2020.05.01

美容室開業に必要な保健所への届出・手続き

開業時必須項目

美容室の開業には保健所に様々な届出や手続きを行わなければなりません。

この手続きには提出する書類も多く複雑で、期限もきっちり決まっていてなかなかすべてを把握するのは難しい手続きです。

そこで今回はこの美容室開業のため、保健所にしなければならない申請・手続きとその詳細について解説します。

1.美容室開業に必要な保健所への手続きの流れ

(1)保健所に事前に相談する

美容室の開業をするには、美容室の設備が保健所の設けている基準に合致しているかどうかが問題になります。

まずは申請や手続き、設備工事を行う前に、保健所へ工事の計画図面を持っていき、予定している美容室の内装が保健所の規格に合っているかを相談、確認しに行きましょう。

もし工事後に基準に合わなくて許可が下りずに再工事、となったら費用も時間も大幅に浪費することになってしまいます。

保健所に行けば保健所側で工事前に必要な変更点を教えてくれるので、基準通りに工事計画の手直しをすることができます。

必要書類も貰えるので、確認して必要な書類を受け取っておくと後が楽です。

また、保健所の基準は保健所ごとに違うので、相談に行くときは開業場所の管轄の保健所に行くようにしましょう。

保健所管轄区域案内|厚生労働省

(2)開設届を提出する

必要書類を準備したらまとめて開業場所の管轄の保健所に提出しましょう。

書類提出と同時に開設検査の日時調整を行い、開設検査手数料も納めます。

この解説検査手数料も保健所によって値段が異なるので、事前相談の時に値段を聞いてしっかり納められるようにしておきましょう。

この開設検査があるため、開設届は開業の10日前、遅くとも1週間前には届出ておく必要があります。

もしこれより後になってしまうと、開業予定日に間に合わない!なんてことになってしまう可能性もあります。

(3)開設検査の実施

開設届を出した日に日時調整を行った通り、開設検査を行います。

開設検査は立ち入り検査で、検査役の保健所職員が提出した書類を見て確認しながら、提出書類通りの設備が整っているかを確認していきます。

(4)発行された確認書を取りに行く

開設検査で店舗が保健所の基準を満たしていることを確認されると、保健所から確認書が発行されます。

基準を満たしていれば翌日には保健所から確認書発行の連絡が届きますので、連絡が入ったら受領印を持って保健所に行き、確認書を受け取ります。

(5)美容室営業開始

美容室の営業を開始します。

2.美容室開業に必要な届出

美容室の開業時に必要な書類は下記のとおりです。

(1)美容所開設届

美容室は法律上「美容所」と呼ばれており、業務を適正に行い、公衆衛生を向上させることを目的として美容師法に基づき、保健所を介して厚生労働省に情報を登録する必要があります。

この「美容所開設届」は美容所、つまり店舗を登録するための届です。

店舗として使用する施設の名称や施設の所在地、管理する美容師の氏名や住所を書き込みます。

各自治体によって書式が違うため、店舗を開設する自治体の保健所のものを自治体ホームページからダウンロードするか、保健所に直接行って用紙を貰ってきましょう。

事前相談に行くならその時にもらってきてしまうのが楽です。

この開設届の提出を含む登録作業には開設検査を行うことも含まれます。

解説検査とは保健所の検査員が開業しても問題ない衛生管理ができる店かどうかを調べる立ち入り検査のことです。

この立ち入り検査が行われるのは開設届の提出から少し時間がかかるため、遅くとも開業の1週間前までには届出を出しておきましょう。

立ち入り検査には手数料が必要となるため、手数料を用意しておく必要があります。

手数料の金額も自治体によって違い、例えば神奈川は16,000円、東京は24,000円と近い自治体であっても大きな差があるので、届け出前に確認しておきましょう。

(2)美容所構造設備の概要

衛生管理に問題がないことを証明するため、美容機器設備の概要書を添付します。

添付資料として内装工事業者から施設の平面図や施設付近の見取り図を貰っておくと、これを添付するだけでかなり分かりやすくなります。

この美容所構造設備の概要書には建物の構造から採光窓の有無、照明や作業室の広さといった基本的なことから作業用の各種いすやドライヤーの台数、消毒設備の広さや器具の個数といった細かな設備の情報まで書く必要があります。

漏れがないようにひとつひとつ項目を確認しながら記入していきましょう。

ちなみに、この設備概要については各地域の保健所によって基準が異なるため、見切り発車をしてしまうと細かなところで規格に合わず修正を指示されることがあります。

規格に合わず後から修正、となると費用も掛かってしまうので大変です。

工事を開始して設備を実装する前に、開業する保健所で規格に合っているか確認を取りましょう。

(3)美容所従業者名簿

美容室に所属するすべての従業員の氏名、美容師免許証の取得年月日と番号、管理美容師資格認定講習修了書の取得年月日と番号を順番に書いていきます。

また、スタッフ全員の美容師免許証の本証、管理美容師資格を持つスタッフが複数いる場合は全員の講習修了証も必要となります。

この管理美容師資格は常時2人以上である美容室の場合は必要となりますので、1人で美容室を運用する場合には必要ありません。

この項目に関しては難しいことはありませんが、忘れたり記載抜けが出ないように全員を登録しておくようにしましょう。

(4)医師の診断書

職場としての美容室の衛生環境に問題がないことを示すだけでなく、美容師本人が衛生的に問題ないことも示す必要があります。

そこで診断書を取り、結核性疾患、伝染性皮膚疾患〔伝染性膿痂疹(トビヒ)・単純性疱疹・頭部白癬(シラクモ)・疥癬等〕といった人に感染する伝染病にかかっていないことを証明しなければなりません。

診断書は3カ月以内のもののみ有効で、何らかの影響で3カ月を過ぎてしまった場合は再度診断書を取る必要があります。

(5)登記事項証明書

登記事項証明書とは、いわゆる法人の登記簿のことです。

2008年に登記簿がオンライン化されたため、登記簿の内容が必要なときは法務省に申請することで、登記記録をダウンロードして印刷し、認証されたものが交付されます。これを「登記事項証明書」と呼んでいます。

ただし、登記事項証明書をすべてダウンロードしてしまうと膨大な量になる可能性があるため、登記記録に記されている中で現在効力を発揮している部分のみを抽出した「現在事項証明書」の発行を申請するのがいいでしょう。

この登記事項証明書の提出は、言ってしまえば会社の身分を証明するためなので、過去の履歴は基本的に不要となるからです。

しかし、東京都多摩府中保健所では「登記事項証明書」と指定された上に6カ月以内に発行した原本でなければならない、とされているように保健所によって原本でなければなかったり写しでも大丈夫だったりするので、この「登記事項証明書」においても事前に保健所に内容を確認しておく必要があります。

ちなみに、個人事業主の場合は個人の身分が証明できればいいため、運転免許証や保険証があれば大丈夫です。

(6)在留カード

外国人就労者が美容室で仕事をする場合は在留カードの提出も義務付けられます。

ただし、在留カードを出せばだれでも美容師として働けるわけではありません。

たとえ美容師免許を取得しても、在留カードに記される在留資格が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「永住者」「定住者」のどれかに属さない限り美容室で働くことはできないのです。

なお、日本に帰化した場合は外国人ではなく日本人として扱われるため、当然在留カードは必要ありません。

(7)その他の書類

基本的な提出書類は上記6種類ですが、自治体によっては条例で別途書類の提出を要求する場合があります。

例えば東京都渋谷区の場合、パーマネントウェーブ施術や染毛を行わないことを誓約する誓約書を書くことで一部の洗髪設備がなくとも美容室を開業することが可能となっています。

当然のことながら自治体ごとの規定の差があるため、こういった追加資料が必要かどうかはあらかじめ地域の保健所に聞いておきましょう。

3.地位承継による開業の場合

(1)地位承継とは

地位承継とは、相続や合併、事業の分割などにより他の事業者の後を引き継いで開業することを指します。

美容室は個人事業主として開業している場合が圧倒的に多く、少人数、あるいは事業主1人で運営していることも少なくないためあまり話題に上がることはありません。

しかし、親族に後を託して引退する、自分は引退するが従業員のためにオーナーを変更して継続する、事業売却を行う、といった場合に地位承継によって新たに開業することがあります。

この地位承継による開業の場合、提出する書類も追加で必要になります。

(2)地位承継で開業する場合の必要書類

地位承継で開業をする場合、新規の開設届は必要ありませんが、代表者や美容室そのものの変更点をまとめ「美容所変更届」「美容所従業員変更届」の2種類を届出る必要があります。

また、地位継承に関する書類として「美容所相続承継同意書」と「美容所地位承継届」を出す必要があります。

「美容所相続承継同意書」はいわゆる元の所有者が新しい所有者に「お店を相続する」ことを許可する、と同意することを示す書類です。

「美容所地位承継届」は相続、合併、分割と3種類の書式が存在します。

どれも内容はほとんど同じで、承継前の法人の名前と承継後の法人の名前を確認し、地位承継を届け出る書類です。

まとめ

美容室を開業するための手続きまでには

 

・保健所に事前相談

・開設届の提出と開設検査の申し込み

・開設検査

・確認書の発行と受け取り

 

の4つの段階を踏む必要があります。

美容室開設の届出には提出書類として「美容所開設届」「美容所構造設備の概要書」「美容所従業員名簿」「美容師の診断書」の4種類の書類に加えて、必要な場合は「現在事項全部証明書」「在留カード」「自治体の条例に基づいた誓約書」が必要です。

また、地位承継によって以前の事業者から業務を引き継ぐ場合は「美容所変更届」「美容所従業員変更届」「美容所相続承継同意書」「美容所地位承継届」の4種類の書類が必要になります。

どの書類も保健所の管轄地域によって書式や規定内容が変わってきますので、まずは開業しようと考えている地域の保健所に相談してみましょう。