たこ焼き屋が開業後に失敗する理由と解決策を解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

飲食(飲食店・外食・デリバリー)

たこ焼き屋が開業後に失敗する理由と解決策を解説

2023年の飲食店の開業後の倒産数は768件※発生し、過去10年で最も少なかった2022年(452件)から1.7倍に増加しました。倒産の背景には、見通しの甘いまま開業したことが原因となる場合や、物価や人件費などの高騰のように想定外な出来事の発生が原因になる場合があります。

たこ焼き屋は、「他の飲食業と比較して原価が安い」「初期費用が低い」と考えられてきました。しかし、たこ焼き屋も他の飲食店と同様に物価高や人件費の高騰などの影響を受けることになるため、開業前にたこ焼き屋が失敗する原因を確認して対策しておく必要があります。

当記事では、たこ焼き屋が開業後に失敗する理由と解決策を解説します。自宅やキッチンカー、店舗などの販売形態ごとに失敗しやすいポイントも紹介するので、たこ焼き屋を開業したい人は、参考にしてみてください。

※参考:帝国データバンク倒産・動向速報

よくある失敗と解決策を確認して開業準備に活かす

たこ焼き屋を開業したい人は、前もって開業後によくある失敗とその原因や解決策を確認して開業準備に活かしてみましょう。あらかじめ失敗する原因を知り対策をしておくことで、開業後に問題が起こった際にスムーズ対応できるようになります。

【たこ焼き屋の開業でよくある失敗の例】

  • 原価が安いと思い込んで開業したが、実際は原価が高くて利益が少なくなった
  • 初期投資が大きくなり過ぎて、開業後の運転資金が少なくなり、営業できなくなった
  • 初期費用を抑えようと自宅で開業したが開業後の集客に苦戦した
  • 他店と差別化できなくて集客に苦戦した
  • 店舗やキッチンカーでリピーターがつかず集客に苦戦した

失敗の原因は大きく分けると、自店舗の準備不足が関連する「内的な原因の失敗」と、他店舗やお客さんに関連する「外的な原因の失敗」があります。自身の店舗に大きな問題がなくても失敗する場合もあるため、内的原因と外的原因の両方の失敗に対策しておくことが重要です。

物件の契約やフランチャイズへの加入など、開業後には変えにくいこともあります。たこ焼き屋を開業したい人は、開業準備を始める段階で、起こりやすい失敗やその原因、解決策を確認しておきましょう。

原価が安いと思い込んで失敗

たこ焼きの原価が安いと思い込んで開業しても、実際は物価高で原価が高くなっていて失敗する場合があります。利益は「売上ー(原価+経費)」で計算され、原価が高くなると利益が少なくなるからです。

【たこ焼きの材料の高騰の例】

2019年6月 2024年6月 比較
たこ(100g) 369円 478円 1.30倍
小麦(一袋) 266円 338円 1.27倍
ネギ(1㎏) 715円 826円 1.16倍

※参考:「e-Stat 小売物価統計調査」を基に株式会社SoLaboが作成
2019年と2024年では、たこ焼きの材料となる「たこ」「小麦」「ネギ」がそれぞれ値上がりしていて、値上げ幅の高いたこの価格は3割増しになっています。売上が同額でも、原価が増えると原価が増えた分だけ利益が減るため、近年の方が利益が出にくくなっていると言えます。

原価が安いと思いたこ焼き屋を開業しても、物価高の影響で想定より利益が少なくなり失敗することがあります。仕入先を決める段階で利益がどれくらい出そうかを計算することが解決につながるので、原価が高いときは仕入値の交渉や材料毎の仕入先の見直しをしてみましょう。

なお、廃棄ロスが増えると原価が余分にかかり、利益を圧迫することになります。そのため、原価を下げる施策だけでなく、廃棄ロスが減るように、在庫管理や仕入管理などの施策も考えてみてください。

初期投資を大きくし過ぎて失敗

初期投資が大きくなり過ぎて、開業後の運転資金が少なくなり、営業できなくなる場合があります。特に店舗を構えてたこ焼き屋を開業する際は、開業前に初期費用の想定をしていないと開業後に資金不足になることもあるため、初期費用の項目や金額を確認してみましょう。

【たこ焼き屋の開業資金の例】

項目 概要 金額 営業形態
開業資金 物件取得費 物件の契約に必要な費用。家賃10ヵ月分が目安 100万円~300万円程度 店舗
車両購入費 キッチンカーの購入に必要な費用 160万円~500万円程度 移動販売
内装工事費 お店や自宅、キッチンカーの内装や施工工事に必要な費用 100万円~520万円程度 共通
道具、設備費 たこ焼きを焼くための道具、厨房設備、什器・備品などの費用 20万円~120万円程度 共通
広告宣伝費 お店の宣伝や集客のための費用 10万円~30万円程度 共通
採用費 従業員を雇う場合の求人にかかる費用 0円~10万円程度 主に店舗
運転資金 仕入費、家賃、ガソリン代など営業するためにかかる費用。半年分が目安 120万円~510万円程度 共通
フランチャイズ※ 加盟料、保証金、研修費、ロイヤリティなど 100万円~300万円 共通

※フランチャイズへの加盟は任意

たとえば、店舗でたこ焼き屋を開業する場合、物件取得費や内装工事費、人件費などの初期費用で230万円~980万円程度かかります。店舗の広さに比例して物件取得費や内装工事費も高くなるため、小さい面積の店に比べて大きい面積のたこ焼き屋は、開業費用も高くなります。

また、開業後の運転資金は、6ヶ月分を想定して開業前に準備しておくことをおすすめします。開業直後は売上が不安定になりやすいため、軌道にのるまでの期間分の運転資金を用意しておくと「資金不足で営業できない」という失敗を防ぐことにつながるためです。

大きな店舗でたこ焼き屋を開業する場合やフランチャイズに加盟したい場合は、初期費用がかさみ、開業資金が足りなくなり失敗することがあります。開業資金の項目や金額を開業準備を始める段階で確認することが解決につながるので、まずは資金調達の計画を立ててみましょう。

なお、たこ焼き屋の開業資金の詳細を知りたい人は、「たこ焼き屋の開業資金はいくら必要?資金調達方法も解説」を参考にしてみてください。

お客さんが来なくて失敗

たこ焼き屋を開業する際の初期費用を抑えようと自宅や店舗で開業しても、想定より集客が出来ずに失敗する場合があります。初期費用を抑えることは開業後の運転資金を確保する上で重要であるものの、集客できない立地で開業すると売上が伸びない可能性があるからです。

たこ焼き屋を開業する際の立地選びのポイントは、来店してくれそうなお客さんがどれだけいるかを確認することです。開業予定地が住宅地であれば周辺の世帯数、駅前であれば駅の利用者数、大通り沿いであれば交通量というように立地に合わせて潜在顧客の数を確認します。

たとえば、自宅でテイクアウト専門のたこ焼き屋を開業する場合、どれくらいの世帯があるか、潜在顧客の規模を確認します。一方で、駅前の大通りから少し外れた場所に店舗を構える場合、駅の利用者数やお店の前の通行人数を確認することになります。

初期費用を抑えるために自宅や賃料の安い店舗で開業する場合、集客できない立地では売上が伸びずに失敗することがあります。立地を決める際は、ターゲットとなるお客さんがどれくらいいるのかを確認してみましょう。

なお、フランチャイズに加盟する際、フランチャイズからもらった集客予想の資料と実態が乖離する場合もあります。そのため、必ず開業者自身で出店予定地を訪れ「昼と夜」「平日と土日」など複数の時間帯で集客ができそうかを確認してみてください。

他店と差別化できなくて失敗

たこ焼き屋で開業する際、他店と差別化できなくて集客に苦戦し失敗する場合があります。たこ焼きは、製作工程や材料がシンプルであるため、メニューや価格などを意識的に工夫しないと差別化が難しいためです。

【たこ焼き屋を差別化する際のポイント】
・焼き方
・トッピング
・材料
・価格
・営業時間

開業予定地を決めたら、周辺の他の店舗が提供するたこ焼きの焼き方や材料、トッピングなどを確認し、差別化できるメニューを考案します。たとえば、他店が安さを追求したお店の場合、国産小麦や出汁など材料にこだわった高単価のメニューで差別化します。

また、他店と営業時間をずらすのも一つの手です。たとえば、大通り沿いでたこ焼き屋を開業する場合、早朝や深夜に働くトラックの運転手をターゲットにした、早朝や深夜帯で営業することで、他の店と差別化できます。

たこ焼き屋で開業する際、差別化ポイントを意識的に作らないと独自性がないため集客に苦戦し失敗する場合があります。他店のメニューやコンセプトを知ることが解決につながるため、まずは開業予定地の周辺にある他店舗を訪れて調査してみましょう。

なお、立地を決める際には周囲に競合となる他の店が少ない場所を選ぶことも一つの手です。その際、たこ焼きと違う食べ物でも競合になりえるため、たこ焼きだけでなく、クレープやたい焼きなど、ターゲットが重なりそうなお店の情報も確認してみてください

再来店してもらえなくて失敗

開店後に新規顧客は獲得できたものの、リピーターがつかず長期的な集客に苦戦して失敗する場合があります。特に販売場所を移動するキッチンカーは、店舗での販売に比べてリピーターの獲得が難しいため、再来店をしてもらうための方法を検討しておきましょう。

【リピーターを獲得するための施策例】

  • 定番メニューの味を追求する
  • お客さんに飽きられないように新商品を定期的に開発する
  • お客さんの好みを覚えて前回と違う商品を提案する
  • 営業時間や営業場所を来店時にお客さんの目に入る場所に掲示しておく
  • SNSや公式サイトで営業時間や営業場所を告知する
  • 営業時間や営業場所を固定する

たとえば、キッチンカーの場合、時間と場所を自由に変えて販売できる魅力があります。一方で、販売場所が不定期すぎるとお客さんが再来しにくいため「火曜日は公園」「水曜日は駅前」など、曜日や場所を一定期間は固定して販売することがおすすめです。

リピーターを獲得できない失敗の原因は、主に「再来店するほどの魅力あるメニューがない」「いつどこで営業しているか分かりにくい」の2点です。そのため「リピーターを意識したメニューの開発」「営業時間や場所の告知」を意識してリピーターを獲得してみましょう。

開業までの流れ

たこ焼き屋が開業後に失敗する原因と解決策を確認した人は、開業までの流れもおさえておきましょう。開業までの流れをおさえておくことで、いつ失敗しないように対策するかを想像しやすくなるためです。

【たこ焼き屋を開業するまでの流れ】

開業の流れの図

たとえば、物件探しをするタイミングで、他店舗との差別化や潜在顧客の調査をすることで、集客に問題のありそうな地域での開業を防げます。また、仕入先を決めるタイミングで利益を計算しておくことで、原価が利益を圧迫しないかを確認できます。

たこ焼き屋を開業するまでの流れとたこ焼き屋の開業後によくある失敗の両方をおさえておくことで、どのタイミングで何に意識しながら開業準備を進めればよいかを確認できます。たこ焼き屋を開業したい人は、全体の流れとよくある失敗とその解決策を確認して開業準備を進めてみましょう。

まとめ

あらかじめ、開業後によくある失敗の原因を知り対策をしておくことで、開業後に問題が起こった際にスムーズ対応できるようになります。また、たこ焼き屋を開業するまでの流れと開業後のよくある失敗の両方をおさえておくと、何を意識しながら開業準備を進めればよいかが明確になります。

たこ焼き屋を開業したい人は、よくある失敗とその原因、解決策を確認して開業準備を進めてみましょう。

 

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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