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焼き鳥屋の開業時に必要なコンセプトを解説

そんな方はメニューを変えるという方法で売り上げアップを目指すことが可能です。

焼き鳥屋を開業する際は、メニューや開業場所、ターゲットなど様々な項目について方向性を決めるコンセプト作りを行います。一口に焼き鳥屋と言っても、コンセプトが違うとまるで違う焼き鳥屋になるため、焼き鳥店の開業においてコンセプトは大切です。

当記事では、焼き鳥屋の開業時に必要なコンセプトとはどういうものかを解説します。焼き鳥屋のコンセプトの例も紹介するので、焼き鳥屋の開業を考えている人は当記事を参考にしてみてください。

コンセプトによってどんな焼き鳥屋になるか変わる

焼き鳥屋は、コンセプトごとにどんな焼き鳥屋になるかが変わります。飲食店におけるコンセプトとは、来店してほしいターゲットや店の立地など、焼き鳥屋のオーナーがどのような店を実現したいか、大まかな方向性を決めるものだからです。

【焼き鳥屋のコンセプトとお店の違いの例】

項目 テーマ
コスパ最高で気軽に入れる 代々受け継がれた逸品を楽しめる
ターゲット 全年齢誰でも入りやすい デートをするカップルや接待をする会社員によく使われる
立地 駅周辺でふらっと寄れる 洗練された大人の街の路地
物件・内装 大衆居酒屋のような開けた席と、掘りごたつの個室がある。赤提灯系の雰囲気 料亭のような一枚板のカウンターと、席の間隔が広い座席がある。和やかな雰囲気
メニュー リピートしやすい安い価格。
飲み放題や食べ放題など、コスパがいいプランも作る
ランチは手ごろな価格。ディナーはコースとお酒を中心にする
価格帯 1,500円~3,000円 2,000円~15,000円

コンセプトを「コスパ最高で気軽に入れる」にする場合、ターゲットや立地など、すべての項目でコスパと気軽さを意識します。たとえば、コスパが良く気軽に入れる店にはどんな年齢でも来ることが予想されるので、ターゲットは全年齢とし、立地は駅周辺の物件で設定します。

メニューを考える際は、コンセプトが似ている他のお店も参考にできます。「コスパ最高で気軽に入れる」のコンセプトと類似している店を見つけたら、類似するお店のメニューを調べることで、メニューの内容や価格など、コンセプトを作る際の参考になります。

焼き鳥屋のコンセプトには「昔ながら」「居酒屋風」「和風」など、様々なコンセプトが考えられます。コンセプトを作成すると、物件選定や売上目標などの具体的な事業計画も立てやすくなるので、焼き鳥屋を開業する際はまずコンセプト作りをしてみましょう。

開業資金もコンセプトにより異なる

コンセプトにより焼き鳥屋を開業する際に必要となる開業資金も異なります。焼き鳥屋の開業開業資金の目安は最低700万円程度ですが、コンセプトによっては開業費用をもっと抑えられる場合や、もっと費用がかかる場合があるからです。

【開業資金とコンセプトの関係】

項目 テーマ
小さな焼き鳥屋 大きな焼き鳥屋
開業資金の相場 700万円~1,250万円以上 1,500万円~3,000万円以上
内訳 物件取得費用:150万円~300万円
内装工事費用:100万円~200万円
設備費用  :90万円~250万円
備品費用  :40万円~100万円
広告宣伝費用:20万円~50万円
運転資金  :300万円~350万円
物件取得費用:300万円~600万円
内装工事費用:200万円~400万円
設備費用  :500万円~1,000万円
備品費用  :100万円~200万円
広告宣伝費用:50万円~100万円
運転資金  :350万円~700万円

たとえば、小さな焼き鳥屋というコンセプトの場合、開業する物件の面積も小さくなるため
10坪前後の小さい物件を選ぶことになります。店舗の物件の面積が小さいと家賃も低くなり、スタッフの数も少人数で済むため、物件取得費用と人件費を抑えられる可能性があります。

一方、大きな焼き鳥屋というコンセプトの場合は、開業する物件の面積は大きくなるため、40坪前後の大きな物件を選ぶことになります。店舗の物件の面積が大きいと家賃が高くなり、スタッフの数も相当数が必要となるため、物件取得費用と人件費が高くなる可能性があります。

焼き鳥屋を開く際の資金は、どのようなコンセプトの焼鳥屋にするのかにより、必要な金額が異なります。開業資金が高額となるコンセプトで焼き鳥屋を作りたい場合は、コンセプトに沿った焼き鳥店を実現できるよう、自己資金や融資などの資金調達を考えておきましょう。

なお、焼き鳥屋の開業資金には物件取得費用や内装工事費用など様々な項目があり、各項目はさらに細かい項目に分かれます。焼き鳥屋の開業資金が何にどれぐらいかかるか目安を知りたい人は「焼き鳥屋の開業資金はいくらかかる?金額と内訳を解説」で確認してみて下さい。

コンセプトはコンセプトシートを使って作成する

焼き鳥屋のコンセプトはコンセプトシートを使って作成することもできます。コンセプトシートとは事業の企画をする際に使われるツールの1種で、通常9個のマスがあり、マスごとに設定された問に答えるとコンセプトが出来上がるようになっています。

【コンセプトシートのイメージ】

コンセプトシートの使い方は、まず、中央の濃い緑色の欄に開業したい焼き鳥屋のイメージを書く事から始めます。たとえば、「パリで磨いた腕と焼き鳥に感動して欲しい」と思う人の場合は、中央に「フランス料理のソースで頂く焼き鳥屋」というコンセプトを書きます。

次に、周りの8つの項目のコンセプト「Why(なぜ)」「Who(誰に)」「What(何を)」などを記入します。その際、必要に応じて市場や商圏を調べながら進めます。たとえば、「Where(どこで)」を決める際は「競合の有無」「地域特性」などに留意して商圏調査を行います。

焼き鳥屋のコンセプトを作る際にコンセプトシートを使うと、ターゲットや立地など各項目で整合性のとれたコンセプトを考えられます。コンセプトがぶれない焼き鳥屋を作りたい、コンセプトの作り方が分からないという人は、コンセプトの例も確認してみてください。

小さい焼き鳥屋のコンセプトの例

小さい焼き鳥屋のコンセプトの例を紹介します。小さな焼き鳥屋のコンセプトをどんな風に書けば良いか目安が分かるので、小さな焼き鳥屋を開業したい人は参考にしてみてください。

【小さい焼き鳥屋のコンセプトの例】

項目 コンセプト
Why(なぜ) 1人で回せる落ち着いた焼き鳥屋を開きたいから
Who(誰に) 仕事帰りの会社員や近所の中高年
What(何を) 外はカリっとしているのに中はジューシーな、焼き方にこだわる焼き鳥
Where(どこで) 駅から10分程度の路地裏にある隠れ家的な物件
When(いつ) <営業時間>
平日の17時半~23時まで営業
月・火あたりを定休日にする
<開業時期>
半年後に開業したい
How Much(いくらで) <炭火焼やきとり>
1本300円以下
<おつまみと小鉢>
1品500円前後
<ドリンク>
300円~700円くらい
軸となる要素 常連さんとの会話を楽しみたい
How(どのように) 間接照明で、おしゃれな雰囲気にする

小さな焼鳥屋の特徴は店舗面積の小ささです。たとえば、8坪の焼き鳥屋を開業する場合、8坪の焼き鳥屋に来るお客さんはどんな人なのかを考えると、人数は家族連れではなく少人数のお客さんで、属性は会社員や近所の中高年が想定されます。

また、小さい焼き鳥屋のお客さんをイメージすると「メニュー数は少なくてもこだわりの逸品がある」「サイズが小さく食べやすい焼き鳥」といったメニューのコンセプトが考えられます。チェーン店ではなく、小さな個人の店を選ぶ心理を想像すると、コンセプトのポイントがみえてきます。

小さい焼き鳥屋のコンセプトを考える際、「小さい」という特徴を意識すると、ターゲットやメニューなどのコンセプトもイメージしやすくなります。SNSやブログで小さな焼き鳥屋に行った際の口コミを投稿するお客さんもいるので、コンセプトを作成する際は参考にしてみてください。

地域密着型の焼き鳥屋のコンセプトの例

商店街や住宅街にある、地域密着型の焼き鳥屋のコンセプトの例を紹介します。地域密着型のコンセプトの特徴が分かるため、地域密着型の焼き鳥屋を開業したい人は参考にしてみてください。

【地域密着型の焼き鳥屋のコンセプトの例】

項目 コンセプト
Why(なぜ) 生まれ育った地元に貢献する焼き鳥屋を作りたいから
Who(誰に) 地元の主婦や子供、高齢者など全ての年齢層の人
What(何を) お財布に優しい価格で甘辛い味の懐かしい焼き鳥
Where(どこで) 団地や区役所、図書館から近い場所
When(いつ) <営業時間>
土日どちらかと平日一日で休みたい
ランチ:3時間くらい
ディナー:4時間くらい
<開業時期>
1年後に開業したい
How Much(いくらで) <炭火焼やきとり>
120円~250円くらい
※テイクアウトは6本500円、13本1,000円くらい
<おつまみと小鉢>
500円円前後
<ドリンク>
グラスは400円~
ボトルは1,000円前後で
軸となる要素 地元の人に楽しんでもらいたい
How(どのように) 明るい照明で、自宅のようなアットホームな雰囲気にする

地元密着型の焼き鳥屋で大切なのは、店舗の立地です。たとえば、駅から離れても、商店街や区民会館などの生活圏に近い場所から近い焼き鳥屋の場合、商店街を利用するお客さんがついでに来店する可能性があるためです。

また、地元密着型の焼き鳥屋に行くターゲットをイメージすると、値段の安さ、子供やお年寄りが好むという視点がメニューのコンセプトになります。商店街や住宅街にある焼き鳥屋に行くということは、日常の延長線上で焼き鳥屋を利用する可能性があるからです。

地元密着型の焼き鳥屋のコンセプトを考える際、立地を意識すると、ターゲットや営業時間などのコンセプトもイメージしやすくなります。地元密着型の焼き鳥屋は「地域名+焼き鳥屋」で検索すると口コミを見つけられるので、コンセプト作りの際は参考にしてみてください。

なお、地元密着型の焼鳥屋の場合、従業員が家族の場合も少なくありません。開業資金を抑えて地元密着型の焼き鳥屋を開きたい人は、祖父や母などの家族を従業員にできるかを検討してみましょう。

比内地鶏専門の焼き鳥屋のコンセプトの例

繁華街や駅周辺にある、比内地鶏専門の焼き鳥屋のコンセプトの例を紹介します。原材料や食材にこだわった焼き鳥屋を開きたい人は参考にしてください。

【比内地鶏専門の焼き鳥屋のコンセプトの例】

項目 コンセプト
Why(なぜ) 自分が食べて感動した比内地鶏を世に広めたいから
Who(誰に) 美食家で焼き鳥や地鶏を好む人々
What(何を) こだわりの産地から取り寄せた比内地鶏を職人技で丁寧に備長炭で焼き上げた逸品
Where(どこで) 繁華街でアクセスの良い場所
When(いつ) <営業時間>
日曜・祝日休みにしたい
ディナー:17時~22時 終電に間に合うように
<開業時期>
半年後に開業したい
How Much(いくらで) <プレミアムコース>
1万円くらい
<おつまみと小鉢>
500円~1,000円くらい
<親子丼など>
1,000円前後 ※締めとして
<ドリンク>
1,000円~1,800円くらいで
軸となる要素 美味しい比内地鶏に感動して頂きたい
How(どのように) 黒を貴重としたシックな空間で

地鶏専門の焼き鳥屋を開業するうえで大切なことの一つは、焼き鳥の品質です。「しっとりしているのに外はカリカリ」「火に備長炭を使用する」「平飼いの鶏のみ扱う」など、美食家をうならせるこだわりがあると他店との差別化ができ、顧客の獲得につながります。

また、食材にこだわった焼き鳥屋に行くターゲットを想定すると、店内の洗練された雰囲気、和風な内装が空間のコンセプトになります。高級な焼き鳥屋に行くということは、庶民的な雰囲気よりも非日常的な雰囲気や清潔感、上品さが好まれると想定されるためです。

地鶏専門の焼き鳥屋のコンセプトを考える際、メニューや内装などで「こだわり」を体現するものを先に考えると、他のコンセプトもイメージしやすくなります。専門的な焼き鳥屋の情報はグルメサイトや食通向けの雑誌などで探せるのでコンセプト作りの参考にしましょう。

なお、最近では国産地鶏の焼き鳥屋に外国人観光客が来ることも少なくありません。外国人観光客はネット検索やInstagramで飲食店を探すこともあるので、焼き鳥店を開く際は英語表記のあるホームページ制作やInstagramのアカウント開設も検討してください。

まとめ

焼き鳥屋を開業する際のコンセプトは「コスパ」「高級」などの値段に関するものや、「小さい」「地元密着型」などの雰囲気に関するものなど様々な種類があります。また、コンセプトを決めると、自分が開きたい焼き鳥屋のターゲットや立地などの方向性をブレずに決定できます。

コンセプトを作る際は「What(何を)」「Who(誰に)」など9つの項目が記載されたコンセプトシートを使うことも一つの手です。コンセプトシートを元に焼き鳥の価格やターゲットのいる商圏を調べると、売上計画や資金調達に役立つ事業計画を立てやすくなるので覚えておきましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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