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美容室の開業における消防署の手続きの流れを解説

美容室の開業を検討している人の中には、消防署の手続きの流れが知りたい人もいますよね。また、消防検査に関する情報が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、美容室の開業における消防署の手続きの流れを解説します。消防検査や防火管理者に関する情報も解説しているため、美容室を開業予定の人は参考にしてみてください。

まずは消防署の手続きの流れを押さえる

消防署の手続きの流れを押さえておかなければ、想定していた開業予定日に間に合わず、スケジュール通りに美容室を開業できないことも考えられます。美容室を開業予定の人は、まずは消防署の手続きの流れを確認しておきましょう。

【消防署の手続きの流れ】

  1. 消防署に設備計画を相談する
  2. 消防署に各種書類を提出する

消防署の手続きはいくつかの工程に分けられます。各工程が完了しなかった場合、開業予定日に間に合わず、スケジュール通りに美容室を開業できないことも考えられるため、美容室を開業予定の人はそれぞれの工程を確認してみましょう。

①消防署に設備計画を相談する

消防署の手続きにおける最初の工程は、消防署に設備計画を相談することです。消防用設備は「消火設備」「警報設備」「避難設備」に大別され、それぞれ設置基準があるため、美容室を開業予定の人は消防署に設備計画を相談する旨を留意しておきましょう。

【消防用設備の例】

項目 具体例
消火設備 ・消火器
・屋内消火栓設備
・スプリンクラー設備
警報設備 ・非常ベル
・漏電火災警報機
・自動火災報知設備
避難設備 ・避難はしご
・避難口誘導灯
・通路誘導灯

たとえば、消火設備として挙げられるのは「屋内消火栓設備」です。「延べ面積が五百平方メートル以上のもの」「延べ面積が千平方メートル以上のもの」など、根拠法令となる消防法により、屋内消火栓設備の設置に関する条件が定められています。

また、警報設備として挙げられるのは「非常ベル」です。「収容人員が二十人以上のもの」「収容人員が五十人以上のもの又は地階及び無窓階の収容人員が二十人以上のもの」など、根拠法令となる消防法により、非常ベルの設置に関する条件が定められています。

なお、消防用設備の設置基準に関しては、設備ごとに備考や例外があります。設置基準における定義や解釈が消防署ごとに異なる可能性もあるため、消防用設備の設置基準が知りたい人は、開業予定地を管轄する消防署の担当者に確認してみましょう。

②消防署に各種書類を提出する

消防署の手続きにおける次の工程は、消防署に各種書類を提出することです。美容室を開業するときは、開業予定地を管轄する消防署にいくつかの書類を提出することになるため、美容室を開業予定の人は消防署に各種書類を提出する旨を留意しておきましょう。

【各種書類の例】

項目 概要
防火対象物使用開始届出書 建物や建物の一部を新たに使用する場合に必要となる届出。使用を始める7日前までに、その内容を消防署に届出なければならない。
防火対象物工事等計画届出書 建物や建物の一部を工事する場合に必要となる届出。工事を始める7日前までに、その内容を消防署に届出なければならない。

「防火対象物使用開始届出書」とは、建物や建物の一部を新たに使用する場合に必要な届出です。「所在地」「名称」「主要用途」「敷地面積」「建築面積」などの情報を記入し、使用を始める7日前までに、開業予定地を管轄する消防署に提出します。

「防火対象物工事等計画届出書」とは、建物や建物の一部を工事する場合に必要な届出です。「防火対象物の概要」「工事等種別」「工事等開始日」「設計者」などの情報を記入し、工事を始める7日前までに、開業予定地を管轄する消防署に提出します。

なお、テナントとして入居する場合は「防火対象物使用開始届出書」と「防火対象物工事等計画届出書」の提出が必要ですが、その他の書類は想定している美容室次第です。提出する書類が知りたい人は、開業予定地を管轄する消防署の担当者に確認してみましょう。

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想定している美容室次第となる手続きもある

想定している美容室次第では、消防署における手続きが増える場合があります。建物の面積や立地など、想定している美容室次第となる手続きもあるため、美容室を開業予定の人はその前提を踏まえつつ、それぞれの項目を確認してみましょう。

【条件次第となる手続き】

  • 消防検査の実施
  • 防火管理者の選任

想定している美容室次第では、「消防検査の実施」と「防火管理者の選任」が必要です。これらは想定している美容室次第となるため、それぞれの手続きが不要になる場合もありますが、美容室を開業予定の人はそれぞれの項目を確認しておきましょう。

消防検査の実施

建物の面積や構造が一定の基準を超えた場合、消防署の消防検査を受ける必要があります。消防用設備の設置が義務付けられた建物に関しては、消防法の観点から確認が必要になるため、美容室を開業予定の人は消防検査を受ける流れを押さえておきましょう。

【消防検査を受ける流れ】

  1. 「消防用設備等(特殊消防用設備等)設置計画届出書」を提出する
  2. 「消防用設備等設置届出書」を提出する
  3. 「消防検査」を受ける
  4. 「確認済証」を受け取る

まずは、開業予定地を管轄する消防署に「消防用設備等(特殊消防用設備等)設置計画届出書」を提出します。そして、消防用設備の工事完了後、開業予定地を管轄する消防署に「消防用設備等設置届出書」を提出することにより、消防検査の日時が決定します。

その次は、開業予定地を管轄する消防署の「消防検査」を受けることになります。消防検査当日に消防署の担当者が美容室を訪れ、すべての消防用設備の確認が取れ次第、開業予定地を管轄する消防署から「確認済証」が交付されます。

なお、「消防法」と「火災予防条例」により決まる関係上、消防検査の検査項目は消防署ごとに異なる可能性があります。消防検査の検査項目を確認しておきたい人は、開業予定地を管轄する消防署に問い合わせることを検討してみましょう。

防火管理者の選任

建物の収容人数が消防法の規定にあたる場合、防火管理者を選任する必要があります。防火管理者を選任するには、「資格の取得」と「書類の提出」が必要になるため、美容室を開業予定の人は防火管理者を選任する流れを押さえておきましょう。

【防火管理者を選任する流れ】

  1. 「防火管理者」の資格を取得する
  2. 「防火・防災管理者選任(解任)届出書」と「消防計画」を提出する

まずは、防火管理者になる予定の人が「防火管理者」の資格を取得することになります。防火管理者の資格を取得する方法はいくつかありますが、そのうちのひとつは各都道府県が実施する防火管理講習を受講し、効果測定に合格する方法です。

その次は、開業予定地を管轄する消防署に「防火・防災管理者選任(解任)届出書」と「消防計画」を提出することになります。消防署の公式サイトからフォーマットをダウンロードし、必要事項の記入後、開業予定地を管轄する消防署の担当者に書類を提出します。

なお、防火管理者の資格は「甲種」と「乙種」に分けられます。「500㎡以上の場合は甲種防火管理者」「500㎡未満の場合は甲種または乙種防火管理者」など、建物の面積に応じて資格区分が異なるため、美容室を開業予定の人は開業予定地を管轄する消防署の担当者に確認してみましょう。

防火管理者の選任が必要になる収容人数は建物全体の状況による

防火管理者の選任が必要になる収容人数は建物全体の状況によります。防火管理者の選任における収容人数は建物全体の状況から判断されることになるため、美容室を開業予定の人は防火管理者の選任が必要になる収容人数を確認しておきましょう。

【防火管理者の選任における収容人数の条件】

項目 収容人数
飲食店や病院などの複数の施設が入る建物の場合 30人以上
建物の施設が美容室のみの場合 50人以上

たとえば、飲食店や病院などの複数の施設が入る建物の場合、「防火管理者の選任が必要となる収容人数は原則として30人以上」です。消防法における「特定防火対象物」に区分されるため、収容人数が30人以上の場合は防火管理者の選任が必要になります。

一方、建物の施設が美容室のみの場合、「防火管理者の選任が必要となる収容人数は原則として50人以上」です。消防法における「非特定防火対象物」に区分されるため、収容人数が50人以上の場合は防火管理者の選任が必要になります。

なお、収容人数の算出方法は消防署ごとに異なる可能性があります。収容人数の定義や解釈が消防署ごとに異なる可能性もあるため、美容室を開業予定の人は開業予定地を管轄する消防署の担当者に収容人数に関する内容を確認することも検討してみましょう。

まとめ

消防署の手続きの流れを押さえておかなければ、想定していた開業予定日に間に合わず、スケジュール通りに美容室を開業できないことも考えられます。美容室を開業予定の人は、まずは消防署の手続きの流れを確認しておきましょう。

また、想定している美容室次第では、消防署における手続きが増える場合があります。建物の面積や立地など、想定している美容室次第となる手続きもあるため、美容室を開業予定の人はその前提を踏まえつつ、消防署における手続きを進めてみてください。

なお、建物の収容人数が消防法の規定にあたる場合、防火管理者を選任する必要があります。防火管理者の資格は「甲種」と「乙種」に分けられ、建物の面積に応じて資格区分が異なるため、不安な人は開業予定地を管轄する消防署に確認してみましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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