ラーメン屋の開業に必要なものは？準備物を項目ごとに解説

ラーメン屋を開業したい人の中には、必要なものが知りたい人もいますよね。また、何を用意するのかわからず、まずは全体像が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、「ラーメン屋を開業するときに必要なもの」を解説します。チェックリストも紹介するため、ラーメン屋を開業したい人は参考にしてみてください。

ラーメン屋を開業するときはあらゆるものが必要になる

ラーメン屋を開業するときはあらゆるものが必要になります。時間がかかるものもあれば、費用がかかるものもあるため、ラーメン屋を開業したい人は全体像を把握しつつ、必要なものとして挙げられるそれぞれの項目を確認してみましょう。

【ラーメン屋を開業するときに必要なもの】

必要なものは多岐にわたりますが、想定しているラーメン屋の希望条件次第となるものもあります。時間がかかるものもあれば、費用がかかるものもあるため、ラーメン屋を開業したい人は全体像を把握しつつ、それぞれの項目を確認してみましょう。

資金

ラーメン屋を開業するときは資金が必要です。初期費用にあたる開業資金は想定しているラーメン屋の希望条件次第ですが、ラーメン屋を開業するときはそれ相応の資金が必要になるため、まずはラーメン屋における開業資金の内訳のイメージを確認してみましょう。

【ラーメン屋における開業資金の内訳のイメージ】

※イメージとなるため、実際の費用とは異なります。

ラーメン屋の場合、開業資金はテナント取得費に左右されます。テナント取得費は「賃料の10か月分から12か月分」を目安とする考え方があるため、テナント取得費は入居するテナントの賃料によっても左右される傾向があります。

また、開業資金は物件の状態にも左右されます。スケルトン物件の場合はインフラ設備を整備することになるため、工事費用が700万円程度かかることもありますが、インフラ設備が整備されている居抜き物件の場合は工事費用が300万円程度に収まることもあります。

なお、開業資金を工面するときは設備資金に加え、運転資金も用意することを検討してみてください。運転資金を用意することにより、経営が軌道に乗るまでの費用をまかなえるため、開業資金を工面するときは運転資金を用意することも検討してみましょう。

ラーメン屋の資金に関する情報が知りたい人は「ラーメン屋の開業資金はいくら？平均と内訳を解説」を参考にしてみてください。

資金を準備するときは自己資金と借り入れの両面から考える

資金を準備するときは「自己資金」と「借り入れ」の両面から考えてみてください。初期費用にあたる開業資金を工面するときは自己資金と借り入れの両面から考えることがひとつのポイントになるため、ラーメン屋を開業したい人はその前提を踏まえておきましょう。

日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、全業種の開業における資金調達額は「金融機関等からの借入（平均調達額に占める割合は69.2％）」と「自己資金（平均調達額に占める割合は21.3％）」が大半を占めています。

ラーメン屋の開業にかかる費用が1,500万円と仮定した場合、開業資金のうちの400万円から500万円は自己資金から工面する計算です。そして、残りの1,000万円から1,100万円は銀行や信用金庫などの金融機関から借り入れることを念頭に置くことになります。

なお、開業予定を管轄する自治体の中には、ラーメン屋の開業を支援する補助金制度や助成金制度を設けている可能性があります。開業予定を管轄する自治体次第ですが、ラーメン屋の開業資金を工面するときは各自治体の公式サイトを確認することも検討してみましょう。

物件

ラーメン屋を開業するときは物件が必要です。取得する物件は想定しているラーメン屋の希望条件次第ですが、物件の種類は「居抜き物件」と「スケルトン物件」に分けられるため、まずはそれぞれの物件の状態からメリットとデメリットを確認してみましょう。

【物件の種類ごとの状態】

「居抜き物件」とは、以前の借主が使用していた内装や設備が残ったままテナント募集されている状態の物件です。居抜き物件は造作譲渡とも言われ、内装や設備をそのまま使用できる状態となるため、内外装にかかる工期や費用を抑えられる傾向があります。

「スケルトン物件」とは、建物が構造駆体だけの骨組みの状態の物件です。スケルトン物件は設備や備品が取り除かれ、コンクリートが打ちっぱなしの状態となるため、レイアウトやデザインなどの店舗の内装を自由にできる傾向があります。

居抜き物件とスケルトン物件には、それぞれ一長一短の側面があります。メリットとデメリットは他にも考えられるため、ラーメン屋を開業するときはそれぞれの物件の特徴を比較しつつ、希望条件と照らし合わせながら取得する物件を決めることを検討してみましょう。

物件を取得するときは希望条件を考える

物件を取得するときは希望条件を考えてみてください。取得する物件を決めるときは希望条件からそれぞれの項目の優先度を考えることがひとつのポイントになるため、ラーメン屋を開業したい人はその前提を踏まえておきましょう。

【物件における希望条件の例】

たとえば、費用を抑えたい人には、内装や設備が残る居抜き物件が選択肢として挙げられます。スケルトン物件と比較すると、レイアウトやデザインの自由度は劣る場合もありますが、以前の内装や設備が残る状態となるため、費用を抑えられる可能性があります。

また、来店数を確保したい人には、商業施設が集まる商業立地が選択肢としてあげられます。住宅立地と比較すると、リピーターがつきにくい場合もありますが、交通の利便性や店舗の視認性などの条件が良い傾向にあるため、来店数を確保できる可能性があります。

なお、物件を探すときは「重飲食」が入居できるかどうかを確認してみてください。ラーメン屋は他の飲食店と比較して油や匂いのトラブルが起きやすく、入居を断られる場合があるため、物件を探すときは重飲食が入居できるかどうかを事前に確認しましょう。

設備

ラーメン屋を開業するときは設備が必要です。導入する設備はいろいろありますが、設備の種類は「厨房設備」と「衛生設備」に分けられるため、まずはラーメン屋における設備の全体像を確認してみましょう。

【ラーメン屋における設備の例】

ラーメン屋の設備として挙げられるのは「厨房設備」です。「ゆで麺機」「ガステーブル」「スープレンジ」などの調理に関する設備に加え、「製氷機」「食器洗浄機」などの作業効率に関する設備も導入を検討する必要があります。

また、ラーメン屋の設備として挙げられるのは「衛生設備」です。「換気扇」「エアコン」「2槽シンク」「排気フード」「グリストラップ」など、厚生労働省が指導する「HACCPに沿った食品衛生管理」を実行できる衛生設備を導入する必要があります。

なお、導入する設備はラーメン屋のメニューによっても異なります。「揚げ物を調理するフライヤー」や「炊飯時間が短いガス炊飯器」など、サイドメニューに応じた設備も導入する必要があるため、設備を導入するときはメニュー内容も考慮するようにしましょう。

設備を導入するときは施設基準を確認する

設備を導入するときは各自治体が定めている施設基準を確認してみてください。設備を導入するときは施設基準を満たしていることがひとつのポイントになるため、ラーメン屋を開業したい人はその前提を踏まえておきましょう。

【施設基準の例】

たとえば、洗浄設備は「2槽以上の洗浄槽を設けること」「熱湯や蒸気等を供給できる設備を設けること」などの要件が定められています。「45cm（横幅）×36cm（奥行）×18cm（深さ）以上」など、1槽あたりの大きさの目安が設けられている場合もあります。

また、保管設備は「食品や食材を衛生的に保管できる設備を設けること」「材料の保管場所と販売スペースを区分すること」などの要件が定められています。「保管庫に扉をつける」「食品と洗剤を一緒に保管しない」など、詳細な規定が定められている場合もあります。

なお、食品衛生法や各自治体の条例に基づく関係上、施設基準の詳細は保健所によっても異なります。定義や解釈が保健所ごとに異なる可能性もあるため、設備を導入するときは開業予定地を管轄する保健所の担当者に詳細を確認することを検討してみましょう。

備品

ラーメン屋を開業するときは備品が必要です。用意する備品はいろいろありますが、備品の種類は「ラーメンづくりに使用する備品」や「客席に設置する備品」などのいくつかのタイプに分けられるため、まずはラーメン屋における備品の全体像を確認してみましょう。

【ラーメン屋における備品の例】

ラーメン屋の備品として挙げられるのは「ラーメづくりに使用する備品」です。ラーメンを調理する手順を思い浮かべることにより、「寸銅鍋」「振りザル（テボ）」「タイマー」など、ラーメンづくりに使用する備品を抜け漏れなく揃えられる可能性があります。

また、ラーメン屋の備品として挙げられるのは「客席に設置する備品」です。顧客の入店から退店までの流れを思い浮かべることにより、「爪楊枝」「どんぶり」「ハンガー」など、客席に設置する備品を抜け漏れなく揃えられる可能性があります。

その他には、「清掃に関する備品」「レジまわりの備品」「インテリア関連の備品」など、ラーメン屋の備品は多岐にわたります。抜け漏れが発生するおそれもあるため、備品を用意するときは備品リストを作成することも検討してみましょう。

ラーメン屋の備品に関する情報が知りたい人は「ラーメン屋の開業における備品を揃えるときの流れを解説」を参考にしてみてください。

備品の数は1日の売上目標から考える

備品の数は１日の売上目標から考えることも方法のひとつです。備品の数は想定しているラーメン屋の事業規模から考えることがひとつのポイントになるため、ラーメン屋を開業したい人はその前提を踏まえておきましょう。

【1日の売上目標から考える備品数の例】

※イメージとなるため、実際の数とは異なります。

客席が8席のラーメン屋が1日の売上目標を8万円とする場合、1日あたりの目標提供数は80杯です。9時間営業の場合は1時間あたり約9杯提供するため、ピークタイムも考慮すると、提供に使用する備品は3倍の27個程度を用意することが目安になります。

客席が20席のラーメン屋が1日の売上目標を16万円とする場合、1日あたりの目標提供数は200杯です。9時間営業の場合は1時間あたり約23杯提供するため、ピークタイムも考慮すると、提供に使用する備品は3倍の69個程度を用意することが目安になります。

ラーメン屋の事業規模が大きくなればなるほど、必要になる備品の数も増える傾向があります。売上目標から逆算することにより、過不足なく備品を揃えられる可能性があるため、ラーメン屋を開業したい人は売上目標から備品の数を算出することを検討してみましょう。

届出

ラーメン屋を開業するときは届出が必要です。必要となる届出は想定しているラーメン屋の希望条件次第ですが、「すべてのラーメン屋が必要となる届出」と「ラーメン屋の条件次第となる届出」に分けられるため、まずはラーメン屋における届出の全体像を確認してみましょう。

【ラーメン屋における届出の例】

届出のひとつとして挙げられるのは「事業開始等申告書」です。事業開始等申告書は事業を開始したことを都道府県税事務所に申告するときに提出する書類となるため、ラーメン屋を開業するときは事業開始等申告書を提出することになります。

また、届出のひとつとして挙げられるのは「所得税の青色申告承認申請書」です。所得税の青色申告承認申請書は事業者が青色申告を希望するときに提出する書類となるため、ラーメン屋の条件次第では、所得税の青色申告承認申請書を提出することになります。

なお、必要となる届出は想定しているラーメン屋の希望条件にもよります。ラーメン屋の条件次第となる届出もあるため、ラーメン屋を開業したい人はすべてのラーメン屋が必要となる届出を押さえつつ、ラーメン屋の条件次第となる届出も押さえておきましょう。

届出を提出するときは営業許可に関する情報を調べておく

届出を提出するときは営業許可に関する情報を調べてみてください。ラーメン屋を開業するときは開業予定地を管轄する保健所の営業許可を取得することになるため、ラーメン屋を開業したい人は営業許可に関する情報を事前に調べておきましょう。

【ラーメン屋における営業許可の例】

ラーメン屋を開業するときは「飲食店営業許可」の取得が必要です。飲食店営業許可を取得しなければ、調理加工した食品を提供する営業行為ができないため、ラーメン屋を開業するときは必ず飲食店営業許可を取得することになります。

また、麺の製造販売を行うラーメン屋の場合は「めん類製造業許可」の取得も必要です。めん類製造業許可を取得しなければ、製造した麺を包装し、継続的に販売する行為ができないため、麺の製造と販売も行う場合はめん類製造業許可を取得することになります。

なお、製造した麺をその場で調理し、提供するだけであれば、めん類製造業許可は不要です。めん類製造業許可を取得する場合は「製造場所」「製品保管場所」を区画するなど、自治体ごとに施設基準が定められている場合があることを念頭に置いておきましょう。

資格

ラーメン屋を開業するときは資格が必要です。必要となる資格は想定しているラーメン屋の希望条件次第ですが、「すべてのラーメン屋が必要となる資格」と「ラーメン屋の条件次第となる資格」に分けられるため、まずはラーメン屋における資格の全体像を確認してみしょう。

【ラーメン屋における資格の例】

すべてのラーメン屋が必要となる資格は「食品衛生責任者」の資格です。食品衛生法の定めにより、食品の製造や販売を行うときは食品衛生責任者を選任する必要があるため、ラーメン屋を開業するときは食品衛生責任者の有資格者を店舗に配置しなければなりません。

また、ラーメン屋の条件次第となる資格は「防火管理者」の資格です。消防法の定めにより、建物の収容人数が従業員含めて30名以上の場合は防火管理者を選任する必要があるため、該当するときは防火管理者の有資格者を店舗に配置しなければなりません。

なお、必要となる資格は想定しているラーメン屋の希望条件にもよります。ラーメン屋の条件次第となる資格もあるため、ラーメン屋を開業したい人はすべてのラーメン屋が必要となる資格を押さえつつ、ラーメン屋の条件次第となる資格も押さえておきましょう。

ラーメン屋の資格に関する情報が知りたい人は「ラーメン屋の開業に必要な資格を解説」を参考にしてみてください。

資格を取得するときは経営に活かせる資格と検定も検討してみる

資格を取得するときは経営に活かせる資格と検定も検討してみてください。取得や合格せずとも開業することは可能ですが、開業後の経営に活かせる可能性もあるため、ラーメン屋を開業したい人は経営に活かせる資格と検定も押さえておきましょう。

【ラーメンに関する資格と検定の例】

経営に活かせる資格として挙げられるのは「調理師免許」です。調理師免許を取得することにより、調理全般における知識や技術を習得していることを証明できるため、ラーメン屋の開業後の経営に活かせる可能性があります。

また、経営に活かせる資格として挙げられるのは「日本ラーメン検定」です。日本ラーメン検定に合格することにより、ラーメンに関する文化や歴史の知識が身につくため、ラーメン屋の開業後の経営に活かせる可能性があります。

なお、今回紹介した資格や検定は受験資格が定められている場合があります。「調理の実務経験があること」「ひとつ下の階級を取得していること」など、資格や検定ごとに受験資格が定められている場合があるため、気になる人は公式サイトから確認してみてください。

必要なものを揃えるときはチェックリストを作成する

必要なものを揃えるときはチェックリストを作成することを検討してみてください。ラーメン屋を開業するときはあらゆるものが必要になるため、独自のチェックリストを作成することにより、計画的に開業準備を進められる可能性があります。

【チェックリストのイメージ】

チェックリストを作成するときのポイントはいくつかの項目に分けることです。「資金」「物件」「設備」「備品」「届出」「資格」など、いくつかの項目を分類することにより、チェックリストを活用するときに各項目の進捗状況を確認しやすくなります。

また、チェックリストを作成するときのもうひとつのポイントは備考欄を設けることです。「単価」「価格」「数量」「期限」「日付」「優先順位」など、補足事項を書き込むための備考欄を設けることにより、情報の抜け漏れを防ぐことに役立ちます。

ただし、今回紹介したチェックリストはあくまでもイメージです。チェックリストの項目は想定しているラーメン屋の希望条件にもよるため、独自のチェックリストを作成するときは開業後のラーメン屋をイメージしながら作成することを検討してみましょう。

まとめ

ラーメン屋を開業するときはあらゆるものが必要になります。時間がかかるものもあれば、費用がかかるものもあるため、ラーメン屋を開業したい人は全体像を把握しつつ、必要なものとして挙げられるひとつひとつの項目を確認しておきましょう。

また、必要なものを揃えるときはチェックリストを作成することを検討してみてください。ラーメン屋を開業するときはあらゆるものが必要になるため、独自のチェックリストを作成することにより、計画的に開業準備を進められる可能性があります。

なお、必要なものを揃えるときは各自治体の担当者に相談しながら進めることも考えてみてください。必要なものは想定しているラーメン屋の希望条件によっても異なるため、各自治体の担当者に相談しながら進めることも検討してみましょう。