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キッチンカーで補助金は使える?開業前・開業後の支援制度を解説

キッチンカーでの開業や事業拡大では、資金面に不安を感じることもあるのではないでしょうか。
実は、キッチンカーのようなビジネスでも、条件を満たせば国や自治体の補助金・助成金を活用できるケースがあります。ただし、多くの補助金・助成金は「後払い(事後清算)」が原則です。つまり、先に自己資金で支出し、その後に精算する流れとなるため、あらかじめ計画的に準備しておく必要があります。
本記事では、開業前に使える補助金、開業後に使える補助金をそれぞれ解説し、申請の流れや注意点までわかりやすくご紹介します。
開業前に使える補助金制度
国の補助金制度の多くは、すでに開業している事業者を対象としています。そのため、開業準備中の段階で申請できる補助金は限られています。もし開業資金に補助金を活用したいと考えている場合は、自治体が提供する「創業支援」系の補助金・助成金を中心に探してみるのがおすすめです。
例えば、東京都や名古屋市などでは、創業予定者向けに事業契約書や見積書をもとに、開業準備にかかる費用の一部を補助してくれる制度があります。
補助金の公募は年に数回に限られていることが多く、募集時期や期間も短いためこまめに情報収集しておくことが重要です。開業予定地の自治体公式サイトを定期的にチェックしておきましょう。
【東京都】創業助成事業
東京都の創業助成事業は、都内の開業率の向上を目的としており、東京都内で創業予定の個人または創業後5年未満の中小企業者を対象に、対象の経費の一部を助成するという制度です。
キッチンカーを明示的に対象としているわけではありませんが、事業内容や経費の種類によっては補助対象となる可能性があります。詳細は公式サイトをご確認いただき、申請前に申請対象かどうかをしっかり確認してください。
なお、申請要件は「東京都・公社の創業支援」を事前に受けている必要あり(申請開始時から3ヶ月以上)の支援受講が条件となります。
※2025年7月22日現在の情報です。
【名古屋市】スタートアップ企業支援補助金
名古屋市では、市内に本社または主たる事業所を構える創業者に対し、事業立ち上げにかかる費用の一部を補助する「スタートアップ企業支援補助金」を設けています。
補助対象には審査があるため、事業計画書・経費見積書の提出が必要です。補助対象としてキッチンカーを明記しているわけではありませんが、過去の採択例にキッチンカー導入事例があるため、事業の内容や地域性に応じて採択される可能性があります。
なお、スタートアップ企業支援補助金は、募集期間を年に1〜2回程度に限定しています。たとえば令和7年度は「第1期4/10〜5/12」「第2期7/1〜7/31」のように期間が限られており、募集開始と締切を逃すと翌年度まで待つことになります。最新情報の随時確認をおすすめします。
詳細は名古屋市公式の募集要項をご確認ください。
名古屋市「スタートアップ企業支援補助金」(外部サイト)
開業後に使える補助金制度
開業後のキッチンカー事業者には、販路拡大・設備導入・事業継続などを目的とした補助金制度がいくつか用意されています。なかでも国が実施する「小規模事業者持続化補助金」や、地域活性化を目的とした自治体独自の補助金などは、キッチンカー運営にも活用できるケースがあります。
ここでは、開業後に利用しやすい代表的な補助金制度をご紹介します。
小規模事業者持続化補助金(一般型)
キッチンカーの販促活動や設備強化に幅広く活用できる、開業後の代表的な補助金制度です。この補助金は、商工会議所または商工会のサポートを受けながら、販路開拓や業務効率化にかかる経費の一部を補助してもらえる制度です。
【対象事業者の例】
- キッチンカーなどで飲食業を営む個人事業主または法人
- 常時使用する従業員が5名以下の小規模事業者(飲食業の場合)
【具体的な活用例】
- SNS広告やチラシ制作費
- キッチンカー内の簡易的な設備追加・改修
- 看板やのぼりのデザイン制作費 など
費用負担を抑えて販路開拓を進めたいキッチンカーオーナーにとって、有効に活用できる制度です。申請には計画書や見積書の提出が必要なため、早めの準備が大切です。
なお、「創業型(創業枠)」も用意されており、開業後間もない人(創業後3年以内)も対象になる可能性があります。条件や対象枠は都度変わることがあるため、最新の公募要項を必ず確認しましょう。
商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(外部サイト)
※2025年7月22日現在の情報です。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の労働生産性を向上することを目的とした、業務効率化、DX等に向けたITツールの導入を支援するための補助金です。キッチンカー運営でも、POSレジやモバイルオーダーなどのITツール導入により、効率化を図りたい場合には「IT導入補助金」の活用が検討できます。
クラウド会計ソフト、注文管理アプリ、POSレジなどが対象となることがあり、経営のデジタル化に取り組む方にはおすすめの制度です。
ただし、IT導入支援事業者との連携が必須であり、対象外のツールもあるため、事前の確認が重要です。
雇用があれば助成金の対象になる可能性も
キッチンカー運営で従業員を雇用する場合、国の助成金制度が利用できる可能性があります。厚生労働省が提供する助成金は、雇用の安定や人材育成を目的としており、正社員登用や一定期間の雇用継続などの条件を満たすことで受給できるケースがあります。
たとえば「キャリアアップ助成金」などでは、非正規スタッフを正社員化した場合に企業側に最大数十万円が支給される制度があります。
ただし、申請には事前準備や条件の確認が必要なため、雇用を検討している段階から専門家に相談するのが安心です。社会保険労務士や公的支援機関などで相談が可能です。
補助金申請の流れと必要書類
補助金の申請には、所定の申請手続きと必要書類の提出が求められます。補助金の種類によって詳細な要件は異なりますが、おおまかな流れは共通しているため、事前にスケジュールを確認し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
申請準備(公募要領の確認・事業計画の作成)
補助金申請を始める前に、まずは「公募要領」をしっかり読み込みましょう。補助対象となる経費の範囲やスケジュール、申請資格などがすべて明記されており、読み飛ばすと申請ミスや対象外となる可能性があります。
キッチンカー事業であれば、「広告費が対象でも車両は対象外」などの線引きが補助金ごとに異なります。また、「交付決定前の支出は対象外」といった条件も見落としがちです。
まずはスケジュールと内容を確認し、自分が対象になるかを把握した上で、「どんな事業をしたいか」「なぜ補助が必要か」を事業計画書としてまとめることが第一歩です。
申請書類の提出
補助金申請には、必要な書類をそろえて指定の様式で提出する必要があります。
【主な提出書類の例】
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書類の様式や添付資料の形式には指定があるため、見本を確認しながら作成するのが確実です。
商工会議所などに相談できる補助金であれば、提出前にチェックしてもらうのもおすすめです。また、補助金によっては電子申請が必須となっている場合もあります。提出先や方法にも注意し、事前にガイドラインや様式の見本をしっかり確認してから準備しましょう。
採択結果の通知と事業開始
提出後、審査を経て「採択・不採択」の結果通知が届きます。採択された場合は、交付決定通知をもって正式に事業をスタートできます。
交付決定通知が届く「前に」支出した経費は、原則として補助対象になりません。したがって、採択前に契約・支払いをしないように要注意です。
支払いタイミングや発注書類の取り扱いなど、細かい点も含めてチェックしながら進めると安心です。
事業完了後の実績報告・精算
事業完了後は、「実績報告書」や「領収書の写し」などを提出して精算を行います。
【主な流れ(例)】
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報告が不十分だったり、領収書に不備があると補助金が減額されたり、不支給になる可能性もあります。
補助金の申請には、「計画・申請・実行・報告」という一連のステップがあります。
補助金は「もらって終わり」ではなく、報告義務まで含めて完了となることを意識しておくと、あとで慌てずにすみます。
補助金とあわせて検討したい「融資」という選択肢
補助金は「後払い」が原則のため、開業準備に必要な資金を先に用意できるかどうかが重要です。
そこで、あわせて検討しておきたいのが融資制度の活用です。特に創業者向けには、次のような融資制度が用意されています。
当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、金融機関とのつながりを活かして、創業融資の支援実績が豊富です。書類の作成から金融機関とのやりとりまで、専門スタッフがサポートいたします!
金融機関の創業者向け融資制度
政府系金融機関や一部の民間金融機関では、創業間もない事業者を対象とした融資制度を提供しています。なかでも代表的なのが、日本政策金融公庫が実施する「新規開業資金」などの創業支援融資です。
- 無担保・無保証人でも申請可能な制度あり
- 自己資金が少ない場合でも利用できる可能性あり
- 返済期間が長く、利率も低めに設定されていることが多い
事業計画書や資金繰り表など、提出書類は多くなりますが、しっかり準備すれば開業資金の柱になります。
地方自治体の制度融資
地域の金融機関と連携した「制度融資」も、開業時に利用しやすい選択肢です。自治体によっては、利子補給や保証料の補助がついている場合もあります。
- 開業予定地の自治体によって制度の内容が異なる
- 一部は「創業者限定」の融資メニューを用意
- 申し込みには商工会・市区町村の紹介が必要なケースも
補助金と違って必ずしも審査競争があるわけではないので、選択肢として持っておく価値があります。
まとめ
キッチンカーの開業には、車両や設備、広告宣伝費など、さまざまな初期費用がかかります。こうした費用の一部をまかなえる手段として、補助金や融資の制度を上手に活用することが大切です。特に補助金は「制度が変わりやすい」「後払いである」などの特徴があるため、最新の情報を確認し、融資制度と併せて検討しておくと安心です。
- 開業前は、自治体の創業支援補助金や制度融資
- 開業後は、小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金
- 雇用があれば助成金も対象となる可能性あり
なお、補助金制度は年度ごとに内容や募集スケジュールが変わることが多いため、気になる制度がある場合は、早めのチェックと準備を心がけましょう。
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この記事の監修者

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
田原 広一(たはら こういち)
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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