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キッチンカーで必要な営業許可とは?開業時から更新までの手続きを解説

キッチンカーで必要な営業許可

キッチンカーでの開業を考えるときに最も重要なのが「営業許可」です。営業許可がないまま販売すると無許可営業となり、営業停止や罰則につながる可能性があります。

しかし「どの保健所に申請すればいいの?」「レンタルでも許可は必要?」「出店エリアが変わったらどうなる?」など、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、キッチンカー営業に必要な営業許可の基本から、取得の流れ、レンタルや複数自治体での出店といった特殊ケース、さらに開業後の更新や追加許可まで解説します。これからキッチンカー営業を始めたい方も、すでに開業している方も、ぜひ参考にしてください。

キッチンカー営業に必要な営業許可とは

キッチンカーで飲食物を販売するには、原則として「飲食店営業許可」が必要です。固定店舗と同じように、食品を取り扱う以上は衛生面を担保するための基準を満たさなければなりません。

営業許可が求められる理由は、食中毒や異物混入などを防ぐために、調理設備や給排水設備、手洗い場などがきちんと整っているかを保健所が確認する必要があるからです。移動販売だからといって例外があるわけではなく、むしろ限られたスペースで衛生管理を行うため、基準が明確にチェックされます。

ここで注意したいのは、営業許可と「開業届」は異なる手続きである点です。開業届は税務署に提出するものですが、営業許可は保健所が管轄します。キッチンカーの開業を考えるときは、両方の手続きが必要になることを理解しておきましょう。

なお、キッチンカーの開業にまつわる届け出についてを知りたい方は「キッチンカーを開業するときに必要な届出を解説」をご確認ください。

キッチンカーの営業許可を取得するために準備すべきこと

営業許可をスムーズに取得するためには、事前に整えておくべき条件があります。これを押さえていないと、申請が受理されなかったり、後から修正を求められる可能性があります。
代表的なのは 「食品衛生責任者の資格」と「仕込み場所」 の確保です。

食品衛生責任者の資格を取得しておく

営業許可の申請には「食品衛生責任者」の資格が必須です。講習を1日受ければ取得できますが、受講日程は限られているため、開業準備の早い段階で確保しておく必要があります。

資格の取得方法については別記事、「食品衛生責任者の資格の取り方」でまとめていますので、あわせてご確認ください。

調理や仕込み場所を確保しておく

キッチンカー内で調理が完結しない場合は、あらかじめ「仕込み場所」を確保しておくことも重要です。仕込み場所は、営業許可を受けている飲食店やシェアキッチンなどを利用する必要があり、保健所での確認も行われます。

仕込み場所の探し方や注意点については別記事「キッチンカーを開業するときに利用できる仕込み場所とはで詳しく紹介しています。

キッチンカーで営業許可を取得する流れ

キッチンカー営業の許可は、保健所に申請して審査を受けることで取得できます。大まかな流れは「事前相談 → 申請手続き → 実地検査」という3つのステップです。手続きの途中で必要書類や設備の不備があるとスケジュールが遅れてしまうため、全体像を把握しておくことが重要です。

資格証明や必要書類の提出を行う申請手続き

事前相談を経て内容が固まったら、営業許可の申請を行います。申請には、次のような書類や証明書が必要です。

  • 営業許可申請書
  • キッチンカーの設備図面や仕様書
  • 食品衛生責任者の資格証明書(修了証など)
  • 車検証の写し
  • 仕込み場所を利用する場合は、その営業許可証や契約書

必要書類は自治体によって異なるため、事前相談の際に必要書類についても確認しておきましょう。また、申請には数万円程度の手数料がかかります。目安としては16,000円~20,000円前後ですが、自治体ごとに金額が異なるため、必要書類と合わせて確認しておきましょう。

申請内容に不備があると再提出を求められる場合があります。再提出などによって開業スケジュールが遅れてしまう可能性もあるため、提出前にダブルチェックを行うなど余裕を持って準備を行いましょう。

設備や衛生管理に対する実地検査

申請書類が受理されると、保健所の職員による実地検査が行われます。検査では、以下のような設備や衛生管理が重点的にチェックされます。

  • 給水タンクと排水タンクの容量(給水より排水が多い容量であることが一般的)
  • 手洗い設備の有無と使いやすさ
  • 調理器具や食材を清潔に保管できるスペースがあるか
  • 食材と調理済み食品を分けて管理できるか
  • ゴミ箱や廃棄物処理の方法

さらに、近年はHACCPの考え方に基づく衛生管理を取り入れるよう指導されるケースも増えています。たとえば、温度管理の記録や調理手順の管理など、日常的な衛生管理体制についても確認されることがあります。

検査で基準を満たしていない場合は、その場で改善を指摘され、再検査になることもあります。開業スケジュールを遅らせないためにも、事前に設備や衛生管理の準備をしっかり整えておくことが大切です。

キッチンカーの設備に関しては、「キッチンカーの開業に必要な設備の揃え方を解説」に詳しく記載していますので、あわせてご確認ください。

レンタルキッチンカーで営業する場合の注意点

キッチンカーを購入せず、レンタル車両を利用して営業するケースも増えています。しかしレンタルの場合でも、営業許可の取得は必須です。営業許可証は「設備」だけでなく「営業者本人」に対して発行されるため、車両を借りているかどうかは関係ありません。

ただし、レンタルキッチンカーを利用する際には、以下のような注意点があります。

管轄保健所の確認が複雑になりやすい

レンタルの場合、「レンタル事業者の所在地」「営業者の住所」「営業予定地」が異なることがあります。この場合、どの保健所に申請するか迷いやすいため、必ず事前に確認しましょう。特に複数の自治体にまたがって営業する予定がある場合は、追加の許可が必要になるケースもあります。

車検証の名義が異なる場合の対応

申請には車検証の写しが必要ですが、車検証の名義がレンタル事業者になっていると、営業許可の申請が受け付けられない可能性があります。保健所によって取り扱いが異なるため、事前に相談して確認しておきましょう。

必要に応じて車検証の名義を変更することもありますが、この場合は手続きに時間がかかります。レンタル事業者と契約する前に、名義変更が可能かどうかを確認しておくと安心です。

出店場所によって追加の営業許可が必要になることも

営業許可は、基本的に「取得した自治体の管轄内」でしか有効ではありません。
たとえば東京都で営業許可を取得した場合でも、埼玉県や神奈川県で営業するには、それぞれの自治体で新たに許可を申請する必要があります。

特にキッチンカーは移動販売のため、県外で営業するというケースも想定されます。営業地域が複数にまたがる予定がある方は、あらかじめ追加申請の必要性を確認しておきましょう。

なお、地域のイベントやお祭りなど、一時的に出店する場合には「臨時営業許可」や「臨時出店の届出」で対応できるケースもあります。ただし、この扱いは自治体ごとに異なるため、必ず事前に確認が必要です。

一度許可を取ればどこでも営業できるわけではなく、出店場所ごとにルールが違うという点を理解しておくことが重要です。

開業後に必要な更新や追加許可

営業許可は一度取得すれば終わりではなく、開業後も更新や追加の手続きが必要になる場合があります。更新期限を忘れてしまうと無許可営業になってしまうリスクがあるため、あらかじめ流れを把握しておきましょう。

キッチンカー営業では「更新」と「追加許可」の2つが開業後のポイントになります。開業時だけでなく、運営を続けていく上でも保健所との連携を欠かさないことが大切です。

営業許可の有効期限と更新手続き

飲食店営業許可には有効期限があり、通常は5〜6年ごとの更新が必要です(自治体によって異なります)。有効期限の1〜2か月前になると更新手続きが始まりますが、期限を過ぎてしまうと再度新規申請が必要になることもあるため注意しましょう。

更新時にも簡易的な設備確認や書類提出が求められる場合があります。車両の設備を変更したり、劣化が進んでいたりすると再整備を指示される可能性もあるため、日頃から清潔な状態を保つことが大切です。

営業内容を変更する場合の追加許可

開業後にメニューを大きく変更する場合や、販売する食品のジャンルを広げる場合は、追加の許可が必要になることがあります。例えば、最初は「飲食店営業許可」で調理済み食品を販売していたが、後から「菓子製造」や「そうざい製造」にあたる商品を取り扱う場合は、新たに該当する許可を取得しなければなりません。

また、営業エリアを拡大して別の自治体で出店する場合も、改めて追加申請が必要です。営業計画を変更する際は、その都度保健所に確認するようにしましょう。

キッチンカー営業許可をスムーズに取得するために

キッチンカーで飲食物を販売するには、固定店舗と同じように「飲食店営業許可」が必要です。営業許可は仕込み場所や車両の設備、出店エリアによって手続きが変わるため、事前に保健所へ相談して確認することが欠かせません。

営業許可を取る流れは「事前相談 → 申請手続き → 実地検査」というステップで進みます。その中で、食品衛生責任者の資格取得や仕込み場所の確保といった準備も同時に必要になります。さらに、レンタルキッチンカーを利用する場合や複数の自治体にまたがって出店する場合には、追加の確認や申請が求められることもあります。

また、営業許可には有効期限があるため、更新を忘れないことも大切です。営業内容や販売地域を広げる際には、新たな許可が必要になるケースもあるため、開業後も継続して保健所とのやりとりが発生します。

キッチンカー営業をスムーズに始め、安定して続けていくためには、営業許可の仕組みを正しく理解し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることがポイントです。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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