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飲食店のプレオープンとは

飲食店の「プレオープン」という言葉を聞いたことはありませんか?

プレオープンとは、本番前の予行演習として、本格的な開店の前に実際にお客さんを入れて業務を行ってみることです。

ではなぜ飲食店ではプレオープンを行うのでしょうか。

今回は飲食店のプレオープンの目的と成功させるためのポイント、注意点について解説します。

1.飲食店のプレオープンとは?

(1)飲食店のプレオープンは本番前の予行練習

飲食店のプレオープンとは、正式なオープンに先駆けての予行練習としてオープン前に数日間、実際にお客さんを入れて試運転を行うことを指します。

あくまで試運転なので、完全にオープン後と同じ状態にすることはほぼありません。

基本的にはメニューの数を絞ったり、営業時間を短めにしたりと少しダウンサイジングした営業にすることがほとんどです。

(2)プレオープンの目的

試運転とはいえ、お客さんを入れて営業を行うので、実際に営業してみると想定していなかったミスや不具合が発生することがあります。

料理を提供するスピードや料理の質、価格設定や、料理ごとの人気など、店側で想定していたものとお客さんの求めるものが一致しない場合も多くあるのです。

そういった細かい問題点を洗い出して改善するのがプレオープンの目的となります。

プレオープンで出てきた問題点やお客さんからの意見は、全てまとめてスタッフ全員に共有しましょう。

また、プレオープンでは多くの方に来てもらえるので、満足してもらうことができれば宣伝効果も狙うことができます。

現在はSNSなどで情報が伝播する速度も速いので、できるだけ多くの方に来てもらうことは広報的にも非常に有用です。

(3)レセプションとの違い

飲食店において「プレオープン」と似たイベントとして「レセプション」があります。

「レセプション」は「招待会」という意味で、お店がオープンする前に関係者や従業員の家族、友人を集めて開催する、お店のお披露目会を指す言葉です。

また、開催の目的として「プレオープン」が予行演習や宣伝をメインに行うのに対し、「レセプション」はお世話になった方に感謝を伝えるお披露目会という目的が強く、目的の面でも違いがあります。

逆に似ている点としては店がオープンする前に人を集める、という点だけでなく、招待客にアンケートを取るなどして問題点を洗い出す作業を行う点もプレオープンと似ています。

「プレオープン」はお客さんを呼んで「営業」するのに対し、「レセプション」はあくまで「お披露目パーティー」という形です。

レセプションはあくまで招待客を招待するのみで、お金を取ったり、不特定多数のお客さんを呼ぶことは基本的にありません。

レセプションについての詳細はこちら

2.飲食店のプレオープンを成功させるための4つのポイント

(1)プレオープンは2回に分ける

プレオープンを行う場合、いきなり一般のお客さんを入れて失敗してしまうと、お客さんに迷惑をかけてしまうだけでなく、お店の評判自体が悪くなってしまいます。

特に現在はSNSによって悪い噂が拡散してしまいやすく、オープン前から口コミが悪い、というのは集客に多くの悪影響を及ぼす可能性も。

そこで、初日はまず知人のみを招待し、一般のお客さんは2日目以降に入れるようにする、といったふうに2回に分けるのがおすすめ。

2回に分けることで初日に大きな問題点を洗い出して改善してから一般のお客さんを受け入れることができ、悪い評判が立ちにくくなります。

(2)事前に招待状と広告を出しておく

プレオープンで人を集めるには当然告知が必要です。

本番さながらに人が多くいる状態の方が当然、フィードバックされる問題点や改善点も多く得られるので、行うメリットが大きくなります。

チラシを配ったり近場の掲示板スペースを借りて広告を貼る、店の前に看板を立てておくといった広告戦略は必須です。

初日に招待する知人の方々には、配布用のチラシと招待状を送付しておく必要があります。

招待状の送付を含め、広報活動はできるだけ早めに始めておくとお客さん側もスケジュールを合わせやすいので、できれば1か月前には広報活動を始めておきましょう。

(3)事前にロールプレイングをしておく

プレオープンとはいえ、お客さんには気持ちよく帰ってもらいたいもの。

当然、プレオープン前にはスタッフ全員でロールプレイングをしておき、仕込みや料理の提供・客入れをはじめとした接客などをスムーズに行えるように練習しておく必要があります。

以下のポイントが特に重要な点なので、しっかり押さえてプレオープンに挑みましょう。

①設備機能のチェック

空調設備や排煙設備、厨房といった常時使用する設備のチェックに加え、厨房から客席、客席から出入り口やトイレへの動線の確認を行います。

設備点検は常にチェックしているので大丈夫なことが多いですが、動線確認は細かいながらも意外と大事です。

動線同士が交差しやすいところには注意が必要で、放置していると移動する人同士がぶつかってしまう可能性が増えてしまいます。

椅子と机の位置を工夫する、スタッフは動線が交差しにくい通路を使うなど、スムーズな移動ができるように気を付けるといいでしょう。

②料理提供ルートのチェック

料理を提供するには、「仕入れ」「仕込み」「オーダー」「調理」「配膳」という段階を踏みます。

そのため、この5段階の流れをスムーズに行えるようにオペレーションの練習をしておきましょう。

十分な量の仕入れと仕込み、素早くミスのないオーダー、量と味を均一に保った調理、ミスなく失礼のない配膳ができることが目標です。

(4)お客さんにアンケートをお願いする

プレオープンを行う最大の目的は、実際に営業を行うことで問題点を洗い出すことです。

問題点を洗い出すためには、お客さんから直接意見を貰うのが最適。

そこで、プレオープンに来てくれたお客さんにはアンケートのお願いをしておきましょう。

もちろん、お客さんにとってアンケートは面倒なことなので、ただお願いしても書いてくれない方も多くなってしまいます。

そこで、帰りがけにアンケートと引き換えにオープン後に使える割引券を渡す、当日の会計でアンケートを渡してもらった方には割引を行う、といった特典を付けるのがいいでしょう。

レジスタッフの仕事が少し増えてしまいますが、アンケートを貰う数を増やすためにもできるだけやっておきたい試みです。

3.プレオープンの流れ

(1) プレオープンの日程を決める

まずはプレオープンの日程を決めます。

スケジュールを立てていく上で基準となる日になるので、余裕をもって決めるようにしましょう。

基本的にはグランドオープンの2日前~1週間前がおすすめです。

(2)招待する参加者を選ぶ

まずは初日のプレオープンのために、だれを招待するのかを考えます。

店舗の容量を考えると同時に参加できる人数は限られてしまうので、知人をやみくもに招待するのではなく、できるだけ良いフィードバックを貰えそうな方を選ぶ必要があります。

①お世話になった人

可能な限り優先したいのは、お店を開く上でお世話になった人です。

修行先の店長などの技術的にお世話になった方や店舗の内装工事に関わってくれた方など、感謝の気持ちを伝えたい方を呼ぶといいでしょう。

こういった仕事上でお世話になった方には人脈や経験があることも多く、アンケートによるフィードバックにも有用な意見が書かれていることが多いので、できるだけ優先しておきましょう。

②ターゲットの客層に近い人

ターゲットの客層に近いということは、ターゲット顧客の心理もよくわかる人ということです。

つまり、意見にも見るべき点が多くなる傾向があります。

非常に重要なので、できれば複数人招待しておきたいところ。

もし知人にターゲット層に合う方がいない場合、顔の広い知人にお願いして、ターゲット層に合う方を連れてきてもらうように頼むといいでしょう。

③人脈が広い人

人脈が広い人は、経験が豊富で多くのお店に行ったことがある場合が多く、いい意見を出してくれやすいお客さんになります。

もしプレオープンで気に入ってもらえた場合は、人脈の広さから拡散力が高いために広告面でも役立ってくれることがあります。

手近なところでは地域の代表者や、雑誌記者などを招待するのも手です。

(3)プレオープンの内容を決める

プレオープンは予行演習が目的なので、可能な限りグランドオープン後と同じ状況を用意します。

メニューはオープン後に出すものと同じものを全て出せる状態にしておきたいですし、オペレーションの負荷も見ておきたいので、できるだけ多くのお客さんに来店してもらいたいところ。

もちろん、来てもらうだけでなくアンケートの回答もしてもらいたいですね。

そこで、プレオープン時は特典を付けておく、料金を割引き、または無料にするなど、お客さんが来店したくなる、アンケートを書きたくなるような内容を考えておく必要があります。

ちなみに、プレオープン初日に知人を招待する場合は料金を無料にする、2日目以降の一般のお客さんを入れる場合は割引にする、などといったように、初日と2日目以降で内容を変えるのもありです。

これはなぜかというと、初日のアンケート回答率を高めにしたいため。

初日は招待客のみのため、2日目以降よりも失敗を許してくれる確率は高くなります。

2日目以降、より見る目の厳しい一般客を入れる前に、1度問題点をフィードバックしておきたいので、初日のアンケート回答率を高めにしたいのです。

(4)広報活動を始める

招待状を送ったり、チラシ配りや広告の掲示を始めます。

このとき大事なのは、どんな手法であっても地図を載せること。

出来たばかりでまだオープンしていないお店の場所を知っている人はほとんどいません。

そういったお客さんが来やすくなるためにも、地図は絶対に載せておきましょう。

(5)プレオープンの準備

広報活動と並行して、仕入れやシフト管理、調理工程の最終チェックなど、プレオープン向けた準備を行っていきます。

プレオープンを成功させるためにも、スタッフ同士の連携は特に重要です。

コミュニケーションをしっかりとって準備を行いましょう。

(6)プレオープン開催

当日になったらいよいよプレオープンです。

お客さんが満足して帰ってくれるよう、全力でおもてなしをしていきましょう。

忘れてはいけないのがアンケートです。

来てくれるお客さんにはアンケート用紙を渡してしっかり書いてもらいましょう。

(7)プレオープン終了後

プレオープンが終わったら、アンケート結果やスタッフ同士の間で問題だと思ったことを洗い出し、共有します。

共有ができたら、みんなで改善するためにはどうしたらいいかを考えて実行し、オープンに備えましょう。

もし可能ならばプレオープン期間中、営業が終わったら毎日アンケートを見て改善していくのがベストですが、時間や体力的に間に合わない場合は、数日分をまとめて小分けにミーティングを行うと修正がしやすくなります。

一般的に問題となりやすいのは厨房の回転率や料理の提供速度、値段設定です。

これらに関する意見は積極的に取り入れましょう。

4.今後の営業に活かすためのチェックポイント

ここでは、プレオープン終了後にチェックして改善しておきたいポイントを解説していきます。

(1)接客対応

接客は、お客さんが気持ちよく飲食をする上で非常に重要な要素です。

人によっては店員の態度がいいからとリピーターになってくれることも。

そんな接客対応で特に重要なのが笑顔と発声です。

にこやかな笑顔は見ている側も気持ちがよくなりますし、はっきりと聞き取りやすい発声はお客さんが何度も聞きなおす必要がなくなるため、スムーズかつストレスのない接客につながります。

笑顔と発声はどちらも緊張をすると忘れがちになってしまうので、客観的にできているかどうかを見てもらうのは改善のために重要なチェックポイントです。

(2)スタッフ連携

スタッフ連携のなかでも特に重要なのがキッチンとホールの連携で、ホールで注文を受け、キッチンで調理、完成した料理をホール担当が配膳する、という流れがスムーズにできていないとお客さんを待たせることになってしまう上、回転効率が落ちるのでお店の売り上げも落ちてしまいます。

スムーズな連携ができるよう、お互いの連絡手段をしっかり確認しておきましょう。

(3)バッシング

「バッシング」というのは空いたお皿やグラスを下げ、テーブルを拭くなどお客さんが使用する前の状態に戻すことです。

このバッシングを適切に行えば次のお客さんを待たせることなく席に通せるので、客の回転率を上げることができます。

この時、全ての皿やグラスをお客さんが帰ってから下げるのでは非効率的なので、お客さんがまだ食事を楽しんでいる間に「お下げしてよろしいですか?」と聞いて不要な皿を下げる必要があります。

この食事中のバッシングを「プレバッシング」といい、的確に行えば皿洗いの時に待ち時間を軽減できるので効率的な皿の洗浄が行えます。

しかし、食事中のお客さんに声をかけることになるので、何度も声をかけてしまう、せかすような言い方になったしまうなど、声をかけるタイミングや声のかけ方を間違うとお客さんに不快な思いをさせてしまいます。

そうならないように、バッシングのタイミングや声のかけ方も確認しなければならないポイントです。

(4)商品知識

特に商品に使用されている食材については非常に重要で、お客さんが苦手な食材やアレルギーで食べられない食材、最近では外国人のお客さんに多いことですが、宗教によって食べられない食材について、どの料理に使用されているか説明を要求される場合もあります。

こうした場合に備えて、特にホールスタッフは商品とその食材についての知識をつけておかなければなりません。

商品の種類が多いなど、場合によってはメニューに商品と使用されているアレルゲンについての説明を書いておく、といった準備をした方がいいでしょう。

(5)ポーションを一定に保つ

飲食店における「ポーション」とは、食事を提供する分量を指します。

1皿の料理に均等な分量を盛り付けることで、食材のロスや同じ料金を支払うお客さん同士の不公平感を防ぐことができます。

特にお客さん同士の不公平感は、リピーター獲得において非常に大きなリスクになるので、「ある程度同じ量」ではなく、分量はしっかり決めておきましょう。

(6)レジ清算

レジ対応には間違いがなく、かつスピーディーであることが求められます。

それに加えて、プレオープンでは割引やお客さんへ割引チケットの受け渡し、アンケートの回収など通常よりも多くの業務があることが多いです。

オープン後にイベントを行う場合や繁忙期のオペレーションの確認にもなるため、レジ対応についてはきっちりチェックすることが必要です。

まとめ

飲食店においてプレオープンは大事な予行演習となるだけでなく、未来の常連客を確保できる可能性のある非常に重要なイベントです。

プレオープンを成功させるためには、できるだけ少ないミスで多くのお客さんに満足してもらうことが必要です。

そのためには、仕込みや事前のロールプレイングが非常に重要となります。

プレオープンだからと言って気を抜かず、しっかりとプロ意識を持って仕事に取り組みましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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