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デイサービス(通所介護)を開業するために必要な準備を解説
デイサービス事業所や介護事業所で働いている中で起業したいと考え、どんな準備が必要なのかを知りたい人もいますよね。通所介護事業を開業するための流れを知りたい人もいるでしょう。
デイサービスを開業するためには、厚生労働省が定めた基準を満たさなければ、自治体から指定を受けることができません。そのほか、開業するのには1,000万円以上の費用がかかります。
当記事では、デイサービスを開業するために必要な準備を解説します。
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デイサービスの開業では基準を満たすために人材の確保が必要
デイサービスの開業では厚生労働省が定めた基準を満たすために、人材の確保が必要となります。人員基準を満たしていないと、自治体から事業所としての認定が受けられないからです。
デイサービス事業所において必要となる人員は、「管理者」「看護職員」「介護職員」「機能訓練指導員」「生活相談員」です。デイサービスの利用定員数によって、それぞれの人数が定められています。
【デイサービス事業所における人員基準】
管理者 | 常勤1名以上 資格不要 |
看護職員 | 1名以上必要だが、常勤ではなくてもよい
利用定員が10名以下の場合は看護職員もしくは介護職員のどちらか1名 |
介護職員 | 利用定員が15名までの事業所では1名以上 介護職員または生活相談員のうち1人以上は常勤 資格不要 |
機能訓練指導員 | 1事業所ごとに1人以上 次の資格要件を満たしていれば、機能訓練指導員になることができる。(※) ・看護師または准看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 ・言語聴覚士 ・あん摩マッサージ指圧師 ・柔道整復師 ・鍼灸師 |
生活相談員 | 常勤1人以上 次の資格要件を満たしていれば、生活相談員になることができる。 ・社会福祉士 ・社会福祉主事 ・精神保健福祉士 ・介護福祉士 ・介護支援専門員 |
(※)機能訓練指導員は、看護師や理学療法士などの資格を持っていればなることができます。しかし、資格によっては機能訓練やリハビリの知識が不足している場合もあるため、提供するサービスによっては、リハビリテーションの専門職である理学療法士や作業療法士の資格を持つ人員を配置することが望まれます。
自治体によって基準が異なる場合があるため、開業予定地の自治体に問い合わせてから人員を決めるようにしましょう。
なお、開業後も指定更新時に実地指導があります。人員基準を満たしていない場合や虚偽の人員報告を行っていた場合は人員基準違反となり、事業所の指定の取り消しや減算、新規利用者の受け入れ停止、期限付きでサービス停止などの処分を受けるおそれがあります。
人員基準は開業時だけでなく、デイサービスを運営する上で常に満たさなければならないことを覚えておきましょう。
職種によっては兼務もできる
業務に支障がない範囲内であれば兼任ができます。
管理者であれば、他の職種との兼務ができます。また、看護師もしくは准看護師は、看護職員と機能訓練指導員の兼務ができます。
兼務することにより、人員基準を満たしやすくなる傾向がありますが、1人当たりの負担が増えてしまい、結果的に離職につながってしまうおそれがあります。
利用定員や提供するサービスに応じて、適切な人材を配置するようにしましょう。
デイサービスを開業するまでの流れ
デイサービスを開業するまでの流れとしては、次の通りです。
- コンセプトやサービス内容を決める
- 法人を設立する
- 自治体へ事前協議を行う
- 店舗物件を契約する
- 内装工事を行う
- 什器や備品等を購入する
- 新規指定前研修の受講する(東京都の場合)
- 自治体へ指定申請を行う
- オープン
指定が受けられないことがないように、自治体に要件を確認しながら準備を進めるようにしましょう。
コンセプトやサービス内容を決める
デイサービス事業所のコンセプトやサービス内容を決めましょう。コンセプトやサービス内容によって、雇う人材が異なる場合があるためです。
デイサービスは、利用者の目的によって「認知症対応型デイサービス」「機能訓練型デイサービス」「利用定員が19名未満の地域密着型通所介護(小規模デイサービス)」などがあります。
自身が勤務してきた中で感じたデイサービス事業所が担うべき役割を実現できるようなコンセプトやサービス内容にしましょう。確保できそうな人材からどういったサービスが提供できるかどうかを考えてみるのも良いです。
法人を設立する
デイサービス事業所を開業するには、法人を設立しなければなりません。介護保険サービス事業を行うために、法人格を有していることが要件になっているためです。
法人には「株式会社」「合同会社」「NPO法人」「一般社団法人」などがありますが、種類は関係ありません。法人の種類によって、設立費用や設立までにかかる時間が異なるため、法人を設立する際にはそれぞれの特徴を参考にしてみてください。
【主な法人の種類とそれぞれの特徴】
種類 | 特徴 |
---|---|
株式会社 | 他と比較すると、知名度が高い傾向にある
設立費用としては20数万円程度で、別途資本金が必要になる 2週間程度で設立できる |
合同会社 | 株式会社よりも初期費用を抑えて、設立できる
設立費用としては10万円程度で、別途資本金が必要になる 定款の認証がないため、株式会社よりも早く設立できる |
NPO法人 | 設立するためには最低でも10名以上が必要
設立費用は不要 都道府県の認可を受けなければ設立することができないため、設立するまでに6か月程度かかる場合がある |
一般社団法人 | 2人以上で設立できる
設立費用としては15万円程度で、資本金が不要 2~3週間程度で設立できる |
株式会社や合同会社は設立費用がそれぞれかかりますが、一人でも設立ができるため、株式会社もしくは合同会社が設立しやすい傾向があります。
初期費用を抑えたいのか、将来的に事業拡大を視野に入れるのかなどによって、選択する法人は異なります。介護事業に詳しい税理士や行政書士などの専門家に相談しながら進めるようにしましょう。
事業所となる物件を探す
事業所となる物件を探しましょう。場所によって利用者が集まるかどうかに影響する場合があるからです。
地域の高齢者人口や世帯数に加えて、周辺地域に「デイサービス事業所」「介護施設」「病院」などの施設数を考慮し、利用を検討してくれそうな人がどのくらいいるかどうかを調査したうえで物件を選定しましょう。
自治体の公式サイトに統計データが掲載されているため、自身で商圏調査を行うこともできます。また、商圏調査を専門としている業者もあるため、時間が限られている際は利用を検討してみましょう。
自治体によっては事前協議が必要
自治体によってはデイサービス事業所としての届出を行う前に事前協議が必要となります。
施設が行おうとしている内装工事が設備基準を満たしているかどうかを自治体が事前に確認して進めます。
自治体によっては必須ではなく、任意のところもあります。しかし、任意であったとしても、後で基準を満たしていないということがないように、自治体に事前相談してから準備を進めるようにしましょう。
設備基準を満たす内装工事を行う
設備基準を満たす内装工事を行いましょう。自治体から事業所としての認定が受けるためには、基準を満たす必要があるからです。
設備基準には「機能訓練室」「食堂」「相談室」「浴室」「トイレ」などの広さが確保できているか、安全に配慮されているかなどがあります。
設備基準を満たしていない場合、再度内装工事をし直さないといけなくなり、費用と時間がかかってしまいます。そのため、介護事業所の内装実績があって、設備基準にも精通している業者に内装工事を依頼すると良いでしょう。
自治体への指定申請を行う
都道府県または市町村に事業所の指定申請を行いましょう。指定申請とは、介護事業を行うにあたって、 都道府県や市町村に届け出て介護事業者としての指定を受けることを指します。
【指定申請時に必要となる書類(東京都の場合)の一例】
- 指定居宅サービス事業所・指定介護予防サービス事業所指定申請書
- 登記簿謄本
- 従業員の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 就業規則
- 事業所の平面図・建築図面
- 外観及び内部の様子がわかる写真
- 運営規定
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる処置の概要
- 介護給付算定に係る体制等に関する届出書
申請書類に不備があると、差し替えを求められ、指定が遅れる可能性があります。
また、申請書の様式は自治体の公式サイトからダウンロードできます。添付資料が変更される場合や提供するサービスで資料が異なる場合がありますので、自治体の公式サイトを確認するようにしましょう。
なお、下記フォームでは開業をお助けする手続きの内容を解説した資料を無料でお配りしています。これから開業の準備をしている人はダウンロードしてみてください。
開業に必要なガイドブック
資料ダウンロード東京都の場合は事前に研修の受講が必要
東京都の場合は、指定申請する前に研修の受講が必要です。研修では事業上関係する法令の説明や申請手続などを学ぶことができます。
新規指定前研修は東京都福祉保健局の公式サイトから申し込めるので、受講方法を確認してみてください。
デイサービスを開業するのに必要な費用
デイサービスを開業するには、次のような初期費用がかかります。
費用名 | 費用 |
法人設立費 | 10~20万円 |
物件取得費用 | 120万円 (家賃30万円で捕諸金/礼金2か月計算) |
改修工事費 | ~1,000万円 |
設備費 | ~200万円 |
車両費 | 100~300万円 |
提供するサービス内容によっても必要な費用は異なります。とくに入浴サービスを提供する場合は改修工事費用が高くなる傾向にあります。
初期費用のほかにも従業員の給与や当面の運転資金の準備が必要になります。デイサービスは介護保険から収入を得るビジネスモデルなので、開業してから3か月は収入を得ることができません。そのため、開業時には給与と運転資金は最低でも3か月分準備しておくと良いでしょう。
合算すると、デイサービスを開業する時は最低でも1,000万円以上、可能なら2,000万円程度の費用を準備しておくのが望ましいです。
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この記事の監修者
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
田原 広一(たはら こういち)
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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