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食品衛生管理者とは?要件や必要な手続き

食品衛生法によって、食品営業者や食品・添加物の製造または加工を行う施設には、「食品衛生管理者」や「食品衛生責任者」を配置する必要があると定められています。

今回はその中から「食品衛生管理者」について、どんな事業を行うときに「食品衛生管理者」が必要なのか、食品衛生管理者になるにはどうしたらよいのか、詳しく解説していきます。

1.食品衛生管理者とは

食品衛生法第48条の規定により、次のとおり記載があります。

製造又は加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品又は添加物であって、食品衛生法施行令で定めるものの製造又は加工を行う営業者は、その製造又は加工を衛生的に管理させるため、その施設ごとに、専任の食品衛生管理者を置かなければならない。

 

具体的に言うと、食品衛生法施行令第13条の下記に示す食品を製造または加工する施設において配置することが義務づけられている国家資格で、厚生労働省が管轄しています。

  • 全粉乳(容量が1,400g以下である缶に収められるものに限る)
  • 加糖粉乳・調製粉乳・食肉製品・魚肉ハム・魚肉ソーセージ・放射線照射食品・食品油脂(脱色又は脱臭の過程を経て製造されるものに限る)・マーガリン・ショートニング
  • 食品衛生法第11条第1項の規定により規格が定められている添加物

食品衛生管理者とは、製造や加工の過程で特に衛生上の考慮を必要とする食品を製造する工場で選任する必要があります。

詳しくは後で記載しますが、食品衛生管理者は食品衛生責任者とは異なり、講習を受ければ誰でもできるというものではありません。

また、食品衛生管理者を選任しなければならないのは、ハムやベーコンなどの食肉加工食品や、乳製品の加工食品、油脂の加工食品などの製造工場。さらに、放射線照射食品を扱う工場などです。

 

一方、飲食店などを運営する際に必要になるのは「食品衛生責任者」です。

食品衛生責任者は各自治体が管轄する公的資格で、食品販売や製造を行う全ての事業所において配置しなければいけない有資格者のことです。

営業許可の更新時に、実務講習の受講が必須となります。食品衛生責任者は講習を受けることによりどなたでも取得することが出来る資格です。

事業所によっては、食品衛生管理者と食品衛生責任者をそれぞれ配置する必要がありますので、これらの違いを把握してしかるべき有資格者を配置することが重要です。

2.食品衛生管理者になるには

食品衛生管理者の資格を取るにはどうすればよいのでしょうか。

食品衛生管理者資格は厚生労働省管轄の国家資格ですが、試験を受けて取得する資格ではなく、講習を修了することによって取得できる資格です。

しかし、その講習は誰でも受講できるわけではありません。

次のいずれかに該当している人は食品衛生管理者になることができます。

(1)講習が免除になる人

以下のいずれかに当てはまる場合は講習の科目が全免除になる為、講習を受ける必要がありません。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 獣医師
  • 学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者
  • 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者

◯食品衛生管理者養成施設ってどんなところ?

食品衛生管理者養成施設として登録を受けた大学等にて所定の過程を修了した方は、食品衛生管理者となることが出来ます。

食品衛生管理者養成施設として登録を受けている大学等は全国に200以上あります。

食品衛生管理者を目指す方はこのような施設で所定の過程を修了することにより、卒業時に食品衛生管理者の資格を取得することが出来ます。

食品衛生管理者養成施設の一覧は厚生労働省のホームページにて確認することが出来ます。

3 食品衛生管理者養成施設|厚生労働省

(2)講習を受けることで資格を取得できる人

また、以下の要件に当てはまれば講習を受けることにより、食品衛生管理者の資格を取得することが出来ます。

  • 学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校若しくは旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者又は厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者

◯食品衛生管理者登録講習会とは

高校卒業相当以上の方で、食品衛生管理者を置かなければならない施設で3年以上の衛生管理業務従事経験がある方は食品衛生管理者登録講習会を修了することにより食品衛生管理者となることが出来ます。

直近の講習会の実施状況についても厚生労働省のホームページにて確認することが出来ます。

4 食品衛生管理者登録講習会|厚生労働省

3.食品衛生管理者の資格を取得後は保健所に届出

食品衛生管理者の資格を取得し、営業所に食品衛生管理者を置いたときは、15日以内に管轄する保健所に届出をしなければなりません。

届出時の必要書類は次の4つです。

  • 食品衛生管理者選任(変更)届(PDF)
  • 食品衛生管理者の履歴書
  • 食品衛生法第48条第6項各号のいずれかに該当することを証する書面
  • 営業者に対する関係を証する書面

各都道府県の保健所のホームページに必要書類のフォーマットがありますので、ご確認ください。

保健所管轄区域案内|厚生労働省

まとめ

製造や加工の過程で特に衛生上の考慮を必要とする食品を製造する工場では、食品衛生管理者の選任が必須です。

営業所に食品衛生管理者を置いたら、15日以内に管轄する保健所に届出をしましょう。

一般的に飲食店などで必要になる「食品衛生責任者」とは別の資格ですので、注意してくださいね。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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