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内装/外装

店舗に必要な防水工事とは

飲食店の店舗内装には客席のデザインやおしゃれな壁紙が必要だ、と言われれば誰もが当たり前だというでしょう。

しかし、飲食店には防水工事が必要だ、というとこれを当たり前、と即答できる人は少ないのではないでしょうか。

実はこの防水工事こそ、飲食店にとって必要不可欠なポイントなのです。

今回はこの防水工事について解説します。

飲食店に防水工事が必要な2つの理由

衛生状態を保つ必要があるため

飲食店では多くの水を使います。

厨房はもちろんのこと、客席でも水をこぼす事故が起こる可能性は高いですよね。

水気の多い場所はカビや菌が繁殖し、害虫も過ごしやすい環境になってしまいます。

さらに、木材や金属も酸化、腐食しやすくなってしまうため、衛生環境を保つためには水気を抑えなければなりません。

当然、防水がしっかりしていなければ腐臭やカビで近隣にも迷惑をかけてしまうことも考えられるので、その場合はお店の評判そのものもガタ落ちになってしまいます。

漏水を防止するため

水を多く使うということは、入り組んだ給水、排水管も店舗には設置されるということです。

給水、排水管が多ければ多いほど漏水の危険性も高まり、入り組んでいると後から修理するには多大な時間と手間、費用が掛かります。

当然その間は店舗の営業は休まねばなりませんし、その間の営業利益もなくなることを考えると莫大な損害になってしまいます。

テナントの場合は漏れた水で下の階や周囲にも影響が出てしまう危険性もあり、お店をたたむような大きな問題に発展しかねません。

最低限周囲には迷惑をかけないレベルの防水工事は行っておく必要があります。

防水工事の種類

防水加工は主に3種類の方法が使用されています。

  1. ウレタン防水工事
  2. FRP防水工事
  3. 塩ビシート防水工事

ウレタン防水工事

ウレタン防水工事はウレタン樹脂製の塗料を塗布して乾燥することで防水層を作る工法です。

ウレタン防水工事は価格の相場が4,000円~6,000円/㎡と他の工事方法と比較して安価な上工期も早く、既存のウレタン防水の上に塗り重ね工法をすることができ改修も簡単、建物の構造が複雑でも短期間でできるなどのメリットが多く、国内の防水工事の多くを占めている工法です。

一見メリットが多いですが定期的なメンテナンスの必要があり、結果としてメンテナンスに多大な費用がかかるリスクもあります。

特にウレタン防水工事の中でも密着工法と呼ばれる工法では2~5年程度が寿命といわれているため、長期間運用したい場合は他の工法にする方が無難です。

逆にテナントで数年だけ営業したい、という店舗なら安価かつ耐用年数も気にならないので向いている工法です。

FRP防水工事

FRP防水工事のFRPとは繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略で、ガラス繊維などで補強されたプラスチックのことです。

FRPは強度、耐久性、成形性に優れるため船や水槽、自動車や屋根など、水に触れる多くの場所で広く使用されています。

FRP防水工事はこのFRPの特性を生かして防水層を成型する防水工法です。

価格の相場が5,000円~7,000円/㎡と少しお高めですが、耐久年数が10~15年と長いメリットがあります。メンテナンスこそ必要ですが素材が丈夫で安定性が高いので幅広くお勧めできる工法です。

塗膜の硬化速度が速いため、工期が短くなりやすいのも嬉しいポイント。

塩ビシート防水

塩化ビニール樹脂製の防水シートを接着剤で張り付けたり、機械で鉄板に固定したりすることで安定した防水を可能にする防水工法です。

非常に強力な防水工法で、値段こそ6,000~8,000円/㎡程度とお高めですが、耐用年数が非常に長く、接着剤式でも10~12年程度、機械式なら15~20年程と非常に長持ちです。

さらに、どちらの工法でも10年以上メンテナンスが不要なので、長期間営業を行う店舗では費用対効果が抜群といえるでしょう。

難点は工法を行える防水業者が限られるため、業者探しに手間がかかってしまうことです。

信頼できる紹介業者があれば頼るといいかもしれませんね。

防水工事の流れ

厨房内の機器を移動する

厨房内にある機器を邪魔にならないように取り外し、外に移動します。

厨房設備を外に移動できない場合は、搬出経路確保のために店舗入り口をいったん解体する、などの作業を行います。

開業前の場合は厨房に機器を入れる前に防水工事を行いましょう。

もし先に入れてしまうと機器を移動する作業が必要になり、二度手間になってしまいます。

廃棄物を撤去する

こちらも開業前であれば必要ありませんが、搬出経路確保のために解体作業を行った場合、そのときに発生したがれきなどの廃棄物を撤去する作業を行います。

この廃棄物は産業廃棄物扱いになるので、解体業者に頼んで法律に定められたとおりに処理してもらうことになります。

当然処理費用も掛かるので、予算には廃棄物処理費用も見込んでおきましょう。

防水工事を行う

邪魔なものをすべて移動したら、いよいよ防水工事が始まります。

新規の防水工事を行うときは下地処理の後に防水加工を行いますが、すでに防水工事が行われていた場合、一度古い防水加工をはがす作業が必要になることがあります。

古い防水加工とこれから行う防水加工の種類が違う場合や、古い防水加工の耐久年数が残っていない場合はこの古い防水加工をはがす作業が必要です。

古い防水加工とこれから行う防水加工の種類が同じ場合は、古い防水加工の一部を流用して上から重ね塗りすることが可能な場合もあります。

これらの状況に応じて防水工事自体の値段が変動することもあるので、事前に防水工事業者に確認を取っておくといいでしょう。

復旧作業をする

防水工事が終わったら店内施設の復旧作業をします。

外に出した厨房機器の再度搬入、一時解体した店舗入り口の再構築といった作業を行うことになります。

場合によっては左官工事や給排水管工事が入ることもあるので、手間と時間のかかる工程です。

営業中に行う場合は休業期間が長くなりますので、工事費用だけでなく休業中の売り上げ損失も考えておきましょう。

経済状況次第で日本政策金融公庫や銀行、信金などに融資をお願いすることも必要です。

復旧作業の工程も、開業前の場合は復旧するものがないので、特にやることはありません。

準備が整い次第順次必要なものを搬入していきましょう。

防水工事を行うときの注意点

居抜き物件では防水工事の経過年数を調べる

居抜き物件を利用する場合は防水工事が行われてから何年たっているかを調べましょう。

もし防水工事の寿命が残っていない物件なら、防水工事を改めて施さなければなりません。

開業後に工事を施す場合は一時営業を中断する必要も出てきてしまいますので、最初に確認を取ることが必須といえるでしょう。

防水工事は開業前に終わらせる

防水工事は開業前に終わらせておきましょう。

大掛かりな工事になるのでお店を開けたまま防水工事の作業をすることはできません。

防水工事中は営業を中断しなくてはならないので、その間の売り上げが上がらないことも考えると開業後の防水工事はリスクが大きくなってしまいます。

防水保証書を発行してもらう

「防水保証書」とは、防水工事を行った会社と防水工事に使った防水材のメーカーが連名で発行する保証書です。

防水工事後には必ず発行されるもので、「防水保証書」があると工事後に施工箇所で不具合が発生し、設備やお客さんに被害が及んだ場合でも補修の費用や賠償金の支払いによる保証が行われます。

発行してもらったら必ず大切に保管しておきましょう。

ドライキッチンの場合は少し安く済むことも

「ドライキッチン」とは、清掃時に床を水浸しにして洗わず、常に乾燥した状態で使う厨房のことです。逆に、通常の床を水浸しにして洗うキッチンを「ウェットキッチン」と呼びます。

ドライキッチンは性質上床が乾燥しているので金や害虫の発生や繁殖を抑えることができます。

また、ドライキッチンでは床に水を流さないため側溝がなく、側溝に水を流すための傾斜もありません。

側溝からの排水がないため床下の構造や足元が安定するので防水加工をする場合の費用やメンテナンス回数も少し抑えられる場合があります。

工事前には業者に確認してみるといいでしょう。

まとめ

安全な料理を提供するために衛生面に気を使わなければならない飲食店において、厨房の防水加工は必須といえます。

費用や手間を惜しまず、どの防水工法が店には向いているのかを考え、防水工事を施しましょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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