2022/2/15
2022/02/15
焼肉屋の内装で重要なダクト工事と費用相場と内装デザインコンセプト
焼肉屋の内装で大切なポイントとなるダクト工事、内装工事費用・デザインについて解説します。
焼肉屋の内装ではクリーンな空気や脂を除去するダクト工事や防汚機能のある内装材が必要です。
窓に頼った換気や脂ぎった壁も焼肉屋の内装の個性としてみなされた時代もありましたが、新しい生活様式で衛生観念の変化もあって「清潔感」や「おしゃれ」を重視するお客様が増え、焼肉屋の内装のデザインのトレンドは様変わりしています。
Contents
焼肉屋の内装工事の種類と内装工事費用の相場
焼肉屋の内装工事にはどのような種類の工事があるのか、内装工事費用はどれぐらいかかるのか、内装工事の種類と内装工事費用の相場を解説します。
焼肉屋の内装工事の種類
焼肉屋の内装工事にはさまざまな種類があります。
「内装工事」と一言で言っても、実際の工事は①設計・デザイン②内装工事③厨房工事④設備工事に分けられます。
内装工事の費用項目 | 内容 |
①設計、設計管理 |
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②内装工事 |
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③厨房工事 |
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④設備工事 |
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内装業者に内装工事の見積書をもらうと、区分なく「一式500万円」などでまとめられているケースもありますが、①~④の工事の総額と考えてください。
一般的に、飲食店の内装工事の種類は厨房工事が含まれるので、小売などの他業種と比べると内装工事の種類は多めです。
焼肉屋では、さらに店内や客席からの煙や臭気を屋外へ排出するための「ダクト工事」があるため、飲食店の中でも内装工事費用は高額です。
店内の空気や臭いを気にするお客様が増え、店舗による近隣への配慮が必要なため、焼肉屋の内装工事ではダクト工事は必須かつ最重要と言われます。
ダクト工事の種類と費用
ダクト工事とは、店舗に設置する室内の空気を外へ排出し、外の空気を室内へ入れる「給排気設備」をきちんと機能させるための配管作業のことです。
ダクト工事には種類があり、焼肉屋のジャンルやコンセプトによって、ダクト工事の内容が決まります。
例えば、炭火焼肉は煙が出やすいため、各テーブルに排煙装置を設置し、それぞれのテーブルにダクトを伸ばすための大きなダクトを天井に配置します。
店内の雰囲気を重視する焼肉屋では天井からのダクト配管をせず、焼肉を焼く機械を無煙タイプのものにし、下から煙を吸い込む工事を採用するケースもあります。
一般的にダクトは金属の板を筒状にしたものですが、ストローのように自在に曲げられる特徴があります。ダクトの先端をどこまで上げたいのか、何本のダクトをどのようにつなげる工事かなどでも、ダクト工事の費用は大きく違います。
例えば、ダクトの先を建物の屋上まで上げる場合、建物の高さにもよりますが、ダクト工事だけで300万円〜です。
ダクト工事は上、厨房部分の工事と客席全体に関わる工事があります。
工事の種類 | 概要 |
フードダクト工事(厨房内の工事) | レンジフードは別名:シロッコファンとも呼ばれる。厨房でどれぐらいの火気を使うか計算し、そこから排出される排気の通り道とつくり排気するためのファンを設置する工事。ファンから吸い込んだ給気はダクトを通して排気される。 |
換気扇工事(厨房内の工事) | 一般的なキッチンに取り付けられているような換気扇で、その排気経路とファンの取付けを行う工事。フードダクト工事との違いは、ファンの形状の違いと、排気を直接屋外へ放出させる点です。
シロッコファンに比べ換気扇は騒音が大きいという弱点もあります。 |
屋外排気工事(客席全体の工事) | 室内の空気を何らかの機器を使用して吸引し、ダクトなどを通じて屋外へ排気する工事を言います。ダクト工事とセットで使われることが多い言葉です。 |
インバータスイッチ(客席全体の工事) | インバータとは直流電流を交流電流に変換する装置です。インバータスイッチとは、排吸気する際の風量を調節できる機器です。 |
焼肉屋の内装工事をする物件が、以前焼肉屋や飲食店だった居抜き物件なら、フードダクト工事や換気扇工事が既に済んでいることもあるため、内装業者と相談し、最低限必要なダクト工事やクリーニングだけで済むこともあるでしょう。
ただし、既存のダクト配管から大きく変更するケースやダクトの劣化が激しく流用できないケースでは、既存のダクトを撤去する工事も含まれるため、ゼロから工事を行うスケルトン物件よりも高額なダクト工事費用になってしまう可能性もあります。
ダクト管の種類と素材
ダクト管には種類がありますが、一般的には、丸ダクトを使うことがほとんどです。
ダクトとダクトは「継手(つぎて)」と呼ばれるジョイント部分を使い、ブロックのようにさまざまな形状に仕上げられます。
店内の角や狭いスペース、角度をつける必要がある際にはフレキシブルダクト、テーブル毎で煙を吸い込みたい場合は傘付きダクト管が選ばれています。
ダクト管の種類 | 特徴 |
丸ダクト(別名:スパイラルダクト) | スパイラルダクトの長さは基本的に4mです。らせん状に巻かれることにより、素材の板が重なる部分が強化されています。ダクトの中では最も強度が高く、軽くて丈夫だという特徴があります。 |
角ダクト | 丸ダクトと使い道は同じで、形状が角筒状です。現在はあまり流通していません。角にぴたりとはめられるため、ダクトをあまり目立たせたくない場合には適しています。 |
フレキシブルダクト | 蛇腹状で屈折した形状のダクトです。材料はアルミや鉄や樹脂で、換気扇やその連結部に幅広く使われています。 |
傘付きダクト管 | 座席に設置する短いダクト管の上に傘がついた形状のダクト管です。傘の下には水分を集める三角フラスコがついています。 |
最近では、一つのテーブルごとに全席にダクトが設置されている店も多いです。
各テーブルに設置するダクト工事は、1テーブルあたり10万円ほど余分にかかるとみておきましょう。
ちなみに、ダクトの素材はほぼ亜鉛鉄板からできていますが、他にはステンレス塩やビライニング鋼板(スパイラルダクト)が使われます。
無煙ロースターと排煙システム
無煙ロースターとは、その名の通り煙を出さずに肉を焼ける機器のことです。
通常、肉を焼くときは肉から出る脂が加熱する炎の部分に落ちるため、煙が出ます。しかし、無煙ロースターは脂が炎に落ちないように脂を一か所に集める構造や内部にファンを設置する構造なので、煙を出さずに肉を焼けます。
無塩ロースターには「ノンダクト式」と「ダクト式」の2タイプがあり、ダクト式には「上引きフード」を使うタイプと「下引きフード」を使うタイプの2種類に分かれます。
ノンダクト式(可動型) | ダクト式(備え付け型)
※焼肉店の多くはダクト式を採用 |
テーブルで油を処理する | ノンダクト式(据え置き型)
焼肉を焼く場所より上から煙を吸引します。ダクト工事が難しい店舗で使われる方式です。
焼肉を焼く場所より下から煙を吸引します。 |
業務用の無煙ロースターは1台20万円~30万円程度の費用がかかります。(本体+設置工事費込み)そのため、テーブル数の大きい焼肉屋では大きな出費となります。
焼肉屋のダクト工事のDIY施工は無謀
焼肉屋にはダクト工事が必須ですが、ダクト工事の費用が高額なため、「ダクト工事を自分でやりたいのですが、できますか?」という相談もあります。
結論から言うと、専門知識と経験なしでのダクト工事は無謀です。
ダクトと給排気設備を最適に組み合わせ、店内の動力の負担にならないようにダクトの構成を考えるのは長年の経験や知恵が必要です。
また、何メートルにも及ぶダクトは非常に重く、天井に吊るすために天井裏からボルトで支えるなどの重量を計算する必要もあります。
専門的な経験や知識による判断があって、安心安全の店舗が作られるのです。
焼肉屋の内装費用の相場
焼肉屋の内装費の相場は一般的に1,000万円以上かかると言われています。
理由は、前述したように焼肉屋の内装ではダクト工事という特殊な煙・臭いを排出するための大掛かりな工事が必要だからです。
加えて、①厨房設備の費用②お客様が肉を焼くための設備の費用③防水・防汚コート済などの特殊な素材を使用する費用も準備する必要があります。
焼肉屋の坪単価
焼肉屋の内装工事費用の試算では、よく「坪単価」という言葉で使われますが、坪単価とは、1坪(たたみ約2畳分/約3.3㎡)あたりの内装費のことです。
焼肉屋の坪単価は平均的に30~50万円と言われていますが、40~60万円以上必要と考える関係者もおり、飲食店の中では焼肉屋は坪単価が高い部類に入ります。
坪単価は一般的に、内装がなく骨組みだけの「スケルトン物件」での試算で使われます。
前のテナントの内装が残る「居抜き物件」では、壁や天井などがあるため、流用できるものが多ければ内装費用を抑えられます。ただし、劣化などで流用できないものは撤去費用がかかり、状態のよい居抜き物件が出ることは少ないため、物件選びの判断は慎重に行いましょう。
居抜きとスケルトンについての詳細は、是非以下の関連記事もあわせてご参照ください。
関連記事
焼肉屋で必要な坪数
焼肉屋の必要な坪数は、一般的には焼肉屋の客席で火を使う特性を考えると、他の飲食店のように10坪や10坪以下の少ないスペースでの開業は困難と言えるでしょう。
内装工事を行う坪数が確定すると、坪単価とかけあわせて内装工事費用を割り出せます。
坪単価が30万円で30坪の場合:
30万円×30坪=900万円 |
坪単価を30万円として計算すると、30坪の焼肉屋の内装工事費用は約900万円です。
内装工事費用は内装業者やデザインなどでも変わるので一概には言えませんが、目安になります。
焼肉屋の内装工事費用を抑えるポイント
およそ1,000万円といわれる焼肉屋の内装費を抑えるポイントを把握しましょう。
まず、壁にダクトを設置してダクトからの排気を出せるタイプの物件を探すと、ダクト工事費用が安くなります。
ダクト工事は内装工事と外装工事という2つの側面を持つ工事ですが、通常、店内の空気を外に出すためにダクトの先は壁に穴を開けて通すことで排気します。
しかし、壁に穴を開けられない物件では無煙ロースターなど他の方法をとるので、内装工事費用が高額になります。また、前の店舗が焼肉店だった居抜き物件を探せると、内装工事費は大幅に安く下げられます。
ただし、「居抜き物件で元焼肉屋」と限定するとなかなか見つけにくいうえ、元の店が閉店した最大の理由が立地にある場合、元の焼肉屋のイメージを一新して成功させるのは至難の技です。おすすめは「飲食店でダクト工事完了済みの居抜き物件」で探すことです。
内装工事費用の見積もりを取るときは、複数の業者から見積をもらう相見積もりにしてください。内装業者にはデザインが得意な事業者、施行のみを扱っていてデザインは外注している会社など、種類があります。できるだけ焼肉屋の内装実績の多い内装業者を選びましょう。
焼肉屋の内装で煙・匂い対策をして清潔感を演出しよう

画像素材:PIXTA
オーナーの目利きによる「美味しいお肉」と、家では煙やにおいがネックでなかなかできない「お肉を焼く体験」が楽しめる焼肉屋ですが、調理を利用客自身が行うことが多いということは、厨房と客席のある店舗全体に煙や臭い・脂が充満しがちです。
焼肉屋のオーナーが開業で最も頭を悩ませることのひとつは、前述したダクト工事による煙の排出に加え、「脂汚れ」があります。
また、一般的な飲食店よりも火元の数が多いため、防災対策もしっかり行う必要があります。
これから焼肉屋の内装を新たに手掛ける予定の事業者の方は、焼肉屋のおしゃれな内装デザインに加え、メンテナンスしやすい内装に仕上げて清潔感を演出することが大切です。
焼肉屋の内装制限
内装制限とは、映画館や病院のように不特定多数の人が集まる場所や飲食店のように火気を扱う場所の内装についてのルールです。焼肉屋の場合、店内で火気を使うことから「特殊建築物」としてみなされ、内装制限を守る対象となっています。
内装制限のルールを守らなかった場合、30~50万円の罰金または300~500万円の罰金になる可能性があります。
内装制限は「建築基準法」と「消防法」という2つの法律で規定されています。焼肉屋として守らなければいけない内装制限は以下の通りです。
<建築基準法の内装制限>
- 【居室】床面から1.2mを超える壁材は「難燃以上」を使い、天井は「難燃以上」を使うこと。(3階以上の居室は準不燃以上で可)
- 【通路・階段等】「準不燃以上」の素材を使用すること
(参考)内装制限一覧表|日本室内装飾事業協同組合連合会(日装連)
「居室」とは、住居の場合の「部屋」に該当しますが、一般的には焼肉屋の店内の客席は「居室」として考えられています。難燃以上、または準不燃以上などに認定された素材を使わないと、保健所の検査で指摘され、スムーズに開業できないので注意しましょう。
<防法の内装制限>
- カーテン・ブラインド・じゅうたんを使用する際は、消防法で定められた防炎性機能基準を超えたものを使用すること
- 自動火災報知機の設置
- 消火器の設置
- 避難器具・誘導灯・誘導標識の設置(2階以上で収容人数が50人以上の場合)
(参考)火災報知機について|一般社団法人日本火災報知器工業会
この他、ダクトの内部には防火ダンパ―といって火が排気口から出てくることを防ぐための機能弁をつける必要もありますが、防火ダンパ―の故障で火災につながったケースも多々あるため、焼肉屋の内装では特に意識しましょう。
機能的な内装を選ぶことは従業員と近隣の住民へ配慮につながる
機能的な内装を選ぶことは従業員と近隣の住民へ配慮につながります。
焼肉屋の従業員は床の掃き掃除やモップ掛け、トイレ掃除などを行い、ダクト掃除などは専門業者が行いますが、店内の油跳ねが少ないとアルバイトによる店内清掃もしやすくなる利点があります。
また、飲食店を経営するうえで、近隣の方とトラブルなく付き合っていくこともとても大切です。
開業前後の挨拶で、「焼肉屋をオープンしますが、こんな匂いや煙対策をしています」と説明するリーフレットやチラシ、店内を見ていただくための割引クーポンなどを用意すると、近隣に住む方の理解を得やすいです。
あわせて周辺への匂い・煙の排出を防ぐため、焼肉屋内装では営業中に出入口を開けっぱなしにしない、窓を閉めるなどの工夫をしましょう。
壁材にはメンテナンスしやすい防水・防汚加工の素材
焼肉屋の壁はきちんと油の対策をしないと、テーブルや床・壁までが油でベタベタになってしまいます。さらに、焼肉屋の壁は脂の直接の跳ね返りに加え、臭気を通して脂っぽくなります。
防脂素材として壁材でおすすめなのは、メラミン化粧合板です。
メラミン化粧合板はメラミン樹脂とフェノール樹脂をそれぞれ紙に含ませ何枚も重ね、高温・高圧で成形したプラスチック板です。メンテナンス性に優れ、油や醤油などの調味料にも強いのが特徴で、焼肉屋の壁にも適しています。
その他、メーカーが提供している「防汚加工」が施された壁紙もおすすめです。価格は1㎡あたり1,000円~7,000円程度で、価格により防汚機能だけでなく防水・防カビ・消臭などのそのほかの機能が付属されます。
高級感を出すのであれば、大理石も壁材としておすすめです。
大理石には①人工大理石②人造大理石③天然大理石の3タイプがありますが、中で最も焼肉屋の壁材としておすすめなのは人工大理石です。
天然大理石には高価、人造大理石にはあまり流通していない、と使用するうえでの懸念がありますが、人口大理石は家庭内のシンクなどでもよく使われている高耐性・高強度な素材で、価格も手ごろで現実的です。
床材には継ぎ目がないフラットなビニール素材
焼肉屋の床には継ぎ目のないビフラットな素材を使用しましょう。タイル状の継ぎ目がある素材だと、隙間に食べ物のカスやほこりが入るため、清掃しづらくなります。
水をはじき汚れに強い特性と、耐熱の性がある床材がおすすめです。
特殊加工をした塩ビの床材のお手入れ方法は、固く絞った雑巾でふくだけと非常にお手軽です。
焼肉屋の天井は吹き抜け・ステンレス・磁器質タイル
焼肉屋の天井は、座席から排出される水分と脂が蒸気でのぼるため、ベタベタと汚れやすいものです。メンテナンスしやすい素材として、壁材と同じくメラミン化粧合板や大理石に加え、ステンレスや磁器質タイルがおすすめです。
・ステンレス
汚れがつきにくく、メンテナンスしやすい素材。ただし、シルバー色なので木の質感を生かしたデザインには不向き。
・磁器質タイル
別名:セラミックタイルとも言われ、薄型化・大判化が進んでおり、最近ではオフィスや駅ビルでも多く採用されている。汚れがつきにくく、洗練されたデザインにも合う。
物件が対応可能であれば、天井を吹き抜けにする方法もあります。和風の居酒屋や一軒家の焼肉屋などは、店のデザインとマッチしやすく換気性も保てます。
一方、吹き抜け天井は高さが出るため、掃除は業者などに依頼しなくてはいけないなど余分に費用がかかる面もあります。
テーブル・キッチンを中心にライトを当てる
焼肉屋では、バーのように店内の床や壁周りは照明を落とし、キッチンやテーブルの上をペンダントライトやシーリングライトで照らすという照明の使い方がよく見受けられます。汚れが目立ちやすい壁や床を不必要に照らさないことで、店内の清潔感を演出できます。
食欲をそそる電球色と温白色の使い分け
暗めの照明は確かに壁や床の脂汚れが目立たない利点がありますが、「手元が見えづらい」「トイレに行きづらい」などの利便性の問題があります。雰囲気を出しつつ明るいイメージの照明にするために、電球色と温白色を使い分けるのがおすすめです。
- 電球色:LEDライトで昔からある色味でオレンジがかっている。
- 温白色:最近LEDで出てきた色味で、外から差し込む自然光に似た白っぽい色味。
電球色と温白色を混ぜて使用すれば、店内の明るさと雰囲気の良さを同時に追求でき、夜間でも明るすぎず暗すぎない、ちょうどよい照明で店内を演出できます。
焼肉屋の内装を依頼する前にデザインコンセプトを作ろう

画像素材:PIXTA
焼肉屋の内装を実際に内装業者に依頼する際、店舗のイメージを第三者に伝えるには、次の手順で焼肉屋のコンセプトづくりをし、写真や図表などの参考資料を渡して伝えましょう。
- ステップ1:コンセプトをデザインに落とし込む
- ステップ2:メンテナンス性の高いデザインへと手を加える
- ステップ3:新しい生活様式にあったデザインかをチェックする
ステップ1:コンセプトをデザインに落とし込む
ひとことで焼肉屋といっても、幅広いジャンルがあります。オーナー自らが理想とする焼肉屋の方向性を決める作業がコンセプトづくりにあたります。
コンセンプトをしっかり決めると、客層や立地、価格帯、お店の名前はもちろん、店舗の内装やロゴ、焼肉屋の食器選びやメニューなどもブレずに決めることができ、一貫性のある店づくりにつながります。
・キャッチコピー:庶民的な価格でおいしいカルビをご提供し、地域に幸せを届けます ・年齢層:子供~お年寄りまで幅広く ・価格帯:昼1,000円~3,000円/名 飲み物込み、夜2,000円~4,000円 ・開業希望場所:ホームセンター、ショッピングセンター、区役所など家族連れが訪れるスポット付近(近隣への煙対策でビル密集エリアは避けたい) ・メニュー:カルビ 500円、炙りバラカルビ 550円、中落ちカルビ 600円、根岸尾カルビ 600円、チーズカルビ 700円など |
コンセプトを決めたら、競合する事業者がいないかを必ず確認し、詳細な事業計画まで落とし込みましょう。競合する事業者がいないかを確認し、開業時に金融機関の融資を受けておくのもおすすめです。審査の過程でコンセプトの整合性や事業計画の不備があれば指摘されるからです。
なお、融資を受ける前に、店舗の物件をおさえて内装業者に見積もり依頼をし、コンセプトを踏まえた焼肉屋の設計デザイン案と見積書を揃えましょう。
レジや厨房、カウンターなど店舗内部のレイアウトと、壁や床の色などのデザインとともに詳細を固めておきます。
レイアウトで決めること | デザインで決めること |
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ステップ2:メンテナンス性の高いデザインへと手を加える
壁・床・天井の内装素材を考え、メンテナンスしやすく丈夫なデザインにすることで、清掃のしやすさ・汚れにくさ・耐久性のある焼肉屋となります。
ポイントごとに見ていきましょう。
オープンキッチンかクローズドキッチンを選択する
利用客とスタッフと距離を近く設定できる「オープンキッチン」と、客から見えない調理場の「クローズドキッチン」のどちらを選ぶかで、焼肉屋の内装は大きく変わります。
オープンキッチンではライブ感があり、コミュニケーションがとりやすいという長所がある一方、常にキッチンをきれいに整頓していないと汚らしく見える、食材をすぐにしまわないといけない短所があります。
また、新しい生活様式(ニューノーマル)の衛生管理の観点で、調理場が客から近いことに不安を抱く客もいる可能性はあります。
なお、スケルトン物件の場合は選べますが、既存の内装のある居抜き物件ではキッチンは固定で選べないこともあるので、焼肉屋のコンセプトとあわせた物件選びが重要です。
テーブルをガラステーブルにする・白より黒や茶色を選ぶ
ガラスは耐久性や耐火性があり、メンテナンスしやすい素材です。油脂による汚れやシミ、可燃性が気になる焼肉屋の店舗でも、ガラスコーティングのテーブルであれば洗剤で水拭きすれば清潔感を保てて安全です。
また、新しい生活様式(ニューノーマル)の衛生管理の観点から、アルコールでの消毒を頻繁にするルーチンにも、ガラス面のテーブルは劣化しにくいでしょう。
店内をどんなに工夫して掃除をしても、経年劣化によってシミや汚れは目立つものです。
焼肉屋のテーブルやカウンターに黒・茶色などの濃い色をセレクトするオーナーが目立ちますが、濃い色には油脂のシミを目立ち肉する、洗練された雰囲気を出すなどの効果があります。
焼肉屋の店内のインテリアはメンテナンス性を考え、清潔感の出しやすい素材や色を選ぶのがおすすめです。
ステップ3:新しい生活様式にあったデザインかをチェックする
新しい生活様式では、今まで以上に焼肉屋で「利用客が他の利用客やスタッフとどのように接触するのか」が気にされます。
以前は各テーブルで5~10名以上の団体利用を前提に作られることが多かった焼肉屋ですが、少人数化の対応も必須です。
「ひとり客」のためのコンパクトな無煙ロースターの設置や、「個室」を用意するのも有効でしょう。内装費はあがりますが、ひとり席や個室狙いの利用客が増えるためです。
焼肉屋の内装デザインを考えるとき、コンセプトと照らし合わせ、専用の「ひとり席」や「個室」を作るべきなかをよく検討しましょう。
焼肉屋のおしゃれな内装デザインの例
焼肉屋をおしゃれな内装にするためのヒントをご紹介します。
- ホールと厨房の比率は8:2を目安に
- ラグジュアリーな雰囲気のある焼肉屋にするには
- カジュアルな居酒屋兼低価格な焼肉屋にするには
- 女性客が入りやすい雰囲気の焼肉屋にするには
ホールと厨房のレイアウト比率は8:2を目安に
飲食店の内装レイアウトは、業態により厨房とホールの最適な比率が異なります。
焼肉屋の場合、ホールスタッフが調理するよりも利用客が七輪やコンロで調理する業態ですので、厨房よりホールの面積を多めに取って設計します。
座席数は、高級路線でいくのか、標準路線でいくのか、大衆的な低価格路線でいくのかにより、坪数ごとの最適な座席数を決めていきます。
最適な座席数 | |
ゆったり型(高級店舗) | 1.5~1.7席/坪 |
標準型(一般店舗) | 2.0席/坪 |
詰め詰め型(大衆店舗) | 2.5~3席/坪 |
ラグジュアリーな雰囲気のある焼肉屋にするには
高級素材を使用した立地のよい場所での焼肉屋の開業では、大理石などの高級素材と暗い照明でラグジュアリーな雰囲気を出すとよいでしょう。
シャンデリアを取り入れてゴージャスにする、夜景がきれいな高層テナントに出店し、客席側の窓は全面ガラス張りにして夜景が見える、などで「非日常感」を出すと高級路線の人気店を目指せます。
また、壁材と床材にタイル調やヘリンボーン柄などの茶系統の模様を取り入れると、ダクトのシルバー色と相性がよく、ニューヨークテイストのおしゃれな雰囲気が出せます。
焼肉屋と近い業態の鉄板焼店の内装事例の関連記事もあわせてご覧ください。
カジュアルな居酒屋兼低価格な焼肉屋にするには
食べ放題を実施する低価格帯の店は、親しみやすさや温かさをモットーとしたデザインがよいでしょう。
全体的にメンテナンスのしやすい木材調の素材を多めに使用し、照明は明るめのオレンジ色で統一します。
また、スペースの間仕切りとして「パーテーションウォール」を上から下げると、温かい雰囲気とともに、人と人とのスペースを半個室のように区切りやすくなります。また、内装を適度におしゃれにカジュアルに魅せてくれる効果もあります。
女性客が入りやすい雰囲気の焼肉屋にするには
焼肉屋には女性の友人同士、女性の一人客も珍しくありません。メニューはもちろん、店舗デザインとしても、女性客が入りやすい工夫をしましょう。
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焼肉屋の内装工事の流れ
焼肉屋の内装工事には①設計・デザイン⇒②工事計画書の作成⇒③着工⇒④仕上げ⇒⑤引き渡し、という流れです。
まずは「こんな焼肉屋の店舗イメージで、ここの物件で、予算はX万円でお願いします」という見積依頼を内装業者にするところからスタートします。
相見積もりによる複数の内装業者の見積書を揃えるまでに3日〜1週間ほど、内容の比較・検討で同じくらいの時間がかかるため、内装業者への問い合わせから着工まで2〜3週間は見ておきましょう。
焼肉屋の店舗内装工事は着工すれば、居抜き物件なら既存の内装の流用具合によっても変動するものの2週間前後、ゼロから内装を作るスケルトン物件でも2カ月以内には完了するのが一般的です。
内装費の支払いはローンが組めないため、自己資金での一括払いができない場合、資金調達が必要です。
焼肉屋の開業として銀行など金融機関から融資を受ける際には、焼肉屋を開く予定の物件が仮押さえで契約されていることを前提に、焼肉屋の事業計画書などの書類の一部として見積書や詳細な店舗デザイン案の提出が求められます。
焼肉屋の内装業者の選び方
焼肉屋の内装工事は、必須のダクト工事や防汚・防水素材の選定など、他の飲食店以上に専門知識や経験・実績が必要です。
納得のいく費用でイメージ通りの仕上がりを目指すなら、内装業者の選び方にもこだわり、かならず複数の内装業者への相見積もりをして価格だけでなく工事内容も比較しましょう。
内装業者には3つの種類があり、デザインを専門とした設計事務所、設計と施行を一括で行う内装会社、施行を主にした内装会社の3パターンがあります。
いずれの内装業者にもそれぞれの特徴がありますが、設計も施行もワンストップで行ってくれる内装業者の場合は、見積で提示された金額がずれにくいです。
外注にデザインや設計管理などを任せる会社の場合は、間にマージンが入るため内装費が少し高額になる可能性があります。
関連記事
まとめ
焼肉屋の内装で大切なポイントとなるダクト工事、内装工事費用・デザインについて解説しました。
焼肉屋の内装のレベルは最近かなり上がっており、おしゃれで煙をあまり感じない快適な店が増えています。
焼肉屋のオーナーとしては内装の肝である「ダクト工事」などさまざまな工事があり、同時に内装制限や消防法も意識しなければいけません。
理想の焼肉屋の内装に近づけるには、オーナーの理想とする焼肉屋のコンセプトを作り上げ、それをもとにデザインを起こして内装を考えることです。
焼肉屋の店舗内装についてのご不明点はぜひ、店舗内装ラボまでお気軽にお問合せください。