小売業
一人で花屋を開業するときのポイントを解説
花屋を開業する場合、従業員を雇わずに一人で開業することも方法のひとつです。花屋の業務は多岐にわたりますが、一人で開業する場合はすべての業務を一人でこなすことになるため、一日の業務の流れを想定しておく必要があります。
一人での開業を検討中の人は一人で花屋を開業するときのポイントを確認してみてください。ポイントを確認することにより、開業後の営業方法を考えるきっかけになるため、一人で花屋を開業したい人はポイントを押さえることから始めてみましょう。
ポイントは業務の効率化を考えること
一人で花屋を開業するときのポイントは業務の効率化を考えることです。複数の従業員がいる花屋と比較した場合、一人で営業する花屋は対応できる業務に限りがあるため、一人で花屋を開業したい人は効率化できる業務を考えてみましょう。
【効率化を考える業務の例】
- 販売
- 在庫管理
- 仕入れ
効率化を考える業務として挙げられるのは「販売」「在庫管理」「仕入れ」です。花屋の業務は多岐にわたるため、効率化できる業務は他にも考えられますが、まずは一例としてそれぞれの項目を確認してみましょう。
販売業務を効率化する
効率化を考える業務のひとつは「販売」です。販売業務は「店頭販売」と「ネット販売」の選択肢が考えられるため、一人での開業を考えている人は販売方法ごとの効率化を考えてみましょう。
【販売業務を効率化する例】
項目 | 効率化の例 |
店頭販売 | ・営業曜日や営業時間を限定する |
ネット販売 | ・「通販サイト」「SNS」から受注する |
花屋の販売方法のひとつは「店頭販売」です。一人で店頭販売を行う場合は水揚げやブーケ製作などの業務と並行して接客をすることになるため、「週3日のみ」「1日5時間のみ」など、営業する曜日や時間を限定することにより、販売業務を効率化できる可能性があります。
花屋の販売方法のひとつは「ネット販売」です。ネット販売を行う場合は「通販サイト」「SNS」などの登録や投稿が必要ですが、オンラインでの問い合わせ対応や決済が可能になるため、販売業務を効率化できる可能性があります。
なお、店頭販売とネット販売を並行して行う方法もあります。通販サイトやSNSの活用は実店舗への集客につながる可能性もあるため、一人で花屋を開業したい人は花屋の希望条件と照らし合わせながら販売方法を考えてみましょう。
在庫管理業務を効率化する
効率化を考える業務のひとつは「在庫管理」です。生花の在庫を持つ場合は水揚げや水替えなどの作業やフラワーロス対策が必要となるため、一人での開業を考えている人は在庫管理業務の効率化を考えてみましょう。
【在庫管理業務を効率化する例】
項目 | 効率化の例 |
在庫を持ち展示する場合 | ・生花を減らして日持ちの長い商品を展示する |
在庫を持たず受注販売する場合 | ・受注日から発送日までの期間を長く設定する |
在庫を店頭に展示する場合、日持ちの短い生花の在庫を減らす方法があります。「ドライフラワー」「プリザーブドフラワー」など、日持ちが長く、在庫管理の作業が少ない花の在庫を増やすことにより、在庫管理業務を効率化できる可能性があります。
在庫を持たず受注販売する場合、受注から発送までの期間を長く設定する方法があります。受注後に仕入れる場合は必要な本数のみを仕入れられるため、仕入れにかかる時間を含んだ日程で発送日を設定することにより、在庫管理業務を効率化できる可能性があります。
なお、フラワーロス率は利益率を左右します。とくに、生花は日持ちの目安が4日~15日となり、廃棄する本数が多い場合は利益率が下がるため、一人で花屋を開業したい人は売上目標と照らし合わせながら在庫を持つかどうかを検討することも考えてみましょう。
仕入れ業務を効率化する
効率化を考える業務のひとつは「仕入れ」です。花の仕入先にはいくつかの選択肢がありますが、仕入先ごとに仕入れの方法が異なるため、それぞれの方法に応じた仕入れ業務の効率化を検討してみましょう。
【仕入れ業務を効率化する例】
項目 | 効率化の例 |
仲卸業者 | ・仕入れに行く日を限定する |
卸販売サイト | ・サイトから注文して配達してもらう |
花屋の仕入先のひとつは「仲卸業者」です。仲卸業者から仕入れる場合、原則として花卉市場内に設置された仲卸業者の店舗に行くことになるため、「金曜日のみ」「週2回」など、仕入れに行く日を限定することにより、仕入れ業務を効率化できる可能性があります。
また、花屋の仕入先のひとつは「卸販売サイト」です。卸販売サイトから仕入れる場合、オンラインでの発注後に花を配達してもらうことにより、市場や店舗に出向く必要がなくなるため、仕入れ業務を効率化できる可能性があります。
なお、仕入先の選択肢には花卉市場もあります。花卉市場から仕入れる場合は仕入れ実績や市場取引経験などの審査を通過することにより「買参権」を取得する必要があるため、一人で花屋を開業したい人は予備知識として覚えておきましょう。
ポイントを押さえた人は準備物を確認する
一人で花屋を開業するときのポイントを押さえた人は、花屋の開業における準備物を確認することも考えてみてください。花屋の希望条件によって準備物は異なりますが、あらゆる準備物が必要となるため、一人で花屋を開業したい人は準備物の概要を押さえておきましょう。
【花屋を開業するときの準備物】
- 資金
- 備品
- 届出
花屋を開業するときの準備物には、「資金」「備品」「届出」が挙げられます。花屋の希望条件によってはこれら以外の準備物が必要になることも考えられますが、一人で花屋を開業したい人は一例としてそれぞれの項目を確認してみましょう。
資金
花屋を開業するときの準備物として挙げられるのは「資金」です。営業拠点の場所や仕入れる商品など、花屋の希望条件により必要となる開業資金額は異なるため、まずは開業資金の内訳を確認してみましょう。
【開業資金の内訳の例】
項目 | 具体例 |
設備資金 | ・物件取得費 ・内装工事費 ・設備費 ・備品費 |
運転資金 | ・賃料 ・仕入費 ・光熱費 ・広告宣伝費 |
花屋の開業資金には「設備資金」があります。「物件取得費」「内装工事費」「設備費」など、設備資金は営業拠点の状況によって変動する傾向があるため、一人での開業を検討中の人は先に営業拠点を決めることにより、設備資金の目安を算出しやすくなります。
花屋の開業資金には「運転資金」があります。「仕入費」「光熱費」「広告宣伝費」など、運転資金は開業後の経営状況によって変動する傾向があるため、一人での開業を検討中の人は各費用の3~6か月分を試算することにより、運転資金の目安を算出しやすくなります。
なお、開業資金を工面するときは資金調達を行います。資金調達には、「借り入れ」と「自己資金」の選択肢が挙げられるため、一人での開業を予定している人は借り入れと自己資金の両面から考えることも検討してみましょう。
備品
花屋を開業するときの準備物として挙げられるのは「備品」です。必要となる備品は花屋の営業形態や取り扱う商品によっても異なりますが、使用する用途ごとに備品を分類することにより、揃える備品を確認する方法があります。
【花屋における備品の例】
項目 | 備品 |
展示 | フラワースタンド |
展示 | 花器 |
包装 | ラッピングペーパー |
包装 | フラワーフォーム |
会計 | レジ |
会計 | 釣銭トレー |
清掃 | 掃除機 |
清掃 | 雑巾 |
その他 | パソコン |
その他 | 傘立て |
花屋の備品の中には、「展示に使用する備品」があります。展示を行わない形態の花屋にする場合は不要ですが、展示を行う場合は「フラワースタンド」「花器」「フローリストナイフ」など、生花の仕入れから展示までに使用する備品を用意することになります。
花屋の備品の中には、「包装に使用する備品」があります。取り扱う商品によっても必要となる備品は異なりますが、「ラッピングペーパー」「フローラルフォーム」「セロハン」「リボン」「ビニール袋」など、商品の形状に応じた備品を用意することになります。
なお、花屋を開業する場合は設備も必要です。「フラワーキーパー」「作業台」「リボン棚」など、花屋の希望条件に応じた設備を導入することになるため、一人で花屋を開業したい人は備品に加え、設備の導入も検討してみましょう。
花屋の開業における備品と設備の情報を知りたい人は「花屋の開業における備品と設備を揃える手順を解説」を参考にしてみてください。
届出
花屋を開業するときの準備物として挙げられるのは「届出」です。花屋の開業における届出は多岐にわたりますが、「すべての花屋が必要となる届出」と「花屋の条件次第となる届出」に分けられるため、一人で花屋を開業したい人は届出の概要を押さえておきましょう。
【花屋の開業における届出】
条件 | 届出 | 提出先 |
すべての花屋 | 開業届 | 税務署 |
すべての花屋 | 事業開始等申告書 | 都道府県税事務所 |
すべての花屋 | 防火対象物使用開始届出書 | 消防署 |
花屋の条件次第 | 所得税の青色申告承認申請書 | 税務署 |
花屋の条件次第 | 防火対象物工事等計画届出書 | 消防署 |
花屋の条件次第 | 防火管理者選任届出書 | 消防署 |
すべての花屋が必要となる届出には、「開業届」があります。開業届は所得税を納税する関係上、事業を開始したことを税務署に申告する書類になるため、花屋を開業する人は「事業開始日から1か月以内」に書類を税務署に提出することになります。
また、花屋の条件次第となる届出には、「所得税の青色申告承認申請書」があります。青色申告を行うことを申請する書類になるため、青色申告を希望する場合は「青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで」に書類を税務署に提出することになります。
必要となる届出は花屋の希望条件次第です。「内装工事の有無」や「建物の収容人数」など、花屋の希望条件によって異なるため、一人での開業を考えている人は開業の希望条件と照らし合わせながら必要となる届出を確認してみましょう。
花屋の開業における届出の情報を知りたい人は「花屋を開業するときの届出を解説」を参考にしてみてください。
まとめ
一人で花屋を開業するときのポイントは業務の効率化を考えることです。効率化を考える業務には、「販売」「在庫管理」「仕入れ」が挙げられるため、一人での開業を目指している人はそれぞれの項目を確認してみましょう。
一人で花屋を開業するときのポイントを押さえた人は、花屋の開業における準備物を確認してみましょう。花屋の希望条件によっても異なりますが、あらゆる準備物が必要となるため、一人で花屋を開業したい人は準備物の概要を押さえておきましょう。
なお、開業準備に不安のある人は各自治体の担当者や専門家に相談する方法もあります。一人で花屋を開業する場合はすべての開業準備を一人で行うことになるため、不安や疑問のある人は各自治体の担当者や専門家に相談することも検討してみましょう。
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この記事の監修者
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
田原 広一(たはら こういち)
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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