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焼き鳥屋が開業するときの営業許可を解説

焼き鳥屋を営業する際は、他の飲食店と同じように営業許可が必要になります。そのため、これから焼き鳥屋を開業する場合は、開店前に営業許可を取得する必要があります。

本記事では、焼き鳥屋が開業するときの営業許可について、取得方法や手続きの流れを解説します。焼き鳥屋の開業準備で必要な許可を調べている人は、参考にしてください。

焼き鳥屋は飲食店営業許可の取得が必要

焼き鳥屋を開業するには「飲食店営業許可」の取得が必要です。店内で調理した料理を不特定多数のお客さんに提供するので、焼き鳥屋は食品衛生法で定められる飲食店営業許可の対象となるためです。

【飲食店営業許可の概要】

制度 公衆衛生のため、飲食店に食の安全性を守り営業させる
法的根拠 食品衛生法
届出場所 開業予定地を管轄する保健所
提出期限 店舗が完成する10日前まで

飲食店営業許可を申請する際は、開業予定地を管轄する保健所で、営業を開始する10日前までに申請することになります。たとえば、東京都中野区で焼き鳥屋を10月1日に開店する場合は、中野区保健所に9月20日までに申請します。

保健所から飲食店営業許可を取得すると、焼き鳥屋の開業が法で許可された状態になります。焼き鳥屋を開業する際は、かならず保険所から飲食店営業許可を取得することになると覚えておきましょう。

店舗以外で営業する際も飲食店営業許可は必要となる

焼き鳥屋が店舗を構えずに営業する際も、飲食店営業許可が必要となります。そのため、キッチンカーやお祭りの屋台で焼き鳥屋を開く人も、飲食店営業許可の申請をしましょう。

【焼き鳥屋の業態別による飲食店営業許可の必要有無】

焼き鳥屋の業態 飲食店営業許可の必要性
路面店 必要
オープンテラス 必要
テナント 必要
キッチンカー(移動販売) 必要
お祭りの屋台 必要
店内で調理した焼き鳥を焼き鳥弁当として店内で販売する 必要
焼き鳥屋の店先(路上)で販売する 必要※道路使用許可も必要

飲食店営業許可の取得が必要となる基準の1つに「不特定多数の人に継続的に食品を提供すること」があります。そのため、屋台やキッチンカーで不特定多数の人に焼き鳥を販売する際は飲食店営業許可が必要ですが、学園祭での焼鳥店で生徒や保護者のみを対象とする際は不要です。

焼き鳥屋をどんな形で営業するにせよ、不特定多数の人々に向けて焼き鳥を販売するのであれば、飲食店営業許可の取得が必要です。テイクアウトのみの場合も許可は必要なので、客席がない焼き鳥屋を開業する人も忘れずに飲食店営業許可を取得を忘れないようにしましょう。

飲食業営業許可を取得するために手続きを確認する

飲食業営業許可を取得するためには、申請する前に要件の確認や事前相談などの手続きを行います。どの手続きをいつまでにすればよいのかを知るために、飲食店営業許可における手続きの流れを押さえておきましょう。

【飲食店営業許可の取得に必要な6種類の手続き】

  1. 飲食店営業許可の要件を確認する
  2. 保健所へ事前相談をする
  3. 飲食店営業許可に申請する
  4. 保健所と検査の打ち合わせをする
  5. 保健所から検査を受ける
  6. 許可証が交付される

飲食業営業許可を申請するには、事前に保健所への相談が必須です。保健所との事前相談では「厨房設備や店舗構造が適切かどうか」「飲食店営業許可の審査に通るかどうか」を確認できます。

飲食店業許可を取得するには、許可証を受け取るまでに要件確認や事前相談などの手続きを行います。申請しても不備があると許可が下りないため、飲食店営業許可を取得するためには、少なくとも開店日の1か月〜2か月前から準備をしてください。

なお、飲食店営業許可の事前申請から許可が交付されるまでは、約3週間かかります。そのため、飲食業許可の申請をする際は、許可がすぐに下りるわけではないということを念頭になるべく早い準備を心がけてください。

飲食店営業許可の要件を確認する

飲食店営業許可を取得するには、まず要件を満たしているかどうかを確認します。要件を満たしていないと、飲食業許可の審査を通過できないためです。

【飲食店営業許可の2つの要件】

  • 食品衛生責任者を設置する
  • 施設基準を満たす

食品衛生責任者は、保健所へ飲食店営業許可を申請する前に「食品衛生責任者」の資格を取得しなければなりません。そのため、焼き鳥屋の代表や店長が資格を持っていない場合は、保健所の許可を申請する日までに取得しなければなりません。

また、施設基準とは食品衛生法施行規則で定められた基準です。施設基準の項目は「結露による水滴は入らないこと」「排水が良好であること」など複数あるため、焼き鳥屋の物件を探す際や調理設備の購入をする際は、施設基準を満たすか確認する必要があります。

飲食店営業許可を取得する手続きは、食品衛生責任者の設置と施設基準の確認から始めることになります。食品衛生責任者と施設基準の要件を満たさないと飲食店営業許可は下りないので、焼き鳥屋の開業を考えている人はそれぞれの内容を確認してみましょう。

食品衛生責任者を設置する

飲食店営業許可を取得するには、まず食品衛生責任者の設置をします。食品衛生責任者を設置するための手順を確認しておきましょう。

【食品衛生責任者の設置を行う手順】

手順 具体的な内容
1.食品衛生責任者を選任する 店長、役員、社員などから店長衛生責任者に任命する人を選ぶ
2.食品衛生の講習会に申し込む 事業者が今所属する会社の所在地 または
事業者の居住地のある場所にある食品衛生協会へ申し込む
3.食品衛生責任者の資格を取得する 食品衛生講習会に参加して、確認テストを受けて資格を取得する

たとえば、焼き鳥屋を1人の代表者と5人のアルバイトで始める場合、食品衛生責任者の候補は代表者となります。代表者が焼き鳥屋での実務を行わない場合は、5人のアルバイトの中から店長候補やアルバイトリーダーとなる人を食品衛生責任者として選定します。

食品衛生責任者を選定したら、次は食品衛生責任者となる人が講習会へ参加します。食品衛生責任者の資格は、食品衛生協会が主催する講習会に参加すると取得できる仕組みなので、忘れずに講習に申し込んでください。

なお、食品衛生責任者の資格は1日で取得でき、オンラインでの受講も可能です。焼き鳥屋の資格の取得方法を詳しく知りたい人は「焼き鳥屋の開業に必要な資格を解説」を参考にしてみましょう。

飲食店営業許可の施設基準を満たす

保健所の検査を受ける前に、飲食店営業許可の施設や設備などに関わる基準を満たしましょう。焼き鳥屋が基準を満たすためには、まず飲食店営業許可の施設基準を知る必要があります。

【保健所検査の前にチェックすべき項目(一部抜粋)】

施設の構造
  • トイレが調理場に接していないか
  • 作業区分、客席に応じた色分けや壁による間仕切りが設置されているか
  • 間仕切りを設置する際、空気の流れを管理する設備が設置されているか
  • 屋外から埃や虫、ねずみが入り込めないよう網戸の設置や防止措置が施されている建物であるか
設備・機器
  • 新基準の水栓付きの手洗い場があるか
  • 清掃や検査がしやすい照度の照明が使われているか
  • 店舗内の床、内壁、天井が清掃と消毒がしやすい素材で仕上げられており、排水は良好か
  • フードや換気扇を設置しているか
  • お湯が供給できる2層以上のシンクがあるか
  • 温度計を備えた冷蔵・冷凍設備があるか
  • 食材用の扉付きの保管庫はあるか
  • 作業場付近で結露による水滴が食品に入らぬよう、適切な措置が行われているか
  • トイレは流水式で消毒設備(アルコールやハンドソープ)を設けているか
その他
  • 消毒液の設置があるか
  • 水とお湯が使えるか
  • 電気とガスが使えるか
  • 同一区画で別の作業をする場合は、各作業者が適切な洗浄・消毒を行うか
  • キッチンカーの場合は、所定の給水タンクの容量(約40Lから約200L)を満たすのか

たとえば、焼き鳥屋の手洗い場の蛇口が直接手で触るタイプの蛇口の場合、保健所の検査では不衛生とみなされます。令和3年6月の食品衛生法の改正により、調理場内の蛇口は腕や肘で操作できるレバー式、センサー式など、直接手で触れないことが新たに要件となったためです。

また、焼き鳥の材料を保管する冷蔵庫に温度計がついていない場合、保健所の検査では食品衛生法施行条例違反とみなされます。食品衛生法施行条例では「冷蔵、冷凍、殺菌、加熱等の設備には、温度計を備える」という記載があるためです。

飲食店営業許可で確認される施設基準の項目は複数あるので、すべての施設基準を満たすことが大切です。食品衛生法施行規則に定められた施設基準は各自治体にある保険医療局や厚生労働省の公式サイトからダウンロードできるので、保健所に事前相談をする前に確認しておきましょう。

なお、焼き鳥屋の店舗構造を計画する際は、煙対策についても検討することをおすすめします。焼き鳥を焼く際の煙が民家に流れる場合、保健所や警察へクレームがいく可能性があるので、店舗設計の段階で周辺環境や排気ダクトの高さ、方向にも気を配るようにしてください。

保健所へ事前相談をする

飲食店営業許可の要件を確認したら、内装工事をする前に保健所へ事前相談をします。焼き鳥屋の内装工事が終わったあとに保健所が修正点を指摘しても、内装費や時間が無駄になってしまうためです。

【保健所へ事前相談する際の当日の持ち物】

  • 厨房機器レイアウトの平面図
  • 厨房機器一覧表
  • 水質検査成績書及び滅菌器の設置書類(水道水以外の水を使用する場合のみ)

厨房機器レイアウトの平面図の場合、内装工事を行う業者から受け取る図面を利用し、厨房機器一覧表の場合は、発注先からもらえる資料を利用するか、Excelで作成します。平面図には寸法と共にトイレ、シンク、手洗い場の位置などの水回り、冷蔵庫や戸棚などの位置を書き込みます。

また、平面図は保健所で配布される用紙に手書きで記入することになります。この際、パソコンで作成したい人は、別の用紙を利用して平面図を作成しても問題ありません。

保健所への事前相談は、内装工事の設計図と厨房機器のレイアウトの確定後、内装工事の着工前に行います。事前相談では保健所から検査を受けることはありませんが、店舗の設計図と厨房機器をどこに置くかを記載した「間取り」が必要なので用意しておきましょう。

なお、保健所へ事前相談をする際は、原則、焼き鳥屋を管轄する保健所へ電話連絡をして、事前相談の予約を取ります。自治体によっては予約の必要がない場合や、区役所内にある「生活衛生課食品監視指導係」などが事前相談に対応する場合もあるので、管轄の保健所に確認してみてください。

飲食店営業許可に申請する

保健所との事前相談のあとは、申請書類と許可手数料を準備してから、飲食店営業許可の申請をします。事前相談の際に保健所から指摘された点がある場合は、指摘箇所を改善した状態で飲食店営業許可の申請をしましょう。

【飲食店営業許可の2つの申請方法】

①窓口で申請する(昼休みを除く午前9時頃から午後5時頃まで)
項目 概要
申請手順 営業時間中に管轄の保健所へ以下の書類を持参する

  • 営業許可申請書
  • 営業設備の大要・配置図 2通
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの

※法人の場合は登記事項証明書も必要

※許可証を郵送してもらう場合は、届け先の住所を記載したレターパック またはレターパックライトも必要

許可手数料 16,000円~19,000円程度
②オンラインで申請する(24時間申請可能)
申請手順
  1. 食品衛生申請等システムの無料アカウントを作成する または  GビズIDを利用する
  2. 食品衛生申請等システムへログインする
  3. 「営業の届出」より必要項目を入力する
  4. 図面などの添付ファイルを登録します
  5. 入力内容を確認して送信します
許可手数料 16,000円~19,000円程度
※一部のオンライン決済対応の自治体以外は窓口へ持参する

営業許可申請書と営業設備の大要・配置図の様式は、保健所または保健所の公式サイトで入手できます。営業設備の大要・配置図は事業者が壁の素材や排水方法などの詳細を〇で囲って選ぶ形式なので、事前に内装工事業者に設備の情報を確認しておくとスムーズに記載できます。

飲食店営業許可の申請では、申請者の住所が各書類で一致していることが大切です。飲食店営業許可の申請で書類に不備があると再審査となるので、飲食店営業許可の申請をする際は住所や調理場の情報に間違いがないか確認してから提出しましょう。

なお、保健所へ飲食店営業許可の申請をした段階では、まだ審査中なので、検査の日程は後日決定します。申請の時点で保健所の担当者と検査の日程を打ち合わせするため、保健所へ行く際は、検査日として希望する日程の候補をいくつか決めておいて下さい。

保健所から検査を受ける

食品衛生法の施設基準に適合するか確認するため、保健所からの検査を受けます。食品衛生法施行規則の内容にそぐわない場合、検査を受けても不合格となってしまうので、保健所の検査の前にチェックすべき項目を確認しておきましょう。

【保健所から検査を受ける当日までのチェック項目】

  • 焼き鳥屋の事業者代表がいること
  • 食品衛生責任者がいること
  • 換気扇が動くかかならず確認すること
  • 店舗平面図を持参すること

保健所の立会いの結果、問題ないと判断されたら、保健所の担当者より営業許可証はいつまでに必要なのか尋ねられます。検査日から営業許可証の交付まで平均で5日ほどかかるため、たとえば、7月1日が検査日だった場合は、7月6日に交付して欲しいと希望を伝えます。

検査の際、施設基準に適合している場合は「営業許可書交付予定日のお知らせ」という書面を渡されます。不適合の場合は保健所から不適事項を伝えられるので、改善して再検査を受けましょう。

許可証が交付される

焼き鳥屋の検査の審査を通過すると、保健所から許可証が1週間から10日後に交付されます。許可証を窓口で受け取る際は、必要な物や書類を忘れずに持参してください。

【飲食店営業許可の交付時の持ち物】

保健所から指示されるもの 許可証を安全に持ち帰るためのもの
  • 営業許可書交付予定日のお知らせ
  • 認印
A4サイズが入るファイル

営業許可書交付予定日のお知らせには、事業者の名前や許可番号、許可証を受け取る場所が記載されています。そのため、営業許可書交付予定日のお知らせの書面を忘れると、許可番号や対応窓口を調べる必要があり、交付時間が長引きます。

また、許可証を受け取る際は、受け取りのサインとして押印します。認印を忘れた場合はサインでも受け取りができますが、自治体により違いがある可能性もあるため、忘れた際には確認が必要です。

焼き鳥屋の店舗内装が完成し、営業許可書を来店客から見えやすい位置に掲示すると、焼き鳥屋の営業を開始できます。

なお、営業許可書を紛失した際は、再発行や再審査が必要になるので「営業許可証の更新や紛失してしまった際の再発行について」も参考までに確認してみてください。

まとめ

焼き鳥屋を開業するには、食品衛生法で定めらた「飲食店営業許可」の取得が必要です。飲食店営業許可を取得するには、食品衛生責任者を設置し、施設基準の要件を満たすことが求められます。

飲食店営業許可の申請には、事前相談や食品衛生責任者の設置などの様々な手続きがあります。そのため、飲食店営業許可を取得するための準備は約1か月〜2か月前から行います。

飲食店営業許可の取得でかならずチェックすべき事は、店舗の厨房設備の構造や機能です。飲食店営業許可を取得するには店舗での検査が必須なので、店舗内装を設計する段階で「直接手が触れない蛇口なのか」「シンクは2層か」といった施設基準の項目を確認しておきましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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