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バーの開業に必要な備品を解説

バーを開業する際は、グラス類やカクテル調製に関わるものなど、さまざまな備品を準備していくことになります。その際、バ―で使用する備品は多岐にわたるため、抜け漏れなく備品を揃える行程をおさえてから計画的に準備を進めていくことがポイントです。

当記事では、バーの開業に必要な備品を漏れなく揃えるための考え方や、営業の流れに沿って考えられる備品の例を紹介していきます。また、バーで使用する備品の一覧表も紹介するので、バーの開業に合わせて必要な備品を調べている人は参考にしてみてください。

必要な備品を漏れなく揃える工程を確認する

バーの開業に必要な備品を考える際は、備品を抜け漏れなく揃えるための工程を確認ましょう。バーで使う備品の数は多岐にわたるため、思いついたままに用意するだけでは抜け漏れや重複に気づきにくく、揃える優先度もわかりづらくなるためです。

【備品を揃えるときの流れ】

  1. 営業の場面ごとに想定される備品を書き出してみる
  2. 備品の必要数を計算する
  3. 備品の購入先を決める

備品の漏れがあった場合、商品を提供できなくなくなる可能性があるほか、作業効率が低下することにより売上げにも支障をきたすおそれがあります。抜け漏れなく備品を揃えるために、まずは開業後のバーの営業の場面を想定しつつ、必要な備品のリストアップを始めていきましょう。

営業の場面ごとに想定される備品を書き出してみる

必要な備品を漏れなく確認するために、開業後のバーの1日の流れを想定しつつ、場面ごとに使われる備品を順に書きだしていきましょう。開店前の準備や営業中、閉店後の場面ごとに想定してみることにより、必要な備品を整理しながらリストアップできるようになります。

【バーの1日の流れと想定される備品の一例】

開店前準備 ドアマット、オープンクローズ看板、おしぼり、おしぼりウォーマー、ダスター、グラスクロス
仕込み バット、ボウル、ザル、スライサー、包丁、まな板、アイスピック、ガーニッシュケース、ラップ
発注、納品、事務 パソコン、プリンター、コピー用紙、電話、書類ラック、収納ラック
営業中 ・オーダーテイク:伝票(手書きの場合)、ハンディ、キッチンプリンター用ロール紙(POSシステムの場合)
・カクテル調製、調理:シェイカー、メジャーカップ、バースプーン、ステアグラス、ストレーナー、スクイーザー、ミキサー、調理器具類
・提供、バッシング:グラス類、食器類、カトラリー、コースター、ストロー、トレー
・会計:伝票ホルダー、キャッシュトレー、クレジット(電子マネー)端末、ロール紙、伝票差し、領収証(手書き)
トイレチェック トイレ用洗剤、掃除用具、ペーパータオル、ハンドソープ、アルコール
締め作業 清掃:掃除機、モップ、デッキブラシ、バケツ、ホース、洗剤、スポンジ、消毒液、漂白剤
レジ締め:電卓、コインカウンター、コインケース、クリップ、ファイル、入金用バッグ、金庫
事務、スタッフ スタッフ用ユニフォーム、ネームプレート

たとえば、開店前には「温かいおしぼりや消毒済みダスターの準備」「看板を出す」などの流れが想定されます。また、仕込み作業では「食材を洗うためのボウル」や「仕込んだものを収納しておくガーニッシュケース」などの備品が次々に想定できます。

同様に、営業中の流れを「オーダーテイク」「提供」「会計」などの場面ごとに分けてから思い浮かぶ備品を書き出すことで、備品をグループ化できます。グループ化することにより、抜け漏れや重複を確認しやすい状態にして備品の準備を進められます。

備品を揃える工程のはじめは、開業後のバーの営業風景を想定し、場面ごとに必要となる備品を順に書き出していきましょう。なお、備品の重要度を考えてさらにグループ分けができると便利です備品のリストを作成する際には「優先順位」の項目も用意してみましょう。

バーのコンセプト によって必要な備品も書き出す

開業するバーのコンセプトによって必要になる備品がある場合は書き出しましょう。コンセプトバーならではの備品が営業中に不足や破損した場合は、近くのお店に走ってすぐに買い足すことが難しい可能性があるため、優先度を高めて準備しておく必要があります。

【バーのコンセプトによって想定される備品の一例】

コンセプト 備品の一例
ワインバー ワイングラス(ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパンフルート)、ワインセラー、ワインクーラー、トーション、ソムリエナイフ、オープナー、デキャンタ、カラフェ、ワインラック、バキュバン、グラスホルダー など
日本酒バー 枡、ぐい吞み、お猪口、徳利、盃、盃受け皿、カラフェ、酒温度計、酒燗器、ちろり など
カフェバー カップ&ソーサー(レギュラー、デミタス、エスプレッソ、カプチーノ、カフェオレボウル、ティー、)ミルクピッチャー、ティーポット、サイフォン、キャニスター、コーヒーミル、ドリッパー、ドリップペーパー、マシン用付属品(パッキン、キャップなど)茶こし など
ダイニングバー テーブルカスターセット、カトラリーケース、ナフキンスタンド、紙ナフキン、パンバスケット、テイクアウト用容器、調理器具(フライパン、鍋、フライ返し、へら、トング等)ピッチャー、トレー など
シガーバー シガートレー、シガーカッター など
ダーツバー ダーツパーツ(バレル、フライト&シャフト、チップ、フライトプロテクター、シャフトリング、Oリング) など

コンセプトによって揃える備品には、お酒を適切な温度で管理するための備品や商品の提供時に必要となる備品などが想定されます。また、ミキサーやエスプレッソマシンのパッキン、専用アタッチメントなどは、紛失、破損した場合に稼働できなくなるおそれがあるため、スペアを用意しておくことをおすすめします。

なお、コンセプトに関する備品の場合、こだわって選ぶものや特注になるものなどは入手に時間がかかることもあるため、早めに手配しておきましょう。

備品の必要数を計算する

バーの開業に向けて必要な備品をリストアップした後は、それぞれの備品の必要数を考えていきましょう。備品の必要数を計算しておくことで、備品にかかる費用の目安を把握できるため、開業資金を考える際の計算にも役立ちます。

【備品の必要数の一例】

項目 品名 必要数
(客席数20席を想定)
カクテル調製 シェイカー、ボストンシェイカー、メジャーカップ、ミキシンググラス、ストレーナー、バースプーン 各3セット
提供
【グラス】
タンブラー、ゴブレット、コリンズ、ロックグラス、カクテルグラス、シャンパンフルートグラス、ワイングラス 各60個(脚)
提供
【食器】
大皿、中皿、取り皿、小鉢 各40~60枚(個)
※提供するメニューによって検討
提供
【カトラリー】
スプーン、フォーク、ナイフ(各サイズ)箸、箸置き 各25セット
ホール業務 トレー 3枚
ホール業務 おしぼり 60匁
衛生 ダスター 1箱(70枚)
衛生 業務用アルコール 1本(5リットル)
会計 伝票ホルダー 20枚
会計 レシートロール 1袋(5巻)

たとえば、バーで使用するグラスや食器類における必要数の目安は、客席数×3で算出します。満席になった繁忙時間帯に洗浄が間に合わない場合や、日々の業務のなかで破損することなども想定したうえで備品を用意しておく必要があります。

また、おしぼりの数を計算する際は、席の回転数や、飲み物がこぼれた場合や汚れた場合のおしぼり交換などの分も想定しておく必要があります。おしぼりをレンタルする場合は、業者と相談しつつ契約本数を決めましょう。

備品の必要数を計算する際は、開業するバーの席数や備品の用途によって予備数を含めた十分な数を用意しておくことがポイントです。備品の必要数を計算することで、開業資金における備品にかかる費用の目安を把握しておきましょう。

使う備品によって購入先を決める

必要な備品の項目を書き出し、概ねの必要数を計算したら、備品の仕入数や用途にあわせてそれぞれの購入先を決めていきましょう。数を多く用意する必要のある備品や、ひとつのものを長く使っていく予定のものなどによって購入先が異なることが考えられるためです。

たとえば、バーで使用するグラス類は、種類が多いうえに客席数の3倍の数を目安に用意する必要があるため、価格をおさえて大量に仕入れる方法がおすすめです。

まとまった数のグラスや食器などを仕入れる方法の1つとして「飲食店向けの業務用サイト」を利用することが可能です。飲食店向けのグラス類を数多く取り扱っているうえに、一定数以上の購入で割引になる場合や送料無料のサービスを受けられる場合もあります。

一方で、バーで使う備品には、壊れにくく長く使える使えるものもあります。シェイカーやソムリエナイフのような常に愛用していくこととなる道具などは、価格を抑えるのではなく、質を追求して専門店で買い求める人もいます。

バーで使用する備品を購入する際は、備品の用途に合わせて仕入れ先を検討し、納品に時間がかかるものから順に手配しておきましょう。

バーの開業に向けた備品リストの例

備品を準備する際は、抜け漏れや重複のないよう、備品リストを作成することをおすすめします。今回は備品リストの例を用意したので、一覧を参考にしながら自身が開業するバーのオリジナルの備品リストを作成してみてください。

【バーの開業に必要な備品の例】

項目 品例 個数 優先順位
開店準備 ドアマット
オープンクローズプレート
立て看板
傘立て
仕込み、カクテル調製 アイスピック
アイストング
アイスペール
メジャーカップ
シェイカー
ボストンシェイカー
ステアグラス
バースプーン
マドラー
スクイーザー
まな板
包丁
ピーラー
ブレンダー(ミキサー)
マッシャー
ガーニッシュケース
スペアトレー
レードル、ボウル、ザル
グラス タンブラー
ゴブレット
コリンズ
ロックグラス
カクテルグラス
シャンパンフルートグラス
ワイングラス(ブルゴーニュ、ボルドー)
食器 小皿、中皿、大皿、アミューズ皿
カトラリー シルバー類、箸、箸置、カトラリーケース
その他 電子ケトル
グラスラック
バーマット
グラスクロス
ダスター
アルコール
スポンジ
洗剤
つけ置き用バケツ
ホース
ボトルキープ札
ゴミ箱
客席、接客 メニュー
おしぼり
おしぼりトレー
手荷物かご
トレー
伝票
ハンディー
トイレ ペーパータオル
トイレットペーパー
掃除用具
洗剤
アルコール
レジ周り 伝票ホルダー
伝票差し
キャッシュトレー
レシートロール
手書き領収証
締め作業 掃除機
モップ
モップ絞り器
デッキブラシ
水切りワイパー
コインケース
コインカウンター
入金用バッグ
事務 PC
電話
プリンター
書類ラック
従業員 ユニフォーム
バックヤード用椅子、テーブル
荷物置きラック

リストにて紹介した備品は、あくまでも一例です。開業するバーによって必要になる項目や数量も異なるため、営業の流れや場面ごとに思い浮かぶ備品をすべて書き出し、抜け漏れの無いようにオリジナルのリストを作成しましょう。

なお、当記事では主に「備品」を紹介しており、グラスを収納する「棚」や、ロール紙をセットする「POSレジ」などは「設備」として別記事にて紹介しています。備品とあわせて設備も確認したい人は「バーの開業に必要な設備を解説」も参考にしてみてください。

まとめ

バーの開業に必要な備品を揃える際は、抜け漏れや重複なく準備するための工程を確認してから計画的に進めましょう。

①まずは、開業後のバーの1日の流れや営業風景を想定しつつ、場面ごとに必要な設備を書き出していきます。
②次に、備品の必要数を計算します。バーで使用するグラスや食器類は客席数の3倍の数を目安に準備しましょう。
③必要な備品の項目と必要数が確認できたら、備品の仕入れ数や用途に合わせて購入先を検討していきます。

①から③の工程を確認できたら、備品の準備リストを作成することになります。リストには備品の品名、数量、購入先、購入の優先順位などの項目を用意し、抜け漏れや重複なく準備するために工夫しておきましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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