焼き鳥屋を開業するときの届出を解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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焼き鳥屋を開業するときの届出を解説

焼き鳥屋を開業する場合、いくつかの届出が必要になります。必要となる届出は、すべての焼き鳥屋が対象のものと、状況次第で対象となるものに分けられます。

当記事では、焼き鳥屋を開業するときに必要な届出を「必須のもの」と「状況次第で必要なもの」に分けて解説します。最後に焼き鳥屋が開業するときの届出を一覧にしたものもの紹介するので、焼き鳥屋を開業したい人は、届出の概要と申請方法を確認してみてください。

すべての焼き鳥屋に必要な届出

すべての焼き鳥屋に必要な届出には、開業したことを税務署に知らせる届出と、防火対象として建物に入居することを消防署に知らせる届出があります。届出によって提出先や申請時期が異なるため、それぞれの届出の概要を確認しておきましょう。

【すべての焼き鳥屋に必要な届出】

項目 どういう場合に必要か 提出先 申請時期
開業届(個人事業の開業・廃業届出書) 個人事業主として開業する場合 税務署 開業日から1か月以内
事業開始等申告書 個人事業主として開業する場合 自治体の税事務所 事業の開始等の事実があった日から1か月以内
所得税の青色申告承認申請書 これから開業する人で青色申告を希望する場合 税務署 青色申告承認申請書による申告をしようとする年の3月15日まで
火を使用する設備等の設置届出書 施設内に厨房設備、炉、高圧の変電設備などをもつ場合 管轄の消防署や消防局、消防本部 設置する7日前まで
防火対象物使用開始届 居抜きや複合用途ビルで開業する場合 防火対象物を管轄する消防署 建物を使用する日の7日前まで
防火対象物工事等計画届出書 工事を行い、店舗内装や避難経路を変更する場合

届出をする際は、書類の準備だけでなく、郵送にかかる時間や窓口に赴き提出する時間もかかる場合があります。焼き鳥屋の開業に必要な届出を期限内に提出できるよう、焼き鳥屋の開業準備をする際は、届出にかかる時間も計画に入れてみてください。

なお、焼き鳥屋の開業を法人としてする場合は、個人事業主とは異なる書類が必要となります。「法人設立届出書」や「源泉所得税関係の届出書」など、法人で必要な書類を知りたい人は、国税庁の公式サイトを確認してみてください。

開業届(個人事業の開業・廃業届出書)

開業届は、開業する個人事業主が焼き鳥屋を管轄する税務署に提出する届出です。開業届を提出すると、税務署へ「所得税を納めます」という意思表明をすることになります。

「開業届」の名称は略称で、正式名称は「個人事業の開業・廃業届出書」です。正式名称から分かるように、焼き鳥屋を開くときは開業届を提出し、廃業するときは廃業届を提出する仕組みとなっています。

【開業届の届出に関する概要】

該当する飲食店の条件 個人事業主として開業する人
法的根拠 所得税法
届出場所 納税を管轄する税務署
提出期限 開業日から1か月以内
届出方法 窓口へ持参、郵送、電子申請
提出書類 開業届、マイナンバーの番号が確認できるもの
注意点
  • 郵送で申請する際は控えを残す
  • 雇用保険の受給中に開業届を提出すると、受給できなくなることがある

開業届の申請書は国税庁の公式サイトからダウンロードできます。ダウンロードできる様式はWordまたはPDFとなり、Wordの場合は電子申請で送付する際に直接記入し、PDFの場合は印刷して手書きで記入できます。

また、開業届の提出先は焼き鳥屋が納税する地域を管轄する税務署です。たとえば、千葉県市川市で焼き鳥屋を開業する場合は、市川税務署に提出することになります。

開業届を届け出なくても特に罰則はありませんが、所得税法で個人事業主は提出する決まりとなっています。開業届は、事業に関する補助金や融資など、資金調達をする際の申請書類として指定されることもあるので、焼き鳥屋を開業する際は納税する地域の税務署へ開業届を提出しましょう。

事業開始等申告書

事業開始等申告書は、開業する個人事業主が各都道府県税事務所に提出する届出です。「開業届」は国税を支払うと宣言する書面であるのに対し、「事業開始等申告書」は地方税を支払うと個人事業主が宣言する書面になります。

【事業開始等申告書の届出に関する概要】

該当する飲食店の条件 個人事業主として開業する人
法的根拠 所得税法、消費税法
届出場所 納税する地域の各都道府県税事務所
提出期限 事業の開始等の事実があった日から1か月以内
届出方法 窓口へ持参、郵送
提出書類 事業開始等申告書、本人確認書類(郵送の場合は写し)
注意点
  • 提出方法は都道府県によって異なる事がある

事業開始等申告書の様式は、各都道府県で異なるため「事業開始等申告書 都道府県名」で検索すると見つかります。たとえば、東京都の場合は「事業開始等申告書 東京都」と検索すると、事業開始等申告書をダウンロードできる「事業を始めたとき・廃止したとき」というWEBページが表示されます。

事業開始等申告書の手続きは、各都道府県により管轄の自治体や書式の取得方法が異なるので、あらかじめ調べておく必要があります。事業開始等申告書の提出は、焼き鳥屋がある地域の隣接地域へ申請することもあるので、留意しておきましょう。

所得税の青色申告承認申請書

所得税の青色申告承認申請書は、これから開業する人で青色申告を希望する場合に必要な届出です。家族が従業員の場合の給与を経費にしたり、最大65万円の青色申告特別控除を受けたりしたい場合は、青色申告をすることになるので、概要を確認しておきましょう。

【所得税の青色申告承認申請書に関する概要】

該当する飲食店の条件 これから開業する人で青色申告を希望する人 または
現在白色申告をしていて青色申告に切り替える人
法的根拠 所得税法
届出場所 納税地の税務署
提出期限 青色申告承認申請書による申告をしようとする年の3月15日まで
届出方法 窓口へ持参、郵送、電子申請
提出書類 所得税の青色申告承認申請書
注意点 期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになる

たとえば、焼き鳥屋の従業員として家族が働き、毎月20万円の給与を支払う場合、青色申告承認申請書を提出して受理されると、事業者は年間で240万円の給与を経費として計上できます。売上から経費を引いた所得に税金がかかるため、家族の給与を経費にできると節税につながります。

所得税の青色申告承認申請書は、これから開業する人で青色申告を希望する場合に必要な届出です。青色申告には最大65万円の特別控除もあるので、焼き鳥屋を開業する際は忘れずに青色申告承認申請書を提出するようにしましょう。

なお、所得税の青色申告承認申請書は国税庁の公式サイトからダウンロードできます。青色申告承認申請書には「簡易簿記」と「複式簿記」を選択する箇所がありますが、簿記の知識がある場合は複式簿記、そうでない場合は簡易簿記を選択してください。

火を使用する設備等の設置届出書

火を使用する設備等の設置届出書は、施設内に厨房設備や炉、高圧な変電設備などをもつ事業者が対象の届出です。一般的に焼き鳥屋は店内に厨房設備を設けるため、開業前に火を使用する設備等の設置届出書を提出する必要があります。

【火を使用する設備等の設置届出書に関する概要】

該当する飲食店の条件 以下に該当する飲食店

  • 固体燃料を使用する炉
  • 据付け面積1㎡以上の炉
  • 排気取入口から下方に排気する方式の厨房設備
  • 前3以外の厨房設備(入力の合計が120kW未満のものは除く)
  • 温風暖房機(風道を使用しない温風暖房機は、入力が70kW未満のものを除く)
  • 壁付き暖炉
  • ヒートポンプ冷暖房機(入力が70kW未満のものを除く)
  • ボイラー(ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)第3条に定めるボイラー及び入力が70kW未満のものを除く)
  • 給湯湯沸設備(入力70kW未満のものを除く)
  • 火花を生ずる設備
法的根拠 消防法
届出場所 管轄の消防署や消防局、消防本部
提出期限 設置する7日前まで
届出方法 窓口へ持参、郵送、電子申請
提出書類
  • 火を使用する設備等の設置(変更)届出書
  • 各種概要表
  • 炉、温風暖房機、ヒートポンプ冷暖房機、ボイラー、乾燥設備、給湯湯沸設備概要表
  • 厨房設備概要表
  • 改修(計画)報告書
注意点
  • 添付する書類は「設備の概要表」「配置図」「立面図」「設備の設置場所の平面図」「展開図」「構造図」などです。
  • 届出後、工事が完了して火を使用する設備の使用を開始する前に、消防署の検査を受ける必要があります。

たとえば、炭火焼きをする焼き鳥屋の場合は、黒炭と焼き機が「固体燃料を使用した火気設備」となります。また、バーナーを使う焼き鳥屋の場合は、バーナーが「火花を生ずる設備」としてみなされる可能性があります。

火を使用する設備等の設置届出書を提出する条件の1つに、厨房内の電力が350キロワット以上であるかという基準もあるため、焼き鳥屋に複数設置されたガスコンロも届出の対象となります。そのため、焼き鳥に使う肉の下ごしらえをする際に使うガスコンロも、複数設置する場合は確認が必要です。

火を使用する設備等の設置届出書は、全ての火を使用する設備に義務付けられています。焼き鳥屋を開業する際は、火を使用する設備等の設置届出書の手続きをするように心がけてください。

なお、火を使用する設備等の設置届出書は、各自治体や消防署の公式サイトからダウンロードできます。「火を使用する設備等の設置届出書 地域名」といったキーワードで火を使用する設備等の設置届出書の様式を探してみましょう。

防火対象物使用開始届

防火対象物使用開始届は、工事をせずに開業するすべての店舗が対象となる届出です。雑居ビルや商店街の一角など、複数の店舗が集まる場所に出店する事業者は必ず提出することになります。

【防火対象物使用開始届に関する概要】

該当する飲食店の条件 複合用途ビルにテナントとして入居するすべての飲食店
法的根拠 各市町村の火災予防条例
届出場所 防火対象物を管轄する消防署
提出期限 建物を使用する日の7日前まで
届出方法 防火対象物を管轄する消防署に申請する
提出書類 防火対象物使用開始届、防火対象物・製造所等の概要表、改修(計画)報告書※
※検査で指摘事項があった場合のみ使用
注意点
  • 届出後は使用開始前に消防署の検査を受ける必要がある
  • 未提出の場合は罰則対象となる

たとえば、駅前ビルの一角で6月10日から焼き鳥屋の開店準備をする場合、防火対象物使用開始届の提出は6月3日までに行います。防火対象物使用開始届の提出は建物を使用する1週間前までが期限であるためです。

焼き鳥屋を開業する際は、忘れずに防火対象物使用開始届を提出しましょう。届出をせずに開店準備を進め、故意に届出をしなかったことを隠ぺいする場合は、消防法令違反として罰則の対象となることもあると留意しておきましょう。

なお、防火対象物使用開始届を提出してから店舗の使用開始日までの期間は、あまりに短いと消防署から検査を受ける際に日程を調整しづらくなります。防火対象物使用開始届を提出する際は、時間に余裕を持ちなるべく早めに提出してください。

防火対象物工事等計画届出書

防火対象物工事等計画届出書は、事業者が店舗の集合する場所に出店し、店舗内装工事や模様替えを行う際の届出です。防火対象物工事等計画届出書が提出されると、消防署は店舗が集まる建物の内部も把握でき、より消防活動がしやすくなります。

【防火対象物工事等計画届出書に関する概要】

該当する飲食店の条件 複合ビルにテナントとして開業し、店舗等の修繕、模様替え、間仕切り変更等の行為をする人
法的根拠 各市町村の火災予防条例
届出場所 防火対象物を管轄する消防署
提出期限 使用を開始する日の7日前まで
届出方法 窓口へ持参、郵送、電子申請
提出書類 防火対象物工事等計画届出書、防火対象物・製造所等の概要表
注意点 届出を出さないと法律違反となり、罰則の対象となります。罰則は、軽い場合でも30万円から50万円以下の罰金、もっとも重い場合は300万円以下(法人の場合は3,000万円以下)の罰金や、懲役の可能性もあります。

たとえば、中古物件を改装して6月10日に開業する焼き鳥屋の場合、内装工事を5月10日に開始すると、防火対象物工事等計画届出書は5月3日までが提出期限です。

防火対象物工事等計画届出書は、事業者が店舗の集合する場所に出店し、店舗内装工事や模様替えを行う際の届出です。「防火対象物使用開始届」と同様に、提出期限は店舗設備を使用する1週間前までなので一緒に準備しましょう。

なお、焼き鳥屋の内装を内装業者や建設業者に依頼する場合は、防火対象物工事等計画届出書の提出が不要となる場合があります。提出が免除される可能性があるので、防火対象物工事等計画届出書の提出をする際は、改装工事を依頼する業者が防火安全技術の資格を持っているのかを確認してみましょう。

また、防火対象物工事等計画届出書の提出は、防火安全技術者が事前確認した場合に一定の条件下で免除されます。防火安全技術者は建築工事業や電気工事業などに携わる業者のうち、防火安全技術講習を受講した人が取得できる資格です。

状況次第で必要になる届出

焼き鳥屋の状況次第で必要な届出必要な届出には、従業員を雇う際に必要な届出や深夜に酒を提供する際の届出があります。すべての焼き鳥屋で必要になる資格ではないため、届出が必要になる状況を確認しておきましょう。

【状況次第で必要になる届出】

届出が必要となる状況 届出の名称
従業員を雇う際に必要な届出
  • 青色事業専従者給与に関する届出
  • 社会保険
  • 労働保険
  • 保険関係成立届
  • 給与支払事務所等の開設届出書
収容人数30人以上の店舗で営業する際に必要な届出
  • 防火管理者選任届出書
深夜に酒を提供する際に必要になる届出
  • 夜における酒類提供飲食店営業開始届出書

焼き鳥屋を開業するにあたっては、お店の規模や営業時間によって提出することになる届出があります。小規模で従業員を雇わない場合や営業が深夜0時を回らない場合は必要ないものの、それ以外では必要になるため、それぞれの概要を確認しておきましょう。

従業員を雇う際に必要な届出

従業員を雇う際に必要になる可能性のある届出は、従業員が「家族」か「家族以外」かによって変わります。いずれにしても従業員に関する届出をしないと、届出を提出することが遅れた理由を記載した書類や、過去の実績を証明するデータを提出する可能性があるため、届出の概要を確認しておきましょう。

【従業員を雇う際に必要な届出】

項目 どういう場合に必要か 提出先 申請時期
共通
給与支払事務所等の開設届出書 従業員を1人でも雇う場合 国税庁の公式サイト 開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
家族を従業員として雇う場合
青色事業専従者給与に関する届出 家族を青色専業者として申告する場合 国税庁の公式サイト 申告をしようとする年の3月15日まで
他人を従業員として雇う場合
労働保険概算保険料申告書 従業員を雇う場合は必須 ・労働基準監督署
・都道府県労働局
・所定の金融機関
従業員雇用開始の翌日から50日以内
保険関係成立届 1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある人がいる場合 所轄の労働基準監督署または厚生労働省の公式サイト 法律上両者の間で保険関係が成立した日の翌日から起算して、10日以内
雇用保険適用事業所設置届 会社を設立して従業員を雇用した場合や、それまでは雇用保険の強制適用対象ではなかった事業所が従業員数の増加などで新しく強制適用の対象になった場合 管轄のハローワーク窓口またはハローワークインターネットサービス 適用事業に該当(労働者を雇用する事業を開始)した日の翌日 から起算して 10日以内
雇用保険被保険者資格取得届 以下の条件の従業員を雇う場合:

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること
  • 学生でないこと
管轄のハローワーク窓口またはハローワークインターネットサービス 被保険者となった日の属する月の翌月10日まで
社会保険 <焼き鳥屋を経営する事業者が法人の場合>
従業員の有無の関わらず必須
<焼き鳥屋を経営する事業者が個人事業主の場合>
従業員の有無に関わらず任意
日本年金機構 雇用開始から5日以内

たとえば、従業員を雇う場合、給与支払事務所等の開設届出書の届出が必要です。その際、家族と家族以外の従業員が両方いるときは、両方の手続きに関する届出を提出することになります。

焼き鳥屋の開業時に従業員を雇う際は、「給与支払事務所等の開設届出書」と雇用する従業員に応じた届出をすることになります。従業員に関する届出は種類が多いので、開業準備とあわせて計画的に提出しましょう。

なお、給与支払事務所等の開設届出書は提出しない場合もあります。個人事業主で開業届を既に税務署に提出している人、および、会社設立時にあわせて給与支払事務所等の開設届出書を提出した人は、再度の提出は不要なので留意してください。

収容人数30人以上の店舗で営業する際の届出

収容人数30人以上の店舗で営業する際の届出として、防火管理者選任届出書が必要となります。収容人数には来店客の数だけでなく従業員の数も含まれるので、焼き鳥屋の開業をしたい人は防火管理者選任届出書の概要を確認しておきましょう。

【防火管理者選任届出書に関する概要】

該当する飲食店の条件 防火対象物全体の収容人数が30人以上の建物で営業する
法的根拠 消防法第8条の2
届出場所 管轄の消防署
提出期限 特に定められていませんが、移転先に入居する日までに提出することが目安
届出方法 窓口へ持参、郵送、電子申請
提出書類
  • 防火・防災管理者選任(解任)届出書 2通
  • 選任される方の防火・防災管理講習修了証(手帳)

※コピー可

注意点 防火・防災管理者選任(解任)届出書は、正本と副本として同じものを2通提出する

たとえば、焼き鳥屋の店舗の客席数が25席で、店長や従業員で5名の従業員がいる場合、収容人数が30人以上とみなされるため、防火管理者選任届出書の提出が必要です。

焼き鳥屋を開業したい人は、席数だけでなく従業員数も収容人数に含めて計算することになります。
焼き鳥屋の1坪あたりの客席数を1.5〜2席と考えると、店舗面積が20坪程度の焼鳥屋は防火管理責任者選任届出書を提出する対象となる可能性があるため、収容人数を確認しておきましょう。

なお、防火管理者選任届出書は各自治体や消防署のWEBサイトからダウンロードできます。たとえば、東京で焼き鳥屋を開業する場合は、「火を使用する設備等の設置届出書 東京」といったキーワードで届出の様式を探してみましょう。

また、防火管理者選任届出書を提出するには、事前に防火管理責任者の資格を持つ防火管理者を選ぶ必要があります。防火管理責任者の資格について確認したい人は「焼き鳥屋の開業に必要な資格を解説」を参考にしてください。

深夜に酒を提供する際に必要になる届出

深夜0時〜早朝6時に酒を提供する焼き鳥屋は、夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書を提出します。営業時間が深夜0時過ぎまであり、ビールや日本酒などの酒類を提供する焼き鳥屋は深夜酒類提供飲食店営業開始届の概要を確認してみましょう。

【深夜に酒を提供する営業に必要な届出】

該当する飲食店の条件 深夜(午前0時から午前6時)に営業を行い酒を提供する
法的根拠 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)
届出場所 営業所のある地域を管轄する警察署
提出期限 営業開始の10日前まで
届出方法 ①飲食店営業許可を取る
②管轄の警察を経由して、都道府県公安委員会に提出する
提出書類
  • 夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書(別記様式第47号)
  • 営業の方法を記載した書類(別記様式第48号)
  • 店舗の平面図
  • 住民票(本籍記載のもの。外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
  • 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の住民票
注意点
  • 飲食店許可証の記載情報と同一であるかを確認する。
  • 客室の床面積や証明など、既定の設置基準を守っているか確認する。

たとえば、1週間の中で土曜日のみ深夜1時まで酒を提供する場合、夜における酒類提供飲食店営業開始届出書の提出が必要になります。一方で、営業時間を22時までと決めている場合は、夜における酒類提供飲食店営業開始届出書を提出する必要はありません。

深夜0時〜早朝6時に酒を提供する焼き鳥屋は、夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書を提出することになります。開業後の営業時間は、お客さんのニーズに合わせて柔軟に変更することもあるため、明確に営業時間を決めていない場合はあらかじめ届け出ておくことをおすすめします。

なお、夜における酒類提供飲食店営業開始届出書を提出する際は、飲食店営業許可を取得する時と同様、店舗の平面図が必要です。他の届出と異なり、夜における酒類提供飲食店営業開始届出書の提出先は管轄の警察署となるので留意しましょう。

焼き鳥屋を開業するときに必要な届出の一覧

焼き鳥屋の開業における届出の一覧表を確認すると、漏れなく届出を提出できます。焼き鳥屋の開業準備をしている人は参考にしてみてください。

【届出の一覧表】

項目 提出先 提出期限 提出条件
すべての焼き鳥屋に必要な届出
個人事業の開業・廃業届出書 納税を管轄する税務署 開業日から1か月以内 必須
事業開始等申告書 各都道府県税事務所 開業日から1か月以内 必須
所得税の青色申告承認申請書 納税地の税務署 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで 青色申告を希望する場合は必須
火を使用する設備等の設置届出書 管轄の消防署や消防局、消防本部 設置する7日前まで 炉や排気取入口から下方に排気する方式の厨房設備、サウナなどがある場合は必須
防火対象物使用開始届 防火対象物を管轄する消防署 建物を使用する日の7日前まで 複合用途ビルにテナントとして入居する場合は必須
防火対象物工事等計画届出書 防火対象物を管轄する消防署 使用を開始する日の7日前まで 複合ビルにテナントとして開業し、店舗等の修繕、模様替え、間仕切り変更等の行為をする場合は必須
状況次第で必要になる届出(従業員を雇う際に必要な届出)
項目 提出先 提出期限 提出条件
防火管理者選任届出書 管轄の消防署 特に定められていませんが、移転先に入居する日までに提出することが目安 防火対象物全体の収容人数が30人以上の建物で営業する
雇用保険被保険者資格取得届 事業所を管轄するハローワーク 雇用した日の翌月10日まで 以下の条件の従業員を雇う場合:

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある
  • 学生でない
労働保険 公共職業安定所(ハローワーク) 雇用した日の翌月10日まで 従業員を1名以上雇い、以下の条件に該当する

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること
保険関係成立届 所轄の労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク) 法律上両者の間で保険関係が成立した日の翌日から起算して、10日以内 1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある人がいる場合
社会保険 焼き鳥屋の所在地を管轄する年金事務所 雇用開始から5日以内 <焼き鳥屋を経営する事業者が法人の場合>
従業員の有無の関わらず必須
<焼き鳥屋を経営する事業者が個人事業主の場合>
従業員の有無に関わらず任意
夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書 営業所のある地域を管轄する警察署 営業開始の10日前まで 深夜(午前0時から午前6時)に営業を行い酒を提供する

届出を提出しないと罰則を受ける届出もあります。届出によって提出のタイミングは異なるため、開業しようと考えている焼き鳥屋の規模や営業時間などの条件に必要な届出を確認して、提出期限をスケジュールにいれておきましょう。

まとめ

焼き鳥屋を開業する際にすべての人が必要な届出は、「火を使用する設備等の設置届出書」や「個人事業の開業・廃業届出書」など6種類あります。焼き鳥屋は厨房設備を備えて焼き鳥を販売するため、法に則り、消防署への届出や税務署への届出が必要となるためです。

焼き鳥屋の開業に必要な届出は、食品衛生や火の使用に関する場合、提出期限は営業開始前10日までとなる事がほとんどです。必要な届出を出してから焼き鳥屋を営業しないと、罰金や罰則の対象となりますので、忘れずに期日までに提出するようにしてください。

なお、焼き鳥屋の開業には許可の他にも「食品衛生責任者の資格」や「飲食店営業許可」などの許認可が必要です。焼き鳥屋の開業に必要な許認可は、「許可」「資格」「届出」の3つに分かれているので、開業する際は「許可」「資格」「届出」で何が必要になるのかもあわせて確認してみましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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