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個人タクシーの開業資金は何にいくら必要なのかを解説

個人タクシーの開業時は、許可の取得やタクシーのメーター購入などの資金が必要です。一般的には200万円ほど必要と言われていますが、運転資金を含めると合計で500万円ほど必要となります。

当記事では、個人タクシーを開業する際の資金が何にいくら必要なのかを解説します。開業資金が必要になるタイミングや、開業資金が足りない場合の資金調達方法も紹介するので、個人タクシーの開業を考えている人は当記事を参考にしてみてください。

開業資金は合計で500万円が必要となる

個人タクシーを開業する際の開業資金の目安は500万円程度で、開業資金には使用目的の異なるいくつかの資金が含まれています。個人タクシーの開業を検討している人は、開業資金が何にいくら必要なのかを確認しておきましょう。

【個人タクシーの開業資金500万円の内訳】

使用目的 開業資金
一般乗用旅客自動車運送事業の許可を取得するための資金 200万円
一般乗用旅客自動車運送事業の新規許可を取得したあとに運輸局に支払う登録免許税 1万5千円
個人タクシー事業の譲渡を受ける際、連合会や組合に加盟するための資金 150万円
個人タクシーを開業後、必要となるガソリンや高速道路代などのための資金 150万円
合計:約500万円

開業資金には許認可取得にかかる費用と、開業後の運転資金があります。許認可取得にかかる費用は、許可を申請するすべての人に共通する費用と個人タクシー業の譲渡を受ける場合にかかる費用があるので、譲渡を受ける人は新規許可人よりも150万円ほど費用が多くかかります。

個人タクシーの開業資金は店舗や事務所のある業種よりは低いものの、500万円程度は必要です。これから個人タクシーの開業を目指している人は、ひとつの目安として500万円の開業資金を用意することを目標にしてください。

なお、個人タクシーを開業するには資金の準備だけでなく、年齢制限や運転経歴などさまざまな条件を満たす必要があります。主な条件の内容を知りたい人は「個人タクシーを開業するときの条件を解説」を参考にしてください。

許可を得るために200万円が必要

個人タクシーを開業するためには、許可を得るのに概ね200万円が必要です。国土交通省の自動車交通局が定めた許可基準によると、個人タクシーの許可を受ける際には設備資金と運転資金などを合わせて200万円ほどが必要となるからです。

【一般乗用旅客自動車運送事業の許可における資金計画の概要】

以下の項目ごとの所有資金の合計を適切に示すこと。

  1. 原則として70万円以上の設備資金
  2. 原則として70万円以上の運転資金
  3. 自動車車庫の新築や改築等に必要な資金
  4. 保険料

200万円の内訳は、設備資金に70万円、運転資金に70万円、その他に60万円程度となります。申請する営業区域によっては、70万円ではなく80万円と記載された審査基準もあるので、200万円ちょうどではなく、少し余裕を持って用意する方が良いでしょう。

個人タクシーの開業で一般乗用旅客自動車運送事業の許可を申し込む際、申請書と共に資金計画の提出が必要です。その際、「車両費」「土地費」「建物費」などの複数の項目に必要な支払い金額や未払い金を記入して提出するので、覚えておきましょう。

なお、必要な開業資金は運輸局と申請方法により、若干異なります。たとえば、中運局へ「譲渡譲受」を申請する際は、設備資金と運転資金の目安は50万円以上です。申請の基準となる設備資金と運転資金は、念のため、営業区域を管轄する運輸局の公示(審査基準)で確認してください。

200万円は100%自己資金で用意する必要がある

一般乗用旅客自動車運送事業の許可を申請する際に必要な200万円は、100%自己資金で用意する必要があります。許可の審査基準の資金計画について記載された箇所に「100%以上の自己資金(自己名義の預貯金等)」と記載があるためです。

【一般乗用旅客自動車運送事業の許可で認められる自己資金の例】

資金の例 自己資金となるか
コツコツ貯めてきた自分名義の預貯金
保有していた自動車や不動産を売却して得た現金
退職金
積立型の保険
親や親族から贈与された現金
カードローン、キャッシングで一時的に借り入れした現金 ×
金融機関から融資で借り入れた事業資金 ×

個人タクシーの開業で一般乗用旅客自動車運送事業の許可を申請する際は、何が自己資金とみなされるか把握しておく必要があります。たとえば、自己資金には自分でこつこつ貯めた預貯金の他、家族や親族からもらった現金も自己資金としてみなされます。

一方、キャッシングやカードローンで一時的に得た現金は、自己資金にはなりません。許可を申請する際、預貯金が確認できる通帳の写しを提出する必要があるため、キャッシングやカードローンの借り入れは通帳の明細をみて自己資金ではないと判断される可能性があります。

一般乗用旅客自動車運送事業の許可には資金計画の項目があり、開業する際は通帳の写しを提出して自己資金が200万円以上あるか確認されます。200万円は自己資金である必要があるので、これから個人タクシーで開業したい人は計画的に自己資金を貯めるようにしましょう。

譲渡で認可を得るためには150万円が必要

個人タクシーを開業する方法は「新規許可」「譲渡譲受」「相続」の3種類があり、「譲渡譲受」の場合は別途150万円程が必要です。譲渡譲受は、個人タクシーを廃業する人から事業を譲り受け、その後認可を得る方法なので、個人タクシーの連合会や組合に支払う資金が発生するからです。

個人タクシーの連合会や組合は営業区域によりさまざまな組織があります。組織に加盟すると個人タクシーの事務をサポートしてくれる、無線配車を行ってくれるという利点がありますが、同時に、組織に支払う費用も発生します。

たとえば、東京都個人タクシー協同組合の場合、譲渡譲受の手続きを支部で行います。そのため、東京都個人タクシー協同組合に加盟する際は本部入会金に加え、支部に加盟するための支部入会金も必要となり、その上で譲渡譲受手数料を支払うことになります。

個人タクシーの開業を譲渡譲受で申請する場合、協会や組合に支払う費用が別に90万円から260万円ほどかかります。新規許可がおりない地域で個人タクシーを営業したい人は、譲渡譲受の費用をあらかじめ各営業区域にある協会や組合に問い合わせして、費用を把握しておきましょう。

開業後の運転資金として150万円が必要

個人タクシーとして開業するには、開業後の運転資金を150万円程度用意しておく必要があります。個人タクシーの営業にもガソリン代や高速料金など、日々必要な経費があるためです。

【開業後にかかる半年間の経費の例】

  • タクシーチケット換金手数料 10万円
  • 支部費 25万円
  • ガソリン代 45万円
  • 駐車場代 45万円
  • 高速代 15万円
  • 維持費 25万円
    計:155万円

たとえば、2025年の1月に個人タクシーを開業する場合、1月から6月までの半年間の運転資金として、150万円ほど用意しておくと良いでしょう。タクシーチケットを受け取ると換金するのに月に数万円単位で費用がかかり、その他にもガソリン代や駐車場代などが必要だからです。

個人タクシーの開業資金を用意する際は、開業後の運転資金も含めて用意すると、開業後の資金不足を防げます。法人タクシーの運転手から個人タクシーの運転手になると、これまで不要だった費用が新たに必要となるため、開業の際は最低半年分の運転資金は用意しましょう。

収入は売上から運転資金を差し引いて計算する

個人タクシーの収入は売上から運転資金を差し引いて計算できます。個人タクシーを開業したあとの年収が気になる人は運転資金をもとに計算してみましょう。

【運転資金と売上を元にした年収の計算例】

項目 概要
条件 売上:毎月70万円(年間840万円)
年間の経費:300万円
年収の計算 (年間の売上)840万円-(年間の経費)300万円=(年収)540万円

たとえば、年間の売上が840万円で年間の経費が300万円の場合、売上目標から経費を差し引くと年収は540万円と計算できます。法人と違い、個人タクシーの場合は売上が自分の年収に直結するので、経費を差し引いた残りの売上は全て自分の収入になるためです。

個人タクシーの開業後の収入が気になる人は、営業区域での平均的な売上や経費がいくらになるのか調べてみましょう。個人タクシーの売上は営業区域や営業スタイルにより差があるので、開業する前に年収重視や休み重視といった働き方の希望も考えてみて下さい。

資金調達の方法も確認しておく

開業資金にはまとまったお金が必要なので、すぐに開業資金を用意できない時のために、資金調達の方法も確認しておきましょう。資金調達の方法により、開業時に利用できるかどうかは異なります。

【資金調達の種類と開業時に利用できる資金】

資金調達の種類 具体的な資金調達先 開業時に利用できる資金
事業融資
  • 日本政策金融公庫
  • 都市銀行
  • 地方銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • 個人タクシー協会や組合に支払う資金
  • 開業後のために用意する運転資金
贈与
  • 両親
  • 親戚
  • 配偶者
  • 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を取得するための資金
  • 個人タクシー協会や組合に支払う資金
  • 開業後のために用意する運転資金
財産処分

 

  • 不動産会社
  • 個人

たとえば、日本政策金融公庫の事業融資の場合、一般乗用旅客自動車運送事許可の申請時に必要な200万円の資金としては利用できません。一般乗用旅客自動車運送事許可の申請時に認められる資金は自己資金のみとなるので、融資で借り入れたお金は自己資金にならないからです。

一方、贈与として両親や配偶者から受けた資金の場合は、一般乗用旅客自動車運送事許可の申請時に必要な200万円として利用できます。贈与を受ける場合は資金の名義が本人のもの限定となるため、贈与とわかるように贈与される際に契約書を作成すると良いでしょう。

個人タクシーの開業資金は数百万円となるため、すぐに貯めることは困難です。開業資金を資金調達する方法として事業融資や贈与があるので、自分に合う資金調達方法を上手く活用して計画的に開業資金を貯めましょう。

まとめ

個人タクシーを開業するための開業資金は、500万円です。一般乗用旅客自動車運送事許可の申請時に必要な資金が200万円、譲渡譲受で認可を受ける場合は連合会や組合に支払うお金が150万円、半年分の運転資金に150万円ほどかかるためです。

開業資金のうち、一般乗用旅客自動車運送事許可の申請時に必要な200万円は自己資金である必要があります。自己資金とは自己名義の預貯金や証券となるので、個人タクシーの開業を検討している人は、数年前から計画的に貯めると良いでしょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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