2020.01.09

店舗内装における消防法による制限について

内装/外装

飲食店やホテル、劇場など人がたくさん集まる場所の内装では、消防法により使用できる素材や消火栓を設置する面積などを決める内装制限が設けられています。

この内装制限ですが、これから店舗内装を手掛ける飲食店などのオーナーは是非知っておくべきです。

なぜなら、消防法を知らずに内装制限を超えた内装工事をすると、罰則の対象になってしまうかもしれないからです。

今回の記事では、店舗内装を検討している事業者が知っておくべき内装制限について、図や表を使いながら、分かりやすく解説していきます!

消防法とは?

消防法は、1948年に「火災を予防し、日本国民の命・身体・財産を火災から保護」する目的で交付された法律です。

消防では、第二章の二条で防火対象物(火災を防ぐ対象物)を、第三条では消防対象物(火災の際に消火しなければいけない対象物)を以下のように規定しています。

【消防法・第二章の二条】

2 防火対象物とは、山林又は舟車、船きよ※若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する

※船きょ=船を建造・または修繕するために入れる建築物のこと。ドックとも言う。

【消防法・第二章の三条】

消防対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物又は物件をいう。

消防法第二章の二条と三条は少し似ている内容にみえますよね。

ですが、二条は「建築物やその他の工作物に属するもの」とあり、劇場や工場や山林(!)など人間が利用するものや活動する場所を指しているのに対し、三条では「建築物やその他の工作物または物件」とあり、より広範囲となっています。

図にするとこんなイメージです。消防法では防火しなくてはいけない場所とそれ以外とをはっきり分けています。

普段私たちは消防法を特に意識しないで生活していると思いますが、消防法は私たちの生活に密接に関わっているのです。

店舗内装をするオーナーが知っておくべき内装制限とは?

①内装制限の概要

内装制限とは、建物の内部で火災が発生した場合に、内装(カーテンやクロスなど)により火災が拡大し有害なガスが発生しないよう、法律で内装に細かい規定を設けていることを指します。

内装制限は、実は「消防法」だけでなく、「建築基準法(建基法)」という2つに法律によって定められています。

消防法も建基法も、防火と人命救助という目的で内装制限を規定していますが、細かい部分では以下のように少し内容の違いがあります。

  • 消防法による内装制限・・・火災予防・初期消火・人命救助・本格消火を目的とする
  • 建築基準法(建基法)による内装制限・・・火災の初期における安全避難を目的とする

消防法では全体的な火災予防や消火を目的としており、消火栓の設置を義務付けています。

一方、建築基準法の方では「火災の初期」における「安全避難」を目的としており、内装の天井と壁材を制限しています。

②内装制限の対象となる特殊建築物の種類

内装制限の対象となる建物ですが、居住用の一戸建ての建物は対象ではなく、劇場や病院といった「特殊建築物」を対象としています。

具体的には、以下の表の1~5までの種類の建築物は、内装制限がかかる可能性があります。(※建築基準法による)

【内装制限の対象となる建築=特殊建築物】

1
劇場・映画館・劇場・集会場など
2
病院・診療所・ホテル・旅館・下宿・共同住宅・こども園など
3
百貨店・マーケット・展示場・キャバレー・カフェ・バー料理店・公衆浴場など
4
自動車車庫・自動車修理工場・映画スタジオ・テレビスタジオなど
5
地下または地下工作物内に上記1~3の居室を有するもの

【参照】日本塗装協会|内装制限一覧表

なぜ内装制限がかかる「可能性がある」という書き方をしたかと言うと、内装制限の対象となる建築物でも、建築物の種類ごとに決められている面積や制限を満たさない場合は対象とならないからです。

③内装制限がかかる建物の耐火構造と条件となる面積

建物等に内装制限がかかるかどうかは建物の面積などにより細かく決められています。

内装制限の対象となる面積ですが、建物の種類(耐火建築物、準耐火建築物etc)ごとに決められています。

耐火建築物と準耐火建築物の説明は、以下の表をご覧ください。

【特殊建築物は4つの建築物に分類される】

耐火建築物
建築基準法で定められている、対価構造を持ち、政令で定める技術基準に適合する建築物

例)RC構造、れんが造、鉄鋼モルタルなど

準耐火建築物
・耐火建築物以外の建築物で、主要構造部が準耐火構造または同等以上の性能を有するもの

・外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有する建築物

準耐火建築物(イ)
準耐火建築物であり、なおかつ1時間以上耐火する建築物を指す
その他の建築物
耐火建築物と準耐火建築物以外の建築物

【参照:木造と耐火建築物、準耐火建築物|公益財団法人日本住宅・木材技術センター

ちなみに、防火壁は20分以上火や熱を加えられても耐えられるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものを指します。

建築物ごとに決められた、内装制限対象となる建物内の面積の基準は以下の通りです。

今回は店舗内装が記事のテーマですので、内装制限の対象となる建築物は前述の3(百貨店・マーケット・展示場・キャバレー・カフェ・バー料理店・公衆浴場など)に該当すると仮定してご説明します。

耐火建築物・・・3階以上の部分の床面積の合計が1,000㎡以上のもの

準耐火建築物・・・2階の部分の床面積の合計が500㎡以上のもの

準耐火建築物(イ)・・・2階の部分の床面積の合計が500㎡以上のもの

その他の建築物・・・床面積の合計が200㎡以上のもの

上記からわかることは、店舗となる建築物に耐火構造が施されていれば、かなり広い場合(1,000㎡)のみ内装制限の対象となることがわかります。

逆に、耐火建築物や準耐火建築物でない場合は、200㎡以上で内装制限の対象となってしまいます。200㎡は平米に直すと約60坪です。

④建築物の規模が大きい・窓がない・火を使う調理室がある場合も内装制限アリ

「特殊建築物の条件には当てはまらないから、うちの店は内装制限が関係ないかも?」と思われるオーナーの方。

他にもまだ内装制限の対象の建築物はあるのです。建築物の規模が大きく、窓がなく、火を使う調理室がある場合は内装制限の対象です。

【建築物の規模が大きい】※学校を除く

階数が3以上で延べ面積が500㎡を超えるもの
階数が2で延べ面積が1,000㎡を超えるもの
階数が1で延べ面積が3,000㎡を超えるもの

【窓がない建物等】

窓その他の開口部を 有しない居室(天井 の高さ6mを超えるものぞ除く)
床面積が50㎡を超える居室で窓等開放できる部分(天井から下方80cm以内の部分に限る) の面積の合計が床面積の1/50未満のもの
階数が1で延べ面積が3,000㎡を超えるもの
温湿度調整を必要とする作業室等(法第28条第1項)

【調理室等】※主要構造部を対価構造としたものを除く

調理室、浴室その他 の室で、かまど、こん ろ、その他火を使用 する設備又は器具を 設けたもの
階数2以上の住宅(事務所、店舗兼用を含む)の最上階以外の階に火 を使う設備を設けたもの
住宅以外の建築物の火を使う設備を設けたもの

⑤内装制限がかからない建築物

人が活動する建物ですが内装制限の非対象となる建築物があります。以下の、戸建て住宅やあなたがお持ちの店舗が内装制限の対象の建築物だとしましょう。その場合、以下の内装制限がかかります。

内装制限対象の場合、店舗オーナーはどのような内装制限をすべきなのか

①消火栓の設置

以下の対象建築物にあなたの店が該当する場合、屋内消火栓設備の設置が必要になります。

【延べ面積(各階の床面積合計)が以下の建物】

700㎡以上 地下街の場合は150㎡以上

また、以下の条件に当てはまる建物も屋内消火栓設置の対象です。

床面積150㎡以上 地階・無窓階・4階以上の階

②天井・壁材で難燃以上の素材を使用

【居室等の場合】

  • 壁→難燃以上(床面上1.2m以 下除く)
  • 天井→難燃以上(3階以上に居室を有するものは準不燃以上)

【通路・階段の場合】

・壁・天井ともに準不燃以上

内装制限は居室内の高さ1.2mを超える部分が対象となっています。

内装制限の対象となる場合は、壁と天井の両方に難燃以上または準不燃以上の素材を使わなくてはいけません。

難燃も準不燃も国土交通大臣が定める方法と組み合わせによる「防火材料」の一つとして位置づけられていますが、建築基準法第108条の2では防火材料には以下のような基準を設けています。

【防火材料の基準】

  • 燃焼しない
  • 避難上で有毒なガスを発生しない
  • 防火上で有害な変形・溶解・亀裂等が発生しない

具体的には、国土交通省が定めた内装の仕上げ材料(不燃材料)にはコンクリート、れんが、瓦、陶磁器質タイル、繊維強化セメント版など17の種類があります。

ちなみに、天井の仕上げを不燃・準不燃とした場合は、壁の素材は木材や繊維版などの不燃・準不燃材料を組み合わせることは認められています。

内装制限|福岡市消防局

難燃以上と準不燃以上の違いですが、以下を参考にしてください。

難燃以上とは 過熱開始後5分後に燃えだす素材
準不燃以上とは 過熱開始後10分後に燃えだす素材

不燃材料の方は、防火の効果は高い素材となっています。

③床面積500㎡を超える特殊建築物、3階以上で500㎡を超える建築物には排煙設備が必要

劇場やマーケットなどの特殊建築物で床面積が500㎡を超える場合は、火災時の煙を屋外に排出し、消火活動を円滑に行うための排煙設備を設けなくてはいけません。

また、上記のような特殊建築物でない場合も、3階以上でフロア面積が500㎡を超える場合は排煙設備設置の対象となります。

飲食店の内装制限!1.2m以上の場所にある扉が木材の場合は対象になる?

建築基準法では、家具などの動かせるものに対しては制限をかけていません。あくまで、天井と壁材が基本です。

しかし、建基法では問題ない場合でも、火を使う料理場のすぐ近くにある木製の棚や扉がある場合は、保険所の許可申請がおりない例もあるようです。

内装制限を緩和したい場合

①スプリンクラーをつける

内装制限がどうしても店の構造上負担になる店も中にはあるかもしれません。

その場合、スプリンクラー等の自動式排煙設備を設けた場合は内装制限の対象外となります。

②倍読みの法則を知る

防火対象建築物が耐火構造もしくは準耐火構造を持つ場合、屋内消火栓の設置義務のある延べ面積と床面積は2倍読みしてもよいという例外規定があります、

例えば、床面積150㎡のある店は通常であれば屋内消火栓の対象となりますが、店の入っている建築物が耐火構造を持つ場合は150㎡×2=300㎡が基準となります。

まとめ

いかがでしたか?内装制限を深く知れば、万が一の火災のためにお客様や従業員を守ることにつながります。

店舗内装の際は、消防法による屋内消火栓設置の対象になるのか、建基法による天井と壁材の制限の対象となるのかをチェックしておきましょう。