2020.05.26

飲食店開業に必要な保健所申請の進め方

不動産契約・各種許認可

「飲食店を開業しよう!」そう思ったときに、店舗のイメージやメニュー、内装など決めることはたくさんあります。

しかし、店舗を借りて内装が整えば、すぐに営業を開始できるわけではありません。

飲食店を開業するときには下記の許可や届出が必要です。

  • 保健所の許可(飲食店営業許可等)
  • 消防署への届出(防火対象物使用開始届)

これに加えて開業する店舗の内容によっては警察への届出も必要になります。

  • 警察署への届出(深夜酒類提供飲食店営業開始届出もしくは風俗営業許可)

今回は、飲食店開店に必要な手続きの中で「保健所の許可」について詳しく解説していきます。

1.飲食店営業のための保健所の許可の種類

保健所で取得できる食品関連の許可には様々な種類があります。

どの許可を取ればよいか迷うかもしれませんが、居酒屋やカフェ、バーなどといった一般的な飲食店の多くは「飲食店営業」の許可を取得すれば問題ありません。

ただし、営業業態によっては「喫茶店営業」になったり、「菓子製造業」や「そうざい製造業」も併せて取得したりする必要がある場合もあります。

例えば、同じケーキ屋さんでも、持ち帰りのケーキ販売だけをしているのであれば「菓子製造業」だけ許可をとればよいですが、店内で飲食可能なケーキ屋さんであれば「喫茶店営業」の許可や「飲食店営業」の許可が必要になります。

また、ケーキ屋さんで店内飲食を可能にする場合、取り扱うメニューによって「喫茶店営業」なのか「飲食店営業」なのか変わってきますので、あらかじめ管轄の保健所へ確認をするようにしましょう。

許可の種類

飲食店営業

喫茶店営業

菓子製造業

あん類製造業

アイスクリーム類製造業

乳処理業

特別牛乳搾取処理業

乳製品製造業

集乳業

乳類販売業

食肉処理業

食肉販売業

食肉製品製造業

魚介類販売業

魚介類せり売営業

魚肉ねり製品製造業

食品の冷凍又は冷蔵業

食品の放射線照射業

清涼飲料水製造業

乳酸菌飲料製造業

氷雪製造業

氷雪販売業

食用油脂製造業

マーガリン又はシヨートニング製造業

みそ製造業

醤油製造業

ソース類製造業

酒類製造業

豆腐製造業

納豆製造業

めん類製造業

そうざい製造業

缶詰又は瓶詰食品製造業

添加物製造業

(引用:東京都福祉保健局

上記のほかにも、自治体によって届出制度などがあります。営業したいお店の業態によって必要な手続きは変わってきますので、事前に管轄の保健所で相談するようにしましょう。

 

冒頭にも記載しましたが、警察への届出が必要な場合があります。

食事ではなくお酒がメインの飲食店(居酒屋やバーなど)で夜の0時を過ぎても営業をするようなときには、お店の場所を管轄する警察著に深夜酒類提供飲食店営業開始届を出す必要があります。

こちらも判断が難しい場合は、事前に警察署へ相談することをお勧めします。

2.飲食店営業許可を取るための要件

許可を取るためには大きく2つの要件があります。

  • 人についての要件
  • お店の設備要件

この2つの要件について詳しく解説していきます。

(1)人についての要件

人についての要件は大きく二つです。

  • 食品衛生責任者がいること
  • 欠格事項がある人がいないこと

①食品衛生責任者がいること

食品を扱うお店には必ず食品衛生責任者の資格を持った人が1名以上必要です。食品衛生責任者は、お店の衛生管理を行います。この資格がないと飲食店を開業することが出来ないため、基本的には代表者本人が資格を取るようにしましょう。

食品衛生責任者の資格は各都道府県に設置されている衛生協会が実施している講習を受ければ取得することが出来ます。

栄養士や調理師などの資格がある方は講習を受けなくても食品衛生責任者になることが可能ですが、そうでない方は講習の受講が必須です。地域によっては開催がまばらなところもあるので、出来るだけ早い段階で受講を申し込んでおきましょう。

②欠格事項がある人がいないこと

食品衛生法第52条の取り決めにより次の欠格事項がある方は許可を取得することが出来ません。

  • 食品衛生法に違反して刑に処されてから2年を経過していない者
  • 飲食店営業許可を取り消されてから2年を経過していない者
  • 法人にあっては、役員の中に上記2項目に該当するものがいる場合

法人の場合は役員の中にひとりでも過去2年間に違反をして処分をされた者がいれば許可を取ることが出来ません。

(2)お店の設備要件

①飲食スペースと調理スペースが明確に分かれていること

スイングドアや暖簾などの簡易的な区切り方でも良いので、飲食スペースと調理スペースはしっかり分けることが必要です。

②キッチン内のシンクは2層以上であること

1つのシンクの大きさが幅45センチ以上深さ18センチ以上奥行36センチ以上であることが最低要件です。また、管轄の保健所によっては必要なシンクの数が異なる場合もある為、施工前に図面が出来上がったら保健所に事前相談へ行きましょう。

③従業員用とお客様用の手洗い場がそれぞれあること

従業員用とお客様用の手洗い場が“それぞれ”あることがポイントです。基本的には厨房内に従業員用としての手洗い器が1つ、トイレ内にお客様用の手洗い器として1つ設置されていなければなりません。保健所によっては客室にもう1つ設置しないといけない場合がありますので、こちらも事前に確認しましょう。

また、手洗い器には手洗い洗剤が入った容器が固定されている必要があります。

④床や壁は耐久性が高く、清掃がしやすい仕上げ材であること

床材にカーペットや木製タイルを使うのは避けましょう。壁材は汚れを発見しやすいという観点からできるだけ明るい色の壁が推奨されています。

⑤冷蔵庫に温度計が設置されていること

業務用冷蔵庫であれば基本的に温度計はついていますので問題ありません。家庭用の冷蔵庫の場合は外付けの温度計があればOKです。

⑥食器棚に戸がついていること

調理器具などの収納スペースは戸がついていて十分な数を確保できていることが必要です。

他にも様々な要件がありますが、管轄の保健所によって内容が異なる場合がありますので、設計図が出来上がったら工事に入る前に保健所に図面を持っていき事前相談をしましょう。

工事を進めてからこれはダメだったという点が出てきてしまうとそこでまた費用がかさんでしまいます。

3.保健所から飲食店営業許可を取る手続きの流れ

飲食店営業許可を取る為の要件についてはお分かりいただけたでしょうか。

最後に保健所から飲食店営業許可を取る為の手続きについて解説していきます。

手続きを取る工程はざっくり下の3つです。

  • 管轄の保健所に事前相談
  • 施工、申請書作成
  • 申請

(1)管轄の保健所に事前相談

図面が出来上がったら“必ず”管轄の保健所に事前相談へ行きましょう

お店の設備要件で解説しましたが、保健所によって少しずつ審査基準が異なります。

居抜きの物件であっても、基準が変更になっている場合もあるので必ず事前相談へ行きましょう。

平面図に簡単に設備などの概要が記載されているものを持っていき、その内容で問題ないか確認してもらいましょう。

こちらから保健所の一覧ページを見られますので、ご自身の地域を管轄する保健所を調べるのにご活用ください。

保健所管轄区域案内|厚生労働省

(2)施工、申請書作成

事前相談で特に問題なければ図面通りに施工、修正点がある場合は内装業者と相談して進めるようにしましょう。また、完工したらすぐ申請できるように飲食店営業許可申請書には粗方作っておきましょう。

申請書は保健所で用紙をもらうことが出来ます。保健所によってはインターネット上でPDFデータやWordファイルを公開している場合もありますので、ダウンロードして入手してください。

(3)申請

工事が完了したら保健所へ申請しましょう。郵送での受付は行っていないので、窓口に直接書類を持っていくようにしましょう。

○必要書類

  • 飲食店営業許可申請書

申請用紙は保健所に行けばもらえます。

インターネット上でファイルを公開している保健所もあります。

  • 営業設備の大要

営業許可を取得するお店の設備や、お店の構造について記載する書類です。

こちらも、保健所に行けば用紙をもらえます。飲食店営業許可申請書同様、インターネット上でファイルを公開している保健所もあります。

  • 平面図

お店の厨房機器や客室の配置などを記した平面図も必要になります。手書きで記載したものでも大丈夫ですが、こちらは、内装工事業者にもらう図面で代用することが出来ます。

  • 見取図

お店の場所を表す地図のことです。

お店のある場所にしるしをつければ大丈夫なので、手書きでなくても構いません。

Googleマップなどでお店の場所を検索し、印刷したものにしるしをつけておけばOKです。

  • 登記事項証明書(法人の場合)

申請者が法人の場合必要になります。

  • 水質検査成績書

お店で使用する水が貯水槽からひかれている場合は1年以内に発行された水質検査書が必要になります。

  • 食品衛生責任者の資格を有することを証するもの

講習を受けて資格を取得した方は食品衛生責任者手帳、調理師や栄養士の方は免許証を持っていけば大丈夫です。これから講習を受けて資格を取る方は、講習の申し込み控えを持っていけば対応してくれる場合もあるので、保健所の方に相談してみましょう。

 

申請してから1週間以内に保健所の担当者がお店の設備などが要件を満たしているか検査に来ます。要件を満たしていなかった場合、手直しをして再度検査が行われます。

 

問題がなければ営業許可証の引換証を渡されるので、営業許可証が出来上がる予定日を過ぎたら引換証をもって保健所に行きましょう。

検査から許可証が出来上がるまでは約2週間かかります。

引換証があれば警察署で深夜酒類提供飲食店営業開始届の申請を行うこともできますので、引換証は大切に扱いましょう。

申請時には所定の手数料(16,000円~19,000円程度)がかかりますので事前に用意して保健所へ向かいましょう。

(4)営業開始

営業開始時には、施設内に食品衛生責任者の名札(幅10cm以上、高さ20cm以上)の掲示が必要になります。

また、申請の内容に変更が出た場合(食品衛生責任者の変更や使用設備の変更など)すぐに保健所に届け出を出しましょう。

4.行政書士に代行依頼することも可能

上記の内容を行政書士に代行依頼することも可能です。

行政書士に代行依頼した場合の対応してもらえる内容と費用について解説します。

(1)行政書士に依頼した場合にお願いできる範囲

飲食店営業許可申請を行政書士に依頼した場合にお願いできる業務の範囲は以下のとおりです。

  • 許可申請書、営業設備の大要の記入
  • 申請用図面の作成
  • 保健所との事前相談
  • 許可申請書の提出
  • 保健所の現地調査立ち合い
  • 営業許可証の受領

飲食店営業許可の申請に必要な業務は全て行政書士が行える業務です。

許可申請書の記入から許可証の受領までを一貫して行政書士に依頼したほうが保健所との繋がりも密になり業務がスムーズに運びます。

ほか、消防署への申請や警察署への申請も行政書士に依頼することも出来るので、開業に必要な申請一式を行政書士に依頼すれば、申請書以外の開業に向けての準備に集中できるので必要に応じて利用するとよいでしょう。

(2)行政書士に依頼した時の費用

行政書士への報酬額は全国共通ではありません。ですが、飲食店営業許可申請の報酬額帯は3~5万円となっております。

行政書士事務所によっては図面作成を別途料金としているところもありますので、どこまでが報酬内容に含まれているのか契約前にきちんと確認しましょう。

行政書士の報酬額は事務所に掲示することが義務付けられています。ほとんどの事務所がホームページで報酬額も公開しているので、簡単に報酬額を調べることが可能です。

まとめ

飲食店を開業するには様々な申請が必要になります。店舗内装、メニュー表作成、広告宣伝はどうするのかを考えながら、申請も手続きを進めなければならないので、計画的に行動するようにしましょう。

保健所へ申請してから営業許可証が交付されるまで約1か月と考えてスケジュールを組んでおくことをお勧めします。