗兼住宅を前提として「店舗床面積は50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満」といった制限があります。

また、第二種低層住居専用地域に自宅がある場合も同様、ゴーストレストランを開業できる可能性はありますが、店舗兼住宅を前提として「店舗床面積は50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満」といった制限があります。

なお、用途地域は各自治体の公式サイトから確認できます。用途地域に関しては、「自宅で飲食店を開業する場合のポイントを解説」の中でも解説しているため、気になる人は参考にしてみてください。

ゴーストレストランを開業する場合のメリット

「実店舗」と「ゴーストレストラン」のそれぞれを比較した際、ゴーストレストランを開業する場合には、いくつかのメリットがあります。

【ゴーストレストランを開業する場合のメリット】

  • 開業資金を抑えられる
  • 一人でも開業できる
  • 業態転換しやすい

店舗の規模や提供するメニューなど、ゴーストレストランの状況によっては、メリットにならないことも考えられます。ゴーストレストランを開業したい人は、あくまでも傾向や可能性としてそれぞれのメリットを参考にしてみてください。

開業資金を抑えられる

開業資金を抑えられる点は、ゴーストレストランを選択するメリットのひとつです。実店舗を構える飲食店と比較すると、客席を設ける必要がなく、調理設備が整った調理場があれば、ゴーストレストランを開業できるからです。

実店舗を構える場合、原則として内装工事を行い、厨房機器を購入しなければなりません。店舗の状況やコンセプトなどによっても異なりますが、実店舗を構える際は内装工事費用や厨房機器の購入費用などを含めた開業資金が必要です。

一方、ゴーストレストランの場合、店舗や自宅を利用するのではなく、クラウドキッチンを利用した開業方法もあります。複数の飲食店が厨房設備を共有して利用できる関係上、クラウドキッチンは内装工事や厨房機器の費用負担が軽減され、開業資金も抑えられます。

ただし、クラウドキッチンにおいては、競合となるゴーストレストランがすでに営業していることも考えられます。クラウドキッチンを利用する際には、競合他社との差別化ができなければ、売上に影響するおそれがあることに留意しておきましょう。

なお、飲食店の開業資金に関する情報が知りたい人は、「飲食店の開業資金はいくらかかる?平均と内訳を解説」も参考にしてみてください。

一人でも開業できる

一人でも開業できる点は、ゴーストレストランを選択するメリットのひとつです。実店舗を構える飲食店と比較すると、「接客」「片付け」「会計」などのホール業務が不要となる点に加え、仕込みや調理を一人でこなせれば、ゴーストレストランを運営できるからです。

実店舗を構える場合、来客数や時間帯によっては「接客」「調理」「会計」「片付け」などの対応が重なることがあります。その際、従業員がいなければ、顧客対応が間に合わず、クレームにつながるおそれがあります。

一方、ゴーストレストランの場合、ホール業務がない点に加え、配達もデリバリーサービスに依頼することになるため、主な業務は調理のみとなります。注文状況を見ながら配達予定の時間も調整できるため、ゴーストレストランは一人でも開業しやすい傾向があります。

ただし、一人で対応できる客数には、どうしても限界があります。客数が増えたことによりお店が回らなくなれば、その後の売上にも影響する可能性があるため、一人での開業を考える場合は「一人で飲食店を開業することはできるのか?」も参考にしてみてください。

業態転換しやすい

業態転換がしやすい点は、ゴーストレストランを選択するメリットのひとつです。実店舗を構える飲食店と比較すると、開業当初の業態を変更する際の費用や時間を抑えられる場合があるからです。

たとえば、洋食屋として実店舗を構え、その数年後に中華料理屋に業態転換しようと考えた場合、時間やお金の面から難しいことも考えられます。洋食屋と中華料理店では、必要な調理設備が異なるため、内装や厨房設備を見直さなければならない可能性があります。

一方、ゴーストレストランの場合、実店舗を構えるのではなくデリバリーサービスに登録することになるため、業態転換しやすい傾向があります。時期や流行に合わせながら業態転換すれば、売上の向上や効率的な運営につながる可能性もあります。

なお、ゴーストレストランの場合、同時に複数の業態を運営する方法もあります。容器や食材など、複数の業態を運営する場合はその分ランニングコストがかかりますが、ゴーストレストランを検討中の人は同時に複数の業態を運営することも検討してみましょう。

ゴーストレストランを開業する場合のデメリット

「実店舗」と「ゴーストレストラン」のそれぞれを比較した際、ゴーストレストランを開業する場合には、いくつかのデメリットがあります。

【ゴーストレストランを開業する場合のデメリット】

  • 配達手数料がかかる
  • ターゲットが限られる
  • 店舗物件を確保しにくい

店舗の規模や提供するメニューなど、ゴーストレストランの状況によっては、デメリットにならないことも考えられます。ゴーストレストランを開業したい人は、あくまでも傾向や可能性としてそれぞれのデメリットを参考にしてみてください。

配達手数料がかかる

配達手数料がかかる点は、ゴーストレストランを選択するデメリットのひとつです。実店舗を構える飲食店と比較すると、ゴーストレストランは、デリバリーサービスを利用して商品を配達する営業形態だからです。

実店舗を構える飲食店の場合、お客さんに直接商品を販売することになるため、デリバリーサービスの手数料はかかりません。また、デリバリーサービスに対応している飲食店だったとしても、自社の従業員が配達を兼ねていれば、手数料がかかることはありません。

一方、ゴーストレストランの場合、原則としてデリバリーサービスを利用することになるため、サービス登録料などの初期費用がかかる場合があります。また、配達を依頼するたびに売上の30%から40%程度を配達代行手数料として支払うことになります。

なお、デリバリーサービスによっては、初期費用や配達代行手数料が改訂される可能性があります。負担する費用が増えれば増えるほど、利益に影響するおそれがあるため、事業が拡大した際には、実店舗を構えたり配達員を雇用したりすることも検討してみましょう。

ターゲットが限られる

ターゲットが限られる点は、ゴーストレストランを選択するデメリットのひとつです。実店舗を構える飲食店と比較すると、ゴーストレストランは、デリバリーサービスの登録者がメインターゲットになるからです。

実店舗を構える飲食店の場合、周辺住民に加え、通りすがりの人が来店する可能性があります。「店舗の場所」「店舗の雰囲気」「従業員の人柄」など、実店舗を構える飲食店の場合は競合他社との差別化を図ることができるポイントもいくつかあります。

一方、ゴーストレストランの場合、通りすがりの人が来店することはなく、お客さんはデリバリーサービスの登録者に限られます。それにより、コミュニケーションを取る手段を考えなければ、ゴーストレストランはお客さんとの関係性を構築しにくい傾向があります。

なお、配達エリアに同業態の飲食店がいる場合、独自性のあるメニューを提供することにより競合他社との差別化を図る必要があります。状況次第では、競合他社のメニューや流行などに合わせて、メニューや業態を変更する必要があることを留意しておきましょう。

店舗物件を確保しにくい

店舗物件を確保しにくい点は、ゴーストレストランを選択するデメリットのひとつです。実店舗を構える飲食店と比較すると、ゴーストレストランはデリバリーのみの営業形態となる関係上、店舗物件を確保しにくい傾向があるからです。

たとえば、カフェを開業する目的として店舗物件を探している際、以前カフェを経営していた店舗物件、いわゆる居抜き物件が見つかる場合があります。居抜き物件は前オーナーから厨房機器や什器などを譲り受けるため、初期費用を抑えられる傾向があります。

一方、ゴーストレストランの場合は認知度の関係上、営業を認めていない店舗物件もあります。居抜き物件が見つかったとしても貸主の理解を得られなければ、店舗物件を借りることができないため、物件探しに時間がかかるおそれがあります。

なお、「床」「壁」「天井」などの内装がなく、建物の躯体だけの状態を指すスケルトン物件においては、内装工事に費用がかかる傾向があります。ゴーストレストランの開業を検討している人は、居抜き物件やスケルトン物件など、店舗物件の特徴も押さえておきましょう。

開業前に押さえておくべきポイント

ゴーストレストランを開業する前には、いくつかの押さえておくべきポイントがあります。ポイントを押さえておけば、手間取ることなく開業準備を進められる可能性があるため、ゴーストレストランの開業を検討している人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

【開業前に押さえておくべきポイント】

  • 食品衛生責任者の資格をとる
  • 出店場所を確保する
  • デリバリーサービスに登録する

これらのポイントはあくまで一例です。ゴーストレストランの開業を検討している人は、あくまでも一例としてそれぞれのポイントを参考にしてみてください。

食品衛生責任者の資格をとる

ゴーストレストランの開業を検討している人は、まずは食品衛生責任者の資格をとりましょう。飲食店の営業許可を取得するには、食品衛生責任者の資格が必要になるからです。

食品衛生責任者の資格は、食品衛生の知識を向上させることにより、食中毒や感染症などの発生を防ぐことを目的としています。実店舗を構える飲食店と同様、ゴーストレストランを営業するには、1名以上の食品衛生責任者を配置する必要があります。

各都道府県の食品衛生協会が主催する養成講習を受講すれば、食品衛生責任者の資格を取得することができます。申込方法や受講料は各都道府県の食品衛生協会によっても異なるため、まずは各都道府県の食品衛生協会の公式サイトを確認してみてください。

なお、調理師や栄養士などの資格を持っている場合、養成講習を受講することなく、食品衛生責任者の資格を取得できますただし、食品衛生責任者の資格は取得後、定期的に講習を受講しなくてはならない点を留意しておきましょう。

出店場所を確保する

ゴーストレストランの開業を検討している人は、事前に出店場所を確保しましょう。出店場所での営業許可を取得できれば、ゴーストレストランを開業できるからです。

ゴーストレストランの場合、「一人暮らしや高所得者が居住するエリア」や「ビルが立ち並ぶビジネス街」に出店する傾向があります。そして、出店場所の周辺住民がメインターゲットとなるため、提供するメニューに需要があるかどうかを調査する必要があります。

また、ゴーストレストランは、「自宅」「店舗用の物件」「クラウドキッチン」などを開業予定地にする傾向があります。自宅や店舗用の物件は、営業許可を取得するための内装工事や厨房機器の購入が必要になります。

なお、自身が出店した場所にクラウドキッチンが展開しているとは限りません。既存の飲食店の中には、営業時間外の店舗を貸し出している場合があるため、ゴーストレストランを開業したい人は、飲食店の間借りもあることを留意しておきましょう。

デリバリーサービスに登録する

ゴーストレストランの開業を検討している人は、複数のデリバリーサービスに登録することを検討してみましょう。ひとつのデリバリーサービスに依存してしまえば、サービスの不具合により利用停止になった場合、売上に影響を与えるおそれもあるからです。

デリバリーサービスに登録するときは、「営業許可証」「店舗ロゴ画像」「メニュー表」「メニュー画像」などを提出することになります。その際、提出物はデリバリーサービスごとに異なるため、登録予定のデリバリーサービスに提出物を確認しておく必要があります。

また、デリバリーサービスによっては、説明会を開催している場合があります。デリバリーサービスへの登録に不安がある人は、説明会に参加することにより、登録するかどうかの参考にすることができます。

なお、デリバリーサービスに登録するには、審査を受ける必要があります。どの飲食店でも登録できるわけではなく、出店するための条件があるため、審査に不安がある人はどのような出店条件があるのかをデリバリーサービスの担当者に確認してみましょう。

まとめ

営業許可を取得できれば、自宅でもゴーストレストランを開業できる可能性があります。自宅を改装して営業許可を取得する必要はありますが、施設基準を満たすことができれば、営業許可を取得したのち、ゴーストレストランを開業できる可能性があります。

また、実店舗と比較すると、ゴーストレストランを開業する場合には、「開業資金を抑えられる」「一人でも開業できる」などのメリットがあります。その反面、「配達手数料がかかる」「店舗物件を確保しにくい」などのデメリットもあります。

ゴーストレストランの開業を検討している人は、メリットとデメリットをひとつの判断材料として参考にしてみてください。そして、ゴーストレストランの開業を決めた人は、食品衛生責任者の資格取得に加え、出店場所やデリバリーサービスも検討しておきましょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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