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防火管理者に関する届け出とその方法

消防法では一定以上の規模を持つ建物の所有者や賃借人、会社の社長やオーナーなどを管理権限者として、「防火管理者」を選任する義務と「防火管理者」に防火管理業務を行わせる義務を定めています。

この「防火管理者」に関する業務では、安全のために消防署と密接に連携を取っていく必要があります。

そのため消防署に提出しなければならない届出も多く存在するのです。

今回はこの防火管理者に関する届出について解説します。

1.防火管理者は届出が必要

(1)防火管理者の選任

防火管理者の資格を持つ者を防火管理者として選任する場合、消防法第8条の2に「防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない」と記載されている通り、防火対象物のある所轄の消防署に防火管理者を選任する「防火管理者選任届出書」を届出なければなりません。

また「これを解任した時も、同様とする」と記されている通り、防火管理者を選任するときだけでなく解任する場合も同様に「防火管理者選任届出書」を届出なければなりません。

(2)届出のフォーマットの入手先

「防火管理者選任届出書」は自治体の消防署によって内容が異なる上、函館市などのように同じ自治体の消防署内でも建物によって届出様式が異なる消防署もあるため、統一のフォーマットがありません。

基本的に必要な自治体の消防署のホームページから申請書のフォーマットをダウンロードすることができますので、まずはホームページを見てみるといいでしょう。

ホームページには記入例も併せて載っている場合が多いので、記入の際は参考にしてください。

ホームページからのダウンロードができない場合は消防署に直接赴いて届出書を貰ってくる必要があります。

(3)届出の時の必要書類

「防火管理者選任届出書」と防火管理者に選任される人間が防火管理者資格を持つことの証明ができる証明書の2つはどの自治体の消防署でも必須とされます。

「防火管理者選任届出書」は1部のみで十分な消防署と正副2部必要な消防署があるため、消防署ごとに必要な部数をチェックしておきましょう。

防火管理者資格を持つことの証明書は、防火管理講習を修了している場合はその修了証になります。

原本が求められるケースとコピーでも可能なケースがありますので、必ず確認してから用意してください。

学識経験者等の場合は消防署によって不要だったり、職歴や学歴の証明が必要だったりとまちまちです。

こちらも所轄の消防署に確認を取ってから書類の準備をしておくと間違いがなくなります。

(4)受付時間

所轄の消防署に提出するため、消防署の受付時間に準じます。

届出を出す前に所轄の消防署の受付時間を確認しておきましょう。

また、電子申請や郵送の場合は時間を気にする必要がないので、自分の空いた時間に届出を行いましょう。

(5)届出先

届出先は何度も書いてある通り、所轄の消防署、または出張所になります。

消防署によっては電子申請や郵送での届出を受け付けていないため、事前に可能かどうか確認しておきましょう。

2.防火・防災管理者選任届出書の書き方

(1)所轄の消防署のフォーマットを入手する

防火・防災管理者選任届出書を記入する場合はまず、所轄の消防署のフォーマットを入手します。

防火・防災管理車線根人届出書は消防署によってフォーマットが違うので、他の自治体の消防署のフォーマットを使用しても受理されない可能性があります。

基本的に左上に〇〇消防署と自治体の名前が入っている場合が多いので、他の自治体の消防署での使用は最初からできないと思っておいた方が無難です。

(2)自治体の記入例を参考にする

所轄の消防署の「防火管理者選任届出書」を入手したら、あとは自治体の消防署のホームページにある記入例を参考にしながら「防火管理者選任届出書」に書き込んでいきます。

(3)防火管理者選任届出書の記入内容

「防火管理者選任届出書」には大きく分けて3つの記入エリアがあります。

 

①届け出る本人の名前と防火・防災どちらの管理者に関する届出か

②届出る防火対象物の詳細

③選任・解任する防火管理者の詳細

 

①届け出る本人の名前と防火・防災どちらの管理者に関する届出か

届出る本人、つまり「管理権限者」の署名と押印が必要なエリアです。

消防署によっては「防火管理者選任届出書」と「防災管理者選任届出書」が統一フォーマットになっており、防火、防災の2つから必要のない方に2本線を引き消す、という作業をする場合もあります。

②届出る防火対象物の詳細

届出る防火対象物について書いていくエリアです。

所在地や名称、用途といった基本情報に加えて甲種か乙種か、収容人数は何人か、といった情報も書き込みます。

特にわかりにくいのは「令第2条を適用するもの」と「令第3条第3項を適用するもの」の項です。

「令第2条を適用するもの」の項は同一敷地内に同一管理権原者が管理する複数の建物がある場合、棟ごとの名称、用途及び収容人員を記入します。

「令第3条第3項を適用するもの」の項は届出者の管理する事業所が、複数の管理権限者が管理する防火対象物で、乙種防火管理者でも管理できる場合、事業所の名称、用途と収容人数を記入します。

簡単に言うとテナントとして入る場合はここに記入が必要、ということになります。

③選任・解任する防火管理者の詳細

選任・解任する防火管理者について、氏名や生年月日、住所といった個人情報の他、防火管理者として選任された後の職務上の地位などを記入します。

職務上の地位とは、例えば「店長」「取締役」などの肩書のことです。

また、防火管理者になるために必要な資格についても記入する必要があります。

防火管理講習を受けた機関や修了年月日、講習以外の資格者の場合その資格内容を記入します。

解任する場合は解任理由も「転職のため」「退職のため」など具体的に書きましょう。

3.防火管理に係る消防計画もあわせて提出する

防火管理者の選任を届け出る場合、一般的に「防火管理に係る消防計画」と「消防計画作成届出書」も併せて届出ます。

(1)防火管理に係る消防計画とは

消防法第8条に記された防火管理者の責務の1つに「防火管理に係る消防計画」の作成・届出を行うことがあります。

この消防計画はそれぞれの防火対象物やテナントにおいて、火災が発生しないように、また、万一火災が発生した場合に被害を最小限にするために職場の全員が守らなければいけないガイドラインを定めるものです。

「防火管理に係る消防計画」には以下の事項が必要となります。

 

・自衛消防組織に関する事項。

・防火対象物についての火災予防上の自主検査に関する事項。

・消防用設備等の点検及び整備に関する事項。

・避難通路、避難口、安全区画、防煙区画その他避難施設の維持管理及びその案内に関する事項。

・防火壁、内装その他の防火上の構造の維持管理に関する事項。

・定員の遵守、その他収容人員の適正化に関する事項。

・防火管理上必要な教育に関する事項。

・消火、通報及び避難の訓練その他防火管理上必要な訓練の定期的な実施に関すること。

・火災、地震その他の災害が発生した場合における消火活動、通報連絡及び避難誘導に関する事項。

・防火管理についての消防機関との連絡に関する事項。

・増築、改築、移転、修繕又は模様替えの工事中の防火対象物における防火管理者又はその補助者の立会いその他火気の使用又は取扱いの監督に関する事項。

・上記以外の防火対象物における防火管理に関し必要な事項。

 

以上を組み込んだ防火管理に係る消防計画を作成し、消防計画に問題がないことを確認してもらうために消防計画作成届出書の届出を行い、承認を得る必要があります。

各自治体のホームページで消防計画の作成例をダウンロードすることができるので、参考にして作成するといいでしょう。

(2)「消防計画作成届出書」の届出

防火管理に係る消防計画の届出は、「防火管理に係る消防計画」だけでなく「消防計画作成届出書」も届出る必要があります。

「消防計画作成届出書」は作成した消防計画を消防署に申請、確認してもらうための届出です。消防計画を変更する場合は「消防計画変更届出書」として再度提出する必要があります。

この「消防計画作成届出書」も「防火管理者選任届出書」などと同様に消防署によって書式が異なるので、提出する消防署のフォーマットを入手して書き込みましょう。

こちらも正副2部を要求する消防署が存在するため、事前に必要部数を確認しておく必要があります。

 

まとめ

防火管理者を選任する届出をするときは「防火管理者選任届出書」「防火管理者の資格証明書」「消防計画作成届出書」「防火管理に係る消防計画」の計4種類の書類を用意しましょう。

また、届出の際の規定や書式には消防署ごとの差が大きく、電子申請や郵送の可否や書類の必要部数など、実務に大きくかかわる部分にも消防署ごとの差が発生します。

届出を行う際はまず届出る消防署と届出の方法をしっかりと確認することが必要です。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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