学習塾を開業するための準備や手続きを解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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学習塾を開業するための準備や手続きを解説

学習塾の開業を検討する中で、どういった準備をすればいいのか知りたい人もいますよね。学習塾の開業にあたっての必要な手続きについて知りたい人もいるでしょう。学習塾を始めるためには、まずコンセプトを明確にします。その後、コンセプトに応じて場所を決めて講師を募集するという手順で開業の準備を進めます。

当記事では、学習塾を開業するための準備や手続きを解説します。

学習塾を始めるにはコンセプトを明確にする

学習塾を始めるには、コンセプトを明確にしましょう。どういった生徒を対象とした学習塾にするかを決めることによって、「学習塾の場所や必要な広さ」「講師やアルバイトの数」「カリキュラム」が異なるためです。

【学習塾のコンセプトの一例】

対象者 指導内容 指導スタイル
小学生

中学生

高校生

総合塾

専門塾

補習塾

個別

少人数

集団授業

対象者や指導スタイルなどを組み合わせてコンセプトを考えますが、対象を絞ると生徒数を確保するのが難しいので、なるべく対象者を広げて検討するほうが良いです。17時以降は小学生、19時以降は中学生以上の授業をすると効率的に学習塾を運営できます。

なお、受験対策に特化した集団授業は大手学習塾が得意としている傾向があるため、差別化を図るには避けたほうが無難です。個人経営の塾だからこその面倒見のよさと、一人一人に対して臨機応変に対応できることを押し出すと良いです。加えて、今までの自身の経験や強みを活かしてコンセプトを考えるようにしましょう。

学習塾は集客が課題になる傾向がある

開業当初の学習塾では、集客が課題になる傾向があります。大手学習塾と比較すると、知名度や広告宣伝にかける費用が異なるためです。

学習塾は進学や卒業で生徒が入れ替わるため、常に生徒を集めなければ維持することができないビジネスモデルです。開業時だけでなく、運営を続けていくうえで、継続的に生徒を確保し続けることが安定した経営につながります。

集客方法としては、「ポスティング」「新聞の折込チラシ」「塾ナビなどのポータルサイトへの掲載」「web広告」「看板広告」などが挙げられます。地域性やコンセプトなどによって、効果が出る集客方法は異なるため、広告宣伝費の範囲内でさまざまな方法を試してみましょう。

集客に不安があればフランチャイズへの加盟を検討する

集客に不安があれば、フランチャイズへの加盟を検討しましょう。フランチャイズに加盟することにより、知名度を生かした集客ができるからです。

フランチャイズを展開している学習塾は、利用している生徒数とテレビCMなどの広告宣伝によって個人経営の学習塾よりも知名度があるため、開業当初から生徒を集めやすい傾向にあります。

ただし、フランチャイズに加盟するためには加盟金が必要になります。加盟するフランチャイズによりますが、300万円程度の加盟金がかかる場合があり、加盟しない場合よりも開業資金の準備が必要になるケースがあります。

また、ノウハウの提供やサポートが受けられる反面、加盟者にとって不利な条件や制約を受ける可能性があります。相談会や説明会を開催しているフランチャイズ本部があるので、フランチャイズへの加盟に不安がある人は参加してみるとよいでしょう。

学習塾を開業するまでの手順

学習塾を開業するまでの手順を確認してから準備するようにしましょう。手順を理解しておくことによって、開業の手続きを落ち着いて進められます。とくに、学習塾での勤務経験がない人は参考にしてみてください。

【学習塾を開業するまでの主な手順】

  • 学習塾の場所を決める
  • 講師を募集する
  • 学習塾に必要なものを揃える

なお、店舗の場所や規模によりますが、学習塾を開業するためには300万円程度が必要となります。主に「店舗物件を借りるための費用」「講師を募集し採用するための費用」「必要なものを購入するための費用」が挙げられます。学習塾の開業にかかる費用について知りたい人は「学習塾は少ない資金で開業できる?開業手順と費用について確認しておこう!」を参考にしてみてください。

学習塾の場所を決める

学習塾の場所を決めます。周辺の住民や学校の生徒が学習塾の主な利用対象となります。

学習塾の物件の候補としては、「自宅」または「学校の近く」「駅近」「住宅街」の賃貸物件が挙げられます。しかし、学校が集まるエリアや駅近には大手を含めて学習塾がすでに営業しているケースがあります。近隣にコンセプトが似ている学習塾があると、実績がない開業当初は集客しにくい可能性があるため、エリアを変更したほうが無難です。

場所を決める際には、周辺エリアの「世帯数」「子どもの数」「競合塾」などを調査しなければなりません。人口統計は自治体の公式サイトで確認することができます。学習塾の場所はコンセプトとする対象の生徒がどのくらいいるか、コンセプトが似た競合塾があるかどうかを確認したうえで、決めるようにしましょう。学習塾の開業場所について知りたい人は「塾経営を失敗しないために!開業地はどのように選ぶべき?」を参考にしてみてください。

講師を募集する

コンセプトに応じて、講師を募集しなければなりません。自身で教えられない科目がある場合や、メインに個別指導を行う場合には従業員が必要になるためです。

開業当初で生徒が限られている場合であれば、自身で塾の経営だけでなく、講師も兼ねることもできますが、経営状況や生徒数に応じて講師の募集が必要となります。

事務作業であれば、配偶者や親族に依頼する方法もありますが、講師を探すのは難しい傾向があります。講師次第で、学習塾の評判が異なります。学習塾の運営を継続していくうえでは、講師の募集も重要になると覚えておきましょう。

学習塾に必要なものを揃える

学習塾において必要なものを準備します。学習塾を運営するために必要なものとしては、「机」「いす」「ホワイトボード(黒板)」「参考書」「コピー機」「固定電話」「パソコン」「タブレット」「パーテーション」などが挙げられます。

机といすがあれば、学習塾としては運営することができますが、固定電話の取得をしておくのをおすすめします。

個人経営の学習塾においては、生徒の親とコミュニケーションを取ることが重要となります。生徒の学習状況や家庭での過ごし方などの情報共有を密にすることによって、親と信頼関係を構築し、生徒の指導に活かすことができます。電話の他にも、ラインやメールといったツールも合わせて活用し、生徒の親とコミュニケーションを取るようにしましょう。

学習塾の開業にあたって必要な届出

学習塾の開業にあたって教員免許は不要ですが、必要となる届出があります。

【学習塾の開業に必要となる届出】

  • 開業届
  • 給料支払事務所の開設届出書(従業員を雇用する場合)

個人事業主として学習塾を開業する場合に必要な届出であり、法人の場合は必要な届出が異なります。開業後に届け出ていなかったということがないように、個人事業主として学習塾の開業を予定している人は確認しておきましょう。

開業届を提出する

個人事業主の場合は、管轄の税務署に開業届を出します。所得税法により開業届の提出が義務付けられているためです。

開業届は国税庁の公式サイトからダウンロードできます。開業届は開業地を管轄している税務署に提出しますが、管轄の税務署は国税庁の公式サイトで探すことができるので、確認してみてください。

従業員を雇用する場合は給料支払事務所の開設届出書を提出する

従業員を雇用する場合は、管轄の税務署に給料支払事務所の開設届出書を提出します。提出を忘れると、源泉所得税の納付に影響する可能性があります。

届出書を提出することで、税務署から源泉所得税の納付書や年末調整関係書類が送られてきますが、届け出ていない場合には届きません。そこで、源泉所得税の納付期限を過ぎてしまう場合があり、結果として追徴課税を課される可能性があります。

ただし、開業届を提出する際に「給与等の支払の状況」の欄を記載していた場合、新たに給与支払事務所の開設届を提出する必要がないことを予備知識として覚えておきましょう。

労働保険や雇用保険の手続きをする

従業員を雇用する場合は労働保険や雇用保険の手続きも必要になります。従業員を雇用する場合は、保険への加入が義務付けられているためです。

労働保険と雇用保険の手続きは、管轄の労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)にいくつかの書類を提出します。提出書類ごとに期日が設定されているため、従業員の雇用を検討している人は注意が必要です。

 【保険加入に必要な書類の一例】

労働保険 雇用保険
保険関係成立届
概算保険料申告書
雇用保険適用事業所設置届
雇用保険被保険者資格取得届
保険関係成立届(控え)
概算保険料申告書(控え)

労働保険と雇用保険の手続きを怠ると、労働基準法違反にあたり、追加徴収が課される場合があります。保険の加入手続きに不安がある人は、社会保険労務士などの専門家に相談するようにしましょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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