2020.01.09

店舗の内装制限を緩和するための5つの方法と最新の緩和規定

内装/外装

店舗内装を検討中の方が知っておくべき事項として、建築基準法(建基法)が定める「内装制限」があります。

内装制限はその名の通り、店舗などの「内装」で使える材質や規格を「制限」するルールのことです。店舗内装ではどんな素材でも自由に使えるわけではありません。しかしながら、一定の条件下では内装制限を緩和することが認められています。

今回の記事では、内装制限の緩和が認められる緩和条件と平成30年12月に動きのあった最新の緩和規定について、詳しくお伝えしたいと思います。

※内装制限は建基法(壁と天井メイン)だけでなく消防法(消火栓設置)による制限もありますが、今回は建基法の内装制限を主に取り扱います。

1.基本の内装制限とは?

①1.2m以上の高さの壁と天井の仕上げ材料は難燃以上の素材を使用する

内装制限では、床から1.2m以上の高さの壁と天井の仕上げ材で「難燃以上の素材」を使わなければいけません。難燃以上とは加熱開始後5分後に燃え出す素材のことを言い、難燃繊維(ハロゲン系加工物やリン系化合物など)を使った素材を言います。

難燃以上と似た言葉で「準不燃以上」があります。難燃以上とは、難燃以上か準不燃以上のどちらかを使えばいい、という意味になります。難燃以上と準不燃以上の違いですが、加熱開始後から燃え出すまでの時間に差があります。

難燃以上とは 過熱開始後5分後に燃えだす素材
準不燃以上とは 過熱開始後10分後に燃えだす素材

難燃材料も不燃材料も、国土交通大臣が定めたもの又は認定したものでなければ利用できません。自分で勝手に素材を開発し、燃やしてみて、「5分以上燃えなかったから、この素材を壁紙にする!」というのは建基法違反となります。

②床面積500㎡を超える特殊建築物、3階以上で500㎡を超える建築物には排煙設備が必要

内装制限は一般の人が住むマンションや一戸建てでは適用されません。基本的に「人がたくさん集う」病院、学校、劇場などを対象としています。

【内装制限の対象となる建築=特殊建築物】

【参照】日本塗装協会|内装制限一覧表

劇場やマーケットなどの特殊建築物で床面積が500㎡を超える場合は、火災時の煙を屋外に排出し、消火活動を円滑に行うための排煙設備を設けなくてはいけません。また、上記のような特殊建築物でない場合も、3階以上でフロア面積が500㎡を超える場合は排煙設備設置の対象となります。

特殊建築物の場合でも、フロア面積の面積以下の場合は内装制限の対象とはなりません。

③うちは内装制限の対象か?内装制限チャート

あなたが店舗内装を予定している物件が内装制限の対象になるか知りたい場合は、以下のチャートであなたが内装工事をしたい物件が「特殊建物か?」「面積規定を超える建物か?」などの質問に「はい」または「いいえ」でチェックしてください。内装制限の必要があるかがわかります。

2.最新の内装制限の緩和条件とは?

これまで内装制限では木材をそのまま使用することができず、石膏ボードなどの防火材料とセットでの利用が義務付けられていました。しかし、「それでは木の良さが実感できない」という反対派の声が多く、平成30年12月の解説建築基準法の概要が公表された際には、以下のように内装制限(木を使っちゃいけない)の対象建築物が更新されていました。

【改正前】高さ13 m又は軒高さ9 mを超える建築物

【改正後】地階を除く階数が4以上である建築物、または高さが16 mを超える建築物、または法で別途定める高さ13 mを超える建築物

だいぶ対象建築物の条件が緩和されていますね。具体的な条件ですが、例えば4階の木造建築物を店舗として建てる場合では、以下の条件をクリアする必要があります。

  • スプリンクラー等の消火設備と自動火災報知設備を設置
  • 床面積の合計200㎡ごとに75分準耐火構造の床、壁
  • 随時閉鎖する居室の場合は75分防火設備による区画が必要

(常時閉鎖する居室の場合は500㎡以内ごとの区画でOK)

3.従来の内装制限の緩和条件とは?

①天井の仕上げを準不燃仕上げ材料にする

 

【引用:福岡市消防局/内装制限】

天井(天井がない場合は屋根)の仕上げを準不燃材料で仕上げ、壁の室内に面する部分の仕上げを木材・合板・構造用パネル・パーティクルボード又は木材等と難燃材料の組み合わせにすれば木材も利用できます。

木材等とは、表面に不燃性を含む下地用パテを下塗りしたものや、防火上支障のないような壁紙を貼ったものも含みます。難燃材料の仕上げは以下3つの制限もあるので注意しましょう。

  • 木材等の表面に火炎を助長するような溝を設けない
  • (木材等が厚さ10ミリ未満の場合)難燃材料の壁に直接取り付けること
  • (木材等が厚さ10ミリ以上25ミリ未満の場合)壁の内部で火炎が防止できるように入りされた柱・はりなどの横架材または壁に直接取り付けること

【参照:福岡市消防局/内装制限】

②天井の高さを高くする

内装制限では排煙上、天井が一定以上高いことで長時間の煙が効果することを防ぐ効果があると考慮しています。(排煙設備の設置基準(令第126条の2)福岡市消防局/内装制限の資料の「内装制限の適用を受ける建築物等」という部分を参照すると、天井高が6mを超える場合は窓がなくても内装制限の対象となっていません。

そのため、一つの基準として床から天井までの高さが6m以上か6m以下なのかというのが内装制限の緩和の条件と言えるでしょう。(実際に施工する場合は、最新の法律を考慮した業者に確認してください)

③内装制限で梁(はり)あらわしの場合はどうなるのか?

郊外の飲食店などで天井を貼らずに梁をあらわしたままのインテリアもよくありますよね。このように、梁や柱が露出している内装の場合は、梁や柱の面積が床面積の10/1以内であれば内装制限の緩和対象となっています。

【参照:福岡市消防局/内装制限】

④ダイニングキッチンのように火気使用室とその他部分が一体の場合の内装制限

キッチンがお客様から見える位置にある鉄板焼きなどのダイニングキッチンの場合は、火元となる部分から「天井から火元の距離」の半分以上離れた場所で区画をすることにより、厨房室以外の部分は内装制限の非対象(緩和対象)となります。

【参照:福岡市消防局/内装制限】

ちなみに、IFヒーターを使った厨房室の場合は火気を使っていないとみなされるため、建基法では内装制限の対象とはなっていません。しかし、消防法ではIH調理器と周囲の距離について制限があるため、注意が必要です。

⑤スプリンクラーの設置で内装制限の緩和になる

令第129条の7により、スプリンクラー等の消火設備と排煙設備が設けられている場合は、内装制限の適用が除外されます。そのため、天井、壁にも木材が利用可能になります。

4.内装制限で使えるクロスや壁紙は?

「内装制限があるから、オシャレなクロスは使えないのか?!」とガッカリする必要はありません。例えば、株式会社サンゲツのカタログでは学校やオフィスや介護施設などで使える防火用のクロスが掲載されていますが、バリエーションは非常に豊富です。

【不燃認定壁紙 (一例)】

【引用:株式会社サンゲツ|カタログ 2017-2019フェイスより】

ちなみに、防火用クロスのカタログを見ていると以下のような「防火種別」の表が掲載されていることがよくあります。この種別が、事業者が内装工事の素材を決める際に分かりやすいように日本塗装協会が分類したものです。

【防火種別(抜粋)】

防火種別は1-1~6-5まで全部で26種類あり、施工方法や金属板の有無により防火の強度が分けられています。最も防火効果が高いのは1-1で、数字が大きくなるにつれて(1より2、2より3)防火強度は下がっていきます。

以下のように、クロスのカタログでも防火種別は出てきます。内装工事でクロスを探す際には、防火種別のことも頭の片隅に覚えておくと便利です。

まとめ

内装制限の緩和は天井に準不燃以上の素材を使う、天井を高くする、スプリンクラーや排煙設備を設置する、などの方法があります。