2020.05.06

防火管理者とは?資格の取り方と開業時必要になるケース

開業時必須項目

「防火管理者」という資格をご存知でしょうか?

その名の通り防火、つまりは火災を防ぐための活動に関する資格なのですが、具体的な内容は知らない方も多いですよね。

実はこの資格、飲食店を開業する際に必要となる場合があるのです。

そこで今回はこの防火管理者の資格について、店舗開業に必要な場合を中心に解説していきます。

1.防火管理者とは

防火管理者とは、施設の防火管理活動を行う管理者のこと、またはその管理者に必要な国家資格のことです。

簡単に言ってしまうと、防災の専門家として火事を起こさないための計画を立てて火災を予防し、万が一火災が起きてしまったら消化や避難誘導などを率先して行うことが防火管理者の仕事です。

従業員を含めて30人以上収容が可能な店舗では必須の国家資格で、必ず資格を持った防火管理者を選任して所轄の消防署長に届け出る必要があります。

そして、選任された人はその建物やテナントなどの防火対象物の火災被害を防止するため、消防計画を作成して管理します。

あくまで選任すればいいので、従業員の誰か1人が防火管理者の資格を持っていれば、必ずしも店主が取得しておく必要はありません。

しかし、退職等の可能性も考えるとできれば店主やそれに近い人間が取得しておきたい資格です。

元々は「防火責任者」と呼ばれていましたが、昭和36年4月1日に施行された「消防法の一部を改正する法律」によって名称を現在の「防火管理者」に改められました。

2.防火管理者が必要な防火対象物とは

(1)特定用途と非特定用途

防火対象物は用途に応じて「特定用途」と「非特定用途」の2つに分けられます。

この分類は防火管理者が必要か否かを判断するときに重要な分類です。

「特定用途」の防火対象物として設定されている防火対象物は不特定多数の人が出入りする施設で、集会場・遊技場・飲食店・百貨店・物品販売・旅館・ホテル・病院・診療所・幼稚園・福祉施設等があります。

それ以外の公共施設や特定の人しか出入りしない施設は「非特定用途」とされ、下宿・共同住宅・学校・図書館・公衆浴場・神社・ 教会・工場・車庫・事業所・事務所等が該当します。

(2)防火管理者が不要なケース

防火管理者が不要なのは施設自体の収容人数が「特定用途」の場合は30人未満、「非特定用途」の場合は50人未満の場合です。

なお、建物内に介護などを行う社会福祉施設を含む場合は例外として、建物全体の収容人員が10人未満の場合のみ防火管理者が不要となります。

(3)防火管理者が必要なケース

防火管理者が必要なのは施設自体の収容人数が「特定用途」の場合は30人以上、「非特定用途」の場合は50人以上の場合です。

また、施設自体が防火管理者の必要な規模であれば、その施設に入るテナントもテナント1つにつき1人ずつ防火管理者の選任が必要となります。

また、老人や障害者を対象とする介護施設を防火対象物内に含む場合は火災時に避難が困難となりやすいため、10人以上の収容人数で防火管理者を選任しなければなりません。

(4)防火管理者の資格は甲種と乙種に分けられる

防火管理者資格は甲種と乙種の2種類が存在します。

甲種の方が取得が難しい分条件の厳しい施設でも防火管理者になることができますが、5年に一度再取得の必要が出てくる場合があります。

基本的には施設の広さで甲種と乙種のどちらが必要かを判定しています。

この広さは敷地面積ではなく、延べ面積であることには注意が必要です(2階建て施設の場合1階、2階のフロア面積を足したもので判定)。

「特定用途」の施設では300㎡以上の広さで甲種が必要になり、「非特定用途」の施設の場合は500㎡未満の面積であれば乙種でも管理者になることができます。

こちらも防火管理者の要不要と同様、社会福祉施設を建物内に含む場合は例外で、面積にかかわらず10人以上を収容可能なら甲種の取得が必須となります。

詳しくは東京消防庁のこちらの一覧表を参照してください。

3.防火管理者になる方法

防火管理者資格は「防火管理上必要な知識・技能を有している者」が消防署に届出を出すことで取得することができます。

この「防火管理上必要な知識・技能を有している者」は防火管理講習修了者や学識経験者等と定められています。

防火管理講習は甲種が2日間、乙種は1日受講します。受講料は甲種の取得で8,000円、乙種の取得と甲種の再講習は7,000円です。合否判定をするテストなどはないので講習を受ければほぼ確実に取得が可能です。

甲種の場合は対応できる施設の範囲が広い代わりに取得にかかる時間と費用が少し多い上、5年に一度再講習が必要になるので必要に応じてどちらを選ぶかを決めましょう。

学識経験者等というのは学歴や仕事において「防火管理上必要な知識・技能を有している者」として認められている経験をもつ者です。

学識経験者等に認められる経験者はもう防火管理者に必要な能力を持っていると認識されるので、防火管理講習を受ける必要はなく、消防署に届出を行うだけで甲種防火管理者資格を得ることができます。

 

◯学識経験者等に認められる経験一覧

1.市町村の消防職員で管理的又は監督的な職に1年以上あった者

2.労働安全衛生法第11条第1項に規定する安全管理者として選任された者

3.防火対象物点検資格者講習を修了し、免状の交付を受けている者

4.危険物保安監督者として選任された者で、甲種危険物取扱者免状の交付を受けている者

5.鉱山保安法第22条第3項の規定により保安監督者又は保安統括者として選任された者

6.国若しくは都道府県の消防の事務に従事する職員で、1年以上管理的又は監督的な職にあった者

7.警察官又はこれに準ずる警察職員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者

8.建築主事又は一級建築士の資格を有する者で、1年以上防火管理の実務経験を有する者

9.市町村の消防団員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者

(引用:一般財団法人日本防火・防災協会 防火管理者の要件

 

4.防火管理者の委託が認められているケース

管理的または監督的な地位にいる者が、防火管理上必要な業務を適切に遂行できないと認められる場合に限り防火管理者の委託が認められます。

具体的には以下の4項目全てに適合する場合においてのみ、委託が認められます。

  • 次の表のいずれかの防火対象物、または防火対象物の部分であること
共同住宅又は複合用途の共同住宅部分
複数の防火対象物の管理権原者が同一である場合の当該防火対象物
次のいずれかに該当する場合

・火災発生時に自力で避難することが著しく困難な者が入所する社会福祉施設等(6項口)で収容人員10人未満のテナント

・前アを除く特定用途(劇場・飲食店・店舗・ホテル・病院など不特定多数の人が出入りする用途)で収容人員30人未満のテナント

・非特定用途(学校・工場・倉庫・事務所などの用途)で50人未満のテナント

特定資産又は不動産特定共同事業契約に係る不動産に該当する防火対象物

場者理講習修了者、必要になります。をしておくのがいいでしょう。

  • 管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが、次のいずれかの事由により防火管理上必要な業務を適切に遂行することができないこと
東京消防庁管外に勤務している。 所有者又は占有者が頻繁に変わる。
身体的な事由(高齢・病気等)がある。 従業員がいないか、又は極めて少ない。
日本語が不自由である。 その他消防署長が認める事由がある。
  • 委託される防火管理者が総務省令で定める次の要件をすべて満たしていること
管理権原者から必要な権限の付与が行われている。
管理権原者から「防火管理上必要な業務の内容」を明らかにした文書を、交付されており、十分な知識を有している。
管理権原者から防火管理上必要な事項について説明を受けており、十分な知識を有している。
  • 防火管理者の業務を補佐する者(防火担当責任者)が指定されていること

注意点として、防火管理者の業務を委託する場合でも最終的な防火管理の責任や防火管理者を選任し届け出る義務は委託した管理権限者が負うことになります。

万が一の時に責任を被らないよう委託する相手は慎重に選ばなければなりません。

5.防火管理者と関連する役職

(1)管理権限者

消防法上の管理について権限を有する者で、東京消防庁のホームページでは「防火管理の最終責任者」とされています。

防火対象物について正当な管理権を融資、当該防火対象物の管理行為を法律、契約又は監修上当然行うべき者と表現されていて、建物の所有者や賃借人、店舗のオーナーや会社の代表取締役社長などがこれに該当します。

  • 防火管理者を選任し所轄の消防署長に届け出ること
  • 防火管理者に消防計画を作成させ防火管理業務を指示、監督すること

の2つが主な責務で、防火管理者の上に立つ、まさに最終責任者と言えます。

(2)防火担当責任者

防火担当責任者とは、防火管理者の補佐を行う役職です。

防火管理者に任された担当区域の火災予防と火元責任者に対する指導監督が任務とされています。

例えば防火管理者が男性の場合の女子トイレ等、防火管理者では手の届かない場所を担当する場合は自分の裁量で火災予防をしなければなりません。

防火管理者と違って資格は不要ですが、責任はかなり重い重要な役職です。

(3)火元責任者

オフィスや学校などで「火元責任者」という役職と名前の書かれた赤いプレートを見たことがある方も多いかもしれません。

この「火元責任者」は法律では規定されていませんが、消防署の指導によって防火管理者の補助として設置されている役職です。

法律で規定されていないため責任としては比較的軽いものの、適切に火元責任者が防火管理をすることで現場での防火効率を上げることが可能です。

一般職員の避難や消防との連絡など、いざという時に真っ先に動くことができれば被害を大きく減らすことができるので、有用性は高い役職と言えるでしょう。

まとめ

防火管理者は施設を火災から守る役目を担う責任者と、その責任者になるための資格のことです。

資格が必要になるのは基本的に収容人数が30人以上場合と、防火管理者が必要な建物にテナントとして入る場合になります。

事業を始めるために物件を選んだ際は、選んだ物件に防火管理者が必要かどうかを確認し、必要な場合は防火管理者選任の届出も忘れないようにしましょう。