小さい飲食店を開業するときのポイントを解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

飲食(飲食店・外食・デリバリー)

小さい飲食店を開業するときのポイントを解説

焼肉屋や寿司屋など、飲食店を開業したい人の中には、坪数や費用などの事情により、小さい飲食店を開きたい人もいますよね。その際、小さい飲食店を開業するときのポイントが知りたい人もいるでしょう。

当記事では、小さい飲食店を開業するときのポイントを解説します。資格や届出に関する内容も説明しているため、坪数や費用などの事情により、小さい飲食店を開きたい人は参考にしてみてください。

飲食店を開業するときのポイントは開業資金を用意できるかどうか

飲食店を開業するときのポイントは、開業資金を用意できるかどうかです。小さい飲食店を想定していたとしても開業資金は必要になるため、開業資金を用意できるかどうかは飲食店を開業するときのひとつのポイントになります。

【飲食店の開業資金における金額のイメージ】

内訳 金額
内装工事費用 450万円
機械・什器・備品費用 220万円
運転資金 180万円
テナント賃借費用 130万円
営業保証金・FC加盟金 20万円
合計 1,000万円

※イメージとなるため、実際の金額とは異なります。

日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、「開業費用の平均値は1,077万円」でした。あくまでも同調査における開業業種全体の平均ですが、飲食店の開業資金も1,000万円がひとつの目安として考えられます。

ただし、飲食店の開業資金が1,000万円というのはあくまでも目安です。1,000万円未満でも開業できる可能性はありますが、小さい飲食店だったとしても1,000万円以上の開業資金が必要になることは考えられるため、飲食店を開業したい人はその前提を踏まえておきましょう。

なお、資金調達にお困りの人は、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも検討してみてください。6,000件以上の融資サポートの実績がある当社が、現在の状況から資金調達できるかどうかを診断します。

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飲食店の開業資金は希望条件による

飲食店の開業資金は希望条件によります。想定している飲食店が小さければ小さいほど、必要となる開業資金は少なくなる傾向がありますが、立地や内装などの希望条件にもよるため、飲食店の開業を考えている人はその点も踏まえておきましょう。

【10坪以下の居抜き店舗物件の一例】

項目 東京都立川市にある居抜き店舗A 東京都立川市にある居抜き店舗B
所在地 東京都立川市栄町四丁目 東京都立川市柴崎町二丁目
交通 多摩モノレール/立飛 徒歩10分 中央本線/立川 徒歩4分
面積 32.11m² (9.71坪) /1階 22.68m² (6.86坪) /1階
構造 鉄骨造 鉄骨造
賃料(坪単価) 110,000円 (11,328円) 308,000円 (44,897円)

※「東京都立川市にある10坪以下の居抜き物件」を目安に株式会社SoLabo作成

たとえば、「東京都立川市にある居抜き店舗A」と「東京都立川市にある居抜き店舗B」を比較した場合、賃料の差は20万円ほどあります。いずれも東京都立川市にある10坪以下の居抜き店舗物件ですが、駅徒歩や築年数などの条件により賃料は異なります。

あくまでも一例ですが、飲食店の開業資金は希望条件によります。想定している飲食店が小さければ小さいほど、必要となる開業資金は少なくなる傾向がありますが、立地や内装などの希望条件にもよるため、飲食店の開業を考えている人は留意しておきましょう。

なお、飲食店の開業資金に関する情報が知りたい人は、「飲食店の開業資金はいくらかかる?平均と内訳を解説」も参考にしてみてください。

もうひとつのポイントは準備物を揃えられるかどうか

飲食店の開業におけるもうひとつのポイントは、準備物を揃えられるかどうかです。小さい飲食店を想定していたとしても準備物は揃えることになるため、準備物を揃えられるかどうかは飲食店を開業するときのひとつのポイントになります。

【飲食店の開業における準備物の一例】

項目 具体例
料理 商品開発、メニュー作成など
物件 自宅、居抜き物件、スケルトン物件など
設備 厨房設備、店内設備、空調設備など
費用 内装工事費用、外装工事費用、物件取得費用など
届出 開業届、飲食店営業許可、深夜酒類提供飲食店営業開始届(※)など
※お酒の提供が主となる飲食店が午前0時以降にお酒を提供する場合
資格 食品衛生責任者、防火管理者(※)など
※従業員含め、収容人数が30人以上の場合

小さい飲食店だったとしても「飲食店営業許可」の届出は必要です。「調理師免許」は不要ですが、飲食店を開業する際は店舗の規模にかかわらず、原則として「飲食店営業許可」を申請することになります。

また、「飲食店営業許可」を申請するには、「食品衛生責任者」の資格が必要です。栄養士や調理師などの資格を保有する場合は講習会を受講せずとも取得できますが、該当しない場合は講習会を受講し、「食品衛生責任者」の資格を取得することになります。

その他の準備物は物件や設備などの希望条件次第です。収容人数が30人以上の場合は「防火管理者」の資格が必要ですが、収容人数が30人未満の場合は「防火管理者」の資格は不要となるため、想定している飲食店が小さい場合は留意しておきましょう。

店舗の規模に比例する準備物がある

飲食店を開業する際、店舗の規模に比例する準備物があります。店舗の規模が大きくなればなるほど、用意する量が増える準備物があるため、飲食店の開業を考えている人はその点も踏まえておきましょう。

たとえば、店内の広さが10坪の飲食店を開業する場合、1坪(約3.3m²)あたりの客席数の目安は1席~2席程度となるため、10席~20席分の客席を配置できる可能性があります。相当する客席を用意するならば、10席~20席分の費用がかかることになります。

一方、店内の広さが30坪の飲食店を開業する場合、1坪(約3.3m²)あたりの客席数の目安は1席~2席程度となるため、30席~60席分の客席を配置できる可能性があります。相当する客席を用意するならば、30席~60席分の費用がかかることになります。

あくまでも一例ですが、店舗の規模が大きくなればなるほど、用意する量が増える準備物があります。用意する量が増えた場合、費用がかさむことにより、開業の条件が厳しくなることも考えられるため、飲食店を開業したい人はその前提も踏まえておきましょう。

なお、飲食店の開業における準備物が知りたい人は「飲食店の開業に必要なものを解説」を参考にしてみてください。

ポイントを押さえた人は開業準備に取り掛かる

飲食店を開業するときのポイントを押さえた人は、開業準備に取り掛かることを検討してみてください。その際、飲食店の方向性が決まっているかどうかをひとつの目安にすることにより、開業準備が進めやすくなる可能性があります。

【開業準備に取り掛かる際の目安】

項目 開業準備に取り掛かる際の目安
飲食店の方向性が決まっていない人 お店のテーマを考えてみる
飲食店の方向性が決まっている人 事業計画書を作成してみる

これらはあくまでも一例です。飲食店を開業する際に決まった手順はないため、目安のひとつとしてそれぞれの項目を参考にしてみてください。

飲食店の方向性が決まっていない人はお店のテーマを考えてみる

飲食店の方向性が決まっていない人は、お店のテーマを考えてみましょう。とくに、想定している飲食店が小さい場合には、店舗の規模を活かしたテーマにすることにより、他店との差別化につながる可能性があります。

【店舗の規模を活かしたテーマ設計の一例】

  • 隠れ家のような雰囲気がある定食屋
  • 仕事帰りにふらっと立ち寄りたくなる居酒屋
  • 一人ひとりがくつろげる空間になっている喫茶店

たとえば、「小さい飲食店×隠れ家」「小さい飲食店×秘密基地」「小さい飲食店×くつろげる空間」など、店舗の小ささと相性が良さそうなテーマを掛け合わせることにより、他店との差別化に加え、飲食店の方向性が見えてくる可能性があります。

また、飲食店の方向性が決まれば、「テーマに合わせた料理」や「テーマに合わせた内装」など、開業に向けてのイメージが膨らむ可能性もあります。開業に向けてのイメージが膨らめば、そのイメージから揃えたいものが見えてくることも考えられます。

想定している飲食店が小さい場合、店舗の規模を活かしたテーマにすることにより、他店との差別化につながる可能性があります。飲食店の方向性に迷っている人は「小さい店舗と相性が良さそうなテーマ」を書き出してみることも検討してみましょう。

なお、飲食店のテーマに関する情報が知りたい人は「飲食店の開業におけるコンセプトとは?作るときの流れを解説」を参考にしてみてください。

飲食店の方向性が決まっていない人はお店の営業形態も考えてみる

飲食店の方向性が決まっていない人は、お店の営業形態も考えてみてください。とくに、想定している飲食店が小さい場合には、客席を持たない営業形態にすることにより、坪数や費用などの事情がある人も飲食店を開業できる可能性があります。

【客席を持たない営業形態の一例】

  • デリバリー専門店
  • テイクアウト専門店

客席を持たない営業形態には、デリバリー専門店やテイクアウト専門店が候補として挙げられます。デリバリー専門店やテイクアウト専門店は客席を設けずとも営業できるため、坪数や費用などの事情がある人も飲食店を開業できる可能性があります。

また、デリバリー専門店やテイクアウト専門店は、マンションやアパートなどの居住形態でも開業できる場合があります。事業利用が認められていることが条件ですが、事業利用が認められていれば、自宅を店舗にして開業できる可能性もあります。

坪数や費用などの事情がある人は、客席を持たない営業形態としてデリバリー専門店やテイクアウト専門店も検討してみましょう。なお、テイクアウト専門店に関する情報が知りたい人は「テイクアウト専門の飲食店を開業するには?」を参考にしてみてください。

飲食店の方向性が決まっている人は事業計画書を作成してみる

飲食店の方向性が決まっている人は、事業計画書を作成してみましょう。とくに、想定している飲食店が小さい場合には、店舗の規模を考慮しながら事業計画書を作成することにより、必要となる準備物や開業資金の目安を知ることができます。

【事業計画書に入れ込む要素の一例】

要素の一例 具体例
販売計画 ・顧客層のターゲットは?
・従業員は必要か?
・立地条件は?
・販売方法は?
・支払方法は?
・営業時間は?
仕入計画 ・仕入先の候補はあるか?
・安定供給は可能か?
・食材の価格は?
資金計画 ・設備資金は?
・運転資金は?
・自己資金は?
・資金調達は?
収支計画 ・売上原価は?
・売上高は?
・経費は?
・利益は?
返済計画 ・返済財源は?
・収支見込は?

たとえば、販売計画のひとつとして従業員を雇うかどうかを決めておくことにより、その後の資金計画が立てやすくなる可能性があります。小さい飲食店を想定しているならば、夫婦2人での家族経営にすることにより、人件費の節約につながることも考えられます。

また、仕入計画のひとつとして食材の価格を確認しておくことにより、その後の収支計画が立てやすくなる可能性があります。小さい飲食店を想定しているならば、食材の一部を自家栽培することにより、食材費の節約につながることも考えられます。

事業計画書を作成することにより、開業に向けての指針が明確になるため、飲食店の開業に一歩近づくことができます。店舗の規模にかかわらず、小さい飲食店を想定している人も事業計画書を作成することは検討してみましょう。

飲食店の方向性が決まっている人は専門家に相談することも検討してみる

飲食店の方向性が決まっている人は専門家に相談することも検討してみてください。とくに、想定している飲食店が小さい場合には、希望条件を専門家に伝えることにより、その条件を考慮した事業計画書の作成をサポートしてもらえる可能性もあります。

【飲食店の開業における相談先】

項目 概要
商工会議所 商工会議所法に基づき設立された特別認可法人。公共性の高い民間の経済団体として国際的にも認知され、法人、個人、団体などを会員として商工業の振興と地域の発展のために活動している。
商工会 商工会法に基づき設立された特別認可法人。総合的な活動を行う公的団体として主に町村部に設立され、法人、個人、団体などを会員として事業の発展や地域の発展のために活動している。
よろず支援拠点 国が全国に設置した無料の経営相談所。経営相談、技術支援、人材育成、情報提供など、幅広い支援サービスを提供し、中小企業や個人事業主が抱える様々な課題に対応することを目的として活動している。

相談先として挙げられるのは「商工会議所」「商工会」「よろず支援拠点」です。これらの相談先は開業支援や経営支援を行っているため、事業計画書に関するアドバイスに加え、飲食店の開業における成功例や失敗例を教えてもらえる可能性もあります。

ただし、専門家に相談する場合は依頼料として所定の費用が発生する可能性があります。説明会やセミナーに参加する場合は事前予約が必要になることもあるため、専門家に相談する人はそれらの点を留意しておきましょう。

小さい飲食店を想定している人は集客方法も考えておく

小さい飲食店を想定している人は、開業準備のひとつとして集客方法も考えておきましょう。立地条件や周辺状況にもよりますが、開業後は他店との競争になるため、見込み客を増やすためにも集客方法を考えておくことはひとつのポイントになります。

集客方法の候補として挙げられるのは、InstagramやTwitterなどのSNSです。「開業準備が進む様子を投稿する」「料理やサービスに関するアンケートを募る」など、活用方法が幅広いため、SNSは開業前から活用できる集客方法の候補として挙げられます。

また、開業前から活用できる集客方法には、ショップカードやフライヤーなどの印刷物も候補として挙げられます。「近隣のお店にショップカードを置いてもらう」「お店の前にフライヤーを置いておく」など、印刷物も開業前から活用できる集客方法の候補です。

その他には、「お店のロゴや看板を目立つ色にする」など、認知度を上げることに特化した集客方法もあります。ロゴや看板は開業前から設置できる点に加え、開業後の集客にも効果を発揮する可能性があるため、デザイナーに依頼することもひとつの手段です。

飲食店の集客は工夫次第です。開業後は他店との競争になりますが、店舗の小ささを逆手に取った工夫ができれば、開業後の集客にも効果を発揮する可能性があるため、小さい飲食店を想定している人はその小ささを活かした集客方法も考えてみましょう。

まとめ

小さい飲食店だったとしても「飲食店営業許可」の届出は必要ですが、その他の準備物は物件や設備などの希望条件によっても異なります。お店のテーマや営業形態によっても異なるため、飲食店を開業予定の人はその前提を踏まえておきましょう。

お店のテーマや営業形態が決まっている人は、事業計画書の作成を検討してみてください。事業計画書を作成することにより、準備物や開業資金の目安がわかるため、小さい飲食店を想定していたとしても事業計画書を作成することは考えておきましょう。

また、小さい飲食店を想定している人は集客方法も考えておきましょう。店舗の小ささを逆手に取った工夫ができれば、見込み客の集客につながる可能性もあるため、想定している飲食店が小さい場合はその小ささを活かした集客方法も考えてみてください。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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