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不動産(販売・仲介・内外装・リフォーム)
不動産業の開業における資格を解説
不動産業を開業するときに資格が必要になるかどうかは、想定している事業内容次第です。資格が必要な事業内容もあれば、資格が不要な事業内容もあるため、不動産業の開業を検討している人は事業内容ごとの資格の要否を確認しておきましょう。
当記事では、不動産業の開業における資格を解説します。開業後に役立つ資格も解説しているため、不動産業を開業したい人は参考にしてみてください。
資格の要否は想定している事業内容によっても異なる
不動産業を開業する場合、資格の要否は想定している事業内容によっても異なります。資格が必要な事業内容もあれば、資格が不要な事業内容もあるため、不動産業を開業したい人は事業内容ごとの資格の要否を確認してみましょう。
【不動産業の分類と必要となる資格の一覧表】
分類 | 必要となる資格 |
宅地建物取引業 | 宅地建物取引士 |
賃貸住宅管理業 | 賃貸不動産経営管理士(管理戸数が200所未満の場合は原則不要) |
マンション管理業 | 管理業務主任者 |
不動産賃貸業 | 不要 |
「宅地建物取引業」「賃貸住宅管理業」「マンション管理業」として開業する場合は資格が必要ですが、「不動産賃貸業」として開業する場合は資格が不要です。資格の要否が気になる人はそれらの点を念頭に置きつつ、それぞれの項目を確認してみましょう。
宅地建物取引業として開業する場合
宅地建物取引業として開業する場合は「宅地建物取引士」の資格が必要です。「宅地建物取引士」の資格を保有していなければ、宅地建物取引業として開業することはできないため、不動産の売買や代理を考えている人は概要を押さえておきましょう。
宅地建物取引業とは、「宅地や建物の売買」「宅地や建物の売買または賃借の代理」「宅地や建物の売買または賃借の媒介」を行う事業のことです。売買や代理などの事業を営利目的として不特定多数の人に継続的に行う場合は宅地建物取引士の資格が必要です。
宅地建物取引士の資格を取得するには、不動産適正取引推進機構が年1回実施する宅地建物取引士資格試験に合格する必要があります。宅地建物取引士資格試験では、宅地建物取引業に関する実用的な知識を有するかどうかを問われる試験内容になっています。
なお、宅地建物取引士として活動するには、宅地建物取引士資格試験の合格後に「宅地建物取引士の登録」と「宅地建物取引士証の交付」が必要です。受験から交付までの流れも掲載されているため、まずは不動産適正取引推進機構の公式サイトにある「宅建試験の概要」を確認してみましょう。
宅地建物取引士の資格を取得するのは宅地建物取引業の免許が必要だから
宅地建物取引士の資格を取得するのは「宅地建物取引業」の免許が必要だからです。宅地建物取引業の免許を保有していなければ、宅地建物取引業として開業することはできないため、不動産の売買や仲介を考えている人は注意が必要です。
宅地建物取引業の免許における要件のひとつは宅地建物取引士に関するものです。それにより、宅地建物取引業として開業するときは宅地建物取引士の資格を取得したのち、宅地建物取引業の免許を取得することになります。
なお、宅地建物取引業の免許を取得するには、宅地建物取引士に関する要件に加え、営業保証金に関する要件も満たしている必要があります。宅地建物取引業の免許の取得方法が知りたい人は国土交通省関東地方整備局の公式サイトにある「宅地建物取引業とは」を確認してみましょう。
賃貸住宅管理業として開業する場合
賃貸住宅管理業として開業する場合は「賃貸不動産経営管理士」の資格が必要になる可能性があります。管理戸数が200戸以上の場合は賃貸不動産経営管理士の資格を保有していなければ、賃貸住宅管理業として開業することはできないため、賃貸住宅の管理を考えている人は概要を押さえておきましょう。
賃貸住宅管理業とは、「賃貸住宅の維持保全を行う業務」「賃貸住宅の維持保全を行う業務」「家賃、敷金、共益費、その他の金銭の管理を行う業務」を行う事業のことです。管理業務を事業として行う場合は原則として賃貸不動産経営管理士の資格が必要です。
賃貸不動産経営管理士の資格を取得するには、賃貸不動産経営管理士協議会が年1回実施する「賃貸不動産経営管理士試験」に合格する必要があります。賃貸不動産経営管理士試験では、賃貸住宅を適正に管理するために必要な知識を有するかどうかを問われる試験内容になっています。
なお、賃貸不動産経営管理士として活動するには、賃貸不動産経営管理士試験の合格後に「賃貸不動産経営管理士の登録手続き」が必要です。受験から登録手続きまでの流れも掲載されているため、まずは賃貸不動産経営管理士協議会の公式サイトにある「資格取得までの流れ」を確認してみましょう。
マンション管理業として開業する場合
マンション管理業として開業する場合は「管理業務主任者」の資格が必要です。管理業務主任者の資格を保有していなければ、マンション管理業として開業することはできないため、分譲マンションの管理を考えている人は概要を押さえておきましょう。
マンション管理業とは、「マンション管理組合から委託を受けたときの管理業務」を行う事業のことです。財産管理や建物管理などの管理業全般をマンション管理組合から委託され、管理業務を事業として行う場合は管理業務主任者の資格が必要です。
管理業務主任者の資格を取得するには、マンション管理業協会が年1回実施する「管理業務主任者試験」に合格する必要があります。管理業務主任者試験では、マンションを適正に管理するために必要な知識を有するかどうかを問われる試験内容になっています。
なお、賃貸不動産経営管理士として活動するには、管理業務主任者試験の合格後に「管理業務主任者の登録」と「管理業務主任者証の交付」が必要です。受験から交付までの流れも掲載されているため、まずはマンション管理業協会の公式サイトにある「管理業務主任者とは」を確認してみましょう。
不動産賃貸業として開業する場合
不動産賃貸業として開業する場合は資格が不要です。資格を取得せずとも不動産賃貸業として開業することはできるため、土地や建物などの不動産の貸し出しを考えている人は概要を押さえておきましょう。
不動産賃貸業とは、「土地や建物などの不動産を賃貸し賃料を得る事業」のことです。多くは地主や大家と呼ばれ、自らが保有する土地や建物などの不動産を第三者に貸し出し、営利目的として不特定多数の人に継続的に行う場合が該当します。
不動産賃貸業として開業する場合も管理業務は発生しますが、「賃貸不動産経営管理士」や「管理業務主任者」などの資格は原則として不要です。「宅地建物取引業」の免許も不要となるため、資格や免許を取得せずとも不動産賃貸業として開業することは可能です。
ただし、不動産賃貸業に加え、賃貸住宅管理業やマンション管理業などの事業も行う場合は資格が必要になる可能性もあります。事業内容の範囲が広がれば、資格が必要になることも考えられるため、不動産賃貸業として開業予定の人は留意しておきましょう。
開業後に役立つ資格も確認してみる
不動産業においては、開業後に役立つ資格もあります。不動産業の専門知識を深められ、開業後の経営が有利に働くこともあるため、不動産業を開業予定の人は開業後に役立つ資格も確認してみましょう。
【不動産業の専門知識を深められる資格の一覧表】
資格の名称 | 有利な事業 | 資格の内容 |
不動産鑑定士 | 宅地建物取引業 | 不動産鑑定評価法を根拠とした国土交通省が管轄の国家資格。土地や建物などの不動産の鑑定評価を行う場合に必要となる。 |
土地家屋調査士 | 宅地建物取引業 | 土地家屋調査士法を根拠とした法務省が管轄の国家資格。顧客の代わりに不動産の表題登記の申請手続きを行う場合に必要となる。 |
マンション管理士 | マンション管理業 | マンション管理適正化法を根拠とした国土交通省が管轄の国家資格。マンション管理における助言や指導などを行う場合に必要となる。 |
たとえば、不動産鑑定士は土地や建物などの不動産の鑑定評価を行う場合に必要となる国家資格です。不動産鑑定士の資格を取得せずとも不動産業を開業できますが、土地や建物などの不動産の適正な価格を判断できれば、開業後の強みになるかもしれません。
また、マンション管理士はマンション管理における助言や指導などを行う場合に必要となる国家資格です。マンション管理士の資格を取得せずとも不動産業を開業できますが、マンション管理全般の助言や指導ができれば、開業後の強みになるかもしれません。
必須となる資格に加え、役立つ資格を取得しておけば、開業後の経営が有利に働くことも考えられます。受験資格や試験内容は資格ごとに異なりますが、不動産業を開業したい人は不動産業の専門知識を深められる資格を取得することも検討してみましょう。
不動産業以外の資格もある
開業後に役立つ資格には、不動産業以外の資格もあります。不動産に関する資格と同様、開業後の経営が有利に働くこともあるため、不動産業を開業予定の人は不動産業以外の資格も確認してみましょう。
【不動産業以外の資格の一覧表】
資格の名称 | 資格の内容 |
司法書士 | 司法書士法を根拠とした法務省が管轄の国家資格。専門的な法律の知識に基づき、登記、供託、訴訟、その他の法律事務の専門家として活動する場合に必要となる。 |
ファイナンシャル・プランニング技能士 | 職業能力開発促進法を根拠とした厚生労働省が管轄の国家資格。金融、不動産、保険など、幅広い知識と視野からライフプランの設計をサポートする場合に必要となる。 |
たとえば、司法書士は専門的な法律の知識に基づき、登記、供託、訴訟、その他の法律事務の専門家として活動する場合に必要となる国家資格です。不動産登記は司法書士の独占業務となるため、資格を取得した場合は開業後の強みになるかもしれません。
また、ファイナンシャル・プランニング技能士は金融、不動産、保険など、幅広い知識と視野からライフプランの設計をサポートする場合に必要となる国家資格です。幅広い知識を有する資格となるため、資格を取得した場合は開業後の強みになるかもしれません。
不動産以外の資格を取得することにより、競合他社との差別化を図れる可能性もあります。受験資格や試験内容は資格ごとに異なりますが、不動産業を開業したい人は不動産業以外の資格を取得することも検討してみましょう。
まとめ
不動産業を開業するときに資格が必要になるかどうかは、想定している事業内容次第です。資格が必要な事業内容もあれば、資格が不要な事業内容もあるため、不動産業の開業を検討している人は事業内容ごとの資格の要否を確認しておきましょう。
また、不動産業においては、開業後に役立つ資格がいろいろあります。不動産業の専門知識を深められ、開業後の経営が有利に働く可能性もあるため、不動産業を開業予定の人は開業後に役立つ資格を取得することも検討してみてください。
その他には、不動産以外の資格を取得することにより、競合他社との差別化を図れる可能性もあります。あらゆる視点からアドバイスできる点は開業後の強みになるため、不動産業を開業したい人は不動産業以外の資格を取得することも検討してみましょう。
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不動産(販売・仲介・内外装・リフォーム)
この記事の監修者
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
田原 広一(たはら こういち)
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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