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テイクアウト専門の飲食店を開業するには?

弁当屋さんや唐揚げ屋さんなど、飲食店を開業したいと考えている人の中には、テイクアウト専門店の開業を検討している人もいますよね。テイクアウト専門店を開業するには、どのような準備が必要なのかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、テイクアウト専門店を開業するにはどうすればいいのかを解説します。テイクアウト専門店の特徴についても説明しているため、テイクアウト専門店を開業予定の人は参考にしてみてください。

テイクアウト専門店を開業する場合も営業許可が必要

客席がある飲食店と同様、テイクアウト専門店を開業する場合も営業許可が必要です。保健所から営業許可を認められた場合には、テイクアウト専門店を開業できます。

区画や洗浄設備など、営業許可は所定の条件を満たすことにより取得できます。その際、必要となる営業許可はテイクアウト専門店の種類にもよるため、テイクアウト専門店を開業する際は営業許可の申請前に提供するメニューを考えておく必要があります。

たとえば、ケーキやパンなどを製造して販売する場合には、飲食店営業の許可に加え、菓子製造業の許可が必要となります。また、アイスクリームやアイスシャーベットなどを製造して販売する場合には、アイスクリーム製造業の許可が必要です。

既存の飲食店においては、新たに営業許可を取得せずともテイクアウトメニューを提供できる可能性があります。管轄の保健所により対応は異なるため、既存の飲食店がある場合には、販売予定のメニューをもとに保健所の担当者に相談してみましょう。

なお、営業許可に関する情報が知りたい人は、「飲食店の開業における営業許可の取得方法を解説」を参考にしてみてください。

テイクアウト専門店は自宅でも開業できる可能性がある

テイクアウト専門店は自宅でも開業できる可能性があります。食品衛生法では、施設基準を満たしていれば、自宅でも営業許可を取得できる場合があるからです。

たとえば、自宅の駐車場や庭を活用することにより、テイクアウト専門店を開業できる場合があります。自宅での開業なら店舗物件を借りる必要がないため、開業資金の一部を抑えられる可能性があります。

また、テイクアウト専門店はマンションやアパートなどの居住形態でも開業できる場合があります。事業利用が禁止されていることもありますが、事業利用が認められている可能性もあるため、自宅での開業を考えている人は管理規約を確認してみてください。

ただし、自宅で飲食店を開業する場合には、原則としてリフォームする必要があります。自宅の状況次第では、店舗と自宅の区画を分けつつ、店舗専用の調理場を設ける必要があるため、自宅での開業を検討する際は工事費用がかかる可能性を留意しておきましょう。

なお、自宅での開業が気になる人は、「自宅で飲食店を開業する場合のポイントを解説」も参考にしてみてください。

開業予定の人はテイクアウト専門店の特徴を押さえておく

テイクアウト専門店を開業予定の人は、テイクアウト専門店の特徴を押さえておきましょう。特徴を押さえておけば、テイクアウト専門店を開業するかどうかの判断軸にもなるため、テイクアウト専門店を開業予定の人はそれぞれの項目を確認しておきましょう。

【テイクアウト専門店の特徴】

  • 軽減税率制度が導入される
  • 食品表示が不要な場合がある
  • 店舗を持たないテイクアウト専門店もある

なお、これらはあくまで一例です。テイクアウト専門店を開業予定の人は、あくまでも一例としてそれぞれの特徴を参考にしてみてください。

軽減税率制度が導入される

テイクアウト専門店の特徴のひとつは、軽減税率制度が適用される点です。テイクアウトメニューを提供していない飲食店では、軽減税率制度が適用されないからです。

軽減税率制度とは、一部の商品に対して消費税8%が適用される税率制度のことです。消費税は令和元年に8%から10%に引き上げられましたが、一部の商品は従来の消費税8%が適用されています。

軽減税率制度の対象商品は「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」ですが、テイクアウト専門店のテイクアウトメニューは「酒類・外食を除く飲食料品」に該当するため、消費税8%が適用されることになります。

なお、店内飲食(イートイン)とテイクアウトの両方を提供する飲食店においては、軽減税理が適用される場合と適用されない場合があります。適用されない場合は消費税が10%となるため、気になる人は財務省の公式サイトにある「Q&A」を確認してみましょう。

食品表示が不要な場合がある

テイクアウト専門店の特徴のひとつは、食品表示が不要な場合がある点です。原材料名やアレルギー物質などを表示する義務を定めた食品表示法では、食品表示における例外も定めているからです。

食品表示法とは、食品の安全性や機能性に関する表示(食品表示基準)を定めた法律のことです。鮮食品や加工食品を問わず、食品を販売するときは、原則として「名称」「内容量」「保存方法」「原材料名」「期限表示」「製造者」などの食品表示が義務付けられています。

しかし、テイクアウト専門店のような対面販売する場合には、食材に関する説明が口頭でもできる関係上、例外として食品表示が不要となります。また、製造所と販売所が同じ施設や敷地の場合においては、原材料名や内容量など、一部の項目は表示する必要がありません。

なお、食品表示に関しては、調理場と販売先によっても異なります。調理場が店頭の場合は食品表示が不要ですが、調理場と販売先が異なる場合は食品表示が必要となるため、気になる人は消費者庁の公式サイトにある「早わかり食品表示ガイド(令和4年1月版・事業者向け)」の資料を確認してみましょう。

店舗を持たないテイクアウト専門店もある

テイクアウト専門店の特徴のひとつは、店舗を持たないテイクアウト専門店もある点です。テイクアウト専門店は客席を用意せずとも運営できる営業形態となるため、必ずしも店舗を設ける必要はありません。

たとえば、店舗を持たない営業形態には、キッチンカーを利用する方法があります。キッチンカーは店舗を持たないため、店舗物件を借りる必要がない点に加え、出店場所を変えられるといった特徴があります。

また、店舗を持たない営業形態には、ゴーストレストランもあります。ゴーストレストランは客席を持たず、クラウドキッチンを利用して開業することもできるため、従業員の人数が抑えられることにより、開業資金も抑えられる特徴があります。

ただし、店舗を持たない営業形態の場合も営業許可は取得することになります。キッチンカーやゴーストレストランなどの営業形態に関わらず、飲食店を開業するには、営業許可が必要となる点を留意しておきましょう。

テイクアウト専門店を開業する際に準備すること

飲食店を開業する際、テイクアウト専門店として開業したい人は、いくつか準備することがあります。テイクアウト専門店の開業を検討している人は、開業準備を進める前にそれぞれの項目を確認してみましょう。

【テイクアウト専門店を開業する際に準備すること】

  • 開業資金を把握する
  • 従業員数を把握する
  • メニューを開発する

なお、これらはあくまでも一例です。テイクアウト専門店を検討中の人は、あくまでも参考としてそれぞれの項目を確認してみてください。

開業資金を把握する

テイクアウト専門店を開業する際は、開業資金を把握しておきましょう。開業資金を把握しておけば、手間取ることなく開業準備を進められる可能性があるからです。

テイクアウト専門店を開業するには、「物件取得費用」「内外装工事費用」「厨房機器や備品の購入費用」などの費用が発生します。店舗の場所や物件によっても異なりますが、それぞれの費用の内訳を算出することにより、開業資金の目安を知ることは可能です。

また、テイクアウト専門店を運営するには、「仕入費用」「水道光熱費」「人件費」「家賃」などの運転資金も必要です。とくに、開業当初は想定している売上を上げられない可能性があるため、開業前から店舗を維持する運転資金を貯めることも検討する必要があります。

ただし、開業資金は想定しているテイクアウト専門店にもよります。立地や規模などの希望条件によっても異なるため、開業資金に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業資金はいくらかかる?平均と内訳を解説」を参考にしてみてください。

従業員数を把握する

テイクアウト専門店を開業する際は、従業員数も把握しておきましょう。必要となる従業員数は店舗の規模や調理の工程にもよりますが、従業員を雇用するかどうかは人件費や売上に関わる要因となるからです。

テイクアウト専門店は客席を設けずとも運営できる営業形態となるため、調理と会計の両方の役割をこなせるならば、必ずしも従業員を雇う必要はありません。人件費を削減できれば、その分の費用を内装工事費用や厨房機器費用に充てることもできます。

反対に、従業員を雇用することにより、店舗の回転率を上げられる可能性があるため、結果として売上につながることも考えられます。また、病気や怪我により自身が働けなくなったとしても、従業員がいる場合は店舗の休業を避けられる可能性があります。

ただし、従業員を雇用する場合には、税務署やハローワークなど、各所での手続きが必要となります。雇用に関する手続きを忘れてしまえば、罰則を課されるおそれもあるため、従業員の雇用を検討している人はその点を留意しておきましょう。

メニューを開発する

テイクアウト専門店を開業する際は、メニューも開発しておきましょう。とくに、テイクアウト専門店は客席を設けずとも運営できる営業形態となるため、テイクアウト向けのメニューを開発することが他店との差別化を図るひとつのポイントになります。

たとえば、お客さんが食べる場所や状況をイメージすることにより、テイクアウト向けのメニューを開発する上でのヒントになることも考えられます。お客さん目線のメニュー開発をすることにより、他店の差別化につながる可能性もあります。

また、テイクアウト向けのメニューを開発する際は、定番メニューを用意することにより、お客さんの認知につながる可能性もあります。季節や需要に合わせたメニュー開発も検討する余地がありますが、まずは定番メニューの開発に力を入れることもひとつの方法です。

なお、テイクアウト向けのメニューを開発する際は、包装や容器をこだわることも検討してみてください。包装や容器がお客さんの満足度に影響を与える可能性もあるため、他店との差別化を図りたい人は特注の包装や容器を準備することも考えてみましょう。

開業予定の人は賠償責任保険に加入することも検討する

テイクアウト専門店を開業予定の人は、賠償責任保険に加入することも検討してみてください。開業後は不測の事態が起こることも考えられるため、その対策のひとつとして賠償責任保険が挙げられます。

たとえば、不測の事態として考えられるのは、食中毒の発生です。食中毒が起きた場合は営業停止処分となる点に加え、お客さんから損害賠償を請求される可能性もありますが、賠償責任保険に加入していれば、その一部を補償してもらえる可能性があります。

また、飲食店の場合は火災が起きてしまうことも考えられます。まずは未然に防ぐ方法を考えることになりますが、賠償責任保険に加入しておくことにより、火災が起きたとしてもその一部を補償してもらえる可能性があります。

ただし、補償内容や加入条件は保険会社や保険の種類によっても異なります。食品衛生協会では、食品営業賠償共済を取り扱っているため、賠償責任保険に関する情報が知りたい人は食品衛生協会に相談することを検討してみてください。

まとめ

客席がある飲食店と同様、保健所から営業許可を認められれば、テイクアウト専門店を開業できる可能性があります。その際、事業利用が認められていれば、自宅でもテイクアウト専門店を開業できる可能性があります。

また、テイクアウト専門店を開業するかどうか迷っている人は、テイクアウト専門店の特徴から判断してみることも方法のひとつです。テイクアウト専門店は客席を設けずとも運営できる営業形態ですが、その他にもいくつかの特徴があります。

そして、テイクアウト専門店を開業することが決まっている人は、「開業資金を把握する」「従業員数を把握する」「メニューを開発する」といった点から準備を進めることを検討してみてください。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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