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接骨院の開業に必要な免許や資格を解説

接骨院を開業する場合、いくつかの免許や資格が必要となります。「すべての接骨院が必要となる免許」「建物の状況次第となる資格」などのさまざまな条件があるため、想定している接骨院の状況に応じた免許や資格を取得しなければなりません。

 当記事では、接骨院の開業に必要な免許や資格を解説します。必要な免許や資格を確認することにより、計画的に接骨院の開業準備を進められる可能性があるため、接骨院を開業したい人は必要な免許や資格を押さえておきましょう。

 必要となるのは柔道整復師

接骨院を開業する場合、必要となるのは「柔道整復師」の免許です。柔道整復師法の定めにより、接骨院を開業する人は柔道整復師の免許の取得が条件とされているため、まずは柔道整復師の概要を押さえておきましょう。

 【柔道整復師の概要】 

項目 概要
業務内容 ・症状の評価

・整復

・リハビリテーション

・指導管理

対応できる症状 ・骨折

・脱臼

・打撲

・捻挫 など

柔道整復師の業務内容は「症状の評価」「整復」「リハビリテーション」「指導管理」が挙げられます。医師が行う外科手術や投薬による治療とは異なり、柔道整復師は手技や包帯、テーピングなどを使用し、症状の回復を図る業務を行います。

 柔道整復師が対応できる症状は「骨折」「脱臼」「打撲」「捻挫」といった急性の外傷です。中には、施術に医師の同意が必要となる症状もありますが、これらの症状は保険適用での施術が可能です。

 なお、接骨院を開業する場合は開業後に保健所へ開設届を提出します。開設届を提出するときは保健所に柔道整復師免許の原本を提示することになるため、接骨院を開業したい人は予備知識として覚えておきましょう。

 柔道整復師の免許を取得する方法

柔道整復師の免許を取得するためには、国家試験に合格しなければなりません。国家試験の受験資格にも条件が定められているため、接骨院を開業したい人は柔道整復師の免許を取得する流れを確認しておきましょう。

 【柔道整復師の免許を取得する流れ

  1. 養成施設を卒業する
  2. 国家試験を受ける
  3. 免許を取得する

 まずは柔道整復師の受験資格を得るために、柔道整復師養成施設として認定されている学校に通うことになります。「厚生労働大臣が認定した専門学校」または「文部科学大臣が認定した大学や3年以上の短期大学」を卒業することにより、国家試験の受験資格が得られます。

 国家試験では「柔道整復理論」「解剖学」「整形外科学」「リハビリテーション医学」などの科目を受けることになります。筆記試験は200問の一般問題と50問の必修問題となり、合格基準は一般問題が6割以上、必修問題が8割以上とされています。

 なお、養成施設の中には、柔道整復師と鍼灸師の両方の国家試験の受験資格を得られる施設もあります。相応の費用はかかりますが、開業後の施術メニューを増やせる可能性があるため、接骨院を開業したい人は選択肢のひとつとして検討してみましょう。

 原則必要となるのは施術管理者

接骨院を開業する場合、原則として必要となるのは施術管理者の要件を満たすことです。接骨院の療養費の一部を患者に代わって保険組合に請求する「受領委任」を行う場合は、接骨院に施術管理者が必要となるため、まずは施術管理者の概要を押さえておきましょう。

 【施術管理者の概要】

項目 概要
業務内容 療養費の受領委任の取扱いを管理する

施術管理者は療養費の受領委任にかかる取扱いの管理者です。接骨院だけでなく「はり」「きゅう」「あん摩マッサージ」の施術所は受領委任が認められていますが、受領委任を行う場合は施術所に施術管理者を設置しなければなりません。

受領委任は施術後に患者が一部負担金を施術所に支払い、施術管理者が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する制度です。受領委任を行う場合は開業地を管轄する地方厚生局に「受領委任を取扱う旨の届出」「確約書」などの書類を提出することになります。

なお、受領委任を行わない場合は原則として「償還払い」になります。患者が全額を接骨院に支払った後、患者自身が保険適用分の費用を保険組合に請求することになるため、接骨院を開業したい人は原則として受領委任を取り扱うことを念頭に置いておきましょう。

 施術管理者の要件を満たす方法

施術管理者の要件は「実務経験」と「研修受講」があります。それぞれの要件を満たさなければ、施術管理者として認められないため、接骨院を開業したい人は施術管理者の要件を満たす方法を確認しておきましょう。

 【施術管理者の要件

項目 概要
実務経験 2024年3月までに届出する場合は2年間の実務経験が必要

2024年4月以降に届出する場合は3年間の実務経験が必要

研修受講 連続した2日間で計16時間の研修を受ける

施術管理者の要件のひとつは実務経験です。要件を満たすためには「受領委任の取扱いを行う登録施術所」や「保健医療機関」で規定された実務経験年数を積むことにより「実務経験期間証明書」の交付を受けることになります。

施術管理者の要件のひとつは研修受講です。要件を満たすためには「公益財団法人柔道整復研修試験財団が実施する施設管理者研修」を受講することにより「施術管理者研修修了証」の交付を受けることになります。

なお、施術管理者研修修了書の交付の時期は受講後2週間程度です。施術管理者研修を受講するときは申し込みが必要となるため、接骨院を開業したい人は受領委任の届出予定日から逆算して、受講の申し込みをすることも検討してみましょう。

 建物の条件次第となるのは防火管理者

接骨院を開業する場合、建物の状況次第で必要となるのは防火管理者の選任です。消防法の規定に該当する場合は防火管理者の有資格者を選任することになるため、まずは防火管理者の概要を押さえておきましょう。

 【防火管理者の概要】

項目 概要
業務内容 ・消防計画の作成

・防火のために管理上必要な業務を計画的に行う

要否条件 ・飲食店や病院など複数の施設が入る建物の場合は収容人数が30人以上

・接骨院だけの建物の場合は収容人数が50人以上

防火管理者は火災防止や火災による建物の被害を防止するための責任者です。業務内容は「消防計画の作成」「避難施設の管理」「消防用設備の維持管理」「消火訓練の実施」など、防火管理上必要な業務を行うことです。

防火管理者の要否は建物の収容人数次第です。飲食店や病院など複数の施設が入る建物では収容人数が30人以上の場合、接骨院だけの建物では収容人数が50人以上の場合は防火管理者の選任が必要となります。

なお、防火管理者の資格は「甲種」と「乙種」に分けられます。500㎡以上の場合は甲種」「500㎡未満の場合は甲種または乙種」など、建物の面積に応じて資格区分が異なるため、接骨院を開業したい人は開業予定地を管轄する消防署に確認してみましょう。

防火管理者の資格を取得する方法

防火管理者の資格を取得するためには、防火管理者講習を受ける方法があります。学識経験者や防火に関する有資格者は受講が免除されることもありますが、接骨院を開業予定の人は防火管理講習の概要を確認してみましょう。

 【防火管理講習の概要

項目 概要
受講期間 1日~2
講習内容 ・防火管理の意義および制度

・火気管理、施設や設備の維持管理

・防火管理に係る訓練および教育

・防火管理に係る消防計画 など

防火管理講習の受講期間は取得する資格の区分次第です。乙種防火管理講習の場合は1日(約5時間)、甲種防火管理講習の場合は2日(約10時間)となりますが、講習時間は会場の利用可能時間や地域性を踏まえた重点内容によって異なることがあります。

 また、主な講習内容は「防火管理の意義および制度」「施設や設備の維持管理」「防火管理に係る訓練および教育」などが挙げられます。受講後に実施される効果測定に合格することにより、防火管理者の資格を取得できます。

なお、防火管理講習は都道府県や市町村が実施しています。申し込み方法や講習内容は会場によって異なる可能性もあるため、接骨院を開業予定の人は開業予定地を管轄する消防署に問い合わせることも検討してみましょう。

 差別化につながる可能性のある免許や資格も押さえておく

接骨院を開業する場合、柔道整復師以外の免許や資格も取得することにより、競合する接骨院と差別化できる可能性があります。施術メニューの幅を広げられることも考えられるため、差別化につながる可能性のある免許や資格も押さえておきましょう。

 【免許や資格の例】

項目 取得方法
はり師・きゅう師 鍼灸の養成課程のある大学または専門学校にて3年以上知識と技能を学び、国家試験に合格すること
認定アスレティックトレーナー 柔道整復師の免許取得者は講習会を受講し、規定の単位を取得すること

たとえば、「はり師」や「きゅう師」の免許を取得した場合、鍼灸院を併設できます。はり師ときゅう師は「腰痛症」「五十肩」「神経痛」など、慢性的な疾患に対して施術ができるため、鍼灸院を併設することにより、他院と差別化できる可能性があります。

また、「認定アスレティックトレーナー」の資格を取得した場合、スポーツに関する施術の技術や知識を高められます。「スポーツリハビリ」「スポーツテーピング」「スポ―ツ救急法」など、専門知識を得ることにより、他院と差別化できる可能性があります。

なお、今回紹介した免許や資格は一例です。これらの他にも開業後の経営に役立つ免許や資格は考えられるため、接骨院を開業したい人は施術や経営に関する免許や資格を取得することも検討してみましょう。

まとめ

接骨院を開業する場合、必要となるのは柔道整復師の免許です。柔道整復師法の定めにより、接骨院を開業する人は柔道整復師の免許の取得が条件とされているため、まずは柔道整復師の概要や取得する方法を押さえておきましょう。

また、原則として必要となるのは施術管理者の要件を満たすことです。受領委任を行う場合は施術管理者が必要となるため、受領委任を行う予定の人は実務経験や研修受講の要件を満たさなければなりません。

そして、建物の状況次第で必要となるのは防火管理者の選任です。建物の収容人数が消防法の規定に該当する場合は防火管理者の有資格者の選任が必要となるため、接骨院を開業したい人は防火管理者の資格を取得する方法も確認しておきましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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