2022/4/5

2022/04/05

店舗内装における消防法による制限について

店舗内装での消防法の制限や規定について、内装工事を検討するオーナー向けに図や表を使いながら解説します。

人がたくさん集まる場所では、消防法により使用できるカーテンや絨毯などの素材や、消火栓を設置する面積などに内装を制限する決まりがあり、店舗も例外ではありません。

消防法を知らずに内装工事をすると、罰則の対象になってしまうこともあります。店舗の内装工事を伴う開業にあたってはぜひ消防法の基本をおさえておきましょう。

店舗内装をするオーナーが知っておくべき消防法の概要

店舗内装をするオーナーが知っておくべき消防法の概要として、そもそも消防法とは何か、消防法と建築基準法の違いから、消防法の制限対象の「防火対象物」と「消防対象物」について解説します。

そもそも消防法とは?

消防法とは、1948年に「火災を予防し、日本国民の命・身体・財産を火災から保護する」目的で交付された法律です。

火災の予防・警戒・調査、消防設備、消火活動、救急業務、危険物の取扱などについて規定をしています。

消防法 第一章 第一条
「この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。」

引用:消防法|e-GOV

消防法と建築基準法の違い:目的と制限内容

店舗の内装や建物の仕様に影響する法律は、消防法以外に「建築基準法」(建基法)があります。

消防法と建築基準法は目的の違いから制限内容が異なります。

消防法と建築基準法の違い
法律名 目的 制限する内容
消防法 包括的な火災予防・初期消火・人命救助・本格消化 消火栓やスプリンクラーの設置、カーテンの防火性能などを義務付ける。

*防災訓練なども消防法の管轄

建築基準法 火災の初期における安全避難 建築物の構造や設備、用途の最低限の基準を定める。内装の天井と壁に使われる内装材や建物の耐火のための構造を制限する。

消防法では全体的な火災予防や消火を目的としており、消火栓の設置を義務付けています。

一方、建築基準法の方では「火災の初期」における「安全避難」を目的としており、内装の天井と壁材を制限しています。

建築基準法の内装制限は、建物の内部で火災が発生した場合に、内装(カーテンやクロスなど)により火災が拡大し有害なガスが発生しないよう、法律で内装に細かい規定を設けることを指します。

建築基準法の内装制限について詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。

消防法の制限対象:防火対象物と消防対象物

消防法では、建物を2つにわけ、火災の予防をすべき「防火対象物」と、火災が起こった際に消火すべき「消防対象物」を規定しています。

ただし、火事で燃えても消さなくていいものなどは世の中にほぼありません。

店舗内装の文脈に限れば、すべての建築物や内装、インテリアは「消防対象物」と捉え、その中に特別、火災の予防をすべきものとして「防火対象物」と考えるとイメージしやすいです。

「防火対象物」については消防法第8条の3第1項、消防法施行令別表第1で定められています。

法令に定められた防火対象物の主な例
法令 防炎防火対象物等の建築物
消防法

第8条の3第1項

高層建築物(高さ31メートルを超える建築物)
地下街
消防法施行令

別表第1

(1) 劇場、映画館、演芸場又は観覧場等
(2) キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの等
(3) ・待合、料理店その他これらに類するもの

・飲食店

(4) 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗等
(5) 旅館、ホテル、宿泊所等
(16の3) 建築物の地階で連続して

地下道に面して設けられたもの等

参照:防火対象物|東京消防庁

「防火対象物」には、飲食店や物品販売店など様々な業種の店舗が含まれることはおさえましょう。

参考:特定用途防火対象物と非特定防火対象物

「防火対象物」は不特定多数が使う「特定用途防火対象物」と、お店の従業員など特定の人が使う「非特定用途対象物」に分かれます。

飲食店や百貨店などの店舗の多くは「特定防火対象物」に分類され、収容人員が30人以上の場合、消防計画の届出が必要です。

「非特定防火対象物」なら、収容人員50名以上で届出が必要です。

内装制限対象の店舗オーナーが条件を満たしたときに求められる消防法の規定

開業する店舗の業種や店舗物件が防火対象物であるか、確認しましょう。防火対象物であった場合、規模に応じて消防法の規定に従う必要があります。

消防法施行令で規定される主な項目は次の通りです。

  • 防火管理(消防法令8条)
  • 防炎規則(消防法令8条の3)
  • 火気使用設備規則(消防法令9条)
  • 消火器具(消防法例10条)
  • 屋内消火栓設備(消防法令11条)
  • スプリンクラー設備(消防法令12条)
  • 水噴霧消火設備等(消防法令13条~18条)
  • 屋外消火栓設備(消防法令19条)
  • 動力消防ポンプ設備(消防法令20条)
  • 自動火災報知設備(消防法令21条)
  • 非常警報設備等(消防法例21条)
  • 漏電火災警報器(消防法令22条)
  • 避難器具(消防法令25条)
  • 誘導灯・誘導表式(消防法令26条)
  • 消防用水(消防法令27条)
  • 排煙設備(消防法令28条)
  • 運結散水設備(消防法令28条の2)
  • 運結送水管(消防法令29条)
  • 非常用コンセント(消防法令29条の2)

基本的には内装業者と相談して進めれば、消防法の規定に違反することはありません。

しかし、オーナーとして店舗内装に関連する「防炎規則」と「消火器具・スプリンクラー」と「排煙設備」については詳しく見て、知っておきましょう。

防炎性能のあるインテリアの使用(防炎規則)

内装制限対象の店舗では、防炎性能のあるインテリアの使用が義務付けられます。

防炎規則では「飲食店や地下街、ホテルなどにおいて使用されるカーテンやじゅうたん等に消防法の基準以上の防炎性能を有するものを使用しなければならない」と規定しています。

消防法施行令 第8条の3

「(中略)高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(中略)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。」

引用:消防法|e-GOV 

消防法で性能基準と試験方法を指定され、試験方法の通りの性能を発揮したインテリアだけが「防火性能を有するもの」となります。

「防炎性能」に似ている言葉として「難燃」がありますが、難燃は建築基準法で規定されているものです。消防法では、防炎と難燃は区別されているので、注意しましょう。

防炎規則の対象となる建築物(店舗内装に関わるものを一部抜粋)
  • 高層建築物(高さ31メートルを超える建築物)、地下街
  • 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
  • キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
  • 遊技場又はダンスホール
  • 待合、料理店その他これらに類するもの
  • 飲食店
  • 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場
  • 工事中の建築物その他の工作物

防炎規則の対象となる建築物の店舗では、消防法の規定に合ったインテリアを選びましょう。

「防炎性能を有するもの」の使用が義務付けられたインテリア(一部抜粋)
  • カーテン
  • 布製ブラインド(窓、出入り口等の開口部等に日よけ、目かくし等を行うためのもの)
  • 暗幕(映写室、キャバレー等において遮光のために用いるもの)
  • じゅうたん等の床敷物(織りカーペット、タフテッドカーペット、ニッテッドカーペット、フックドラッグ、接着カーペット、人工芝など)
  • 展示用合板(展示用パネル、掲示板バックボードなど)
  • どん帳(水引、袖幕、暗転幕など)
  • 舞台において使用する大道具用の合板
  • 工事用シート

内装に使用しないものも含まれますが、カーテンやブラインドなど、取り付けが簡単なものだと、オーナー自身のDIYなどの施工をし、知らぬうちに取り入れる可能性があります。

消火栓・屋内消火栓設備・スプリンクラーの設置

開業する店舗が防火対象物に該当する場合、面積によって消火器、屋内消火栓設備、スプリンクラーの設置が必要です。

業種と面積で必要な設備を確認しましょう。

店舗内装 消火設備基準

画像素材:店舗内装ラボ

参考:消防法施行令 第12条

第十二条 スプリンクラー設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。

一 次に掲げる防火対象物(第三号及び第四号に掲げるものを除く。)で、火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するもの以外のもの

イ 別表第一(六)項イ(1)及び(2)に掲げる防火対象物

ロ 別表第一(六)項ロ(1)及び(3)に掲げる防火対象物

ハ 別表第一(六)項ロ(2)、(4)及び(5)に掲げる防火対象物(介助がなければ避難できない者として総務省令で定める者を主として入所させるもの以外のものにあつては、延べ面積が二百七十五平方メートル以上のものに限る。)(中略)

引用:消防法施行令|e-GOV

排煙設備の設置

排煙設備は消防法、建築基準法の両方で規定されています。消防法では「消火活動上必要な施設」として位置づけられています。

排煙設備は建物の面積や業種によって設置基準が規定されています。設置の対象は以下の通り、開業する物件の業種や面積が以上に当てはまるか確認してみましょう。

  • 地下街で延べ面積が1000㎡以上
  • 劇場・映画館などで舞台部の有価面積が500㎡以上
  • カフェーやキャバレー、百貨店及び無窓階で1000㎡以上

参考:消防法施行令 第28条

第二十八条 排煙設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。

一 別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの

二 別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部で、床面積が五百平方メートル以上のもの

三 別表第一(二)項、(四)項、(十)項及び(十三)項に掲げる防火対象物の地階又は無窓階で、床面積が千平方メートル以上のもの

引用:消防法施行令|e-GOV 

消防法の規定を緩和させる「倍読みの法則」

防火対象建築物が耐火構造もしくは準耐火構造を持つ場合、屋内消火栓の設置義務のある延べ面積と床面積は2倍読みしてもよいという例外規定があります。

例えば、床面積150㎡以上のある店は通常であれば屋内消火栓の対象となりますが、店の入っている建築物が耐火構造を持つ場合は150㎡×2=300㎡が基準となります。

まとめ

店舗内装での消防法の制限や規定についてご紹介しました。

消防法は消火活動や人命救助を目的として定められています。消防法で規定される排煙装置や屋内消火栓の設置基準は、店舗の面積や業種によっても異なります。

消防法の基本を知らないと、インテリアでもカーテンやじゅうたんなど防炎の規定を満たしていないものを取り入れてしまうかもしれません。

なお、本記事では消防法を中心にご紹介しましたが、店舗の内装は制限する法律は消防法に限りません。建築基準法の内装制限についてもあわせて確認しましょう。

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