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内装/外装

店舗デザインと店舗設計の違いと費用相場

飲食店などの店舗をつくる際、内装工事費用には「店舗デザイン」や「店舗設計」費用も含まれます。デザイン料と設計料の相場を知っていれば、内装業者の見積り金額が妥当なのか自分で判断できます。

ちなみに、店舗デザインと店舗設計は似たような言葉ですが、実は少し違う意味を持ちます。あなたが正しい意味を理解すれば、工事業者の見積もりをより正しく理解できます。

今回の記事では、店舗デザインや店舗設計を依頼する予定のある方に向け、デザイン・設計の言葉の意味の違いと費用相場をわかりやすくお伝えします。

1.店舗デザインと店舗設計の違い

店舗デザインと店舗設計の相場についてお話する前に、「店舗デザイン」と「店舗設計」の言葉の意味の違いについて先にお話しします。

店舗デザインは店舗設計にプラスアルファの意味が加わる

「店舗デザイン」はデザイン会社がよく使う言葉で、「設計」は施工管理まで一貫して行う会社(施工管理会社)がよく使う言葉です。

どちらの言葉も「お客さまのご要望を満たし、物件や業種の特色を生かしながら、最適な店舗内装(+外装)の設計を考える」という意味を持ちますが、店舗デザインの方が「顧客の動線を意識する」「収益性を上げる」などのマーケティング要素を意識した言葉としても使われています。

また、店舗のコンセプトまで一緒に考えてから店舗デザインを行う所にも違いがあります。

店舗デザイン費は200万円であれば200万円のデザイン、500万円であれば500万円でできるデザインというように、予算にあわせた作業を行いますが、店舗設計費はどちらかというと決まった工事に対して一律でかかるものです。

店舗デザインと店舗設計の比較

店舗デザイン 「デザイン」は「設計」と同じ意味ですが、表面的な装飾を意味することが多く、店舗デザインもプラスアルファのニュアンスが加わります。

「店舗デザイン」は多くの場面で使われるため、具体的な作業として決まったものがあるわけではありません。

店舗設計 「設計」は、ある物や計画を具体化するための検討・検証、試みのことなので、「店舗設計」は、建物を計画するために、色々な検討を行うことを指します。

店舗設計は、実際に建物ができるように設計図をつくる作業を意味します。

店舗設計とデザイン図はこんなに違う

あなたが店舗設計を頼めば、こんな設計図が約3週間~1か月の期間で上がってきます。

これは、ある洋菓子店の店舗設計図です。

設計図に対し、店舗デザインとは次のような図です。

店舗設計図と店舗デザイン図はまるで違います。

店舗デザインをせずに、いきなり店舗設計することも可能で、デザインなしの方が、工期は短く費用も安くなります。

けれども、大規模な商業施設などを企画する際、通常、店舗デザイン図は必ず作成します。ただし、居抜き物件で前の業者と同じ内容の店舗をつくる際は、いきなり設計図から入る場合もあります。

2.店舗設計・デザイン料の相場とは?

これを踏まえ、店舗設計・デザイン料の相場について考えてみたいと思います。

①相場は「設計会社」と「施工会社」のどちらに依頼するかで異なる

複数の内装業者に「こんな画像のイメージで、コンセプトはこれで…」と相見積もりの依頼を出すことにすると、必ず気づくのは店舗内装の業者には2種類あるということです。

内装業者には「設計会社」と「施工会社(施工管理会社)」で2種類あるのです。

設計会社は店舗設計のみを担当します。

設計会社は施行会社数社に見積を依頼し、複数の工事会社が入札します。設計会社で入札された施工会社の中から安くて優良な業者を検討し、店舗オーナーと最終的な工事会社を決めます。設計会社は工事会社に対して手数料(マージン)を支払います。

【設計会社の場合:ヒアリングから着工までの流れ】

これに対し、施行会社は、ワンストップで店舗設計から実際の工事までを行う会社です。設計会社より工事を早く進められます。

社内に空間デザイナーや建築士がいるため、マージンはかからず、デザイン・設計料は設計会社が別の場合よりも総じて安くなります。

【施行会社の場合:ヒアリングから着工までの流れ】

「施工会社に直接、店舗設計を依頼すると費用が安くなる」と思いがちですが、残念ながらそう単純にはいきません。

なぜなら、設計会社のデザイン料の相場は総工費の7~8%が相場ですが、施工会社のデザイン料の相場は総工費の15%前後と利率が異なるからです。

しかし、施行会社は自社内ですべてまかなえるため、工事にかかる期間は設計会社に依頼するケースより短めです。テナント物件が工事中でも、物件の費用(光熱費や家賃)は発生する関係で、工事期間は短い方が支払う費用は少なくなることは覚えておきましょう。

ちなみに、JCD(一般社団法人商環境デザイン協会)の提示しているデザイン料の基準は、施工費全体の10~15%です。

参照:JCD(一般社団法人商環境デザイン協会)

②坪数で計算する場合は坪単価×5万円

店舗工事の相場を総工費の何%という形で計算する場合もありますが、総工費が出せない段階では坪数で計算します。出店する物件の坪数×5万円が相場です。

例えば、30坪の広さの美容室を開業する場合、デザイン・設計費用は次のとおりです。

30坪×5万円=150万円

しかし、3坪の店など、坪数が非常に少ない店舗というのも中には存在します。その場合は、最低設定のデザイン・設計料(50万円程度)が適用となります。

参照:大平 建築設計デザイン事務所:店舗設計の費用について

③「外装のみ」と「内外装込み」で依頼するかでも相場は異なる

内装だけでなく外装の工事も業者に依頼するとき、店舗正面から見た外観のことを「ファサード」と呼びます。

シックなサイン(看板)で、素敵なファサードですね。ファサードの出来は集客に直結するため、内装工事とセットでサイン・看板などの外装工事を行います。

外装工事は、看板デザインやセレクトだけの場合は最低5万円が相場です。しかし、もっと建物全体のイメージづくりやデザインを必要とする場合は、建築士に依頼することになるでしょう。

建築士がからむ店舗工事は、物件ごと新築であるケースが多いです。それ以外の店舗工事(既存テナントを改築)の場合は、インテリアデザイナーや空間デザイナーや大工さんがデザイン・設計を担当します。

店舗工事のデザイン・設計に関わる職業と違い

インテリアデザイナー 家具やカーテン、什器のデザイン(計画)と内装全体の企画、設計を担当する
空間デザイナー

(スペースデザイナー)

公共施設や商業施設などの大型施設の企画をお客様とのヒアリングを元にCADなどのソフトを使って立体化する
大工さん 工務店などで働き、お客様の要望を元に実際の店を製作する。

職人としてだけでなく、デザイナーも兼任することも多い。

建築士 一級建築士などの国家資格を持ち、CADなどのソフトを使って建築物の細かいデザインを決め、設計図を完成させる。法的な書類作成や申請などもできる。

表で記載したように、比較的規模の小さい店舗で内装だけの場合はインテリアデザイナーや大工さんが、比較的規模が大きい店舗で外装工事も含む場合は空間デザイナーや建築士が関わります。

通常、どのデザイン会社や工務店でも内装も外装も一貫して頼める場合がほとんどです。しかし、それぞれの業者ごとに連携している会社や職人と決めている手数料や技術は異なります。

まとめ

店舗デザインや店舗設計を依頼する予定のある方に向け、デザイン・設計の言葉の意味の違いと費用相場を解説しました。

店舗デザインは「マーケティングを意識しコンセプトから考える」という点で、店舗設計と違いますが、店舗の内装や外装を顧客の意図を組みながらデザインする、という意味では同じです。

開業時など大掛かりな内装工事には店舗設計は必須ですが、店舗デザインは必須ではありません。しかし、後悔しない店づくりをするためには、内装業者とイメージを共有する意味でも重要な工程です。

予算を伝えた上で、店舗デザインを依頼し、理想の店への一歩を踏み出しましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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