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ケーキ屋の開業に必要な営業許可の種類を解説

ケーキ屋を開業する際に必要な許可は営業許可です。営業許可には複数の種類があり、提供する商品や提供方法など、商売のやり方に合わせて必要な営業許可は変わります。
当記事では、ケーキ屋を開業する際に申請する営業許可について解説します。営業許可の種類や申請方法を紹介するので、営業許可をとる準備をしたい人は参考にしてみてください。

ケーキ屋の開業に必要な許可は営業許可

ケーキ屋の開業に必要な許可は営業許可です。販売する商品や販売方法によって必要な営業許可の種類は変わるため、提供する商品や提供方法をイメージしながら営業許可の種類を確認してみましょう。

【営業許可の種類】

営業許可の種類 提供方法 提供する商品の例
菓子製造業 製造して販売 ケーキやゼリーなどの生菓子、サブレやスコーンなどの焼菓子、パンや和菓子など
アイスクリーム類製造業 製造して販売 アイスクリーム、アイスシャーベット、アイスキャンデーなど
食品の小分け業 小分けして販売 クッキーやマシュマロなどのお菓子を小分けにして包んだもの
密封包装食品製造業 密封して販売 ジャムやコンポートなど、常温保存できる瓶詰
複合型冷凍食品製造業 冷凍して販売 ケーキを製造し、その後冷凍したもの
飲食店営業 店内で調理して提供 ケーキは自社で作らず完成品を仕入れて、カフェのメニューの1つとしてケーキを販売するとき
※ケーキを製造しないため菓子製造業は不要

たとえば、店舗でケーキを作って販売し、販売したケーキと飲み物を店内で食べられるようにしたい場合、必要になる営業許可は「菓子製造業」のみです。食品衛生法の改正により令和3年6月から「飲食店営業」の許可がなくても、コーヒーや紅茶を提供できるようになったためです。

また、EC(ネット販売)で、製作したケーキを冷凍して販売したい場合、必要になる営業許可は「菓子製造業」「複合型冷凍食品製造業」です。一方で、ECでクッキーなどを個袋で発送する場合は、「菓子製造業」「食品の小分け業」が必要になります。

必要になる営業許可の種類は保健所ごとに見解が分かれる可能性もあります。提供する商品や販売方法が決まったら、事前に開業予定地を管轄する保健所に相談しておきましょう。

なお、営業許可を取得せずに営業を開始すると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金になる場合もあるため、開業前に営業許可を取得できるよう準備を進めましょう。

提供する商品や提供方法によって営業許可の費用は異なる

提供する商品や提供方法によって営業許可の申請にかかる費用は異なります。許可ごとに手数料が設定されていて、営業に必要な許可の数だけ費用が加算されるからです。

たとえば、東京都でケーキ屋を営業する場合、手数料は「菓子製造業25,100円」です。一方で、東京都でケーキ屋を営業し、さらに冷凍してECでも販売する場合、「菓子製造業25,100円」+「複合型冷凍食品製造業35,200円」の計60,300 円が手数料としてかかります。

提供する商品や提供方法によって営業許可にかかる手数料は異なります。許可にかかる手数料を知りたい人は、開業後のイメージをしてから、必要になる許可の種類や手数料を確認してみましょう。

なお、東京都や千葉県など、各都道府県ごとに営業許可の手数料は設定されています。そのため、手数料を調べたい人は、開業予定地の所属する都道府県の公式サイトを確認しましょう。

営業許可は保健所で取得できる

営業許可は保健所で取得できます。営業許可は開業前に取得しておく必要があるため、営業許可を取得するまでの流れとタイミングを確認しておきましょう。

【営業許可を取得するまでの流れ】

流れ タイミング
事前相談 施設の工事着工前および設備購入前
申請書の提出 施設工事完成予定日の10日くらい前
施設完成の確認検査 施設工事完成後
交付 施設の確認検査後。開店日までに交付されるよう調整する

営業許可を申請するためには、まず事前相談が必要です。事前相談では施設の設計図や設備の仕様などを打ち合わせすることになるため、工事業者から図案がもらえた段階で保健所に事前相談すると手戻りが少なくなります。

また、開店日までに営業許可を取得できるよう、開店日から逆算して事前相談するタイミングを決めることになります。その際、工事にかかる期間や、検査後から交付までの期間で時間がかかることを考慮して計画しておくと、計画が大幅に崩れることを防げます。

営業許可は、申請すればすぐに取得できるものではありません。営業許可を取得したい人は、開店日を見据えて、早めに保健所に相談しましょう。

なお、自宅で開く場合も同様に営業許可を取得するための手続きが必要です。自宅で開く場合も新たに工事が必要な場合もあるため、自宅でケーキ屋を開きたい人も早めに保健所に相談するようにしてみてください。

保健所に事前相談をする前に営業許可の要件を確認しておく

営業許可を取得したい人は、保健所に事前相談をする前に営業許可の要件を確認しておきましょう。営業許可を得るための要件は物件や設備、資格に関わるものであるため、準備に時間がかかるからです。

【営業許可の要件】

  • 食品衛生責任者を置く
  • 施設基準を満たす

たとえば、施設基準を満たすために、施設基準に沿った機能を持つオーブンや冷蔵庫などの設備を用意することになります。また、物件を選ぶ際は、設備基準を満たせる広さのある物件を選ばなければなりません。

営業許可の要件は、物件選びや設備の購入、内装工事などにも関わります。営業許可を取得したい人は、事前に営業許可の要件を確認しておきましょう。

食品衛生責任者を置く

営業許可の要件の1つは「食品衛生責任者を置く」ことです。そのため、食品衛生責任者の資格を持っていない場合は、食品衛生責任者の資格を取得することになります。

食品衛生責任者の資格は、食品衛生協会が主催する養成講習会に参加することで取得できます。その際、「食品衛生学」「食品衛生法」「公衆衛生学」などの講習科目を受講し、講義の理解度や知識の定着度を確認するための修了試験に合格する必要があります。

営業許可を取得するためには、食品衛生責任者を置く必要があります。食品衛生責任者の講習は1日あれば受けられるため、事前に食品衛生責任者の資格を取得しておきましょう。

なお、製菓衛生士や調理師など、特定の資格を保有していれば、養成講習会の受講が免除されます。食品衛生責任者の取得方法の詳細を知りたい人は、「ケーキ屋の開業に必要な資格を解説」を参考にしてみてください。

施設基準を満たす

営業許可の要件の1つは「施設基準を満たす」ことです。施設基準はすべての営業許可で共通する基準と、営業許可の種類によって個別で設定された基準があるため、それぞれの基準を確認しておきましょう。

【施設基準の例】

分類 概要
共通
  • 冷蔵、冷凍、殺菌、加熱などの設備には、温度計を備えて必要に応じて計量器を備える
  • 便所の設置は作業場に汚染の影響を及ぼさない構造にする
  • 手指を洗浄する設備には手指を再汚染しない水栓を用いる
  • 共用による汚染を防ぐため食材用と器具用で洗浄スペースを分ける
  • 材料を適切な温度で保存できるよう設備と場所を用意する
  • 壁紙は拭けるようにナイロン製等のものを使う(布製は認められない場合もある)
  • 従業員の着替えるスペースを確保する
菓子製造業
  • 材料や製品を保管するために必要に応じて冷蔵庫や冷凍庫を置く
  • 「包装作業場」「製造作業場」など、作業区分に応じて区画すること
アイスクリーム類製造業
  • ろ過、殺菌、冷却、充填、包装、凍結に必要な設備を用意する
  • 材料や製品の保管、製品の製造のための場所や設備を用意する
複合型冷凍食品製造業
  • 材料や製品の保管、製品の製造のための場所や設備を用意する
  • 製品がマイナス15度以下に管理できる冷凍庫や保管室を用意する

たとえば、すべての種類の営業許可で、作業場に汚染の影響を及ぼさない構造にする必要があるため、トイレは作業場に隣接させない構造にします。そのため、営業許可を取りたい人は、物件を選ぶときや内装工事を行う際に、トイレの位置を確認する必要があります。

営業許可を取得するためには、施設基準を満たす物件や設備が必要です。とくに物件は契約すると変更しにくいため、物件の契約前に施設基準の確認をしておきましょう。

なお、保健所によって施設基準への見識は異なります。具体的なことは開業予定地を管轄する保健所に確認しましょう。

まとめ

ケーキ屋の開業には営業許可が必要です。開店日に営業許可がない場合、罰則を受ける可能性もあるため、開店日に間に合うようにスケジュールを組むことをおすすめします。

営業許可には複数の種類があり、提供する商品や提供方法によって申請する営業許可は異なります。また、申請する営業許可によって手数料や要件が変わるため、商売のイメージを明確にしてから必要になる営業許可の種類を確認してみてください。

営業許可を得るためには「食品衛生責任者の設置」「施設基準」の要件を満たす必要があります。物件選びや設備の購入、内装工事など時間を要する準備にも関わるため、早めに要件を確認しておきましょう。

 

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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