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内装/外装

店舗内装のマスタープランとは

飲食店などの場合、1店舗目をオープンしてその店が軌道に乗れば、2店舗目・3店舗目と続けて出店することがよくあります。

店舗内装のマスタープランがあれば、連続出店で必要な「設計・デザイン費用」を安く抑える効果があります。また、既存の設計・デザインを流用するので、「出店スピード」が速いというメリットもあります。

今回の記事では、店舗内装をお考えの方や追加店舗の内装を検討されている方に向け、マスタープランの概要についてご紹介いたします。

1.店舗内装のマスタープランとは

マスタープランは別名:プロトタイプとも呼ばれ、プロトタイプを直訳すると「原型」や「試作品」といった意味になります。つまり、マスタープランの概念は「本番を作る前のお試し版」といったイメージです。

店舗内装だけでなく都市計画にもよく使われている言葉で、「基本計画」意味でも使われています。

マスタープランの具体的な内容は、①店舗のブランドイメージ・コンセプト作り、②ロゴ・床材・壁紙などの内装ディティール、③什器・家具などのインテリア、の3点です。

設計会社に依頼すれば、有料でデザイナーや設計士がCADを使って作成してくれます。

店舗内装のマスタープランの標準的な設計内容

店舗内装としてのマスタープランの内容はあくまでテナントの土地や建物といったものを考慮しない部分に特化しているため、マスタープランだけでは店舗作成をすべて完成することはできません。

マスタープランに抜け落ちている内容としては、①平面レイアウト②厨房レイアウト(飲食店の場合)③壁面回りなど店舗ごとの地形が関連する設計、の3点があります。

マスタープランではカバーできない設計内容

なぜかと言うと、いくら同じような敷地や区画を探したとしても、全てが全部同じ物件は2つとないためです。

マスタープランはあくまで原型。原型を元に、デザイナー・設計士はその都度、実際の物件を調査しながらデザインを検討していきます。

2.マスタープランを作成する理由

マスタープランを作成する理由は、主に以下3点のメリットがあるからです。

①コストと時間の削減

②労力の削減

③品質の安定

①コストと時間の削減

デザイナー・設計士が受け取る報酬は、依頼者からの依頼内容にどれぐらい時間(=工数)をかけるかで変わります。

デザイナー・設計士は企業内勤務の場合もフリーの場合もありますが、いずれにせよ報酬の料金体系は工数がかかるもの=高額、工数がかからないもの=安価と分けることができます。

美容室や飲食店のチェーンとして2店舗目・3店舗目を出店する場合、マスタープランがあればデザイナー達は新規で店舗のコンセプト作りやロゴを作成する手間がなくなります。

手間がなくなるということは、その分コストの削減につながります。

②労力の削減

上記のコストと時間と似ていますが、あなたもコンビニが驚くほどの速さで工事が完了し、出店しているのを何度も見かけたことがあるでしょう。

マスタープランがあるため、大手チェーン店では出店のコスト・時間だけでなく労力もカットできるのです。

労力をカットしているということは、人件費の削減にもつながります。

年間で100店舗以上のハイペースで出店している店舗では、マスタープランを必ず作成しています。

③品質の安定

マクドナルドのような飲食チェーン店は通常、運営マニュアルがしっかりと完備・実行されています。そのため、基本的には国内どのマクドナルドに行っても同じ味・同じ価格(一部例外はあり)での商品提供を受けることができます。

店舗内装においても同じことが言えます。マスタープランを作成することで、店舗間の差を極力埋めて、統一性のある店舗イメージを作り出すことができます。

3.マスタープランを活かした店舗出店の例

例えば、よく見かける大手ハンバーガーショップのマクドナルドの外観です。

黄色く大きなアルファベットMのサインを見るだけで、「あ、マックがある」と分かりますよね。

同じサインや同じ壁面素材を使った方が、大量発注できるため、コスト・時間・労力を下げ品質を一定化するというメリットがあります。

4.マスタープラン作成にかかる費用は?

マスタープランは、基本的にかなり大規模な店舗展開をする際に作成されています。

マスタープランの作成を設計会社に依頼する主な依頼主は、自治体の都市計画作成担当者、年間200店舗以上を展開する大手チェーン店の担当者、大規模商業施設の企画担当者、などです。

これらの大型プロジェクトでは予算も高額なため、マスタープラン作成の報酬は100万円単位の高額報酬となります。

また、大型プロジェクトの場合はマスタープラン作成だけではとどまらず、施行管理まで合わせての見積で費用(何兆円規模)を提示しています。

5.マスタープランに賛成しないデザイナーもいる

では、小規模飲食店などの事業者はマスタープランを作成しなくても良いのでしょうか。これには賛成派・反対派の意見があります。

「5店舗ほどの展開であれば店舗ごとに設計図を引いた方がいい」という考え方や「マスタープランはあった方がコスト削減はできる」という意見の方もいます。

今の流れは、マスタープランは参考程度に使うが、完全に同じ店舗を再現するというわけではなく、チェーン展開でも+αの要素をデザイナーが提示していく、というデザインに柔軟性を求める傾向にあります。

まとめ

店舗内装のマスタープラン作成のメリットはコスト・時間・労力の削減を品質の安定化を実現します。

一方で、実際にマスタープランを作成する依頼者はかなりの大型施設やチェーン店となっています。

マスタープランはあくまで基本計画なので、1店舗ごとの地形や環境にあわせて平面レイアウトを引く必要があり、小規模店舗の場合はあまりコスト削減などの恩恵を受けられないためです。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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