たこ焼き屋を自宅で開業する際のポイントは?必要な準備も解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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たこ焼き屋を自宅で開業する際のポイントは?必要な準備も解説

たこ焼き屋を自宅で開業する場合、物件取得費がかからないため、店舗で開業するよりも初期費用を抑えられる傾向があります。また、家賃がかからないため、開業後の運転資金も抑えられる傾向があります。

一方で、自宅が商業に向いていない立地にある場合、お客さんが集まらず売上が上がらない可能性もあります。また、ご近所の人の理解を得られない場合は、トラブルになる可能性もあります。

当記事では、たこ焼き屋を自宅で開業する際のポイントを解説します。必要な開業準備も紹介するので、たこ焼き屋を自宅で開業したい人は、参考にしてみてください。

自宅で開業する際のポイントは儲かるかを事前に調査すること

たこ焼き屋を自宅で開業する際のポイントは、儲かる可能性があるかどうかを事前に調査することです。自宅は、もともと商売することを前提として入手した土地ではないため、たこ焼き屋を開業して儲けがでるかどうかを開業前に確認しておく必要があるからです。

たこ焼き屋の儲け(利益)は、売上から原価と経費を差し引いて計算されます。そのため、より多く儲けるためには、売上をより高く上げて、原価や経費を少しでも抑える必要があります。

たこ焼き屋を自宅で開業する場合、家賃がかからないため、経費の金額は抑えられるものの、売上が上がらなければ儲けはでません。たとえば、売上が23万円で原価を含む経費が20万円の場合、儲けは3万円になります。

居住目的で入手した自宅は、たこ焼き屋の開業には適さない立地にある可能性もあります。そのため、まずは「自宅が売上を上げられる立地にあるのか」「自宅で開業する場合に運転資金がどれくらいかかるのか」を確認して、儲けられそうかを事前に検討してみましょう。

売上を見込める立地かどうかを確認する

たこ焼き屋を自宅で開業したい人は、自宅が売上を見込める立地かどうかを確認する必要があります。居住目的で入手した自宅が集客に適していない場合は、売上が上がらない可能性もあるため、たこ焼き屋を自宅で開業する立地として適しているかどうかを確認してみましょう。

【立地の確認方法】

  • ターゲットとなる人が自宅周辺にどれくらいいるかを調べる
  • ターゲットの行動を想定して立ち寄りやすい位置に自宅があるかを調べる
  • 複数の時間帯で自宅の前の道路の通行人数を調べる

たとえば、ターゲットが学生の場合、周辺の学校の数や生徒数を調べます。その際、学校と駅との間に自宅があれば立ち寄りやすい立地と言えるものの、駅と学校との最短距離にない場合や駅から遠ざかる場合は、何か工夫しなければ来店してもらいづらいと予想できます。

また、実際に自宅の前の通行人の数を確認すると、より来客数が予想がしやすくなります。普段、全く人通りのない場所に人を呼び込むことは難しいため、人通りがない場所は売上を見込めない可能性があると言えます。

たこ焼き屋の売上は、来客数に比例して増加するため、集客に苦戦する立地では売上が上がりづらくなります。売上を見込める立地なのかどうかを判断する際は、まずお客さんになる人の規模や、自宅前の通行量を確認してみましょう。

開業後の運転資金にいくらかかるかを確認する

たこ焼き屋を自宅で開業して儲けるためには、開業後の運転資金がいくらかかるかを確認する必要があります。売上が出ていても、運転資金が高すぎると儲けが少なくなるため、運転資金の項目を確認して経費を抑えられるものがないかを確認してみましょう。

【自宅でたこ焼き屋を開業する際の運転資金の例】

項目 概要 費用の目安
原価 たこ焼きの材料となる食材や調味料などの購入費用 12万円
水道光熱費 電気、水道、ガスなどの光熱費 2万円
広告宣伝費 チラシやグルメサイト掲載など、集客のための広告費用 1万円
消耗品費 たこ焼きの包材や清掃用品などの消耗品にかかる費用 2万円
その他 通信費や交通費など、その他必要となる経費 3万円
合計 20万円

たとえば、原価は、売上の35%以下になるように、仕入の方法を工夫します。また、仕入れても売れずに賞味期限が切れてしまったものは廃棄ロスとなり、原価を増加させ利益を圧迫するため、在庫の管理も必要になります。

儲けは売上から原価や経費を差し引いた金額のため、運転資金が増えると儲けが減ることになります。そのため、運転資金の金額と、運転資金を抑える方法を検討し、開業前に利益を確保できそうかを確認しておきましょう。

なお、運転資金は「キッチンカーはガソリン代が他よりも多くかかる」「屋台はエアコンがないため水道光熱費が下がる」など、自宅でどのような開業の仕方をするかによっても変わります。そのため、たこ焼き屋を自宅で開業する人は、運転資金を開業方法に合わせて計算してみてください。

自宅で開業する際に最低限必要な準備を確認しておく

たこ焼き屋を自宅で開業したい人は、開業に際して最低限必要になる準備を確認しておきましょう。飲食店を開業する際は、最低限の準備を整えなければ、開業しても法律違反で営業停止になる可能性があるためです。

【たこ焼き屋を自宅で開業する際の準備】

  • 開業資金を用意する
  • 営業許可を取得する
  • 道具を準備する

開業準備には時間がかかるものもあります。たとえば、開業資金を用意する際に融資を利用する場合や、道具を準備する際に中古の商品を使う場合は、数ヶ月単位で時間がかかることもあるため、余裕をもって準備を始める必要があります。

たこ焼き屋を自宅で開業する際は、想定するたこ焼き屋のコンセプトに沿って準備を進めていきます。キッチンカーや自宅の一部など、販売形態によっても開業準備が変わるため、たこ焼き屋のコンセプトを固めてから開業準備を確認してみましょう。

開業資金を用意する

たこ焼き屋を自宅で開業する際は、開業資金を準備する必要があります。設備の購入や、開業後の運転資金など、まとまった金額の費用が必要になるため、どのようなものにどれくらいの費用がかかるかを確認しておきましょう。

【たこ焼き屋を自宅で開業する際の資金】

項目 概要 金額 販売形態
内装工事費 自宅や移動販売の車の工事費用 100万円~200万円程度 自宅
キッチンカー
車両取得費 車両を用意するための費用 160万円~500万円程度 キッチンカー
屋台取得費 屋台を用意するための費用 10万円~30万円程度 屋台
設備備品費 たこ焼きを焼くための道具、厨房設備、什器・備品などの費用 20万円~80万円程度 共通
広告宣伝費 お店の宣伝や集客のための費用 10万円~30万円程度 共通
運転資金 お店を営業するための費用(6ヶ月分) 120万円 共通

屋台やキッチンカーなど、どのように自宅でたこ焼き屋を開業するかによって、開業資金は異なります。たとえば、自宅の一部を改装して開業する場合は、内装工事費はかかるものの、車両取得費はかかりません。

開業資金は、内装工事の発注や道具の購入をする際に必要になります。まとまった金額が必要になるものの、資金調達には時間がかかるため、開業資金の概算を把握して、コツコツと準備していきましょう。

たこ焼き屋を自宅で開業する際の運転資金の詳細を知りたい人は「たこ焼き屋の開業資金はいくら必要?資金調達方法も解説」を参考にしてみてください。

営業許可を取得するには設備と施設を整える必要がある

たこ焼き屋を自宅で開業する際は、営業許可を取得するために設備と施設を整える必要があります。営業許可をとらずに開業すると、開業後に営業停止になる可能性もあるため、まずは営業許可の概要を確認してみましょう。

【飲食店営業許可の概要】

項目 概要
申請要件 ・食品衛生責任者の設置
・食品衛生法に基づく設備基準の順守
申請先 管轄の保健所
申請に必要なもの 営業許可申請書、施設構造と設備を示す図面、食品衛生責任者手帳、水質検査成績書 など
申請方法 保健所窓口での申請もしくはオンライン申請
申請から交付までにかかる期間 約2~3週間
申請費用 15,000円~19,000円程度(地域によって異なる)

営業許可には複数種類があり、たこ焼き屋を開業する場合は、飲食店営業許可を取得することになります。営業許可を取得するためには必ず食品衛生責任者の資格がいるので、まだ取得していない場合は、食品衛生責任者の資格の取得から始めます。

飲食店を開業する際、営業許可を取得していないと、営業できなくなる可能性があるため、開業前に営業許可を取得する必要があります。営業許可の設備や施設の基準は、保健所によって若干異なるため、まずは自宅の地域を管轄する保健所に相談してみましょう。

なお、営業許可の他にも取得しておいた方がいい許認可があります。たこ焼き屋を開業する際の許認可を確認したい人は「たこ焼き屋を開業するために必要な資格を解説」を参考にしてみてください。

販売形態によって施設設備の基準は異なる

飲食店営業許可を得る際、販売形態によって施設設備の基準は異なります。そのため、販売形態ごとに、施設設備の基準のポイントを確認しておきましょう。

【施設設備の基準のポイント】

販売形態 ポイント
自宅を一部改装 ・冷蔵、冷凍、殺菌、加熱などの設備には、温度計を備えて必要に応じて計量器を備える
・便所の設置は作業場に汚染の影響を及ぼさない構造にする
・手指を洗浄する設備には手指を再汚染しない水栓を用いる
・共用による汚染を防ぐため食材用と器具用で洗浄スペースを分ける
・壁紙は拭けるようにナイロン製等のものを使う(布製は認められない場合もある)
キッチンカー ・屋外からの汚染を予防し、衛生的な作業を行える構造
・換気設備を整える
・清掃しやすい構造や材料にする
・洗浄設備と手洗設備を分ける
・200Lの給水タンクを備える
・排水容器を備える
屋台 ・たこ焼き以外のものは売れない
・清掃しやすく、全ての設備を収容することができる屋台を選ぶ
・蛇口のついた容量18L以上の給水タンクを備える
・洗浄および手洗い設備を備える
・消毒用の設備を備える
・排水容器を備える

全ての施設設備の基準で共通することは、衛生を保てる構造にすることです。そのため、設備は清掃をしやすい材質のものにしたり、換気をして結露しないようにしたりする必要があります。

給水設備や冷蔵設備などは、販売形態によっても基準が変わります。地域の保健所によって基準も異なるため、たこ焼き屋を自宅で開業したい人は、販売形態を保健所に説明して、具体的に相談できるようにしましょう。

道具を準備する

たこ焼き屋を自宅で開業する際は、たこ焼きを作るための道具を準備することになります。道具によって費用も変わるため、どんなものをどれくらい揃える必要があるかを確認しておきましょう。

【たこ焼き屋で最低限必要な道具】

項目 概要・選び方のポイント
道具
たこ焼き器 ・カンテキ(火床)はプロパンガス、都市ガス、電気から選ぶことになる
たこ焼き型は鉄鋳物か銅製のものを使うのが一般的
鉄や銅の素材や穴の数などによってたこ焼きの仕上がりやコストも変わってくる
ローリング ・離型油を塗るための道具で、焦げ付きや生地の付着を防ぐ
銅板やアルミ鋳物に適したタイプを選ぶ
油引き ・鉄板に油を均一に塗るための道具
蓋つきで衛生的に使えるものを選ぶ
ピック/千枚通し ・たこ焼きを返すための道具でステンレスや樹脂加工のものが一般的
さびにくく、鉄板や銅板を傷をつけにくい素材のものを選ぶ
鉄板掴み/鉄板ペンチ ・熱い鉄板を移動させる際に使用する
・鉄板を持ち上げる際に滑りにくく、重くないものを選ぶ
寸胴 ・大量の生地を準備するための鍋で、粉、水、だしなどを混ぜるのに使用する
アルミ製やステンレス製が主流で、必要量に応じたサイズを選ぶ
粉つぎ ・種(生地)を鉄板に流し込むための容器で、ステンレスやフッ素加工、チャッキリのタイプなどがある
種を注ぎ入れる際にこぼれにくく、型に流しやすいものが便利。
ボウル ・粉、だし、水などを混ぜ合わせるための大きなボウルを種を作る際に使用する
一度にまとまった量を仕込むため、容量16.2リットル程度のもの大きさでステンレス製のものが望ましい
泡立て器/かくはん機 ・生地を混ぜるための器具で、手動の泡立て器か電動かくはん機を使用するのが一般的
電動であれば手の負担を軽減し、作業効率が上がるので使用頻度に応じて選ぶ
はかり ・材料の正確な計量に使用する
・アナログは電池不要で、デジタルは省スペース
計量カップ ・水や液体材料の量を測るために使用する
・2Lプラスチック製が主流で、透明で目盛りが見やすいものを選ぶ。
包丁 ・タコや野菜を切るための万能包丁
・ステンレス製がさびにくく長持ちするため、ステンレスの牛刀が好ましい
まな板 ・食材を切るためのまな板
・抗菌耐熱性のあるものを選ぶと衛生的
ソースつぼ/ソースポット ・ソースを入れておくための容器
・ステンレスや陶器製で、使いやすい形状を選ぶ。
刷毛 ・ソースをたこ焼きに塗るための道具、柔らかく均一に塗布できるものが便利
・洗いやすく乾きやすい素材のものを選び、衛生面に気をつける
調味料入れ ・マヨネーズ、塩コショウ、だし、醤油などの調味料を入れるボトル
・キャップ付きで使いやすく、洗い替えも含め必要な数を購入する
タッパー類 ・ネギ、タコ、鰹節などの保存に使用する
・蓋付きで密閉性が高く、冷蔵保存に適したものを選ぶ
ステンレスバット類 ・食材を保存するためのステンレスバットで蓋つきのもの
・プラスチックのタッパーでは油や臭いが落ちにくい食材用に使い分ける
資材
包材 ・たこ焼きを詰めるる箱で個数によって必要なサイズを用意する
・内面バリアコート(水、油をはじく加工のもの)
・木船を使う場合はフードパックも必要になり、コストがかかる
ビニール袋 ・持ち帰り用袋。箱サイズや箱数に応じられる2サイズほど用意する
爪楊枝 ・たこ焼きに刺して提供するための爪楊枝
設備
冷蔵冷凍庫 ・食材の冷蔵、冷凍保存用
・店舗の規模が小さい場合は作業台と一体型になったものがオススメ
2層型シンク ・食材用、道具用の洗浄に分けられる2層シンクが必要
・保健所の検査基準を満たすものを選び、熱湯と水の両方が出る水栓も必要
エアコン ・調理場の温度管理に必要
・お店の坪数に合わせて必要なサイズを導入する
換気扇 ・調理場の換気を良くするための換気扇
レジ ・POSレジやタブレットで持ち運び可能なものなど、使いやすいものを選ぶ
キャッシュレス決済用端末 ・初期費用や月額使用料無料で導入できる
・クレジットカードと電子マネーの決済利用ごとに手数料を支払う

素材によって費用や売上が変わるため、道具の中でも、特にたこ焼き器を購入する際は検討が必要です。「銅は鉄と比較して焼き上がりが早いため多くたこ焼きを作れる」「鉄は銅と比較して初期コストが低くメンテナンスの手間もかからない」などの特徴を踏まえて購入することになります。

たこ焼き屋の道具を購入する際、20万円~80万円程度の費用がかかります。屋台で販売する場合や自宅を一部改装する場合など、販売形態によっても必要な道具は異なるため、最低限必要なものと販売形態で必要になるものを合わせて、購入物のリストを作成してみましょう。

なお、たこ焼き屋を開業する際に必要になる道具の費用を確認したい人は「たこ焼き屋の開業に必要な道具の種類と費用を解説」を参考にしてみてください。

まとめ

たこ焼き屋を自宅で開業する際、賃貸で開業する場合と比較して、初期コストが低くなる傾向があります。一方で、居住目的で入手した土地は、商業にはむかず集客が難しい立地の場合もあるため、自宅で開業する際は、事前に集客できるかどうかを確認する必要があります。

たこ焼き屋を自宅で開業する場合、「自宅を一部改装」「キッチンカー」「屋台」などの販売形態が考えられます。それぞれ開業費用や揃える道具などに違いが出てくるため、まずはたこ焼き屋を開業する際のコンセプトを決めることから始めてみましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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