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飲食店の開業における消防署の届出を解説
飲食店を開業する際、提出先が消防署となる届出の中には、「全員が提出する届出」と「提出の有無が条件次第となる届出」があります。全員が提出する届出に加え、条件次第となる届出もあるため、飲食店を開業予定の人は注意が必要です。
当記事では、飲食店の開業における消防署の届出を解説していきます。記入項目や提出期限など、提出前に必要となる情報も解説しているため、飲食店を開業予定の人は参考にしてみてください。
全員が提出する届出
飲食店を開業する際、提出先が消防署となる届出の中には、「全員が提出する届出」があります。飲食店を開業する場合は原則として消防署に提出することになるため、飲食店を開業予定の人はそれぞれの届出を押さえておきましょう。
【全員が提出する届出】
- 防火対象物使用開始届出書
- 防火対象物工事等計画届出書
飲食店を開業する場合、これらの書類は開業予定地を管轄する消防署に提出することになります。提出期限や提出方法など、一部条件が同じところもありますが、飲食店を開業予定の人は各届出の概要を確認してみましょう。
防火対象物使用開始届出書
飲食店を開業する際、消防署に提出する届出として「防火対象物使用開始届出書」があります。工事の有無にかかわらず、飲食店を開業する目的として建物や建物の一部を新たに使用する場合には、防火対象物使用開始届出書を提出する必要があります。
【防火対象物使用開始届出書の概要】
項目 | 概要 |
記入項目 | 建物の概要(構造、階層、面積、用途)、事務所の概要(所在階、床面積、用途)など |
提出期限 | 使用開始日の7日前まで |
提出方法 | 持参、郵送、オンライン |
添付書類 | 防火対象物の概要表、案内図、平面図、詳細図、立面図、断面図、展開図、室内仕上表および建具表
※火気使用設備または火気使用器具を設置する場合はその位置や構造等の状況を示した図 |
防火対象物使用開始届出書に記入するのは「建物の概要」「事務所の概要」などの項目です。添付するのは「防火対象物の概要表」「案内図」「平面図」「詳細図」「立面図」などの書類ですが、開業予定を管轄する消防署によっても異なる可能性があります。
防火対象物使用開始届出書の提出期限は原則として「使用開始日の7日前まで」です。一部例外として市区町村によっても異なる可能性があるため、提出期限が知りたい人は開業予定地を管轄する消防署に確認する必要があります。
なお、防火対象物使用開始届出書のフォーマットは、開業予定地を管轄する自治体の公式サイトからダウンロードできる場合があります。添付書類についても明記されているため、まずは開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。
防火対象物工事等計画届出書
飲食店を開業する際、消防署に提出する届出として「防火対象物工事等計画届出書」があります。建物の修繕や間取りの変更など、飲食店を開業する目的として工事を実施する場合には、防火対象物工事等計画届出書を提出する必要があります。
【防火対象物工事等計画届出書の概要】
項目 | 概要 |
記入項目 | 建物の概要(構造、階層、面積、用途)、事務所の概要(所在階、床面積、用途)、工事等の種別など |
提出期限 | 工事開始日の7日前まで |
提出方法 | 持参、郵送、オンライン |
添付書類 | 防火対象物の概要表、案内図、平面図、詳細図、立面図、断面図、展開図、室内仕上表および建具表
※火気使用設備または火気使用器具を設置する場合はその位置や構造等の状況を示した図 |
防火対象物工事等計画届出書に記入するのは「建物の概要」「事務所の概要」「工事等の種別」などの項目です。防火対象物使用開始届出書と同様、添付するのは「防火対象物の概要表」「案内図」「平面図」「詳細図」「立面図」などの書類です。
防火対象物工事等計画届出書の提出期限は「工事開始日の7日前まで」です。近しい内容の書式となる関係上、建物の修繕や間取りの変更などを実施する場合には、使用開始届出書と工事等計画届出書を同時に提出することも方法のひとつです。
なお、防火対象物工事等計画届書のフォーマットは、開業予定地を管轄する自治体の公式サイトからダウンロードできる場合があります。一部例外として届出が不要になることもあるため、まずは開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。
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提出の有無が条件次第となる届出
飲食店を開業する際、提出先が消防署となる届出の中には、「提出の有無が条件次第となる届出」があります。飲食店を開業する場合は原則として消防署に提出することになるため、飲食店を開業予定の人はそれぞれの届出を押さえておきましょう。
【提出の有無が条件次第となる届出】
- 火を使用する設備等の設置届出書
- 防火管理者選任届出書
- 消防計画
- 消防用設備等(工事整備対象設備等)着工届
- 消防用設備等設置届出書
飲食店を開業する場合、これらの書類は提出が必要となる場合もあれば、提出が不要となる場合もあります。火気の使用や店舗の規模などの条件次第となるため、飲食店を開業予定の人は各届出の概要を確認してみましょう。
火を使用する設備等の設置届出書
飲食店を開業する際、消防署に提出する届出として「火を使用する設備等の設置届出書」があります。厨房設備や乾燥設備など、火を使用する設備等の設置届出書は火を使用する設備や火花を生ずる設備を店舗に設置する場合に必要となる届出です。
【火を使用する設備等の設置届出書の概要】
項目 | 概要 |
記入項目 | 建物の概要(構造、階層、面積、用途)、事務所の概要(所在階、床面積、用途)、設備種別、工事等の種別など |
提出期限 | 自治体ごとに異なる |
提出方法 | 持参、郵送、オンライン |
添付書類 | 設備の概要表、配置図、立面図、制御回路図および仕様書、設備の設置場所の平面図、展開図、構造図、室内仕上表、ダクトなどの系統図および平面図など |
火を使用する設備等の設置届出書に記入するのは「建物の概要」「事務所の概要」「設備種別」「工事等の種別」などの項目です。添付するのは「設備の概要表」「配置図」「立面図」「設備の設置場所の平面図」「展開図」「構造図」などの書類です。
火を使用する設備等の設置届出書の提出期限は自治体ごとに異なります。「設置を行う日の5日前まで」「設置工事開始の7日前まで」など、自治体ごとに提出期限が違うため、提出期限が知りたい人は開業予定地を管轄する消防署に確認する必要があります。
なお、火を使用する設備等の設置届出書のフォーマットは、開業予定地を管轄する自治体の公式サイトからダウンロードできる場合があります。設備の概要が記載されていることもあるため、まずは開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。
防火管理者選任届出書
飲食店を開業する際、消防署に提出する届出として「防火管理者選任届出書」があります。防火管理者選任届出書は建物全体の収容人数が30人以上(従業員含む)の飲食店を開業する場合に必要となる届出です。
【防火管理者選任届出書の概要】
項目 | 概要 |
記入項目 | 防火対象物の概要(用途、収容人数、種別)、防火管理者の詳細(受講した講習の種別、修了年月日)など |
提出期限 | 定めなし |
提出方法 | 持参、郵送、オンライン |
添付書類 | 防火管理者の資格を証する書類(防火管理講習修了証など) |
防火管理者選任届出書に記入するのは「防火対象物の概要」「防火管理者の詳細」などの項目です。添付するのは「防火管理講習修了証」などの防火管理者の資格を証する書類ですが、原本ではなくコピーの提出が認められている場合もあります。
防火管理者選任届出書は提出期限が定められていないため、防火管理者選任届出書を提出する場合は「飲食店の開業日まで」や「物件の入居日まで」を提出期限として考えておくことも方法のひとつです。
なお、防火管理者選任届出書のフォーマットは、開業予定地を管轄する自治体の公式サイトからダウンロードできる場合があります。補足や注意点が記載されていることもあるため、まずは開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。
消防計画
飲食店を開業する際、消防署に提出する届出として「消防計画」があります。消防計画は消防計画作成(変更)届出書とも呼ばれ、建物全体の収容人数が30人以上(従業員含む)の飲食店を開業する場合に必要となる届出です。
【消防計画の概要】
項目 | 概要 |
記入項目 | 様式なし |
提出期限 | 定めなし |
提出方法 | 持参、郵送、オンライン |
添付書類 | 表紙 |
消防計画に決まった様式はありません。各自治体は雛形として作成例を用意している傾向があるため、各自治体が用意している作成例を参考に作成したのち、消防計画作成届出書」の表紙を貼り付けてから開業予定地を管轄する消防署に提出することになります。
消防計画は提出期限が定められていないため、防火管理者選任届出書と同様、消防計画を提出する場合は「飲食店の開業日まで」や「物件の入居日まで」を提出期限として考えておくことも方法のひとつです。
なお、消防計画の作成例は、開業予定地を管轄する自治体の公式サイトからダウンロードできる場合があります。各自治体は雛形として作成例を用意している傾向があるため、まずは開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。
消防用設備等着工届出書
飲食店を開業する際、消防署に提出する届出として「消防用設備等(工事整備対象設備等)着工届出書」があります。消火設備や警報設備など、消防用設備等着工届出書は新たに消防用設備の配置工事を行う場合に必要となる届出です。
【消防用設備等着工届出書の概要】
項目 | 概要 |
記入項目 | 消防用設備の種類、工事施工者、消防設備士の詳細、工事の種別、着工予定日、完成予定日など |
提出期限 | 工事開始日の10日前まで |
提出方法 | 持参、郵送、オンライン |
添付書類 | 付近見取図、平面図、断面図、立体図、防火対象物の概要表、消防用設備の概要表など |
消防用設備等着工届出書に記入するのは「工事整備対象設備の種類」「工事施工者」「消防設備士の詳細」「工事の種別」「着工予定日」「完成予定日」などの項目です。添付するのは「付近見取図」「防火対象物の概要表」「消防用設備の概要表」などの書類です。
消防用設備等着工届出書の提出期限は「工事開始日の10日前まで」です。条件次第では、一部の添付書類の提出を省略できるため、提出期限が迫っている人は開業予定地を管轄する消防署に必要となる添付書類を確認してみることも方法のひとつです。
なお、消防用設備等着工届出書のフォーマットは、開業予定地を管轄する自治体の公式サイトからダウンロードできる場合があります。添付書類についても明記されているため、まずは開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。
消防用設備等設置届出書
飲食店を開業する際、消防署に提出する届出として「消防用設備等設置届出書」があります。消火設備や警報設備など、消防用設備等設置届出書は消防用設備を店舗に設置した場合に提出が必要となる届出です。
【消防用設備等設置届出書の概要】
項目 | 概要 |
記入項目 | 防火対象物の概要(用途、構造、規模)、消防用設備等の種類、工事の種別、設置工事の着工日、設置工事の完成日など |
提出期限 | 消防用設備等の工事完了から4日以内 |
提出方法 | 持参、郵送、オンライン |
添付書類 | 消防用設備等の設計図、消防用設備等試験結果報告書 |
消防用設備等設置届出書に記入するのは「防火対象物の概要」「消防用設備等の種類」「工事の種別」「設置工事の着工日」「設置工事の完成日」などの項目です。添付するのは「消防用設備等の設計図」「消防用設備等試験結果報告書」などの書類です。
消防用設備等設置届出書の提出期限は「工事完了から4日以内」です。消防用設備等設置届出書を提出した後は、設置された消防用設備が設置基準を満たしているかどうかを確認する目的として消防署の担当者が検査することになります。
なお、消防用設備等設置届出書のフォーマットは、開業予定地を管轄する自治体の公式サイトからダウンロードできる場合があります。補足や注意点が記載されていることもあるため、まずは開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。
消防用設備の設置基準を満たしているかどうかを確認しておく
店舗に設置する消防用設備は「消火設備」「警報設備」「避難設備」に分けられ、それぞれ消防法に基づいた設置基準が定められています。消防署に各書類を提出する際、提出前の確認として消防用設備の設置基準を満たしているかどうかを確認してみましょう。
【消防用設備の具体例】
項目 | 設備の具体例 |
消火設備 | ・屋内消火栓設備/屋内消火栓設備 ・動力消防ポンプ設備 ・スプリンクラー設備 |
警報設備 | ・自動火災報知設備 ・ガス漏れ火災警報設備 ・漏電火災警報器 |
避難設備 | ・避難はしご ・避難階段 ・救助袋 |
たとえば、火を扱う飲食店の場合は消火設備として屋内消火栓設備や屋内消火栓設備などの設置が義務付けられています。消防法により義務付けられているため、店舗に消火設備が設置されていなければ、消防署に書類を提出したとしても認められません。
また、一定面積以上の飲食店の場合は警報設備として自動火災報知設備や漏電火災警報器などの設置が義務付けられています。消防法により義務付けられているため、店舗に警報設備が設置されていなければ、消防署に書類を提出したとしても認められません。
消防用設備には、消防法に基づいた設置基準が定められています。今回紹介したのは一例となるため、不安な人は消防署の担当者に相談し、各書類の作成が完了した人は提出前の確認として消防用設備の設置基準を満たしているかどうかを確認してみましょう。
まとめ
飲食店を開業する際、提出先が消防署となる届出の中には「全員が提出する届出」と「提出の有無が条件次第となる届出」があります。全員が提出する届出に加え、条件次第となる届出もあるため、飲食店を開業予定の人は該当する届出を確認する必要があります。
また、提出期限に関しては、「提出期限が定められている届出」と「提出期限が定められていない届出」があります。フォーマットをダウンロードできる場合もあるため、提出期限が知りたい人は各自治体の公式サイトにある各届出の概要を確認してみてください。
なお、消防用設備には、消防法に基づいた設置基準が定められています。不安な人は消防署の担当者に相談し、各書類の作成が完了した人は提出前の確認として消防用設備の設置基準を満たしているかどうかを確認してみましょう。
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この記事の監修者
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
田原 広一(たはら こういち)
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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