居抜き物件とは?賢い居抜き物件の選び方 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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居抜き物件とは?賢い居抜き物件の選び方

開業するために物件を探しているとき「居抜き物件」という言葉を見かけることがあります。 聞きなれないこの「居抜き」という言葉、いったいどんな意味なのでしょうか?

今回の記事では、居抜き物件の選ぶポイントや選び方を紹介します。居抜き物件をという言葉が気になる人は、当記事を参考にしてください。

居抜き物件とは?

居抜き物件とは、前にその物件を利用していた人が現状回復をせず、壁や家具などが残されたままの物件を指します。通常、店舗の利用者がテナントを退去する際は、「スケルトン」と呼ばれる内装設備を全てはがした状態に戻して退去しますが、費用や時間などの関係で居抜きのまま退去することもあります。

居抜き物件を契約する立場としては、居抜き物件の状態によっては新たに内装工事をせずに済むため、費用と時間の点で有利になります。たとえば、焼き肉屋の物件を探している人が、焼き肉屋の設備が備わった居抜き物件を契約できるのであれば、新たに設備を購入せずに済むため、内装工事費用を大幅に減らせることになります。

一方、居抜き物件を売るオーナーの立場としても、居抜き物件は解体する手間が省け、早く物件を売り出すことができるので、オーナーにも有利な点があると言えます。

居抜き物件の「居抜き」とは、家具や設備がある状態で人だけ居なくなった物件を指します。店舗物件を探す際、居抜きという言葉を見つけたら、前の利用者が残した家具や設備がそのままある状態だと理解しておきましょう。

なお、居抜き物件は時期や地域により販売される量が異なるため、すぐに希望の物件を見つけられないことがあります。飲食業の場合、物件契約から開業するまで最低3ヶ月程度はかかるので、居抜き物件で開業したい人は長期的な視野で物件情報をチェックしてください。

居抜き物件の選び方

居抜き物件を選ぶポイントは3つです。居抜き物件を選ぶ際は、ポイントを頭に入れて自分が希望する条件に合うかを確認しましょう。

【居抜き物件を選ぶ際のポイント】

  1. 以前の店舗の退去理由
  2. 立地
  3. 内装がイメージに合うか

    居抜き物件はスケルトン物件に比べると費用が安いため、居抜き物件を購入したい事業者は少なくありませんが、全ての居抜き物件が自分に合う物件とは限りません。適切な物件を探すために、居抜き物件を選ぶポイントの内容を確認してください。

    なお、居抜き物件にはメリットだけでなく、デメリットもあります。居抜き物件のメリットとデメリットも確認したい人は「居抜き店舗のメリット・デメリット」を参考にしましょう。

    以前の店舗の退去理由

    まず気を付けなければならないのは、前の店舗の退去理由です。前の店舗がその場所での事業をやめる場合、拡大のための移転をする場合などを除いて基本的には撤退のはずです。その撤退理由次第では、同業種を同じ場所で行っても失敗する確率が高くなる可能性があります。

    特に危険なのは、前の店舗の評判が悪かった場合です。飲食店で味があまりよくない、などの場合はまだ何とかなることもありますが、近隣とのトラブルが多かった場合は非常に危険となります。そもそも人が店舗周辺に寄り付かないため、店舗の中身が変わっていても集客がうまくいかず、せっかく開店したのに客が入らない、といった事態につながってしまいます。

    居抜き物件を契約後に公開しないよう、前の店舗の評判は事前に不動産会社に確認しておきましょう。

    立地

    集客において、立地は非常に大切です。居抜き物件でなくとも立地には気を付けるべきですが、居抜き物件の場合、前の店舗がうまく集客できず、撤退することになった原因が立地にあることも多いのです。

    駅などの人通りの多い場所に近い立地か、自分がターゲットにするお客さんが多い地域かどうか、といったポイントはしっかり押さえておきましょう。

    内装がイメージに合うか

    内装イメージは非常に大切です。例えば、落ち着いたカフェを開店するのにビビッドカラーの派手な壁の店では雰囲気が合いません。

    業種が同じでもターゲットにする層が違えば店舗イメージも変わってきます。

    ターゲット層を呼び込める内装かどうかはしっかり確認しておきましょう。

    居抜き物件で必要な造作譲渡のやり方

    居抜き物件を購入する場合、「造作譲渡」と呼ばれる手続きを行います。前の入居者と新たな入居者が物件の状態を確認し、希望の価格などの条件を交渉するためです。

    【居抜き物件で発生する造作譲渡の流れ】

    項目 概要
    1.造作譲渡をしたい旨を大家に連絡する 物件から退去する場合、まず大家に対して退去したい日程(数か月から1年程度先)を伝えます。この時に造作譲渡を行いたいという旨を相談し、大家が受け入れてくれれば造作譲渡の手続きがスタートします。
    2.次の入居者を探す 造作譲渡することを大家が承認してくれたら次の入居者を探します。退去日までには造作譲渡に関するすべての交渉を終わらせなければならないため、早めに行動を始めましょう。
    3.次の入居者が居抜き物件として借りるかを確認する 次の入居者候補が決まったら居抜き物件として借りるかどうかを確認します。基本的には居抜き物件として募集をかけるため、ここに関しては問題ない場合が多くなるでしょう。
    4.前の入居者と次の入居者が物品の引き渡しや売買価格について交渉する 新しい入居者と合意が取れたらいよいよ物品や設備についての交渉です。物品や設備に関してはリースでない限り前の入居者に所有権があるため、前の入居者が新しい入居者と直接交渉します。
    5.「造作譲渡契約書」を作成する 交渉がまとまったら「造作譲渡契約書」を作成します。「造作譲渡契約書」は、物品や設備の引き渡しについて交渉で決まった内容を書面にしたもので、後々トラブルが起きないための証拠として残しておく書類です。
    6.前の入居者が退去する 「造作譲渡契約書」を作成するところまで終われば、交渉に関しては終了です。あとは「造作譲渡契約書」の内容に従って、前の入居者が退去します。
    7.新しい入居者が入居する 最後に新しい入居者が入居すると、造作譲渡は完了します。

      造作譲渡契約は、前の入居者と次の入居者が直接契約する場合と、物件所有者と新借主が契約する場合と2パターンがあります。譲渡契約書は物件の契約書とは別に作成する必要があるので、居抜き物件を契約する際は通常よりも作成する書類が増えると覚えておきましょう。

      まとめ

      居抜き物件は初期投資を少なくでき、開業のハードルを下げてくれる賃貸物件です。ただし、前の入居者の事業がうまくいかずに退去するといった理由も考えられるので、居抜き物件を契約する際は、ポイントを押さえて検討する必要があります。

      居抜き物件を契約する際は、通常の契約書だけでなく「造作譲渡契約書」を交わすことになります。居抜き物件を契約する際はスケルトン物件を契約するより作成する書類が増えることになるので、開業時の物件として居抜き物件を探している人は、開業希望時期に間に合うよう早めに物件を探しましょう。

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      この記事の監修者

      田原 広一(たはら こういち)

      株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

      田原 広一(たはら こういち)

      平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
      平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
      平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
      お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
      自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

      【書籍】
      2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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