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バーの開業に必要な設備を解説

バーの開業に必要な設備を準備する際は、開業後の運転資金確保も考え、まずは費用をおさえて最低限必要な設備を導入することをおすすめします。また、設備を導入する際は「営業許可」の基準を満たす設備を選ぶ必要があります。

当記事では、バーの開業に必要な設備を解説します。最低限必要となる設備の種類や導入費用の目安、導入方法も解説していくので、開業前に必要な設備を調べている人は参考にしてみてください。

バーの開業に最低限必要な設備の種類を確認する

バーの開業に向けて設備を導入する際は、開業に向けて最低限必要になる設備を考えて準備していきましょう。 バーを開業してから経営が軌道に乗るまでは、運転資金に余裕を持って営業できることが好ましいため、初期投資はなるべくおさえておきたいからです。

【バーの開業に必要な設備の例】

厨房設備
  • 冷蔵庫、冷凍庫
  • 製氷機
  • 作業台
  • コールドテーブル
  • シンク
  • 洗浄機
  • コンロ(IH/ガス)
  • 換気扇
  • 収納棚(食器、グラス類)
  • 手洗い場
客席の設備
  • エアコン
  • 照明
  • カウンター、椅子
  • ディスプレイ棚
  • 照明
その他の設備
  • レジ
  • LED電飾看板
  • おしぼりウォーマー

開業に最低限必要な設備を考える際は、1日の営業の流れを想定しながら何が必要になるかを確認してみましょう。「仕込み」「提供」「会計」などの場面ごとに区分けして必要な設備を考えてみることで、抜け漏れに気づきやすくなります。

また、想定した設備の中で開業時に必須かどうか迷うものに関しては、あとで買い足すことが可能であれば保留にしておきましょう。たとえば、浄水器や空気清浄機などは家電量販店やホームセンターでも購入でき、複雑な施工を要するものでもないため、必要に応じて買い足すことが可能です。

バーの開業前は、開業後の運転資金のことも視野に入れ、稼働するために最低限必要な設備を購入しましょう。開業している同業者から話を聞くことや、いくつかのバーに出向き、実際に設置されている設備を見てくることなどでも、設備を選ぶ際の参考にしてみてください。

開業するバーのコンセプトによって必要な設備を確認する

コンセプトバーを開業する場合は、コンセプトによって必要な設備を確認しましょう。コンセプトに沿った営業を行うためには、特有の設備が必要となることが想定されるためです。

【コンセプトによって必要な設備の一例】

コンセプト 導入する設備の例
ダイニングバー オーブンやフライヤーなどの調理機器
ダーツバー ダーツ台やビリヤード台など
カラオケバー カラオケ機材、周辺機器など
スポーツバー 大型テレビ、プロジェクターなど
シガーバー ダクト式換気扇や天井埋め込み型換気扇などの換気設備
ワインバー ワインセラー
カフェバー エスプレッソマシン 

コンセプトならではの設備を導入する際は、設備によって店舗の工事が必要となる可能性があります。たとえば、ダーツ台やビリヤード台を導入する際は、床の補強工事が必要な場合があります。また、カラオケを導入する際は、防音設備を施すことも想定されます。

開業するバーのコンセプトに特化した設備を導入する際は、設備の導入に伴い店舗の工事が必要かどうかも確認しておきましょう。工事が必要な場合には、設備の購入価格に付随してかかる工事費もあわせて資金計画を立てましょう。

営業許可を取得できる基準で設備を選ぶ必要がある

設備を導入する際は、営業許可を取得できる基準のものを選びましょう。飲食店を開業する場合は保健所による営業許可の検査を受ける必要があり、検査の基準に満たない設備を設置している店舗には営業許可が下りないためです。

【営業許可に関わる設備の条件と導入例】

営業許可で定められた条件 条件にあわせて導入する設備の例
屋外からの汚染を防止する 換気扇、防塵フィルター
バーの営業に必要な設備と機械器具を設置する 冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、作業台、コールドテーブル、シンク、洗浄機
酒類、食材などを取り扱う量に応じた十分な広さを有する グラス、食器類を収納できる収納棚、提供に十分な広さのカウンターやテーブル
空気の流れを管理する設備を設置する 換気扇、エアコン
異なる作業が交替で行われる場合は適切な洗浄消毒を行う 2層シンク、給湯器、洗浄器
酒類や食品を衛生的に取り扱うための冷蔵または冷凍設備を用意する 業務用冷蔵庫、冷凍庫、コールドテーブル、ワインセラー
原材料を適切な温度で保管するための設備を用意する 温度計付き冷蔵庫、パントリー、ボトルラック
従業者の手洗いのための流水式手洗い設備を適切に設置する 手洗い用シンク、消毒用ジェルディスペンサー

たとえば、食器やグラス類などの収納棚に関しては「扉がついている」「ほこりがたまらない」「掃除がしやすい」の検査項目を満たす必要があります。また、シンクは2層以上のものを設置し、水と熱湯の両方が出る水栓を取り付けてある必要があります。

バーで使う設備を導入する際は、営業許可の基準を満たす設備である必要があります。導入する設備のサイズや扉の開き方の方向なども確認し、作業中の怪我や事故を回避できる導線を考えて設置することを留意しておきましょう。

設備にかかる費用の概算を把握する

バーの開業に向けて導入する設備にかかる費用の概算を把握しておきましょう。必要な設備や備品の費用を把握しておくことで、準備しておく開業資金の目安をつけやすくするためです。

【バーの設備にかかる費用の例】

共通の設備例
設備の項目 価格の目安 機能の例
冷蔵庫 20万円~250万円 4ドア、冷蔵冷凍機能、温度計付き
コールドテーブル 15万円~145万円 150mm、冷蔵タイプ、温度計付き
製氷機 10万円~120万円 アンダーカウンタータイプ、スタックオンタイプ、スライド扉タイプ
シンク 2万円~15万円 2層式シンク、蛇口付き
洗浄機 12万円~66万円 アンダーカウンタータイプ、10人分
コンロ IH:3万円~100万円
ガス:2万円~55万円
2口、IH/ガス
換気扇 3万円~10万円 業務用
エアコン 30万円~150万円 6~10馬力、13~36坪用 天井埋め込み、壁掛けタイプ
収納棚 1万円~10万円
3万円~8万円
幅150m未満
作業台一体型
おしぼりウォーマー 1万円~2万円 業務用
電飾付看板 5万円~10万円 LED、置き型、壁付け型
バーカウンター 30万円~200万円 4m、10~12名
椅子 4万円~20万円 10脚
ディスプレイ棚 3万円~50万円 照明付き、~幅180cm、高さ~200cm
照明 10万円~50万円 10坪~30坪 ダウンライト、ペンダントライト、ブランケットライト
レジ 端末:無料~20万円
月額:無料~3万円
POSレジ導入費(スマレジ、タブレット)
コンセプトバーの設備例
設備の項目 価格の目安 機能の例
ダーツ台 3万円~150万円 業務用、ハイエンドダーツ台
カラオケ 50万円~150万円 本体、周辺機器、設置費
ワインセラー 6万円~55万円 30本~50本収納用
大型テレビ、プロジェクター 30万円~100万円
3万円~50万円
テレビ:55~60インチ4k~70インチ8k

プロジェクター:標準~4k高画質

換気設備(タバコ、シガー) 1万円~5万円
3万円~10万円
天井埋め込み型換気扇
ダクト式換気扇

たとえば、製氷機には10万円から120万円までの価格の幅がありました。製氷能力が25㎏〜75㎏のサイズや製氷量をカスタマイズできる機能など、設備のスペックによって価格の幅があるため、店舗の規模や営業形態にあわせて使いやすいものを選ぶことをおすすめします。

また、バーカウンターの価格には、30万円から200万円までの価格の幅がありました。既製品かオーダーかによって価格は異なり、オーダーの場合はさらに選ぶ素材やデザインによってこだわりがあればあるほど高額になる傾向が見られます。

導入する設備が決まったら、設備費用の概算を把握することで開業資金の目安がつきやすくなります。設備の価格帯を確認したい場合は、導入したい設備の条件を決めてから各メーカーの製品を比較検討してみましょう。

なお、設備導入の際は設置費用が別途必要になることが考えられます。複数の業者に見積もりを依頼する場合は、設置費用も含めて金額を確認しておきましょう。

設備の価格は導入方法によって変わる

設備の価格は、導入方法によって変わってきます。導入方法によって設備の価格や
状態、選べる幅なども変わるため、それぞれの導入方法を確認しておきましょう。

【設備の導入方法と特徴】

導入方法 特徴
新品を購入
  • 購入時の価格が高い
  • 品質や保証の面で安心
  • 選択肢が豊富
中古品を購入
  • 購入時の価格が安い
  • 品質はものによる
  • 条件にあう商品と出会えない場合もある
リースを契約
  • 初期費用は低くなる
  • 品質やメンテナンスの面は安心
  • 資産にはならない
居抜きの設備を利用
  • 備え付けの設備には費用がかからない
  • 品質は悪い場合もあるため確認が必要
  • 物件とともにすぐに使える
  • 状態により利用できない場合は廃棄費用がかかる可能性もある

新品の商品を導入する場合は、品質が良く万が一不具合が見つかった場合の保証もあるため、安心して利用できます。一方で、開業資金の中から高額な金額を捻出することになるため、予算にあわせて購入できるものを選ぶ必要があります。

リースを契約する場合は、初期費用をおさえて設備を導入できます。一方で、リースの設備は自分で購入した資産ではないものの、契約によっては故障の際に修理費用がかかることや契約期間の縛りなどもあるため、契約内容の確認が必須です。

バーの設備の導入方法は、購入するかリースにするかで費用に差が出ます。故障のリスクが気になる設備は新品の商品を購入し、費用をおさえたい場合や故障の心配がない什器類は中古品の購入やリースで利用する方法なども検討してみましょう。

なお、居抜き店舗の設備をそのまま利用する予定の場合は、安全に作動するかや営業許可の基準を満たしているかなどの確認を早い段階で済ませておきましょう。

まとめ

バーの開業に必要な設備を導入する場合は、稼働するために最低限必要な設備を考えて準備していきましょう。その際は、営業の流れを考えつつ、厨房設備や客席の設備などに分けて必要となるものを順に確認してみてください。

また、導入する設備は保健所から営業許可を取得できる基準のものを選んで用意しなければなりません。衛生面と安全面の基準を満たし、導線を確保できる設備を導入しましょう。

設備の導入方法には、新品や中古品の購入にくわえ、リース契約や居抜きの設備をそのまま利用する方法などが考えられます。導入方法によって費用や品質が異なるため、状況に合わせて導入方法を検討する必要があります。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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