2021/12/29

2021/12/29

飲食店の内装工事の業種別費用相場と内訳と設計デザインでのポイント

飲食店の内装工事をテーマに、工事の内訳や費用相場、厨房設備や換気、内装のレイアウトなど新しい生活様式にあわせた店舗設計デザインのポイントを解説します。

飲食店の店舗として「居抜き物件」と「スケルトン物件」のどちらを選ぶかというのは、最初に悩む部分です。それぞれの物件を店舗として内装工事をするときのメリット・デメリットや必要な工事、気になる費用についても飲食店の業態別にご紹介します。

また、壁材や床材などの飲食店の内装材は内装制限を知ったうえで検討する必要があります。内装制限の基準をクリアしたものを使用しなければ開業の許可を得られません。

内装のデザインや内装材は内装業者と相談しながら決めればよいものですが、新しい生活様式にあわせた理想の店づくりにするためにも、飲食店のオーナーとしてポイントを把握し、打ち合わせに臨みましょう。

飲食店の内装工事の内訳

飲食店を開業する時に行う店舗内装工事はいろいろな種類がありますが、借りる物件の種類で必要な工事が大きく変わります。

既存の店舗設備の残る「居抜き物件」と、ゼロから内装工事をする「スケルトン物件」です。それぞれの特徴と内装工事の内訳を解説します。

なお、この記事での「飲食店」は保健所から飲食店営業許可を取得する店舗と定義して進めます。

居抜き物件は最小限の工事で初期費用が抑えられる

居抜き物件とは、前の利用者の内装設備が残る建物です。飲食店として再利用できる設備が多く残る居抜き物件であれば、内装工事にかかる初期費用が抑えられます。

スケルトン物件と比べると比較的短期間で工事が終わるため、飲食店のオープンまでに時間がかからない特徴もあります。

ただし、内装工事費用を節約して既存の内装を活かそうとすると、レイアウトの融通がきかず前のテナントのイメージが残りやすい懸念はあります。

また、再利用できない内装設備が多いと解体撤去費用が多くかかるうえ、既存の設備を譲り受ける手数料として造作譲渡料がかかることもあります。

居抜き物件の内装工事の内訳は前のテナントの設備がどのような状態であるかによって大きく変わってきます。

今回、居抜き物件の飲食店の店舗内装工事の内訳として、できるだけ既存の設備を使うことを前提に、前のテナントのイメージを払しょくする代表的な仕上げ工事の費用項目を中心に解説します。

飲食店の居抜き物件の内装工事の費用項目内訳

費用項目名 概要
デザイン費 デザインの提案を受ける場合の費用項目です。
解体撤去工事費 既存の内装を取り壊す必要がある場合の費用項目です。クロス(壁紙)を剥がすケースでも盛り込まれることがあります。
塗装工事費 ペンキなどの塗料や珪藻土などの建材で、天井や壁、床を塗る「塗装仕上げ」の工事にかかる費用項目です。
クロス貼り替え工事費 下地材にクロス(壁紙)を貼っていく工事にかかる費用項目です。比較的費用を抑え、店内の雰囲気を変えられます。
防水工事費 水をたくさん使う飲食店では室内の防水が必須のため、前の工事から時間が経ち、耐用年数が近い場合、防水工事も行う必要があります。その工事にかかる費用項目です。
雑補修費用費 設備の破損したパーツや消耗品の交換や、建具の立て付けの調整などの補修を行う工事にかかる費用項目です。
サイン工事 店舗の名前やロゴを設置する工事の費用項目です。

スケルトン物件はゼロスタートで設計デザインを自由にできる

スケルトン物件とは、コンクリート打ちっぱなしの建物のことです。設計やレイアウトの自由度が高く、物件数も多いため物件選びが簡単な特徴があります。

店舗の間取りの骨組みも作り上げるために必要な工事の数が多く、店舗内装の初期費用がかかるだけでなく、オープンまでの工事完了までの時間がかかる懸念があります。

飲食店のスケルトン物件の内装工事の内訳

店舗設計費

またはデザイン費

店舗設計費は内装工事に必要な設計図や展開図にかかる費用項目で、工事費の3%~7%が目安です。内装工事の費用に含まれる場合と含まれない場合があります。
デザイン費はデザインの提案を受ける場合の費用項目です。
LGS・ボード工事費 室内の間取りを作る壁と天井を造作するときに必要な下地をつくる費用項目です。軽量の鉄骨で柱などの骨組みをつくり、ボードを貼り付けて天井と壁にします。
防水工事費 水をたくさん使う飲食店で室内の防水をする費用項目です。階下や建物への漏水や浸水を防ぎます。
塗装工事費や左官工事費 ペンキなどの塗料や珪藻土などの建材で、天井や壁、床を塗って仕上げる費用項目です。

珪藻土や漆喰、モルタルなどの粘性の高い建材を使用し、天井・壁・床の仕上げや下地造りをする費用は「左官工事費」と呼ばれます。

クロス貼り工事費 下地材にクロス(壁紙)を貼る費用項目です。機能性のある壁紙も増えています。
空調工事費

ダクト工事費

空調設備の設置や換気・排気の配管周りの工事の費用項目です。
電気工事費用

電気配線工事費

電気や配線に関する工事の費用項目です。
ガス工事費

ガス配管工事

物件内で給湯器やガスコンロなどのガス機器を使用する時、配管・設置する工事の費用項目です。
水道工事費

給排水工事費

物件内の給水管と排水管の引き込みや配管の工事の費用項目です。
設備工事費 厨房設備やエアコン、照明、トイレ等の設備を設置する費用項目です。

見積書では「厨房設備工事費」・「空調設備工事費」・「照明設備工事費」・「衛生設備工事費」など、設備名とあわせて記載されます。

建具工事費 ドアや窓などを開閉する仕切りの建具を取り付ける費用項目です。
サイン工事費 店舗の名前やロゴを設置する工事にかかる費用項目です。

椅子やテーブルなどのインテリアの調達・搬入を含めて内装業者に依頼することはできますが、居抜き物件・スケルトン物件どちらであっても、作り付けの家具を除いたインテリアは内装工事費用に含まれないのが一般的です。

(参考)飲食店の見積書の実例:居抜き物件(11坪)

参考までに飲食店の見積書の実例を見てみましょう。

設計デザインを行ったうえで、11坪の居抜き物件で飲食店の内装工事を行なったケースの見積書の実例の費用項目部分を抜粋したものです。

飲食店 内装 工事

画像素材:店舗内装ラボ

床・壁の「内装工事」や「塗装工事」はもちろん、カウンターなどの「造作工事」、棚のような什器をつくる「家具工事」、トイレ関連の工事(旧排水設備工事・排水設備工事・衛生設備工事)、照明を含む電化製品系の工事(電気設備工事)、店内のロゴ看板(サイン)のような「看板工事」が含まれます。

厨房や空調に関する費用項目がないため、見積書をご紹介している飲食店の店舗は、食を提供するレストランではなく、カフェのようなドリンク中心の業態だとわかります。

なお、表示価格は税抜です。キリのよい請求額にする営業努力の値引きも行なっています。

内装工事の費用項目や意図の読み取り方について詳しく知りたい方は関連記事をあわせてご覧ください。

飲食店の業種別の坪単価と費用相場の試算

スケルトン物件での飲食店なら、内装工事の費用相場を「坪単価」によって試算できます。

坪単価(つぼたんか)とは、1坪(たたみ2畳分/3.3㎡)あたりの内装工事の費用のことです。

「坪単価×店舗の面積」で計算すれば、スケルトン物件の飲食店にかかるおおよその工事の見積もりができます。

飲食店のスケルトン物件での内装工事の坪単価(都内で20坪までの場合)

業態 坪単価
カフェ 25万円~40万円 ドリンク設備が中心で、大規模な厨房設備などが必要ないため、飲食店の中では坪単価は低めです。
レストラン 30万円~40万円 大規模な厨房設備や、空調設備が必要であるため、飲食の中では坪単価はやや高めです。
ラーメン店 25万~40万円 ダクトなどの空調設備がかかります。飲食の中では低めです。
パン屋 30万円~50万円 オーブンを動かす大型の電気配電設備が必要となります。坪単価は飲食の中でも高めです。
焼肉店 30万円~50万円 1つ1つのテーブルに設置されているダクト工事など、設備工事が多くあります。坪単価は飲食の業種の中でも高めです。

居抜き物件では必要な内装工事が少なく発注することが多く、再利用できる設備や状態によってもケースバイケースで、坪単価での試算がほとんど意味をなさないので注意です。

ただし、解体撤去工事費がかかっても、居抜き物件の内装工事費用がスケルトン物件の内装工事費用を上回るケースはまれなので、居抜き物件の内装工事費用の上限を確認する目的で、スケルトン物件での費用相場を試算してみるのもよいでしょう。

先ほどの飲食店の見積書の実例では「居抜き物件で店舗面積11坪のカフェに近い業態での内装工事費用:370万円」でしたが、スケルトン物件では11坪のカフェなら「275万円〜440万円」が相場です。居抜き物件の実例でも、スケルトン物件で試算した時の上限は超えていませんね。

実際にあなたがオーナーをする飲食店の業態ならどれくらい費用がかかるか、坪単価に店舗物件の面積をかけあわせて見てみてください。

なお、飲食店の業態ごとの関連記事もあるので、あわせてご覧ください。

「レストラン 内装」「焼肉店 内装」に関する記事は近日公開予定です

飲食店の内装工事費用を左右する要素

飲食店の坪単価は日本全国一律で適用できるものではなく、立地はもちろん、店舗物件の条件によっても変わるもので、決して万能な指標ではありません。

飲食店の坪単価を変動させる要素、つまり飲食店の内装工事費用に左右する要素を3つ解説します。

① 必要な内装工事の数

内装工事が多ければ内装工事費用は高くなり、少なければ費用も低くなります。

壁や床などの仕上げ工事はどの飲食店でも必要ですが、業種に必要な設備工事の種類や数は違うので、内装工事費用が変わります。

② 内装工事の手間(工数)

内装工事の内容、どれくらい手間がかかるかも、内装工事費用に関係します。

例えば、焼肉屋などの吸排気のためのダクト工事を各席に行うなどの「個別対応」が必要な工事、手間が多い工事があるほど、内装工事費用も高くなります。

手間がかかる工事の例

  • クロス貼り工事に比べて、塗装工事や左官工事は養生シートを貼る手間がかかる
  • 塗装に比べ、技術と経験が必要な左官工事の方が個別対応になる
  • 大きいタイルと比べ、小さいタイルの方が貼る枚数の多い分の手間がかかる
  • 通りに面していない物件の立地だと、必要機材の運び入れに余分な手間がかかる
  • 極端に狭い店舗や、四角以外のユニークな形をしている店舗だと、工事の難易度があがり施工の手間がかかる

なお、個別対応に思えても、ものによっては個別対応ではない工事があることも、覚えておきましょう。

例えば、壁の下地に電気系の配管が組み込まれているボードを選んでいると、電気工事の工数削減がはかれるため、個別対応の電気工事より費用は安くなります。

修理や改装のときのメンテナンス性を考えて下地や建材を提案してくれる内装業者を選びましょう。

③ デザインや内装材

デザインを実現する上での工事難易度や、壁材や床材などの仕上げ材(内装材)にこだわると、施工方法や素材の費用が変わるため、内装工事費用は高くなります。

飲食店の場合、法律で定められた内装制限による難燃素材・準不燃素材を使用するだけでなく、消臭や防湿などの高機能な内装材を選ぶため、飲食店以外の業種に比べると、やや内装工事費用は高い傾向にあります。

飲食店の店舗内装の設計デザインで気を付けるポイント

飲食店 内装 工事

画像素材:店舗内装ラボ

おしゃれで居心地の良い飲食店を開業するために気を付けるポイントをご紹介します。

  • ポイント1:コスト面と機能面で考えたい「厨房設備」
  • ポイント2:空間の安心安全を提供する「換気」
  • ポイント3:新しい生活様式にあった「店舗レイアウト」
  • ポイント4:おしゃれな店づくりにつながる「内装コンセプト」
  • ポイント5:機能性にこだわった「内装材選び」

ポイント1:コスト面と機能面で考えたい「厨房設備」

飲食店を開業する際にもっともコストがかかるのが厨房設備で、内装工事費用の4割を占めるとも言われます。

飲食店の厨房設備に何を採用するかで、月にかかる必要な運用資金や日々のルーチン作業も変わってくるため、初期と月次のコスト面と機能面でよく考えたいのが厨房設備です。

まずは飲食店の必要な厨房設備の種類と費用相場を確認しましょう。

厨房設備を新品で購入した際の費用相場です。新品でも、費用はメーカーやスペックによって大きく変わります。この他に、業者に頼む場合は設置費用などが掛かります。

飲食店に必要な厨房設備の種類と費用相場
主な厨房設備 飲食店営業許可基準等 費用相場
シンク 1槽 保健所の営業許可を満たす基準は2槽以上です。 15万円~25万円
2槽 85万円~95万円
手洗い器 従業員用とお客様用の2か所に設置する必要があります。 20万円~30万円
冷凍冷蔵庫 食材の保存に欠かせない設備です。厨房の設置予定場所に入るサイズを確認しましょう。店舗で使う材料をしっかりとストックできる容量も確認しましょう。 30万円~50万円
製氷機 一日で製氷できる氷の量がものにより違います。必要な氷を作れる製氷能力をしっかりと確認しましょう。 35万円~45万円
コールドテーブル 冷凍冷蔵庫と作業台が一体化したものです。省スペースになり、食材を取り出してその場で調理ができ作業効率が上がります。 20万円~30万円
ガステーブル コンロが2口以上ある据え置き型のガス台です。 10万円~20万円
フライヤー ガスタイプと電気タイプがあります。ガスタイプは用途や業態に合わせて選びやすく、電気タイプは清潔でガス容量が不足している場合にも使えます。 10万円~20万円
洗浄機 洗い物の負担を減らすことができ、コストカットにもなります。営業許可を受けるためには、シンクは2つ以上必要ですが、食洗器があれば1つでも認められる場合があります。 70万円~80万円

ポイント2:空間の安心安全を提供する「換気」

新しい生活様式の普及で、飲食店の換気(かんき)は今まで以上に重要視されるようになりました。換気を上手に行い、衛生的に店舗運営するだけでなく、店舗のスタッフやお客様に安心感を与えましょう。

飲食店の内装工事を依頼する前に、店舗で換気を上手に行う方法をおさえましょう。まず換気には3つ、第1種換気、第2種換気、第3種換気があります。

店舗の換気設備には空気が入ってくる「給気口」と空気が出ていく「排気口」があり、そのどちらかあるいは両方に機械を用いて、強制的に空気の流れをつくります。

換気の種類と特徴
換気の種類 特徴
第1種換気 給排気(空気の取り込みと吐き出し)に機械を用いる。初期費用がかかる。オフィスビル、集合住宅などに使用される。
第2種換気 給気(空気の取り込み)に機械を用いる。常に新鮮な空気を入れることができる。一般的な住宅では使用されず、病院やクリーンルームで使用される。
第3種換気 排気(空気の吐き出し)に機械を用いる。低コストで換気ができる。トイレやごみ置き場などで使用される。

飲食店の換気設備には「第1種換気」か「第3種換気」を選ぶのが一般的です。

「第1種換気」には熱交換換気装置を利用することで、取り込んだ屋外からの空気(外気)を室温に近づけて給気できます。外気を温めるエネルギーや、冷やすエネルギーを使わないので省エネです。

「第3種換気」は「第1種換気」よりも導入コストを抑えられる魅力がありますが、夏や冬など室温の調整が必要な時期には空調設備に負担がかかります。

換気を種類を決めたら、どの設備にするかのタイミングで、空気の通り道の「ダクト」を設置するか、ダクトレスにするか、についてあわせて考えましょう。

ダクトの有無の違いによるメリットとデメリット
ダクトの有無 メリット デメリット
ダクト式 換気経路を設計でき、狙った場所の換気ができる。 定期的なメンテナンスに費用がかかる。メンテナンスをしないと換気能力が低下し、カビなどが繁殖し、不衛生な状態になる。
ダクトレス 設置費用が安く、ダクトのメンテナンスが不要。 室内の換気が十分に行われているかが判断しづらい

「ダクト式」と「ダクトレス」とでどちらを選ぶべきかについては、換気の考え方や飲食店の運営方法によっても変わるため、内装業者と相談して決めましょう。

ダクト式の換気設備を後回しにして開店後に工事をするとなると、工事条件によっては店を休みにしなければならないケースもあり、調整が難しくなります。

できれば店舗の設計デザイン時に内装業者と相談しながら間取りと空気の流れ、費用や性能を考慮して換気設備を決めるのをおすすめします。

新しい生活様式として、厨房と客席、スタッフスペースとお客さまスペースといったように空気の流れを別にわける間取りや換気の仕組みを考えると、衛生面でのリスクを下げられます。店舗内のパーテーションの付け方とあわせて、内装業者と相談して決めましょう。

なお、換気は建築基準法で基準が定められており、法の基準を遵守していれば、自然と換気が行われるようになっているため、必要以上に心配する必要はありません。

空気の通る道を確保し、効率的に換気が行われるようにしましょう。特に換気設備を設けない選択をしたとしても「空気は狭い場所から入ってきて、広い場所から出ていく」という性質を利用し、排気口と同じ側の窓を開けて空気が出ていく場所を増やし、1時間に5分〜10分を目標に換気を行うのをおすすめします。

ポイント3:新しい生活様式にあった「店舗レイアウト」

新しい生活様式に合わせ、安心安全な空間を作る「店舗レイアウト」のヒントをご紹介します。安心して過ごすため、社会的な距離を確保し、できるだけ物理的接触を削減する工夫をしましょう。

1.店内で飲食するケース

店内の待機列のスペースの確保  

待機列ができる場合、従来よりも待つ場所にもスペースの確保が求められるようになっています。

お客様同士1m以上の間隔をあけて誘導できるよう、店舗設計の段階から考慮しましょう。床に案内のサインをつける、待機列のお客さま用の椅子は間隔をあけて設置する工夫が有効です。

入店時のお客様に対する衛生方針の掲示  

入店するお客様の目に入る部分に、店の衛生管理の方針を掲示できるスペースを確保しておきましょう。

新しい生活様式として入店時に検温と消毒を行う運用が一般的に行われています。店内飲食を希望するお客様の目に触れるよう、食事中以外にマスクの着用のお願いする案内を掲示しておきます。

客席での衛生対策の実施  

テーブル席では他のグループとの距離を1m以上あけるように配置します。また、テーブルでお客さまが向かい合う場合、対角線上に座ってもらうか、正面にパーテーションを設置します。

パーテーションはお客さまが座った時に頭の高さを超える高さのものを選ぶことで飛沫拡散防止の効果を得ることができます。

カウンター席のある飲食店では、隣のお客様との距離を適度にあけます。距離があけられない場合は隣席との境界のカウンターにパーテーションを設置しましょう。

テーブル席でもカウンター席でも、従来よりもゆったりとしたスペースを確保することが新しい生活様式の対応として必要です。

実質の席数が減ることになりますが、衛生管理をしていない印象は客足が遠のく要因になるため、お客様の回転率とのバランスをとりながら、衛生面を考慮しましょう。

レジでの会計での接触を避ける  

飲食店の会計をレジで行う場合、レジを操作するスタッフとお客様との間にパーテーションを設置します。

キャッシュレスの推進はもちろん、現金の受け渡しはキャッシュトレイに置いて行い、物理的な接触を極力削減します。スタッフ自身に使い捨ての手袋を着用させるのも有効です。

レジの周りの飲食店の出入り口で、お客さまが留まって会計することで人が密集しがちですが、会計をする方の次に会計する方の案内のサインを床に設置し、店内にお客さまを誘導する導線と重ならないよう店舗設計しましょう。

なお、レジ会計と比べて人が密集しにくく、テーブルチェックホルダーでカードや現金を挟んで物理的接触の少ないテーブル会計は、衛生管理の観点で推奨されている支払い方法です。

 

2.テイクアウトのケース

テイクアウト専用のカウンターの設置  

店内飲食とともにテイクアウトサービスを展開する飲食店の場合、店内飲食のお客様とテイクアウトのお客様の導線をできるだけ交わらないように設計します。

可能であればテイクアウト専門のカウンターを設けることが推奨されます。

テイクアウトではお客様と対面するスタッフの間にパーテーションの設置をし、衛生対策を強化させます。

テイクアウトの待機列  

テイクアウトでの待機列ができる場合、1m以上の間隔があくように足元に案内のサインをつけます。

そもそも待機列が生まれないよう、オンラインの事前予約注文サービスの導入も有効です。

ポイント4:おしゃれな店づくりにつながる「内装コンセプト」

入ってみたくなる店舗の内装やデザインのおしゃれさは飲食店の集客に直結します。お店がおしゃれになるコツとして「内装コンセプト」をご紹介します。

・店と内装のコンセプトを決める

店のコンセプトとは、お店の方向性を決める軸です。コンセプトを決めることでお客様へのサービス内容からメニュー・費用・内外装や設備にいたるまで、一貫した考えで物事を決められます。

内装を決めるとき、店のコンセプトを決めてから内装のコンセプトを考えることによって、サービス内容と店舗デザインが1つのメッセージになっているような統一感が、飲食店をよりおしゃれなものに魅せるのです。

・照明を効果的に使う

天井・壁・床などの設置場所から照明色まで、照明には豊富な種類があります。ただ単に空間を明るくするだけじゃなく、おしゃれな照明がインテリアとなり、空間をおしゃれに格上げします。

光の量の調節、向きや角度、提供する料理を美味しそうにみせる照明の色を使用するなど、内装コンセプトにあわせて照明を工夫しましょう。

照明の色の工夫例

  • オレンジがかった色味の証明はお肉を新鮮に見せる
  • 少し白によった色だと、魚や野菜をみずみずしく見せる

ライティングで空間をおしゃれに見せる例

<上から商品と壁を照らし高級感のあるデザイン>

飲食店 内装 工事

画像素材:PIXTA

<形の違うペンダントライトをあえて近くに配置するデザイン>

飲食店 内装 工事

画像素材:PIXTA

<背面から間接照明で商品を照らすデザイン>

飲食店 内装 工事

画像素材:PIXTA

・バランスを考える

内装材を好きなものをただ選んでいくと空間が雑然としてしまうため、内装コンセプトにあわせて色や素材のバランスを考えて決めましょう。

店内の色をベースカラーが70%、サブカラーが25%、アクセントカラーが5%を基準に選ぶとまとまりが生まれます。ベースカラーとサブカラーを同系色にすると誰でも簡単におしゃれな空間に近づけることができます。

素材もできるだけ統一させましょう。例えば同じ木の素材であっても色調や木目もあわせることで統一感が生まれます。

ポイント5:機能性にこだわった「内装材選び」

飲食店の内装材を選ぶにはデザイン性はもちろん、機能性にもこだわって選びましょう。

飲食店の壁材

飲食店の壁材には、場所によって適したデザインと機能の仕上げ材を使い分けましょう。

壁材は主に3つのカテゴリがあります。

  • ビニールクロスが代表的な「クロス(壁紙)」、
  • 水性塗料やモルタル、漆喰(しっくい)、珪藻土(けいそうど)などの「塗装」
  • 磁器質タイルなどの「タイル」

中でも一般的に広く使われている壁材はビニースクロスです。ビニールクロスにある「破れにくく、掃除がしやすい」特徴以外にも、機能性を足したものが豊富にあります。気になるにおいや掃除のしやすさなど、飲食店におすすめのクロスの機能性をご紹介します。

クロスの機能性
効果 説明
消臭効果 においの原因となる物質を吸着して分解する壁紙と光触媒反応で消臭するものがあります。抗菌効果や菌の繁殖抑制効果があるので、清潔な環境づくりに役立ちます。トイレやごみの集まる場所、強いにおいのある食材を使うとき場所におすすめです。
表面強度 表面にウレタンをコーティングしているものとストレッチ性を持たせひび割れや傷に強いものがあります。表面を強化することにより、キズが付きにくく、破れなどが起きません。キズが付きやすい場所や、什器をよく移動させる場所におすすめです。
汚れ防止 壁紙にフィルムをコーティングしており、付着した汚れがふき取りやすく、メンテナンスが簡単です。一般のビニール壁紙よりも表面強度にも優れています。飲食店ではコーヒーや醤油などの落ちづらい汚れが付きやすい場所におすすめです。
撥水効果 水をはじく機能で、防カビにも効果があり、衛生的な壁紙です。こちらも汚れをふき取りやすく、メンテナンスが簡単な壁紙です。

飲食店の床材

飲食店の床材は掃除などの毎日のメンテナンスを考えて「水に強く、汚れが落としやすいもの」がおすすめです。

特に厨房・調理場の床は保健所の営業許可の規定から、クリンカータイル、コンクリート等の耐水性の高い材料を用い、排水が良く清掃しやすい床材でなければいけません。

キッチンは水をまきながら掃除ができるウェットキッチンと、常に乾いているドライキッチンに分かれます。どちらのキッチンにするかによっておすすめの床材が変わります。

厨房・調理場におすすめの床材
床材 キッチン 説明
クリンカータイル ウェット クリンカー(焼塊)を混ぜて作られるせっ器質のタイルです。丈夫で耐久年数が長いですが、施工費用・材料費など費用が高いです。
コンクリート ウェット セメントでできており、初期コストを安く抑えることができます。ひび割れであるクラックが発生しやすいです。
長尺シート ドライ 塩ビ素材でできており、耐久性・耐水性に優れている素材です。防水性を維持するため定期的なメンテナンスが必要です。

 

客席におすすめの床材
床材 説明
長尺シート 塩ビで作られているため、経済的で耐久性に優れています。クッション性がなく、衝撃に強く傷がつきにくいです。機能性に優れています。
塩ビタイル こちらも塩ビで作られています。耐久性・耐水性に優れているため、重いものを置いたときにできるくぼみも少ないです。

飲食店の内装制限

飲食店の店づくりで気を付けたいのが、法律で決められた安全な店にするための条件「内装制限」です。

内装制限は、火事が発生した際に内装が激しく燃えて火災が拡大しないためや内部にいる人間の避難を妨げないために、建築基準法で定められています。内装制限にあてはまる建物や部屋は防火材料である内装材を使用しなければなりません。

借りる建物によっても内装制限に当てはまるか、当てはまらないかが決まりますが、一般的に法律上の「調理室」がある飲食店は、内装制限の対象です。

建築基準法 第二十八条

3 別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。

引用元:建築基準法|e-Gov法令検索

飲食店オーナーは店舗に内装制限がかかることを前提に、内装業者と打ち合わせを進めましょう。

なお、内装制限に対応する内装材は、加熱されてから何分後に発火するかによって「難燃」「準不燃」「不燃」の3つに分かれます。

防火建材の種類
建材 加熱時間
難燃 加熱開始5分後
準不燃 加熱開始10分後
不燃 加熱開始20分後

難燃・準不燃・不燃は下地に何が使われているか、施工方法は何かによって分類されます。下地と壁材の両方を確認し、基準を満たしているかを確認しましょう。

飲食店の開業の初期費用を抑えるコツ

飲食店の開業にかかる初期費用を抑えるには、理想の内装デザインと現実的な費用に妥協点を見つけることも大切です。

内装工事費用をできるだけ抑えるコツをご紹介します。

コツ1:相見積もりを依頼する

内装工事費は内装業者によって変わるため、必ず相見積もりを行いましょう。

相見積もりをする時は、内装業者に「相見積もりである」としっかりと伝えておきましょう。マナーでもありますが、競争環境を生むことで適正な価格を引き出すことができます。

コツ2:デザイン費を抑える

内装のデザインや設計を行う会社は、3つのタイプがあります。デザインのみを行い、施工は別の会社が行う設計事務所、設計と施工を一括で行う内装会社、施工を主とした内装会社です。

設計事務所はデザインと施工を行う会社が別のため、そこに手数料が発生して費用が上がる傾向があります。

最も費用を抑えられるのは施工を主とした内装業者ですが、ある程度デザイン性にも期待したいのであれば、設計・施工を一括に行う内装会社をおすすめします。

詳しくは関連記事をご覧ください。

コツ3:内装材の費用を抑える

内装材は費用や機能がさまざまです。

例えば壁材であれば、施工方法を統一したものを使うことで費用を抑えられます。また素材の費用だけでなく、施工の難易度や工事期間によっても費用が変わります。内装材の費用が安く、施工も簡単なものが最も費用を抑えられます。

内装材の選択方法も工夫し、内装材そのものの費用を抑えましょう。

コツ4:厨房設備に既製品や中古品を使う

飲食店の内装費用の4割は厨房設備関連です。中古品やリース・レンタルを使うことで初期費用を大きく減らせます。

厨房設備のリース・レンタルは長期間使用し続けるとコストがかかりますが、買い切りよりも故障時に交換対応が早く行える利点もあります。初期費用を抑えたい場合、リースで試して事業が波に乗ったら改めて購入品を検討するなど、時と場合に応じた活用ができます。

まとめ

今回は飲食店にまつわる内装工事や、開業にあたって気を付けたい衛生面、費用を抑えるコツをご紹介しました。

居抜き物件は初期費用が抑えられる点、スケルトン物件は設計のデザインが自由にできる点が魅力です。費用や理想のバランスを考えて自分の飲食店としての条件にあった物件を探しましょう。

必要な内装工事は種類がたくさんあり一見難しいですが、理解することで費用を抑えるポイントがわかってきます。

今日、新しい生活様式にあわせる店づくりも重要になってきました。お客様に安全で安心して飲食できる空間を提供するために、衛生面には十分に配慮しデザインしていきましょう。

店舗の内装材も、今までのようにデザインやコスト面だけで判断するのでなく、その場所の特徴にあわせた機能を選ぶことで居心地のよい空間を作ることができます。

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