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解体業を始めるために必要な資格や許可申請

解体業を独立して始めたいと考えている人の中には、必要な資格や許可を知りたい人もいますよね。当記事では、解体業を始めるための資格や手順を解説します。

解体業とは

解体業とは、建築物やそれに付随する考察物の全部または一部を解体する建設工事の一種です。古くなった建物を取り壊すことはすべて解体業に該当します。

解体業には専門の知識や経験が必須です。間違った方法で解体をすると周辺環境に悪影響や危険を及ぼす可能性があります。

解体業を始めるために必要な資格・申請先・料金

事業者としては建設業許可か解体工事業登録

建設業許可の場合

解体業は、許可なく開業することができません。工事を実際に行う都道府県の「地方整備局」の「知事」宛てに申請しなければなりません。

【建設業許可の申請先の一例】

地方整備局等名 担当部課等名 所在地 管轄地域
北海道開発局 事業振興部建設産業課 札幌市北区北8条西2丁目
札幌第一合同庁舎
北海道
東北地方整備局 建政部建設産業課 仙台市青葉区本町3-3-1
仙台合同庁舎B棟
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、
福島県

引用:国土交通省|許可行政庁一覧表

こちらの表は建設業許可の申請先の一例です。北海道の場合は一つの整備局ですが、他の都道府県についてはいくつかの地域でまとめて一つの地方整備局が担当しています。

申請するには、主に以下の書類が必要です。

  • 建設業許可申請書
  • 役員等の一覧表、営業所一覧表、収入印紙の貼付用紙、専任技術者一覧表
  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 専任技術証明書
  • 国家資格者等・管理技術者一覧表
  • 財務諸表
  • 営業の沿革
  • 健康保険の加入状況
  • 主要取引記入機関名
  • 営業所所在地案内図

許可手数料は新規の場合9万円、更新・同一許可区分内の追加許可の場合は5万円です。

※更新・同一許可区分内の追加許可→建設業の許可は取得から5年間有効で、その後は更新しないと廃止されます。また、建設業の許可区分は土木工事業、建築工事業など全部で29に分かれおり、申請する際は区分ごとに行います。以前、解体業は「とび・土工工事業」に分類されていましたが、平成27年に建設業法が改正されたことにより、平成31年以降に1件500万円以上の解体工事を行う場合は解体業の登録をしなければいけません。

一つの都道府県だけでなく複数の場所で工事をするのであれば、各都道府県の「知事」ではなく国土交通省「大臣」へ申請書を持参します。その場合、登録免許税として15万円を管轄の税務署に納めなければいけません。複数の営業所で事業を行う場合は、営業所ごとに最低1名以上の「営業所専任技術者」(略して専任技術者)が必要です。

※営業所専任技術者→一定の資格または経験を持つ常勤の労働者のこと

詳細は各都道府県の地方整備局のホームページをご覧ください。(東京都整備局の場合、実際には全部で36種類の様式があります。)

解体工事登録の場合

建設業として登録せずとも、解体工事登録を各都道府県の知事に申請すれば解体業を営むことは可能です。ただし、建設業の申請では1件500万円以上の工事を請け負うことが可能なのに対し、解体工事登録のみの場合は1件500万円以内の解体工事のみで営業しなければいけません。

【解体工事登録の申請先の一例

担当都道府県名 担当部課等名 所在地 管轄地域
福岡県庁 福岡県庁建築都市部建築指導課建設業係 福岡県福岡市博多区東公園7番7号 福岡県
大阪府庁 住宅まちづくり部 建築振興課

建設業許可グループ

大阪市中央区大手前2丁目 大阪府

解体工事登録の申請先は、各都道府県の建築または建設関連の部署となります。

申請するには、主に以下の書類が必要です。登録手数料は新規の場合33,000円、更新の場合は26,000円です。建築許可と同様、郵送での申請は受け付けていません。

※変更届の場合は郵送が可能です。

  • 解体工事申請書
  • 誓約書
  • 技術管理者の資格要件を確認する書類
  • 登録申請者の調書
  • 申請者の所在地確認書類
  • 法廷代理人の証の写しまたは発行後3か月以内の住民票

※法廷代理人とは→申請者が未成年者の場合、法律により代理権を持つ親権者や後見人を指します。

労働者としては「技術管理者」「管理責任者」が必要

技術管理者の要件

事業所にはまず以下の資格または技能を持つ常勤技術管理者が必要です。

【資格の要件】

  • 一級建設機械施工技師、二級建設機械施工技師
  • 一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士
  • 一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士
  • 一級建築士、二級建築士
  • 技術士
  • 一級とび、とび工、二級とび+解体工事経験1年

など

【技能の要件】

区分 実務経験のみ 国土交通大臣指定の

講習受講者

一定の学科を履修した大学・高専卒業者 2年 1年
一定の学科を履修した高校卒業者 4年 3年
上記以外 8年 7年

また、現場で指揮する専任技術者以外に、事業所のシフトや経理などの業務を管理する管理責任者も各事業所に1名必要です。管理責任者は5年以上の経営実績(確定申告)が必要です。要件を満たせば、管理責任者と専任技術者は同一人物でも認められます。

解体業を始めるための流れ

解体業を行う営業所を契約する/法人を設立する

解体業を行うための営業所として不動産契約をしましょう。また、建設リサイクル法により営業所と解体工事の現場ごとに、一般の人へわかりやすい場所に標識(例、解体工事中です)を掲示しなければいけません。

解体業は個人事業主でも可能ですが、信用や節税を考慮して法人を設立する傾向があります。株式会社を設立するには、20万円程度の費用がかかります。

必要な資格を持つ人員を集める

管理責任者と専任技術者以外でも、以下のような工事を行う場合には資格者が必要です。どの資格保持者を何名雇うのかで、月間の人件費を算出します。

  • 建築物等の鉄骨の組立作業主任者
  • 車輌系建設機械運転技能講習」または「建設機械施工技術検定
  • 足場の組立て等作業主任者
  • 小型移動式クレーン運転技能講習

解体業または建築業の許可・登録を申請する

解体業または建設業の登録手続きを行います。個人での申請が難しいようであれば、専門の機関へ相談をしましょう。

申請の許可を受ける

国土交通大臣許可の場合は申請から4か月程度、都道府県理事許可の場合は1か月~1か月半で申請がおります。

⑤損害責任保険に加入後に事業の開始

解体業の受注が可能になるため、ホームページやビラなどで宣伝を行いましょう。また、解体業では事故やトラブルに備えて損害責任保険へ加入しておくことが求められます。

解体業を始めるために必要な資金

解体業を始めるためには、営業所の物件取得費(敷金や礼金など)と半年分の運転資金(家賃、人件費、光熱費、備品)が必要となります。

また、解体業の種類によって重機解体機が必要な場合と、人力でドライバー、バール、ハンマーなどが必要な場合があります。これらの道具を既に持っているのかどうかで開業に必要な資金は変わりますが、重機に関してはリースを利用すれば資金を抑えることが可能です。

事業の規模によっては、1,000万円程度は開業資金が必要です。

まとめ

解体業を始めるには、公的機関への申請や手続きが必要です。登録免許税や会社設立に30~35万円程度がかかり、重機や物件確保、人件費次第では600万円から800万円程度の資金が必要となります。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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