居酒屋オーナーとして開業するための流れと準備を解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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居酒屋オーナーとして開業するための流れと準備を解説

居酒屋を開業したいけど、どのような流れなのかを知りたい人もいますよね。開業に向けて、どんな準備が必要なのか知りたい人もいるでしょう。

居酒屋を開業するためには、まずコンセプト(看板メニューやターゲット)を決めましょう。コンセプトが決まると、店舗場所や食材の仕入先なども決まり、開業に必要な資金を導き出すことができます。

当記事では、居酒屋を開業するための流れと必要な準備を解説します。居酒屋オーナーになりたいと検討している人は参考にしてみてください。

居酒屋を開業するまでの流れとスケジュール

居酒屋を開業するためには、半年から1年程度の期間が必要です。開業にあたってはコンセプトを決めることから始まり、「店舗物件を探す」「資金調達をする」「内外装工事をする」「厨房機器などを購入する」「営業許可を取得する」「広告宣伝をする」が必要になるからです。

居酒屋を開業するまでの主な流れとスケジュールは以下の通りです。

【開業するまでの主な流れとスケジュール】

スケジュール やること
開業の半年〜1年前 コンセプト(看板メニューとターゲット)を決める
開業の3〜4か月前 店舖物件を探して、契約する
開業の2〜3か月前 資金が足りない場合には資金調達をする
開業の2か月前 内外装工事をする
開業の1か月前 「厨房機器」「什器」「備品」を購入する
開業の3週間前 営業許可を取得する
開業の10日〜2週間前 広告宣伝(オープンの告知)をする
オープンする

「理想とする店舗物件が見つからない」「内外装工事の遅れ」といった事態が生じることがあるため、同時並行や前倒しもしながら開業準備を進めるようにしましょう。

居酒屋のコンセプトを決める

居酒屋を開業したいと思った際には、まず居酒屋のコンセプトを決めましょう。コンセプトを決めることにより、店舗物件や食材の仕入先が決まってくるからです。

コンセプトとして、看板メニューとターゲットとなる人物を決めます。

たとえば、「30〜40代をメインターゲットにした、鹿児島県産のブランド豚を使った料理とこだわりの焼酎を提供する、隠れ家的な居酒屋」「おひとりさまをメインターゲットにした、地元産の無農薬野菜を使ったおばんざいを提供する、落ち着いた雰囲気の居酒屋」「学生や20代前半の会社員をメインターゲットにした、唐揚げが食べ放題の居酒屋」といったイメージです。

コンセプトが決まれば、開業に向けた準備を進めることができます。コンセプトは得意料理から決めたり、よく行く居酒屋や自身のイメージと近い居酒屋を参考にしてみたりすると良いでしょう。

食材のロスを減らせるメニュー構成を意識する

看板メニューを決めてから、他のメニューも決めていきますが、その際食材のロスを減らせるメニュー構成を意識しましょう。開店当初は来店数が読めず、食材を無駄にしてしまう場合があり、結果として運転資金が不足してしまう原因につながることがあるからです。

食材のロスを減らす工夫としては、次の2つが挙げられます。

  • メニューを増やしすぎない
  • ひとつの食材を複数の料理で使用する

メニューを増やすことで必要な厨房機器を揃えないといけない場合もあるので、メニュー構成次第では開業費用を抑えられることを覚えておきましょう。

メインターゲットは看板メニューに需要がある人

メインターゲットは看板メニューに需要がある人に設定しましょう。看板メニューとメインメニューがずれていると、集客がしづらい傾向があるからです。

たとえば、「鮮度にこだわった、最高級のカニを看板メニューにした居酒屋」のターゲットを学生に設定しても、来店につながりにくい可能性があります。学生は「安く食べて飲める」居酒屋を望む傾向があります。

看板メニューとターゲットは、原則としてセットで考えましょう。

ターゲットに合わせた料理の価格帯を設定する

ターゲットに合わせて、提供する料理の価格帯を設定しましょう。価格設定によって、お客さんが来店するかどうかに影響する可能性があるからです。

たとえば、学生や20代の会社員をターゲットとした居酒屋の場合、ターゲットの顧客単価を3,000円に設定し、飲み物2杯と料理4品を注文すると想定します。そうすると1品当たり500〜600円程度の価格帯にするといったイメージです。

なお、居酒屋の原価率としては30〜33%程度の傾向がありますが、すべてのメニューを30〜33%の原価率にする必要はありません。ソフトドリンクやお酒も考慮して「利益ではなく、お客さんの満足度を高めるためのメニュー」と「利益が出せるメニュー」を分けて考えて、トータルで原価率を抑えることを検討してみましょう。

ターゲットとかけ離れた価格設定にならないように、顧客単価から価格帯を設定することを意識しましょう。

仕入先の選定が重要

お酒や食材の仕入先の選定も重要です。仕入先によって、メニューと価格設定に影響する場合があるからです。お酒や食材の仕入れ費用を抑えることにより、原価率を減らすことができます。

主な仕入先としては、下記が挙げられます。

  • 卸業者
  • 通販サイト
  • スーパー(業務用を含む)
  • 市場
  • 生産者

卸業者ごとに「海鮮に強い」「鮮度にこだわっている」「品揃えが豊富」「小ロットでも対応」などの特徴があります。複数社に問い合わせをしてみて、見積もりをもとに比較してみましょう。

居酒屋を開業するために必要な資金は300〜1,000万円

居酒屋を開業するためには300〜1,000万円以上の資金が必要となる場合があります。居酒屋の場合、主に「物件を取得するための費用」「店舗の内外装工事をするための費用」「冷蔵庫などの厨房機器を購入するための費用」「テーブルやいすなどの什器・備品を購入するための費用」が挙げられます。

それぞれの目安金額としては、次の通りです。

【居酒屋に必要な設備費用の目安】

項目 目安金額
物件取得費用 50万円〜200万円
内外装工事費用 100万円〜500万円
厨房機器費用 100万円〜300万円
什器・備品費用 数十万〜100万円

なお、設備費用は店舗物件や規模によっても異なるため、居酒屋を開業予定の人は参考にしてみてください。

店舗周辺にターゲットが集まる物件を探す

店舗周辺にターゲットが集まる物件を探しましょう。ターゲットが集まる場所のほうが集客しやすい傾向があるからです。

たとえば、「学生」であれば、大学や専門学校などが近隣にある物件、「会社員」であれば、オフィス街の近くの物件といったイメージです。

なお、想定している席数から物件の広さ(坪数)を決めると良いです。大衆居酒屋と顧客単価が高い(高級志向の)居酒屋では、席数(席の間隔)は異なります。

居酒屋の場合、1坪あたり1.5席程度に設定する場合があり、席数を15席確保したいのであれば、10坪以上の物件を探す必要があります。

店舗のコンセプトや提供メニューに合わせ、収容人員を決め、お店の広さに合う物件がないか店舗物件を専門に取り扱っている不動産会社に相談すると良いでしょう。

コンセプトに合わせた内外装工事をする

コンセプトに合わせた内外装工事をしましょう。コンセプトに合わせた内外装にすることにより、お客さんの満足度が高くなり、次回以降の来店につながる場合があるからです。

内外装はコンセプトに合わせて、店舗内の「天井」「壁」「床」「電気」「ガス」「水道」「空調」「トイレ」「照明」「カウンターの設置」の工事、店舗外の「壁」「看板」の工事をする必要があります。

コンセプトにはよりますが、主にはターゲットとなるお客さんが過ごしやすかったり、非日常を味わえたりする空間づくりを目指すと、次回以降の来店にもつながる可能性があります。

たとえば、家族連れや団体客がメインターゲットの居酒屋であれば、テーブル席と座敷をそれぞれ用意し、かつ仕切りを設けてプライバシーを確保できる空間にしたり、他にも鮮度の良い海鮮を売りにする居酒屋であれば、店内に水槽を設置したりするイメージです。

コンセプトを実現するためには、居酒屋の内外装工事の実績が豊富にある業者に依頼すると良いでしょう。コンセプトと予算に合わせた提案をしてくれる場合があります。

ホームページに工事実績を掲載している業者もありますが、見積もりを依頼する際には、自身と似たコンセプトをした居酒屋の実績があるかどうかを確認してみましょう。

内装工事を抑えるために居抜き物件を検討する

あまり内装にこだわらないのであれば、居抜き物件を検討するのも選択肢のひとつです。

居抜き物件とは、以前に飲食店などを運営していた物件の内装や厨房機器、什器などが残っている物件のことであり、内装工事などの費用を抑えることができる傾向があります。

しかし、理想とする居抜き物件は見つけるのに時間がかかる場合があることは覚えておきましょう。

メニューに応じて必要な厨房機器を揃える

メニューに応じて、必要な厨房機器を揃えましょう。厨房機器としては、主に「冷蔵庫」「冷凍庫」「製氷機」「ガステーブル」「食器洗浄機」「シンク」「作業台」「食器棚」が挙げられます。

メニューごとに「フライヤー」「焼物器」「鉄板焼器」「串焼器」も揃える必要がありますが、厨房にものが増えると、作業効率やオペレーションに影響する可能性があります。また、購入しても、開店後にほぼ使わず、無駄になってしまうこともありえます。

そのため、厨房機器は作業効率やオペレーションも考慮して、開店当初は必要最低限にとどめておき、メニューを変更するときに新たに購入するかどうかを検討しましょう。

コンセプトに合わせた什器や備品を揃える

コンセプトに合わせた什器や備品を揃えましょう。什器や備品としては、「テーブル」「いす」「食器」「調理器具」などが挙げられます。

什器や備品はこだわればこだわるほど、必要となる費用が増えてしまいます。

高級志向の居酒屋の場合は、料理に合わせて特注品の食器を準備することがあります。しかし、開店当初はオペレーションに慣れていないため、食器が破損しやすい傾向にあります。

そのため、開店当初は食器のグレードを下げるなどをして、徐々に本来使用したいと考えていた食器を使うようにしましょう

開業資金が不足している場合は金融機関からの融資を検討する

開業資金が不足している場合は、金融機関からの融資を検討しましょう。金融機関によっては、創業者を含めた個人事業主を支援するための融資をしているからです。

開業時に使われる、主な金融機関としては次の通りです。

  • 日本政策金融公庫
  • 信用金庫
  • 地方銀行

金融機関によって「自己資金」「職歴」「事業計画」などの審査項目があり、融資の可否が決まります。審査には1カ月以上かかる場合もあるので、開業資金が足りない場合には、早めに金融機関に相談しましょう。

資金調達に関しては「飲食店を開業するために必要な資金と調達方法を解説」を参考にしてみましょう。

居酒屋を開業するためには営業許可や届出が必要

居酒屋を開業するには、営業許可や届出が必要です。無許可や届出をせずに営業すると、罰則を課されるおそれがあるからです。

開業時に必要な営業許可や届出は次の通りです。

  • 飲食店営業許可
  • 防火対象物使用開始届
  • 火を使用する施設等の設置届
  • 防火管理者選任書(収容人数が30人を超える場合)
  • 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(午前0時以降にお酒を提供する場合)
  • 開業届
  • 所得税の青色申告承認申請書(青色申告をしたい場合)

営業許可や届出は、開業する場所によって書類の提出先が異なる場合があります。自身で行うのが難しい場合には、行政書士などの専門家に相談するのも選択肢のひとつです。

営業許可や届出を知りたい人は「飲食店を開業するために必要な手続きや資格を解説」を確認してみてください。

集客するためには広告と口コミが重要

開業時における広告宣伝としては、主に食べログへの掲載や店頭でのビラ配りが挙げられます。他にもランチ営業をすることで認知を広げる方法もあります。

なお、来店が増えてくると口コミも増える傾向がありますが、口コミはお客さんが来店するかどうかを決める要因になる場合があります。

初めて来店してもらうには、広告宣伝によってお店の存在を認識してもらう必要があり、さらに口コミによって来店を影響される場合があることは留意しておきましょう。

リピートを促す施策も必要

リピートを促す施策も必要です。リピート客が増えることで、売上が安定するからです。

リピートを促す施策としては、「お店のLINEに登録してくれた人限定で割引を適用する」「次回来店時に利用できる割引券を配る」などが挙げられます。

リピート客を獲得することができれば、広告宣伝のための費用を抑えられる場合があることを覚えておきましょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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