開業した歯科医を廃業させないために必要なこととは? | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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開業した歯科医を廃業させないために必要なこととは?

念願の歯科医を開業!潰れないための歯科医経営を続けるために必要なこととは何でしょう?

開業前にしておくべき準備や、気を付けておきたいポイントをご紹介しています。 是非ご確認ください。

1.歯科医を開業して失敗してしまう理由には何がある?

 

(1)開業地の現地調査を怠っていませんか?

何の事業を開始する場合でも、開業地の調査を実施することでしょう。

歯科医など、病院を開業する場合「診療圏調査」と言われる、開業予定地における見込みの患者数を推定する調査を実施することがほとんどです。

診療圏調査の方法として

①人口の特性

開業予定地における人口ピラミッド・年代別構成比・昼夜間人口比率などを調査し、どのような層が多くいるのかを調査します。

②世帯の特性

開業予定地における一人暮らしの割合、住宅所有関係別世帯比率などを調査します。

③商業の特性

開業予定地において、どのような業種が多いのか、業態別などに調査します

④就学の状況

開業予定地に未就学児がどれくらいいるのか、在学者がどれくらいなのか、既卒者の最終学歴などを調査します

これらの情報を収集し、開業予定地から半径500m以内である「一次診療圏」の中から来院患者数がどれくらいになるのかを想定します。

同様に半径1000m以内である「二次診療圏」の中から来院患者数がどれくらいになるのかも想定します。

「一次診療圏」と「二次診療圏」で想定される診療患者数の計算方法は

【診療圏の人口】×【受領率】÷競合医院数

で、診療圏内の想定来院患者数が多いほど開業地として向いていると言えます。

 

診療圏調査は、調査会社に依頼することでデータを取得し、来院患者数を想定することができますが、

外侮に依頼した場合であっても一度自分で計算したり、現地に赴き調査をしたりすることが重要です。

 

(2)開業時の業者を適当に選んでいませんか?

開業時には内外装工事業者などに依頼して病院の設計をすることになるでしょう、

しかし、利用する業者選びは慎重に実施することをオススメします。

開業時の内外装工事費用には多くの金額がかかるほか、業者ときちんと意思疎通がはかれていなければ、予定通りに工事が進まない可能性もあります。

また、見積もり書や契約書にはよく目を通しておきましょう。

 

(3)事業計画と資金繰り計画を雑に作成していませんか?

歯科医の開業に限らず、事業を開始する場合には、綿密な事業計画と資金繰り計画を作成しておく必要があります。

開業後3期目くらいまでの事業計画を作成し、開業資金の融資を受けた場合は現実的な返済計画と共に資金繰り計画を作成しましょう。

毎日の来院数がどれくらいで、単価はどれくらいなのか、など細かいところまで計算し、従業員を雇用するタイミングなども想定した事業計画を作成しましょう。

 

(4)従業員の教育を怠っていませんか?

開業時に歯科衛生士や受付などの従業員を雇用するケースが多いでしょう。

しかし、従業員の教育を十分にしていなければ、病院経営も危うくなってしまいます。

①経営方針の共有

どのようなコンセプトでどのような治療を中心に、ターゲット層はどこなのか、

などの経営方針について従業員と経営者の間に認識の差が無くなるようにしておきましょう。

 

従業員との意識の差が広がってしまうと、院内の雰囲気はあまり良いものにはなりません。

もちろん、雰囲気の悪い歯科医に通いたい患者様は少ないでしょう。

従業員を雇用する場合は、病院のコンセプトや経営方針について理解を示してくれる人を雇用することをオススメします。

②従業員の中から管理者を選出

経営者である院長は、従業員にどれだけ目を配っていても、見えない部分もあるかもしれません。

院長自身の考え方に賛同してくれる従業員を、管理者として配置しておきましょう。

従業員の管理や指導をしてくれるだけでなく、院長と従業員の意識の差があった場合にサポートする役目を担ってくれます。

③常に知識向上を目指す

どの事業を実施する場合でも同様ですが、常に勉強をする必要があります。

得に歯科医のような医療機関であれば、日々進化する技術や知識に関して最先端の情報を身に着けておくべきです。

従業員とともにセミナーや勉強会に積極的に参加し、常に勉強を怠らないようにしましょう。

④患者様への接遇

飲食店やその他小売業と同様で、歯科医のリピートをするかどうかを判断するポイントとしてスタッフがどのような人か、という点があると思います。

もちろん治療の技術は需要ですが、従業員の患者様に対する対応に関する教育も大切です。

この病院で治療を続けよう、と思ってもらえる院内の雰囲気をつくりましょう。

⑤ミーティングと研修を定期的に

新しい従業員の研修、スタッフ全員参加のミーティング、外部研修への参加、幹部ミーティングなどを定期的に実施しましょう。

研修に参加することで従業員のスキル向上を目指し、ミーティングを定位的に実施することで院内での意識の差を縮めることができるでしょう。

 

(5)開業時の広告宣伝はしっかりできている?

開業時には、広告宣伝費を多めに使用してより多くの方に開院をアピールすることになるでしょう。

しかし、宣伝の対象はきちんと絞られていますか?

ターゲティングをせずに適当な広告宣伝を繰り返しても、反響を得ることは難しく、

費用を多くかけている分、損失も大きくなってしまうでしょう。

また、歯科医の開業にあたって広告やHPを作成することになりますが、医療機関の広告掲載に関しては規定が多くあり、

「絶対1日で治ります!」などといった使用できない文言も多いので、事前に確認しておきましょう。

 

(6)院長としての知識はある?

これまで、従業員や開業地に関して開業に失敗しないための知識をご紹介しましたが、経営者である院長の知識が潰れない歯科医の経営には重要です。

開業後失敗しないために必要な院長としての能力には

①自己把握

歯科医に来院する患者様の多くは一般の会社員であることがほとんどでしょう。

院長も社会人としての感覚を失わずに患者様に対応することが大切です。

また、雇用している従業員から雇用主として見られていることを意識しましょう。

院長になることで、従業員の意見が自分のところまで伝わらなくなったり、従業員が言いたいことを言えなくなってしまったりします。

院長として出来る限り従業員との距離を縮めるための対策をとりましょう。

②院長としての勤務形態

院長であるからと言って、病院にほとんど来ずに雇用している歯科医にまかせっきり、という場合は開業しても失敗してしまう可能性が高いと言えます。

歯科医を開業した場合、院長としての収入は来院数に比例するため、いわば完全に歩合制であると言えるでしょう。

勤務医時代に日給3万円で勤務していた、という方もいらっしゃいますが、院長になると自分が働いた分が給与や病院の利益になります。

また、直接患者様と触れ合うことが少ない院長が経営している病院は、従業員と院長の意識の差も大きく、患者にも良い印象を与えないでしょう。

院長として開業した場合であっても、みずから診察をして患者様と直接触れ合うことが重要です。

③借入金の返済能力

歯科医として開業する場合、機材の購入や内外装費などを併せて約5,000万円は必要になります。

日本政策金融公庫や他の金融機関から創業時の融資を利用して、開業資金を調達する方も多くいらっしゃいます。

院長として、開業時に借入金がある場合には、実現可能な返済計画を作成しなければいけません。

事業を開始し、売上や返済に必要な金額が毎月どれくらいなのか、借入金の返済はどれくらいで終了するのか、

きちんと計画を立てることができない院長が経営している医院は、資金繰りに困って廃業してしまう可能性が非常に高くなると言えるでしょう。

 

まとめ

 

今回は、開業後に廃業してしまう歯科医の特徴についてご紹介しました。

歯科医を開業する場合、初期費用に多くの資金が必要になるでしょう。

借入によって調達した開業資金の返済を考慮して、実現可能な事業計画を立てる必要があります。

病院を開業したからと言って儲かるわけではないのです。

院長の経営者としての知識や、従業員の教育、患者様へのアプローチの仕方などについて開業前から勉強しておきましょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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